歌う骸骨(方言)

概要

 あるところに一人の青年が若い女を騙して竹藪の中で、強姦しようとすると、この女が言うことをきかないで、とうとうこの男は女を竹藪で殺して帰ったそうです。それから、女を殺したことは、もう知らんふりをしておって、十二、三年も経って、またその辺に来ると、竹藪の中から歌を歌う声が聞こえるけれども、これ以上面白い歌とをまだ聞いたことがないほど、もうその歌がとっても面白い。「ほう、不思議なもんだ。どこでするんだ。」とあちらこちら、探しても、探されない。とうとうユンヌ下を覗いて見ると、下に人間の肋骨のがらがあって、その骨が歌を歌っている。「お前は、どうして歌を歌うのかな。」と思っていたら、「私はあなたに非常に儲けさせたい思っておる。あんたは、私のがらを持って行って儲けるようにしなさい。」とこのがらが言ったそうだ。この男は、儲けがしたいと思っておったら、このがらが、歌のあれこれを歌って聞かして、「こうしてあんたに沢山金を儲けさせように。」とがらが言うたもんだから、「ようし。」と思って、これを立派にもう風呂敷に包んで、いよいよこれを部落に持って行って、ある家に行くと、この骸骨のがらを出して、「はい、歌を歌いなさい。」らしい歌、これ以上面白い歌は聞いたことがない面白い歌が出たもんだから、隣近所の人は、「これはもう珍しい。ほんと珍しい。」と言って、もうお金はもうこの人の言う通りどんどん、歌の気前と言ってもうくれたわけ。
 これでこっちではあんな歌をやって沢山儲けて、またあちらこちらでも儲けて、「今度はこの家に入ってみよう。」と言って入るとそこの家はもう昔の大名の家であったはず。もう門といっても厳しく、ちゃんと裏には、うち鍵があるから、その鍵を外してもらって入って行ってみたら、ずっと家の構え方も、もう立派な構え方をして、もう恐ろしい家だけれども、「ああ、私はかなばいを持って、儲けて歩きますがいかがですか。」と言うと、「かなばいを持ってどうして金が儲けられるか。」と大名の屋敷の殿様が言ったら、「このかなばいが、聞いたことのない歌、珍しい声の歌と、とっても面白い歌を歌うから、これを持って自分は儲けて歩くんです。殿様もどうですか、お聞きになされますか。」と言ったら、殿様はもう厳しいからね、「何、どうして死んだ人のがらが言葉を言うか。歌を歌うか。それじゃ、もうもしや、これが、歌を歌わない、言葉も言わない場合は、お前はすぐ首取りだよ。」と言って約束したから、骸骨をテーブルに上に飾って置くと、ちゃんと首を切る刀も上がって、「はい。」と歌わせたらもう何も歌わんと。こっちにころぼしても歌わない。ここに向かわせても歌わない。「そうだろ、お前。人が死んで肋骨はもうがらがらになっておる。がらが歌を歌うか。言葉言うか。こんなことで私を騙して、お前はなんと思っているか。約束通り首取りだ。」ととうとうこの人の首を刀で切り落とした。
 そしたら、このがらは、骸骨は、「ああ、良かった。この人は、十二、三年前に竹薮で私を強姦しようとした時に、自分の思い通り強姦が出来なかったもんだから、私をそこの竹薮で、殺してそのまま帰って行った。年が経っても、どうしても自分は、こんな強姦されて、この身になっておるから、ぜひとも敵を討たなければならんと思っていたら、一二、三年も経った今日、幸いに敵を討つことができた。歌は歌えんもんでもない。歌も歌える。言葉も言えるんだけど、敵を取らんがためにじいっとしておった。」と。この肋骨が言うたから、殿様は、「ああ、本当であったなあ。おお、人間はこんなことしたなら、後からその因果報がやってきて、こんなになるんだな。骨になっても仇を返すことはあるんだなあ。」と言ったと。終わり。

再生時間:5:13

民話詳細DATA

レコード番号 47O200010
CD番号 47O20C001
決定題名 歌う骸骨(方言)
話者がつけた題名 カナバイの話
話者名 石川亀美屋
話者名かな いしかわかみや
生年月日 18970325
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
記録日 19760805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T31B01
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 沖国大国文学科平成8年度卒業論文 竹富島の民話 p88
キーワード 歌,骸骨,敵討ち
梗概(こうがい)  あるところに一人の青年が若い女を騙して竹藪の中で、強姦しようとすると、この女が言うことをきかないで、とうとうこの男は女を竹藪で殺して帰ったそうです。それから、女を殺したことは、もう知らんふりをしておって、十二、三年も経って、またその辺に来ると、竹藪の中から歌を歌う声が聞こえるけれども、これ以上面白い歌とをまだ聞いたことがないほど、もうその歌がとっても面白い。「ほう、不思議なもんだ。どこでするんだ。」とあちらこちら、探しても、探されない。とうとうユンヌ下を覗いて見ると、下に人間の肋骨のがらがあって、その骨が歌を歌っている。「お前は、どうして歌を歌うのかな。」と思っていたら、「私はあなたに非常に儲けさせたい思っておる。あんたは、私のがらを持って行って儲けるようにしなさい。」とこのがらが言ったそうだ。この男は、儲けがしたいと思っておったら、このがらが、歌のあれこれを歌って聞かして、「こうしてあんたに沢山金を儲けさせように。」とがらが言うたもんだから、「ようし。」と思って、これを立派にもう風呂敷に包んで、いよいよこれを部落に持って行って、ある家に行くと、この骸骨のがらを出して、「はい、歌を歌いなさい。」らしい歌、これ以上面白い歌は聞いたことがない面白い歌が出たもんだから、隣近所の人は、「これはもう珍しい。ほんと珍しい。」と言って、もうお金はもうこの人の言う通りどんどん、歌の気前と言ってもうくれたわけ。  これでこっちではあんな歌をやって沢山儲けて、またあちらこちらでも儲けて、「今度はこの家に入ってみよう。」と言って入るとそこの家はもう昔の大名の家であったはず。もう門といっても厳しく、ちゃんと裏には、うち鍵があるから、その鍵を外してもらって入って行ってみたら、ずっと家の構え方も、もう立派な構え方をして、もう恐ろしい家だけれども、「ああ、私はかなばいを持って、儲けて歩きますがいかがですか。」と言うと、「かなばいを持ってどうして金が儲けられるか。」と大名の屋敷の殿様が言ったら、「このかなばいが、聞いたことのない歌、珍しい声の歌と、とっても面白い歌を歌うから、これを持って自分は儲けて歩くんです。殿様もどうですか、お聞きになされますか。」と言ったら、殿様はもう厳しいからね、「何、どうして死んだ人のがらが言葉を言うか。歌を歌うか。それじゃ、もうもしや、これが、歌を歌わない、言葉も言わない場合は、お前はすぐ首取りだよ。」と言って約束したから、骸骨をテーブルに上に飾って置くと、ちゃんと首を切る刀も上がって、「はい。」と歌わせたらもう何も歌わんと。こっちにころぼしても歌わない。ここに向かわせても歌わない。「そうだろ、お前。人が死んで肋骨はもうがらがらになっておる。がらが歌を歌うか。言葉言うか。こんなことで私を騙して、お前はなんと思っているか。約束通り首取りだ。」ととうとうこの人の首を刀で切り落とした。  そしたら、このがらは、骸骨は、「ああ、良かった。この人は、十二、三年前に竹薮で私を強姦しようとした時に、自分の思い通り強姦が出来なかったもんだから、私をそこの竹薮で、殺してそのまま帰って行った。年が経っても、どうしても自分は、こんな強姦されて、この身になっておるから、ぜひとも敵を討たなければならんと思っていたら、一二、三年も経った今日、幸いに敵を討つことができた。歌は歌えんもんでもない。歌も歌える。言葉も言えるんだけど、敵を取らんがためにじいっとしておった。」と。この肋骨が言うたから、殿様は、「ああ、本当であったなあ。おお、人間はこんなことしたなら、後からその因果報がやってきて、こんなになるんだな。骨になっても仇を返すことはあるんだなあ。」と言ったと。終わり。
全体の記録時間数 5:31
物語の時間数 5:13
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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