猿の生肝(方言)

概要

 昔お魚の王様が、非常に病気になって、命にもかかわる病気なんで、「これはどうしたらいいんでしょう。」と協議の結果、「それじゃ、ミーバイという魚は占い師だから、あの魚に行って占いしてもらったらどうか。」という協議の下に、このミーバイという魚のところに行って、「こうこうで魚の王様が病気で、もう命にもかかっているけれども、何か祟りがあるんじゃないか。あんたに占いしてもらわない限りは、この魚の王様の病気は治りそうもないので、ぜひあなたに占いしてもらいに来ていますけれども、一つ占いしてくれないか。」と、いうことで、「それじゃ、まず見てみましょう。」ということで、このミーバイという魚は、占いしてみたといころが、「あはあ、これは猿の肝が薬だね。これはお猿の肝を取ってきてあげない限りはこの病気は治りません。」ということで、「それじゃあ、早速申し上げましょう。」と言うて、こういうふうに申し上げたところ、「それじゃこの猿を連れに行くのには、誰がその行くか。魚は陸にも上がれない。どうしようか。」と考えている時に、一人が、「ああ、亀さんは海も歩くし、陸にも上る。」ということで、「そうそう、それじゃ亀を連れてこい。」ということで、「誰が早いか。」と。今度は、「フカが早い。」今度はフカを連れてきて、「あい、二人は行って猿のところに行って、猿の肝を取って来い。しかし、これ取ってこいと言っても、猿は殺そうとしてもこれは殺されない。これは何とか知恵を絞って、猿をこっちに連れてこない限りは、これは殺すことは出来ない。よし、それじゃ君らに任す。君らの知恵を持って、この猿をここまで誘って連れてくるように。」と命じられたわけ。
 それで、フカと亀は猿の住む島に行って、「はい、亀さん。あんたは陸にも上がれるから行って、お猿を何とかして誘い出して連れてきてくれ。」ということで、亀さんは陸に上がった。幸いにそこに上がると同時に、山の麓に柿の木の上で、猿はもう一生懸命に柿の実を取っていたから、「お猿さん。一つあなたにお願いがあって来ましたけれども、なんとかお願いになれないでしょうか。」と聞いたところが、「何のことですか。亀さん。」「実はですね、龍宮の王様の魚が、ぜひあなたを御用だと。ことであなたを連れて来てくれないかということで、参りましたけど。行ってくれませんか。」と。「私、泳ぎも出来ないのにどうして。」「いや、これは、王様の命令で招待するのだからとってもいいことがありますよ。」「そうか。これはいいことがあったら行こうよ。それじゃ、私は泳げないから、どういうふうにして行くんだ。」と言うよって、「いや、これは準備してありますよ。」「どういうふうにですか。」って言ったら、「フカが早いもんだから、フカを連れて来た。あんたはフカの背中に乗ればすぐ、一目散でもう行って、王様のところに迷わず行きますよ。」「そうですか。ぜひ行きましょう。」と言うて海に行ったら、フカはが待っていた。「さあ、私の背中に乗って下さい。お猿さん。」と言って、猿がフカの背中に乗にと同時にもう一目散に走って行ったら、ちょうど半分途中で、蛸が上にぽんと浮き上がって来て、猿に言うのは、「お猿さん、可哀相ですね。」とこう言う。「どうして。」「龍宮の魚の王様が病気で、君の肝が薬だから、君は向こうに行けばすぐに殺される。可哀相だね。」と蛸がこういうふうに話したんです。ところが猿は知恵があるもんだから、「ああ、そうかそれなら、私はその肝は私の肝はこの向こうの木の上にぶらさげて置いて忘れてきたんだよ。おい、フカさん、戻しいよ。あれ取ってから行こうよ。あの肝を持って行かなきゃ、何もならないじゃないか、それ早く、戻せ、戻せ。」ということで、フカはいよいよこの猿の知恵に負けて戻って行った。そして、陸(おか)に下ろした。さあ、猿は喜んで、「よくうまく騙された。命拾いをしたよ。」と言って、猿は逃げちゃった。さあ、フカは待っても待っても猿は来ない。「これはもうしもった。逃げられちゃった。」と言うことで、龍宮に戻って来て、「猿は、この自分の自分は向こうにぶらさげているから、あれ取って取ってぜひ持っていかんとならん。ということで、戻したところが逃げちゃって、もう来ない。」と報告を申し上げたところが、「それじゃ、誰がこういう悪いこと言うたか。」と。「蛸が言うた。」言うたもんだから、「これは来るもんか。それでは蛸連れて来い。」ということで蛸を連れて来た。もうあんまりもうしゃくになるから、もう蛸を連れてきて、大きな臼に入れてもう槌でもう叩いたら、昔はこの蛸にも骨があったそうですが、蛸は叩かれて、みんな骨が飛び出たもんだから、このアバサーという魚は、「これはもったいない。」と言ってみんな、みんなその骨をもらって、それからあのアバサーという魚は、骨がもう体中に針のように生え、蛸は骨がなくなった。それで、フカはまた、蛸に、「お前なんかこんなこんなこと言うからさ。」もう頭からも押さえつけられたから、フカの頭の上が平らになったという。こういうお伽話をお爺ちゃんから聞かされております。
・ミーバイ‥‥スズキ目ハタ科に属する魚類の方言名。沖縄近海で約五○種程いる。高級食用魚、惣菜用として、沖縄の人に親しまれている魚である。・アバサー‥‥魚の名。針千本のこと。

