まかん道ぬ逆立幽霊(方言)

概要

〔方言原話〕 逆立幽霊(さかだちゆーりー)ぬ話(はな)しい。くれえー昔(んかし)、那覇(なーふぁ)んかい、じこー武勇ん学問(がくむぬ)ん、すぐりとぉーる青年(にーせー)ぬ二人(たい)うたんでぃしが、二人(たい)友達(どぅし)なてぃさくとぅ、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)や、若さる女(いなぐ)とぅ仲ゆたしくなやーに夫婦(みーとぅんだ)なてぃそうしが、うぬ後(あとぅ)、うぬ妻(とぅぜー)病気(やんめー)かかてぃ後(あとぉー)とぉーりてぃ、くぬゆううしなたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、なー妻(とぅじ)んうらんなとぉーるむんぬんち、また、なー一人(ちゅい)ぬ若女(わかいなぐ)とぅ仲ゆたしくなてぃさくとぅ、うぬ、死亡(けーま)ち、後生(ぐそー)んかいんぢょる妻(とぅじ)ぬ嫉妬(にーたさ)し、時々(とぅちどぅち)なーや、んぢてぃうまんかいちぇーしいちぇーしいさくとぅ、うん後(あとぅ)から仲ゆたしくなとぉーる若女(わかいなごー)うとぅるさし、うまんかえーくーんなたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、くれえーくぬまませえーならんでぃうむやーなかい、五寸釘(ぐっしんくじ)むっちんぢゃーに、墓ぬ眉んかい打ちゅんでぃちさくとぅ、丁度(ちょーどぅ)真ん中んかえー打たらん、片側(かたはら)んかいゆして打っちゃくとぅ、丁度(ちょーどぅ)中(なーか)んかいいっちょーる女(いなぐ)ぬ足(ふぃさ)んかい当たいる所(とぅくる)んかいうぬ釘(くじぇー)打っちゃくとぅ。うぬ後(あとぅ)からー、まかん道ぬうぬ墓んかい、墓ぬ眉んかい足(ふぃさ)打っちきらっとぉーる、逆立幽霊(さかだちゆーりー)ぬ立っちゅんどぉーしぬ噂(うとぅ)ぬんぢてぃさくとぅ、くれえーぢゃーふぇーなとぉーっさーんでぃうむてぃそうしが、人達(ちゅぬちゃー)や皆(んな)うとぅるさし、うまからあっかんなとぉーしが、なー一人(ちゅい)ぬ友(どぅし)ぬ、うぬ事情(くとぅ)わかてぃさくとぅ、「くれえーちゃーがなさんあれえーならん。」でぃうむやーに、うぬ女(いなぐ)ん私(わん)ねえー顔(ちらー)知っちょーい、んぢ話(はな)しいしいるんせえーちちとぅらせーさにんでぃち、かんげえやーに、うぬ青年(にーせー)ん、武勇ん達者やい、学問(がくむぬ)んすぐりてぃ、二人(たい)同等(るーぬあたい)ぬでぃきやーやくとぅ、うりがんぢんーちゃくとぅ、んちゃ、言ゅんねえーすんねえー足(ふぃさ)上(うぃ)なち、釘(くじ)し打ちとぅみらってぃ逆立ちし、真っ白(まっしーら)しさがてぃさくとぅ、うぬ青年(にーせー)が、「いぇー君(やー)やなー、うんぐとぅし世間(しきん)騒がち、あんせーならのーあらに。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ、「私(わー)が世間(しきん)騒がちょーるばーやあいびらん。むんにげーすんでぃすしが、てぃーちんたーんちちぇーくぃみそうらんぬる、くんぐとぅし現りてぃちょーいびいる。」んでぃち話(はな)しいさくとぅ、「えーあんどぅやんなー。あんし、うぬむんだぬみんでぃ言ゅせえーぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ、「じちぇーなー私(わん)ねえー残念(ざんにん)。くぬゆんかいち、後生(ぐそー)ぬゆるなてぃうしが、後(あとぅ)からちょーる女(いなぐ)ぬ子(くゎ)なち、今日(ちゅー)や川(かー)うりそうんやしが、あまんかい行かんでぃせー、家(やー)ぬ入口(いりぐちー)から裏座ぬ入口(いりぐちー)んかい、魔除札(ふーふだ)ぬ張らってぃ、また、産婦(わかじーら)ぬうる所(とぅくま)、ふぃざいんなぬ張らっとぉーくとぅ、いっちぇー行からん。私(わー)が世間(しきん)ぬ目(みー)やうすてぃうさぎいくとぅ、貴方(うんじょー)、私(わー)たぬみちちくぃみそうらんがやー。」んでぃち話(はな)しいさくとぅ、青年(にーせー)や、「いぃーなー、元(むとぉー)君(やー)夫(うとぅ)やたしん三人一緒(みっちゃいまじゅん)、酒(さき)ぬだい、御馳走(くゎっちー)んかでぃるうくとぅ、私(わー)がないるぶのー、君(やー)事(くとぅ)んすしが、やしが、くりが世間(しきん)ぬんかい知りーねえー、私(わん)にんいちちぇーうららんどぉーやー。」んでぃ言ちゃくとぅ、女(いなぐ)ぬ、「うんなくとぉーしみやびらん。世間(しきん)ぬ目(みー)や、私(わー)がうすてぃうさぎやびーん。」でぃちさくとぅ、「えーあんすみ。あんせーちゃーすが。」んちゃくとぅ、「入口(いりぐちー)んかいめんそーらわー、貴方(うんじゅ)が草履(さば)ぬじみせーねえー、外(ふか)んかいんかてぃぬじみそうりよう。他(ふか)ぬ人達(ちゅぬちゃー)草履(さばー)内(うち)んかいんかとぉーるままぬじ、草履(さば)ぬじしうぬまま家(やー)んかいあがてぃ行ちゃびーしが、貴方(うんじょう)外(ふか)んかいんてぃ草履(さばー)ぬじみそうやーなかい、内(うち)んかいいみせーる時(ばー)ねえー、ふいまーいみせえーくとぅ、うぬふいまーいる時(ばー)に、魔除札(ふーふだ)一枚(いちめー)はじくぃみそうり。貴方(うんじゅ)がふいまーいみせーねえー、皆(んな)、めんせえーびてぃー。んち、ぐりーしみそうらすくとぅ。また、裏座んかいや、私(わん)ねえー妻(とぅぜー)うしが、なーだ玉黄金(たまくがに)なしぐゎーやさじからんくとぅ、君達(いったー)、今日(ちゅー)生まりとぉーる子供(わらばー)、一度(ちゅけー)のー私(わん)にんかい抱かちくぃらんがやー。んち夫(うとぅ)んかいにがてぃんーじみそうり。うれえー貴方達(うんじゅなー)や、親友(くびちりどぅし)やくとぅ、反対(んーぱー)しみそうらんはじどぉー。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、「えーあんやみ。なるふどぅんちゃ。君(やー)がういにから、私達(わったー)や夫婦(みーとぅんだ)なとぉーしが、玉黄金(たまくがに)なしぐゎーやさじからんくとぅ、うりんいーかんげやん。」でぃ言ちさくとぅ、女(いなぐ)ぬ、「あんし、貴方(うんじゅ)が裏座んかい、うすでぃいみせーねえー、あぬふぃざいんなぬ下(しちゃ)んかいさがやーに、うんちょーびんかいさわいびいくとぅ、側(すば)んかいうる人(ちゅ)ぬ、くれえ無礼(ぶりー)ないびてぃ。んち、うぬふぃざいんな入口(いりぐちー)ぬとぅくま、はんちうさぎいびくとぅ、貴方(うんじょー)髪(からじ)のーしなざきーし、うまぬ魔除札(ふーふだ)一枚(いちめー)はじくぃみそうり。」んでぃ言ちゃくとぅ、「えーあんやみ。いいー、うりんゆたさしが、やしがやー、うまうてぃ子供(ぼーじゃー)命(ぬち)とぅいねえー、くれえーぢゃーふぇーやるむんなー。」んでぃ言ちゃくとぅ、女(いなごー)、「あねえーあいびらん。私(わん)ねえーいやーなかい、子供(ぼーじゃー)ぬ命(ぬちぇー)とぅってぃん、子供(ぼーじゃー)ねえーぬーぬ罪(ちみ)んねーびらんやくとぅ、子供(ぼーじゃー)やうまぬ子供(ぼーじゃー)んち、満産(まんさん)すーじんしみてぃ、立派にうふぃるみんかきらちからる、そーいびーる。貴方(うんじゅ)んかい迷惑(みーわこー)かきやびらん。」ち話(はな)しいさくとぅ、「あんやれえーしむん。うれえー君(やー)がぬずみやれえー、あんしとぅらすくとぅ、とぉー今(なま)からーうんぐとぅせえーならんどぉーやー。」んでぃ言ゃーなかい、五寸釘(ぐっすんくぜー)ふぃちぬぢぃ、墓ぬ上(うぃ)んかいうちきてぃさーに、「今(なま)から世間(しきん)騒がちぇーならんどぉーやー。」んでぃち話(はな)しいさくとぅ、うぬ女(いなごー)、足(ふぃさ)打ちとぅみらっとぉーる釘(くじ)とぅったくとぅ、うまからうりてぃ、墓ぬ中んかいいやーに、ぐりーし、「満産(まんさん)すーじぬうわらわー、かんなじ一度(ちゅけえん)うがまってぃくぃみそうり。」んでぃち、話(はな)しいさくとぅ、青年(にーせー)や、「君(やー)や、またんいちゃいるばーなー。」んちゃくとぅ、女(いなごー)、「なー私(わん)ねえーくまからんぢびらん、んぢてぃん、世間(しきん)ぬ目(みー)ねえーかがないびらんしが、貴方(うんじゅ)んかい、ぐりーじうなきやびいん。」でぃ言ちゃくとぅ、「あんやみ。」んでぃ言ち、うぬ青年(にーせー)や、釘(くじぇー)墓ぬ眉ぬ上(うぃ)んかいうちぇーるまま、友(どぅし)ぬ川(かー)うりすーじかい行ちゃがちぃーなーるやくとぅ、友(どぅし)ぬ家(やー)んかい行ちゃーに、家(やー)ぬ入口(いりぐちー)うてぃ、「子供(ぼーじゃー)ん生まりとぉーんでぃさやー。玉黄金(たまくがに)なしぐゎーぬさじかとぉーんでぃる言いねえーさに。」んち話(はな)しいさくとぅ、うぬ友(どぅせー)、じこーうっさし、「とぉーとぉーいれえー。」んちさくとぅ、「いいー。」んでぃ言ゃーに、言ゃっかるぐとぅ、くさーんけーし草履(さばー)ぬぢゃーに、ふいまーいねえー、うまんかい、主人(ぬーし)んうい、友達(どぅしぬちゃー)んういるすくとぅ、「あーめんせえーびてぃー。」んち、ぐりーさーなかい、友(どぅせー)、自分(どぅー)ぬ座(ぢゃー)んかいむどぅいんでぃ、くさーんけーそうい、皆(んなー)頭(ちぶる)さぎとぉーくとぅ、うぬ時(ばー)に、入口(いりぐちー)ぬ魔除札(ふーふだ)一枚(いちめー)とぅやーに、袂(たむとぅ)んかいってぃさーに、あんし酒(さき)んぬでぃ、御馳走(くゎっちー)んかまがちーなー、うびんぢゃちょーねえーし、「私達(わったーん)ふぇーくなー、玉黄金(たまくがに)なしぐゎーさじかりわるやしが。」