昔、大鷲(おおわし)は、自分が大きいこと自慢して、「自分よりも大きい者は、他にはいないはずだ。どうだ、自分より大きい者がおるか、おらんか。」と大きいものを探してずっと太平洋を飛び廻って飛んでいるうちに日暮れになったので、「これはしまった。今日は止まるところがない。どうしようかなあ。」と見回していると、太平洋の真ん中に木の枝みたいなものが出ていたから、「こりゃあ、良かった。」と思ってそれに止まった。次の日もまた一日中海の上を飛んでいるうちに、日が落ちたので見回したが、その日も何一つつかまるものがない。「これはしまった。」と思っているとまた木の枝みたいなものがあったので、「これはやっぱり神様のお恵みだ。」と喜んでその木の枝に座っておったら、木の枝がものを言った。「お前は夕べ私の左の髭(ひげ)の先に止まり、今日は右の髭の先に止まっている。何をしていんだ。」と言うので、「ああ、私はこの世の中に一番大きい者は私だと思って飛んで来ましたが、あんた誰(だれ)ですか。」と聞いたら、「私は大海老(おおえ び)だ。」と言うから、大鷲は、「すみません。私は世界で一番の大物だと思っていたが、昨日止まったのがあなたの左の髭の先で、今止まっているのが右の髭の先なら世界で一番大きいのはあなたです。」と言った。大鷲にそう言われた海老は、「こんな鳥でさえ自分は世界で一番大きいと思って飛び廻って、俺の髭の先に止まっている。よし、今度は、俺も海を廻って世界で何が一番大きいか見て廻ろう。」と言って、海老はその日から大物比べの旅に出た。海老が旅に出て、太平洋を回っているうちに夜になったので泊まろうとしたら泊まるところがない。「大変だ。どうしようか。」と心配していたら、ちょうど大きな岩があった。「よおし、泊まる場所は見つかった。この岩で泊まろう。」とその岩の下に一晩座っていて、夜が明けるとまた出発して、一日中太平洋を廻ってうちに日が暮れた。「今日もまた泊まるところがないがどうしようか。」と心配していると、ちょうどまた夕べ止まったような岩があったから、「今日はこっちで泊まろう。」と泊まっていた。するとその岩がものを言った。「夕べ私の左の顎(あご)の下に座って、今日は右顎の下に座っているお前は一体何者か。」と怒って言っている声が聞こえたので、海老は驚いて、「私は、世界で一番大きいと思ったから、大きさ比べをしようと思って旅をしていたんです。だけど、夕べ私があんたの左の顎の下に座っていて、今日は右顎の下に座っているなら、世界で一番大きいのはあんただ。」と言って、海老は逃げて行ってしまった。それを聞いたその大きな魚も旅に出た。そのころは、今よりも太平洋は大きかったが、その魚は太平洋を一日で廻ったが夜になると泊まるところが見つからない。「どうしようか、」と思って泊まるところを一生懸命探していたら、大海老が、「あんたが、一番世界で大きくて、海の中に泊まる場所がないのなら、陸に泊まる場所があるから海の中から飛び出して行ってみなさい。」と言うので、「そうか、海だけでなく、陸があるなら陸まで跳んでみよう。」と、ぽーんと飛び上がったら、小浜島の前の嘉弥間島(か や ま じま)に落ちた。すると嘉弥間島に住んでいる人達がその魚を見つけて、「ああ、こりゃあ大きな魚が落ちてる。包丁(ほうちょう)を持ってきて皆で食べようや。今日の夕飯には、金も出さずに魚が食える。」と言って村中の人が包丁を持ってきて料理してみんなで食べた。その魚は、非常に上等な栄養になる魚だから、その魚にはミーバヤーと名前を付けた。それで、この島の奥さん達は魚を買いに行ってミーバヤーがあると、「ミーバヤーやしが、ああ、くすいやびんどう〔薬だよう〕。」と非常に喜んでその魚は買って行くんです。ミーバイは八重山の沖でよく取れるから、私も若い時はよく取って食べましたよ。その後、嘉弥間島の年寄の方々は、「あまり自慢をするもんではない。自分が一番良いって自慢をしてつけあがったらひどい目にあうから、動物でも人間でも自慢はするな。」と言っていた。
| レコード番号 | 47O200143 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C009 |
| 決定題名 | 大鳥と海老とミーバイ(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 大山貞雄 |
| 話者名かな | おおやまさだお |
| 生年月日 | 19041107 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町字竹富 |