再生時間:5:51

民話詳細DATA

レコード番号 47O200005
CD番号 47O20C001
決定題名 猿の生肝(方言)
話者がつけた題名
話者名 東盛弘介
話者名かな あいもりこうすけ
生年月日 19010730
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
記録日 19760804
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T31A03
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 動物昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 沖国大国文学科平成8年度卒業論文 竹富島の民話 p106
キーワード 猿,生肝,ミーバイ,亀,鱶,蛸,アバサー
梗概(こうがい)  昔お魚の王様が、非常に病気になって、命にもかかわる病気なんで、「これはどうしたらいいんでしょう。」と協議の結果、「それじゃ、ミーバイという魚は占い師だから、あの魚に行って占いしてもらったらどうか。」という協議の下に、このミーバイという魚のところに行って、「こうこうで魚の王様が病気で、もう命にもかかっているけれども、何か祟りがあるんじゃないか。あんたに占いしてもらわない限りは、この魚の王様の病気は治りそうもないので、ぜひあなたに占いしてもらいに来ていますけれども、一つ占いしてくれないか。」と、いうことで、「それじゃ、まず見てみましょう。」ということで、このミーバイという魚は、占いしてみたといころが、「あはあ、これは猿の肝が薬だね。これはお猿の肝を取ってきてあげない限りはこの病気は治りません。」ということで、「それじゃあ、早速申し上げましょう。」と言うて、こういうふうに申し上げたところ、「それじゃこの猿を連れに行くのには、誰がその行くか。魚は陸にも上がれない。どうしようか。」と考えている時に、一人が、「ああ、亀さんは海も歩くし、陸にも上る。」ということで、「そうそう、それじゃ亀を連れてこい。」ということで、「誰が早いか。」と。今度は、「フカが早い。」今度はフカを連れてきて、「あい、二人は行って猿のところに行って、猿の肝を取って来い。しかし、これ取ってこいと言っても、猿は殺そうとしてもこれは殺されない。これは何とか知恵を絞って、猿をこっちに連れてこない限りは、これは殺すことは出来ない。よし、それじゃ君らに任す。君らの知恵を持って、この猿をここまで誘って連れてくるように。」と命じられたわけ。  それで、フカと亀は猿の住む島に行って、「はい、亀さん。あんたは陸にも上がれるから行って、お猿を何とかして誘い出して連れてきてくれ。」ということで、亀さんは陸に上がった。幸いにそこに上がると同時に、山の麓に柿の木の上で、猿はもう一生懸命に柿の実を取っていたから、「お猿さん。一つあなたにお願いがあって来ましたけれども、なんとかお願いになれないでしょうか。」と聞いたところが、「何のことですか。亀さん。」「実はですね、龍宮の王様の魚が、ぜひあなたを御用だと。ことであなたを連れて来てくれないかということで、参りましたけど。行ってくれませんか。」と。「私、泳ぎも出来ないのにどうして。」「いや、これは、王様の命令で招待するのだからとってもいいことがありますよ。」「そうか。これはいいことがあったら行こうよ。それじゃ、私は泳げないから、どういうふうにして行くんだ。」と言うよって、「いや、これは準備してありますよ。」「どういうふうにですか。」って言ったら、「フカが早いもんだから、フカを連れて来た。あんたはフカの背中に乗ればすぐ、一目散でもう行って、王様のところに迷わず行きますよ。」「そうですか。ぜひ行きましょう。」と言うて海に行ったら、フカはが待っていた。「さあ、私の背中に乗って下さい。お猿さん。」と言って、猿がフカの背中に乗にと同時にもう一目散に走って行ったら、ちょうど半分途中で、蛸が上にぽんと浮き上がって来て、猿に言うのは、「お猿さん、可哀相ですね。」とこう言う。「どうして。」「龍宮の魚の王様が病気で、君の肝が薬だから、君は向こうに行けばすぐに殺される。可哀相だね。」と蛸がこういうふうに話したんです。ところが猿は知恵があるもんだから、「ああ、そうかそれなら、私はその肝は私の肝はこの向こうの木の上にぶらさげて置いて忘れてきたんだよ。おい、フカさん、戻しいよ。あれ取ってから行こうよ。あの肝を持って行かなきゃ、何もならないじゃないか、それ早く、戻せ、戻せ。」ということで、フカはいよいよこの猿の知恵に負けて戻って行った。そして、陸(おか)に下ろした。さあ、猿は喜んで、「よくうまく騙された。命拾いをしたよ。」と言って、猿は逃げちゃった。さあ、フカは待っても待っても猿は来ない。「これはもうしもった。逃げられちゃった。」と言うことで、龍宮に戻って来て、「猿は、この自分の自分は向こうにぶらさげているから、あれ取って取ってぜひ持っていかんとならん。ということで、戻したところが逃げちゃって、もう来ない。」と報告を申し上げたところが、「それじゃ、誰がこういう悪いこと言うたか。」と。「蛸が言うた。」言うたもんだから、「これは来るもんか。それでは蛸連れて来い。」ということで蛸を連れて来た。もうあんまりもうしゃくになるから、もう蛸を連れてきて、大きな臼に入れてもう槌でもう叩いたら、昔はこの蛸にも骨があったそうですが、蛸は叩かれて、みんな骨が飛び出たもんだから、このアバサーという魚は、「これはもったいない。」と言ってみんな、みんなその骨をもらって、それからあのアバサーという魚は、骨がもう体中に針のように生え、蛸は骨がなくなった。それで、フカはまた、蛸に、「お前なんかこんなこんなこと言うからさ。」もう頭からも押さえつけられたから、フカの頭の上が平らになったという。こういうお伽話をお爺ちゃんから聞かされております。 ・ミーバイ‥‥スズキ目ハタ科に属する魚類の方言名。沖縄近海で約五○種程いる。高級食用魚、惣菜用として、沖縄の人に親しまれている魚である。・アバサー‥‥魚の名。針千本のこと。
全体の記録時間数 6:19
物語の時間数 5:51
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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