んち、話(はな)しいさーなかい、友(どぅし)んかい、「とぉーいぇー、あぬー今日(ちゅー)生まりとぉーる子供(ぼーじゃー)、一回(ちゅけえー)のー、私(わん)にんかい、抱かちくぃらさんがやー。」んでぃち、話(はな)しいさくとぅ、うぬ友(どぅせー)、「あー、ぬーがしみるする。んちゃ、君(やー)や、私達(わったー)やか先(さち)る結婚(にーびち)そうくとぅ、じこーふさるはじやくとぅ、しむさしむさ。とぉー妻(とぅぜー)あまぬ座(ぢゃー)んかいうしが、ありが側(すば)んかいにんしてぇーくとぅ、よんなーよんなー泣けえーさんぐとぅ抱きよう。」んち話(はな)しいさくとぅ、ちょーる友(どぅせー)、「なー君(やー)や今日(ちゅ)から親(うや)なとぉーい。私(わん)ねえーなーま、親(うや)ぬ名(なー)や立っちぇーねえーらんくとぅ、敬語(うーふー)さーや。」んでぃ言ちゃくとぅ、「あーあ、うれえー、あんせえーならん。友(どぅせー)友(どぅし)やる。君(やー)んかい敬語(うーふー)さりーねえー、私(わん)ねえーちゃーすが。たげーに友(どぅし)るやっさみ。ちゃーんねえーんさ。」んち笑たくとぅ、「あーとぉーあんせー私(わん)ねえー、うぬ子供(ぼーじゃー)一回(ちゅけー)のー抱ちくーいー。」んでぃ言ゃーに、裏座ぬ入口(いりぐちー)んかいんぢゃくとぅ、言ゅんねえーすんねえー、ふぃざいんなぬ下(しちゃ)んかいさがてぃさくとぅ、だーうれーならーさってぃるうくとぅ、「くまんかいやいびいん。」ち、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)が先(さち)んかいなてぃ、案内(あんねえー)さくとぅ、うぬ友(どぅせー)、頭(ちぶる)さぎてぃいーんちさくとぅ、うんちょーびんかい、さがとぉーるふぃざいんなぬ先(さち)ぬ当たてぃさくとぅ、「くれえー無礼(ぶりー)ないびてぃ。」んち、昔(んかせー)、武士(さむれえー)ぬ頭(ちぶる)んかいさーいせー、じこー無礼(ぶりー)な仕打ちやくとぅ、「いふぃぐゎーうまちになてぃくぃみそうり。」んでぃ言ゃーなかい、案内(あんねー)さる青年(にーせー)が、入口(いりぐちー)ぬ部分(とぅくる)はんちむっちさくとぅ、「にふぇーどぉー。」んでぃち、頭(ちぶる)さぎたくとぅ、ふぃざいんなはんちぇーる青年(にーせー)や、むっちぇーたたらんくとぅ、側(すば)ぬ柱(はーや)んかい、くんじちきーんでぃ。うまるんーちょー、反対ぬ柱(はーや)んかい張てぇーる魔除札(ふーふだ)、髪(からじ)のーすんねーびーし、はじゅせーんーだん、皆(んな)ん、みーやうすらってぃるうくとぅ。中んかい行ちゃーに、妻(とぅじ)ぬ前(めー)うてぃ、「貴方(やー)やなー、あんし立派に、玉黄金(たまくがに)なしぐゎー、なーんぢゃちとぅらち、貴方(やー)やなー、じこー立派な女(いなぐ)やさ。とぉーあんしどぉー。女(いなぐ)んでぃせえー、玉黄金(たまくがに)なしぐゎーなしんぢゃさわる本当(ふんとぉ)ぬ女(いなぐ)どぉー。」んちさーなかい、あんし、うぬ子供(わらばー)一回(ちゅけーん)抱ちゃーなかい、下(しちゃ)んかいうるち、座(ぢゃー)からんぢてぃ、また元(むとぅ)ぬ座(ざー)うてぃ、色々話(はな)しいさーなかい、後(あとぅ)から、「なー、いー時刻(じぶん)なとぉーい。私(わん)ねえーあやかーてぇーるむんけーらい。」んちさーに、「また満産(まんさん)にちゅーさ。」んでぃちけーてぃ後(あとぅ)、今度(くんどぉー)満産(まんさん)なてぃ、満産(まんさん)からぬむどぅやー、うぬ墓ぬ前(めー)とぅーたくとぅ、あぬ女(いなぐ)ぬゆびとぅみてぃ、うぬ女(いなぐ)ぬ、「私(わん)ねえー、貴方(うんじゅ)んかいうんじさわるやくとぅ。」んでぃちさくとぅ、「ぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、「私(わー)墓ぬ側(すば)んかい洞窟(がま)ぬあしが、中(なーか)んかい水(みじ)ぬ溜まとぉーしが、うまんかい鯉魚(くーいゆ)ぬ四匹(ゆーち)いっちょーびいくとぅ、うりむっちんぢ、貴方達(うんじゅなー)池(くむい)んかいちかてぃくぃみそうり。かんなぢいーくとぅぬあいびいくとぅ。」んちさくとぅ、「えーあんやみ。にふぇーどぉー。」んちさーに、むっちんぢちかなたくとぅ、一匹(てぃちぇー)死ぢょーしが、ぬくいぬ三匹(みーちぇー)うぬままふどぅうぃーてぃさくとぅ、うぬ家庭(ちねー)や、次第(しでぇー)に繁盛(さけー)てぃ、学問(がくむぬ)んじこー優りてぃ、うぬ青年(にーせー)や、親方(うぇーかた)びぬ位(くれー)んかいちち、また、うぬ子孫(くゎんまが)までぇー親方(うぇーかた)びぬ位(くれー)んかいちちょーしが、だー後(あとぉ)ぬ鯉魚(くーいゆ)ぬ、一匹(てぃちぇー)死ぢょーくとぅ、うぬ後(あとぅ)ぬ子(くゎー)、黄冠(ちーはちまち)いーる、まぎさる仕事(しぐとぉー)そうしが、親方(うぇーかた)びぬ位(くれー)ぬ前(めー)うてぃとぅまてぃ、親方(うぇーかた)びまでぇーなゆうさんたんでぃ。