| 記録日 | 19750807 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字竹富T40A3 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 動物昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 鷲,海老 |
| 梗概(こうがい) | 昔、大鷲(おおわし)は、自分が大きいこと自慢して、「自分よりも大きい者は、他にはいないはずだ。どうだ、自分より大きい者がおるか、おらんか。」と大きいものを探してずっと太平洋を飛び廻って飛んでいるうちに日暮れになったので、「これはしまった。今日は止まるところがない。どうしようかなあ。」と見回していると、太平洋の真ん中に木の枝みたいなものが出ていたから、「こりゃあ、良かった。」と思ってそれに止まった。次の日もまた一日中海の上を飛んでいるうちに、日が落ちたので見回したが、その日も何一つつかまるものがない。「これはしまった。」と思っているとまた木の枝みたいなものがあったので、「これはやっぱり神様のお恵みだ。」と喜んでその木の枝に座っておったら、木の枝がものを言った。「お前は夕べ私の左の髭(ひげ)の先に止まり、今日は右の髭の先に止まっている。何をしていんだ。」と言うので、「ああ、私はこの世の中に一番大きい者は私だと思って飛んで来ましたが、あんた誰(だれ)ですか。」と聞いたら、「私は大海老(おおえ び)だ。」と言うから、大鷲は、「すみません。私は世界で一番の大物だと思っていたが、昨日止まったのがあなたの左の髭の先で、今止まっているのが右の髭の先なら世界で一番大きいのはあなたです。」と言った。大鷲にそう言われた海老は、「こんな鳥でさえ自分は世界で一番大きいと思って飛び廻って、俺の髭の先に止まっている。よし、今度は、俺も海を廻って世界で何が一番大きいか見て廻ろう。」と言って、海老はその日から大物比べの旅に出た。海老が旅に出て、太平洋を回っているうちに夜になったので泊まろうとしたら泊まるところがない。「大変だ。どうしようか。」と心配していたら、ちょうど大きな岩があった。「よおし、泊まる場所は見つかった。この岩で泊まろう。」とその岩の下に一晩座っていて、夜が明けるとまた出発して、一日中太平洋を廻ってうちに日が暮れた。「今日もまた泊まるところがないがどうしようか。」と心配していると、ちょうどまた夕べ止まったような岩があったから、「今日はこっちで泊まろう。」と泊まっていた。するとその岩がものを言った。「夕べ私の左の顎(あご)の下に座って、今日は右顎の下に座っているお前は一体何者か。」と怒って言っている声が聞こえたので、海老は驚いて、「私は、世界で一番大きいと思ったから、大きさ比べをしようと思って旅をしていたんです。だけど、夕べ私があんたの左の顎の下に座っていて、今日は右顎の下に座っているなら、世界で一番大きいのはあんただ。」と言って、海老は逃げて行ってしまった。それを聞いたその大きな魚も旅に出た。そのころは、今よりも太平洋は大きかったが、その魚は太平洋を一日で廻ったが夜になると泊まるところが見つからない。「どうしようか、」と思って泊まるところを一生懸命探していたら、大海老が、「あんたが、一番世界で大きくて、海の中に泊まる場所がないのなら、陸に泊まる場所があるから海の中から飛び出して行ってみなさい。」と言うので、「そうか、海だけでなく、陸があるなら陸まで跳んでみよう。」と、ぽーんと飛び上がったら、小浜島の前の嘉弥間島(か や ま じま)に落ちた。すると嘉弥間島に住んでいる人達がその魚を見つけて、「ああ、こりゃあ大きな魚が落ちてる。包丁(ほうちょう)を持ってきて皆で食べようや。今日の夕飯には、金も出さずに魚が食える。」と言って村中の人が包丁を持ってきて料理してみんなで食べた。その魚は、非常に上等な栄養になる魚だから、その魚にはミーバヤーと名前を付けた。それで、この島の奥さん達は魚を買いに行ってミーバヤーがあると、「ミーバヤーやしが、ああ、くすいやびんどう〔薬だよう〕。」と非常に喜んでその魚は買って行くんです。ミーバイは八重山の沖でよく取れるから、私も若い時はよく取って食べましたよ。その後、嘉弥間島の年寄の方々は、「あまり自慢をするもんではない。自分が一番良いって自慢をしてつけあがったらひどい目にあうから、動物でも人間でも自慢はするな。」と言っていた。 |
| 全体の記録時間数 | 3:41 |
| 物語の時間数 | 3:24 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |