雲雀と若水(方言)

ひばりと

概要

 ええ、申しあげます。申しあげます。雲雀とハブの話を申しあげます。天に神様がいらっしゃって、雲雀を呼んで、「さて、お前は心もきれいで真面目であり、よく働き者でもあるから、今日は人間たちに若水を持って行って差しあげてくれ。」と若水を茶碗に入れて雲雀に持たせて行かせた。人間にこの若水を飲ませたら、若返るということで天の神様は人間たちへの若水を雲雀を使って持たせたのだった。雲雀は若水の薬をいただき、神様からあずけられてスーッと天から降りてやって来たが、畑の中に大変うまい蕃柘榴(ばんしるー)が、ここにもあそこにも真赤に実がなっていたので、雲雀は、「ああ、こんなにもうまい蕃柘榴(ばんしるー)があるので、これは食べてから、行くことにしよう。」と、若水の大切な神様のものをそばに置いて、蕃柘榴(ばんしるー)の赤くなっているものを、これを食べあれを食べていたところ、ハブが石の穴から出て来て自分でこの若水をサーッとかぶって飲んで行ってしまった。さて、雲雀は腹いっぱいこの蕃柘榴を食べて若水は無事かなと戻って来てみたら、すべてハブがこの若水を浴びて行ってしまったので、「ああ、これは大変だ。これは持って行って差しあげるべき、人間への若水なのに、これはどうしたらよいだろうか、ハブがすべて浴びてしまったので、どうしようか。」と見てみると、茶碗の底にほんの少しだけ残っていたので、人間の手の爪、足の爪につけ、茶碗を空っぽにして、そのまま天へ上がり神様のところへ帰ってきた。「ああ、神様の御前へ申しあげます。人間へ若水を差しあげるようにと、いただいて出かけたが、畑に大変うまい蕃柘榴が実(な)っていたので、これを食べようとしていたところ、ハブがやって来て、すべて若水は浴び飲んでてしまい、仕方ないのでほんの少しだけ残っていたので、人間の手の爪、足の爪につけるだけで戻って来ました。神様の御前へ、申しあげます。」と言ったので、神様は怒って、「何だって、これは人間にということでお前に渡したのに。これを持って行って、ハブというのは人間を咬む毒があるのに、若水をハブに飲ますとは、お前は罪だ。」と大いに怒りだし、天の神様は、雲雀の足を縛り、逆さにしてクロツグの縄で縛って置いたところ、雲雀の足は大きかったが、神様の罰があたり、クロツグの縄で縛ったので、この雲雀の足は小さくなった。また、毎日おいしい、芳しい食事をし、銭も不足なく神様から、銭やお金ももらっていたが、「今後、お前には銭を使わせない。」とお金ももらえなくなり、銭もないので、銭くれ、銭くれと鳴くときもこのように鳴き、小さくもなってしまったそうだよ。申しあげます。

再生時間:5:19

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民話詳細DATA

レコード番号 47O200157
CD番号 47O20C009
決定題名 雲雀と若水(方言)
話者がつけた題名 ジンチナーとマーハブの話
話者名 上勢頭享
話者名かな うえせどとおる
生年月日 19101025
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
記録日 19750807
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T40B1
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 動物昔話
発句(ほっく) もうしあげます
伝承事情
文字化資料
キーワード 若水,ハブ,ばんしるー,銭,
梗概(こうがい)  ええ、申しあげます。申しあげます。雲雀とハブの話を申しあげます。天に神様がいらっしゃって、雲雀を呼んで、「さて、お前は心もきれいで真面目であり、よく働き者でもあるから、今日は人間たちに若水を持って行って差しあげてくれ。」と若水を茶碗に入れて雲雀に持たせて行かせた。人間にこの若水を飲ませたら、若返るということで天の神様は人間たちへの若水を雲雀を使って持たせたのだった。雲雀は若水の薬をいただき、神様からあずけられてスーッと天から降りてやって来たが、畑の中に大変うまい蕃柘榴(ばんしるー)が、ここにもあそこにも真赤に実がなっていたので、雲雀は、「ああ、こんなにもうまい蕃柘榴(ばんしるー)があるので、これは食べてから、行くことにしよう。」と、若水の大切な神様のものをそばに置いて、蕃柘榴(ばんしるー)の赤くなっているものを、これを食べあれを食べていたところ、ハブが石の穴から出て来て自分でこの若水をサーッとかぶって飲んで行ってしまった。さて、雲雀は腹いっぱいこの蕃柘榴を食べて若水は無事かなと戻って来てみたら、すべてハブがこの若水を浴びて行ってしまったので、「ああ、これは大変だ。これは持って行って差しあげるべき、人間への若水なのに、これはどうしたらよいだろうか、ハブがすべて浴びてしまったので、どうしようか。」と見てみると、茶碗の底にほんの少しだけ残っていたので、人間の手の爪、足の爪につけ、茶碗を空っぽにして、そのまま天へ上がり神様のところへ帰ってきた。「ああ、神様の御前へ申しあげます。人間へ若水を差しあげるようにと、いただいて出かけたが、畑に大変うまい蕃柘榴が実(な)っていたので、これを食べようとしていたところ、ハブがやって来て、すべて若水は浴び飲んでてしまい、仕方ないのでほんの少しだけ残っていたので、人間の手の爪、足の爪につけるだけで戻って来ました。神様の御前へ、申しあげます。」と言ったので、神様は怒って、「何だって、これは人間にということでお前に渡したのに。これを持って行って、ハブというのは人間を咬む毒があるのに、若水をハブに飲ますとは、お前は罪だ。」と大いに怒りだし、天の神様は、雲雀の足を縛り、逆さにしてクロツグの縄で縛って置いたところ、雲雀の足は大きかったが、神様の罰があたり、クロツグの縄で縛ったので、この雲雀の足は小さくなった。また、毎日おいしい、芳しい食事をし、銭も不足なく神様から、銭やお金ももらっていたが、「今後、お前には銭を使わせない。」とお金ももらえなくなり、銭もないので、銭くれ、銭くれと鳴くときもこのように鳴き、小さくもなってしまったそうだよ。申しあげます。
全体の記録時間数 6:08
物語の時間数 5:19
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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