くれえー、私(わー)親(うや)ぬ友達(どぅしぬちゃー)があちまてぃぬ話(はな)しいやしが。また、別(びち)ぬ逆立幽霊(さかだちゆーりー)ぬ話(はな)しいや。青年達(にーせーたー)二人(たい)ぬ話(はな)しいや、いーぬむんやしが、はじみ、妻(とぅじ)そうたる女(いなぐ)ぬ、じこー美人(ちゅらかーぎー)なてぃ、友達(どぅしぬちゃー)皆(んな)んかい、うれーまさ、嫉妬(にーたさ)さったくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、辻(ちーぢ)ぬ女郎(じゅり)ぬ所(とぅくま)んかいかゆてぃさくとぅ、うぬ妻(とぅぜー)、「私(わー)がちゅらさんでぃち、夫(うとぅ)ぬ立場ぬ悪くなてぃ、辻(ちーぢ)んかい行ちゅらー。」んでぃ言ゃーなかい、剃刀(かんすい)さーに、自分(どぅー)ぬ鼻先(はなざち)うしちっちゃくとぅ、うぬ妻(とぅぜー)じこーぬやなかーぎーなたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や女郎(じゅり)とぅ一緒(まじゅん)なてぃ、うぬ妻(とぅじ)ちるくるち、墓んかいいってぃ、女郎(じゅり)妻(とぅじ)さくとぅ、先妻(さちとぅぜー)幽霊(ゆーりー)なてぃ、夫(うとぉー)まやーさってぃ、妻(とぅじ)ぬ幽霊(ゆーりー)んでぃうむてぃ、女郎(じゅり)ちりくるちゃんでぃ。あんすくとぅ、逆立幽霊(さかだちゆーりー)んでぃん言ゅしが、幽霊(ゆーりー)ぬ仇討ちんでぃん言ゅん。〔共通語訳〕 逆立幽霊の話。これは、昔那覇に、大変武勇も達者で学問も優れた青年が二人いて、二人はとても仲の良い親友だったのです。そしてその一人は、若くて美しい娘と仲良くなって、その後二人は結婚して夫婦になったのですが、その後 妻は病に倒れて亡くなってしまったのです。するとその青年は、妻が亡くなったので寂しくなり、また別の美しい若い娘と仲良くなりましたので、先に夫婦になっていた妻は亡くなって後生にいっているのですが、その娘に嫉妬して、時々そこに現れる様になったので、その後から仲良くなった若い娘は、怖がってもうそこには来なくなりましたので、その青年は、これはこのままではいけないと思って、五寸釘を持っていき、墓の眉に打ち込もうとしますと、丁度中心には打てず、片側に寄せて打ちますと、丁度中に入っている女の足に当たる所に、その釘を打ち込んだのです。するとその後から、「まかん道」のその墓には、墓の眉に足を打ちつけられた逆立幽霊が出るという噂が広まったので、これは困った事になってしまったと思っているのですが、人々は皆怖がって、そこを通らなくなったのです。するともう一人の友人がその事情をよく知っているので、「これは何とかしなければいけない。」と思って、彼女は私の顔を知っているし、行って話せば何とか聞いてくれるかもしれないと考えて、その青年も武勇が達者であるが学問も優れていて、二人同じ程度の優等生だが、彼が行ってみますと、なるほど噂に聞いた通り、足を上にしつつ、釘で打ち止められ、逆立ちになって白い着物を着た幽霊がいます。その青年が、「おい、君はその様にして世間を騒がせているが、その様な事をしてはいけないではないか。」と言いますと、その女は、「私は世間を騒がしているのではありません。お願いしようとするのですが、この様にして現れてきているのです。」と話しますので、「ああそうだったのか。それでその頼み事とは何か。」と問いかけますと、その女は、「実はもう、私は残念でなりません。この世に来て、後生の世界になっていますが、後から来た女が子どもを産んで、今日は川下(がーうり)なんですが、そこに行こうとすると、家の入口から裏座敷にも、魔除札が張られていて、また。産婦のいる所にはしめ縄も張られているので、入る事ができない。私が世間様の目を覆ってあげますから、貴方は私の頼みを聞いて下さいませんか。」と話しますと、青年は、「そうだなあ。考えて見れば、元は君も、君の夫だった人一緒に、酒を飲んだり御馳走を食べたりした仲だから、私のできる分は君の事もするが、だか、もしこれが世間に知れると、私は生きてはいられないんだよ。」と話しますと、女は、「その様な事はさせません。世間様の目は私が覆ってあげます。」と言いますので、「ああそうか。それではどうするのか。」と言いますと、「入口に行かれた時、貴方は草履を脱ぐ時には、外に向かって脱いで下さい。他の人達は内に向かったまま草履を脱いで、そのまま上がって行きますが、貴方は外に向かって草履を脱ぎまして、中に入りになる時には振り向いて中に入りますから、振り向く時に、あの魔除札を一枚剥がして下さい。貴方が振り向くと皆さんは、いらっしゃいませ、とお辞儀をします。また、裏座に行かれる時には、私は妻はいるが、まだ子どもには恵まれず授かっていないから、君達に今日授かった子どもを、一度抱かせてくれないか。と夫に願ってみなさい。これは、貴方達は無二の親友だから決して反対しないはずですから。」と言いますので、「なるほど、そうだなあ。私達は君がいる時から一緒に夫婦になっているが、未だに子宝が授からないから、それもよい考えだなあ。」と言いますと、女が、「そして貴方が裏座敷に行き低頭して入りますと、あのしめ縄が下にさがっていて、貴方の丁髷に少し触れますから、その時側にいる若い人が、これは失礼しました、と言ってそのしめ縄を入口の部分だけ外して下さいますので、貴方は髪を直す真似をしながらそこの魔除札を一枚外して下さい。」と言いますと、「ええそうか。それも良いが、しかし君がその場ですぐに子どもの命を取ると、これは大変困った事になるではないか。」と聞き返しますと、「決してそうではありません。私が入って子どもの命を取るにしても、子どもには何の罪もありません。だから子どもはそこの子どもとして、満産祝いも済ませて、立派にお披露目も終わり、名乗りをあげさせてから連れて行きます。だから貴方には、一切迷惑はかけません。」と話しますと、「それなら良いが、それを君が望ならそうしてあげるから、今後そのような事をしてはいけないよ。」と言いながら、打ち込まれている五寸釘を引き抜いて、墓の上の方に置き、「今後は、世間を騒がすような事をしてはいけないよ。」と話しますと、その女は足を打ち止められた釘を抜かれたので、そこから下におりて墓の中に入り、「有り難うございました。」とお礼して、「満産祝いが終わったら、もう一度お会いして下さい。」とその女が話しましたので、「君とまた会うのか。」と言いますと、その女は、「私は、もうここから出て、世間様の目にはつきませんが、貴方にお礼を申し上げます。」と言いますので、その青年は、「ああそうか。」と言いながら、青年は抜いた釘を墓の上に置いてあるのを確かめてから、友人の川下(がーうり)に行きながらなので、それから友人の家に行き、家の入口で、「子どもが生まれたそうですね。玉の様な男の子を授かったそうではないか。」と話しますと、その友人は大変喜んで、「おおよく来た。さあ入りたまえ。」と迎えますと、「はい。」と言って、言われた様に後ろ向きに草履を脱いで、振り向いてみると、そこには主人が出迎え、友達も大勢座っています。その人達が、「ようこそいっらしゃいました。」とお辞儀をして、頭を下げますと、主人は自分の席に戻るために後ろ向きになっていますので、その時に魔除札を一枚剥がして自分の懐にいれました。そして、しばらくの間は、酒を飲み御馳走も食べていましたが、思い出した様に、「私達も早く、玉の様な男の子を授かれば良いが。」と話しながら、友人に、「あのね、今日生まれたその男の子を、一度私に抱かせてくれないかな。」と話しますと、その友人は、「ああいいよ。そうだ、君は私達よりも先に結婚していて、子どもも大変欲しいはずだから、いいよいいよ、妻はあそこの座敷に居るが、妻の側に寝かせてあるから、ゆっくりゆっくり行って、泣かさない様に抱けよ。」と話しますと、来ている友人は、「もう、君は今日から父親だ。私はまだ父親になっていないから、敬語を使おうか。」と言いますと、友人は、「いや、それはいけない。友達は今まで通りの友達ではないか。君に敬語を使われたら僕はどうするか。お互い友達ではないか。今まで通りでいいよ。」と言って笑いますと、「そうか。それでは私は、その子どもを一回抱いてくるからねえ。」と言って、裏座の入口まで行きますと、彼女が言っていた通り、しめ縄が下にさがっています。その友人は教えられて知っています。すると、「こちらです。」と、一人の青年が先になって案内しますと、その友人は頭を下げて入ろうとしたので、さがっているしめ縄の先端が丁髷に当たりました。「これは失礼しました。」と、〔昔は武士の頭に触れる事は大変無礼な事なのですから〕「暫くお待ち下さい。」と言って、案内してくれた青年が、座敷の入口にさがっていたしめ縄を、入口の部分だけ外して持っていますので、「有り難う。」と言って頭をさげると、しめ縄を持ってお通しもできませんので、側の柱に縛り付けようとしていますので、後ろ向きになっています。友人は髪を直す真似をして魔除札を外したのですが、見ていません。みんなも目を覆われているのです。それで中に入り、奥さんの所に行き、「貴方は、こんな立派な玉の様な男の子を産んでくれて、とても立派な婦女子だ。大変立派だよ。女というのは、立派な玉の様な男の子を産んで、はじめて、立派な婦女子だよ。」と言いながら、その子どもを一回抱いて、下におろしてその座敷を出て、また元の席に戻り、いろいろ話した後、「もう良い時刻になっているし、十分にあやかったから帰る。」と挨拶して、「また満産に来るよ。」と言って帰った後、今度は満産の日になり、満産祝いからの帰り道、あの墓の前を通りますと、かのじょあ呼び止めて、その女が、「私は貴方にお礼をしなくてはなりません。」と申しますので、「何かね。」と答えますと、「私の墓の側に洞窟があり、中には水が溜まっていますが、そこに鯉が四匹入っておりますから、それを持っていかれて貴方達の池に入れて養って下さい。必ず良い事があります。」と話しますので、「ああそうか。それはありがとう。」と言って、持って帰って養いますと、一匹は養っている間に死にましたが、残る三匹はそのまま成長しました。するとその家庭は次第に繁盛し、学問にも優れて、その後青年は親方部(うぇーかたび)の位について、その子どもと孫までは、親方部(うぇーかたび)につきましたが、後の鯉が一匹死にましたので、その次の子は親方部(うぇーかたび)の前で止まり、黄冠を授与される様な功績のある人にはなりましたが、親方部(うぇーかたび)にはなれなかったそうです。これは、私の父の友人達が集まっての話ですが。また別の逆立幽霊の話では、青年達の話は同様なのだが、始めに妻になった女が大変美人なので、友達はみんなそれを羨み嫉妬したので、その青年は辻の女郎の所に通う様になったので、その妻は、「私が美しいゆえに、夫の立場が悪くなって辻に通うようになったのなら。」と言って、剃刀で自分の鼻先を切り落としますと、その妻は大変な醜女なってしまったので、その青年は女郎と一緒になり、その妻を切り殺して墓に入れ、女郎を妻にしますと、妻は幽霊になってでてきて、夫を惑わして、妻の幽霊だと思って女郎を切り殺したそうです。だから、逆立幽霊ともいうが、幽霊の仇討ちともいいます。識名隆人翻字 T6A4

再生時間:14:10

民話詳細DATA

レコード番号 47O170048
CD番号 47O17C006
決定題名 まかん道ぬ逆立幽霊(方言)
話者がつけた題名 まかん道ぬ逆立幽霊
話者名 阿波根昌栄
話者名かな あはごんしょうえい
生年月日 19210309
性別
出身地 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭
記録日 19970217
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 T06A04
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話、 伝説
発句(ほっく)
伝承事情 父の友人から
文字化資料 『想い出の昔話』
キーワード 五寸釘,魔除け,注連縄,鯉,鼻をそぐ,逆立ち幽霊
梗概(こうがい) 〔方言原話〕 逆立幽霊(さかだちゆーりー)ぬ話(はな)しい。くれえー昔(んかし)、那覇(なーふぁ)んかい、じこー武勇ん学問(がくむぬ)ん、すぐりとぉーる青年(にーせー)ぬ二人(たい)うたんでぃしが、二人(たい)友達(どぅし)なてぃさくとぅ、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)や、若さる女(いなぐ)とぅ仲ゆたしくなやーに夫婦(みーとぅんだ)なてぃそうしが、うぬ後(あとぅ)、うぬ妻(とぅぜー)病気(やんめー)かかてぃ後(あとぉー)とぉーりてぃ、くぬゆううしなたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、なー妻(とぅじ)んうらんなとぉーるむんぬんち、また、なー一人(ちゅい)ぬ若女(わかいなぐ)とぅ仲ゆたしくなてぃさくとぅ、うぬ、死亡(けーま)ち、後生(ぐそー)んかいんぢょる妻(とぅじ)ぬ嫉妬(にーたさ)し、時々(とぅちどぅち)なーや、んぢてぃうまんかいちぇーしいちぇーしいさくとぅ、うん後(あとぅ)から仲ゆたしくなとぉーる若女(わかいなごー)うとぅるさし、うまんかえーくーんなたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、くれえーくぬまませえーならんでぃうむやーなかい、五寸釘(ぐっしんくじ)むっちんぢゃーに、墓ぬ眉んかい打ちゅんでぃちさくとぅ、丁度(ちょーどぅ)真ん中んかえー打たらん、片側(かたはら)んかいゆして打っちゃくとぅ、丁度(ちょーどぅ)中(なーか)んかいいっちょーる女(いなぐ)ぬ足(ふぃさ)んかい当たいる所(とぅくる)んかいうぬ釘(くじぇー)打っちゃくとぅ。うぬ後(あとぅ)からー、まかん道ぬうぬ墓んかい、墓ぬ眉んかい足(ふぃさ)打っちきらっとぉーる、逆立幽霊(さかだちゆーりー)ぬ立っちゅんどぉーしぬ噂(うとぅ)ぬんぢてぃさくとぅ、くれえーぢゃーふぇーなとぉーっさーんでぃうむてぃそうしが、人達(ちゅぬちゃー)や皆(んな)うとぅるさし、うまからあっかんなとぉーしが、なー一人(ちゅい)ぬ友(どぅし)ぬ、うぬ事情(くとぅ)わかてぃさくとぅ、「くれえーちゃーがなさんあれえーならん。」でぃうむやーに、うぬ女(いなぐ)ん私(わん)ねえー顔(ちらー)知っちょーい、んぢ話(はな)しいしいるんせえーちちとぅらせーさにんでぃち、かんげえやーに、うぬ青年(にーせー)ん、武勇ん達者やい、学問(がくむぬ)んすぐりてぃ、二人(たい)同等(るーぬあたい)ぬでぃきやーやくとぅ、うりがんぢんーちゃくとぅ、んちゃ、言ゅんねえーすんねえー足(ふぃさ)上(うぃ)なち、釘(くじ)し打ちとぅみらってぃ逆立ちし、真っ白(まっしーら)しさがてぃさくとぅ、うぬ青年(にーせー)が、「いぇー君(やー)やなー、うんぐとぅし世間(しきん)騒がち、あんせーならのーあらに。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ、「私(わー)が世間(しきん)騒がちょーるばーやあいびらん。むんにげーすんでぃすしが、てぃーちんたーんちちぇーくぃみそうらんぬる、くんぐとぅし現りてぃちょーいびいる。」んでぃち話(はな)しいさくとぅ、「えーあんどぅやんなー。あんし、うぬむんだぬみんでぃ言ゅせえーぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ、「じちぇーなー私(わん)ねえー残念(ざんにん)。くぬゆんかいち、後生(ぐそー)ぬゆるなてぃうしが、後(あとぅ)からちょーる女(いなぐ)ぬ子(くゎ)なち、今日(ちゅー)や川(かー)うりそうんやしが、あまんかい行かんでぃせー、家(やー)ぬ入口(いりぐちー)から裏座ぬ入口(いりぐちー)んかい、魔除札(ふーふだ)ぬ張らってぃ、また、産婦(わかじーら)ぬうる所(とぅくま)、ふぃざいんなぬ張らっとぉーくとぅ、いっちぇー行からん。私(わー)が世間(しきん)ぬ目(みー)やうすてぃうさぎいくとぅ、貴方(うんじょー)、私(わー)たぬみちちくぃみそうらんがやー。」んでぃち話(はな)しいさくとぅ、青年(にーせー)や、「いぃーなー、元(むとぉー)君(やー)夫(うとぅ)やたしん三人一緒(みっちゃいまじゅん)、酒(さき)ぬだい、御馳走(くゎっちー)んかでぃるうくとぅ、私(わー)がないるぶのー、君(やー)事(くとぅ)んすしが、やしが、くりが世間(しきん)ぬんかい知りーねえー、私(わん)にんいちちぇーうららんどぉーやー。」んでぃ言ちゃくとぅ、女(いなぐ)ぬ、「うんなくとぉーしみやびらん。世間(しきん)ぬ目(みー)や、私(わー)がうすてぃうさぎやびーん。」でぃちさくとぅ、「えーあんすみ。あんせーちゃーすが。」んちゃくとぅ、「入口(いりぐちー)んかいめんそーらわー、貴方(うんじゅ)が草履(さば)ぬじみせーねえー、外(ふか)んかいんかてぃぬじみそうりよう。他(ふか)ぬ人達(ちゅぬちゃー)草履(さばー)内(うち)んかいんかとぉーるままぬじ、草履(さば)ぬじしうぬまま家(やー)んかいあがてぃ行ちゃびーしが、貴方(うんじょう)外(ふか)んかいんてぃ草履(さばー)ぬじみそうやーなかい、内(うち)んかいいみせーる時(ばー)ねえー、ふいまーいみせえーくとぅ、うぬふいまーいる時(ばー)に、魔除札(ふーふだ)一枚(いちめー)はじくぃみそうり。貴方(うんじゅ)がふいまーいみせーねえー、皆(んな)、めんせえーびてぃー。んち、ぐりーしみそうらすくとぅ。また、裏座んかいや、私(わん)ねえー妻(とぅぜー)うしが、なーだ玉黄金(たまくがに)なしぐゎーやさじからんくとぅ、君達(いったー)、今日(ちゅー)生まりとぉーる子供(わらばー)、一度(ちゅけー)のー私(わん)にんかい抱かちくぃらんがやー。んち夫(うとぅ)んかいにがてぃんーじみそうり。うれえー貴方達(うんじゅなー)や、親友(くびちりどぅし)やくとぅ、反対(んーぱー)しみそうらんはじどぉー。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、「えーあんやみ。なるふどぅんちゃ。君(やー)がういにから、私達(わったー)や夫婦(みーとぅんだ)なとぉーしが、玉黄金(たまくがに)なしぐゎーやさじからんくとぅ、うりんいーかんげやん。」でぃ言ちさくとぅ、女(いなぐ)ぬ、「あんし、貴方(うんじゅ)が裏座んかい、うすでぃいみせーねえー、あぬふぃざいんなぬ下(しちゃ)んかいさがやーに、うんちょーびんかいさわいびいくとぅ、側(すば)んかいうる人(ちゅ)ぬ、くれえ無礼(ぶりー)ないびてぃ。んち、うぬふぃざいんな入口(いりぐちー)ぬとぅくま、はんちうさぎいびくとぅ、貴方(うんじょー)髪(からじ)のーしなざきーし、うまぬ魔除札(ふーふだ)一枚(いちめー)はじくぃみそうり。」んでぃ言ちゃくとぅ、「えーあんやみ。いいー、うりんゆたさしが、やしがやー、うまうてぃ子供(ぼーじゃー)命(ぬち)とぅいねえー、くれえーぢゃーふぇーやるむんなー。」んでぃ言ちゃくとぅ、女(いなごー)、「あねえーあいびらん。私(わん)ねえーいやーなかい、子供(ぼーじゃー)ぬ命(ぬちぇー)とぅってぃん、子供(ぼーじゃー)ねえーぬーぬ罪(ちみ)んねーびらんやくとぅ、子供(ぼーじゃー)やうまぬ子供(ぼーじゃー)んち、満産(まんさん)すーじんしみてぃ、立派にうふぃるみんかきらちからる、そーいびーる。貴方(うんじゅ)んかい迷惑(みーわこー)かきやびらん。」ち話(はな)しいさくとぅ、「あんやれえーしむん。うれえー君(やー)がぬずみやれえー、あんしとぅらすくとぅ、とぉー今(なま)からーうんぐとぅせえーならんどぉーやー。」んでぃ言ゃーなかい、五寸釘(ぐっすんくぜー)ふぃちぬぢぃ、墓ぬ上(うぃ)んかいうちきてぃさーに、「今(なま)から世間(しきん)騒がちぇーならんどぉーやー。」んでぃち話(はな)しいさくとぅ、うぬ女(いなごー)、足(ふぃさ)打ちとぅみらっとぉーる釘(くじ)とぅったくとぅ、うまからうりてぃ、墓ぬ中んかいいやーに、ぐりーし、「満産(まんさん)すーじぬうわらわー、かんなじ一度(ちゅけえん)うがまってぃくぃみそうり。」んでぃち、話(はな)しいさくとぅ、青年(にーせー)や、「君(やー)や、またんいちゃいるばーなー。」んちゃくとぅ、女(いなごー)、「なー私(わん)ねえーくまからんぢびらん、んぢてぃん、世間(しきん)ぬ目(みー)ねえーかがないびらんしが、貴方(うんじゅ)んかい、ぐりーじうなきやびいん。」でぃ言ちゃくとぅ、「あんやみ。」んでぃ言ち、うぬ青年(にーせー)や、釘(くじぇー)墓ぬ眉ぬ上(うぃ)んかいうちぇーるまま、友(どぅし)ぬ川(かー)うりすーじかい行ちゃがちぃーなーるやくとぅ、友(どぅし)ぬ家(やー)んかい行ちゃーに、家(やー)ぬ入口(いりぐちー)うてぃ、「子供(ぼーじゃー)ん生まりとぉーんでぃさやー。玉黄金(たまくがに)なしぐゎーぬさじかとぉーんでぃる言いねえーさに。」んち話(はな)しいさくとぅ、うぬ友(どぅせー)、じこーうっさし、「とぉーとぉーいれえー。」んちさくとぅ、「いいー。」んでぃ言ゃーに、言ゃっかるぐとぅ、くさーんけーし草履(さばー)ぬぢゃーに、ふいまーいねえー、うまんかい、主人(ぬーし)んうい、友達(どぅしぬちゃー)んういるすくとぅ、「あーめんせえーびてぃー。」んち、ぐりーさーなかい、友(どぅせー)、自分(どぅー)ぬ座(ぢゃー)んかいむどぅいんでぃ、くさーんけーそうい、皆(んなー)頭(ちぶる)さぎとぉーくとぅ、うぬ時(ばー)に、入口(いりぐちー)ぬ魔除札(ふーふだ)一枚(いちめー)とぅやーに、袂(たむとぅ)んかいってぃさーに、あんし酒(さき)んぬでぃ、御馳走(くゎっちー)んかまがちーなー、うびんぢゃちょーねえーし、「私達(わったーん)ふぇーくなー、玉黄金(たまくがに)なしぐゎーさじかりわるやしが。」んち、話(はな)しいさーなかい、友(どぅし)んかい、「とぉーいぇー、あぬー今日(ちゅー)生まりとぉーる子供(ぼーじゃー)、一回(ちゅけえー)のー、私(わん)にんかい、抱かちくぃらさんがやー。」んでぃち、話(はな)しいさくとぅ、うぬ友(どぅせー)、「あー、ぬーがしみるする。んちゃ、君(やー)や、私達(わったー)やか先(さち)る結婚(にーびち)そうくとぅ、じこーふさるはじやくとぅ、しむさしむさ。とぉー妻(とぅぜー)あまぬ座(ぢゃー)んかいうしが、ありが側(すば)んかいにんしてぇーくとぅ、よんなーよんなー泣けえーさんぐとぅ抱きよう。」んち話(はな)しいさくとぅ、ちょーる友(どぅせー)、「なー君(やー)や今日(ちゅ)から親(うや)なとぉーい。私(わん)ねえーなーま、親(うや)ぬ名(なー)や立っちぇーねえーらんくとぅ、敬語(うーふー)さーや。」んでぃ言ちゃくとぅ、「あーあ、うれえー、あんせえーならん。友(どぅせー)友(どぅし)やる。君(やー)んかい敬語(うーふー)さりーねえー、私(わん)ねえーちゃーすが。たげーに友(どぅし)るやっさみ。ちゃーんねえーんさ。」んち笑たくとぅ、「あーとぉーあんせー私(わん)ねえー、うぬ子供(ぼーじゃー)一回(ちゅけー)のー抱ちくーいー。」んでぃ言ゃーに、裏座ぬ入口(いりぐちー)んかいんぢゃくとぅ、言ゅんねえーすんねえー、ふぃざいんなぬ下(しちゃ)んかいさがてぃさくとぅ、だーうれーならーさってぃるうくとぅ、「くまんかいやいびいん。」ち、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)が先(さち)んかいなてぃ、案内(あんねえー)さくとぅ、うぬ友(どぅせー)、頭(ちぶる)さぎてぃいーんちさくとぅ、うんちょーびんかい、さがとぉーるふぃざいんなぬ先(さち)ぬ当たてぃさくとぅ、「くれえー無礼(ぶりー)ないびてぃ。」んち、昔(んかせー)、武士(さむれえー)ぬ頭(ちぶる)んかいさーいせー、じこー無礼(ぶりー)な仕打ちやくとぅ、「いふぃぐゎーうまちになてぃくぃみそうり。」んでぃ言ゃーなかい、案内(あんねー)さる青年(にーせー)が、入口(いりぐちー)ぬ部分(とぅくる)はんちむっちさくとぅ、「にふぇーどぉー。」んでぃち、頭(ちぶる)さぎたくとぅ、ふぃざいんなはんちぇーる青年(にーせー)や、むっちぇーたたらんくとぅ、側(すば)ぬ柱(はーや)んかい、くんじちきーんでぃ。うまるんーちょー、反対ぬ柱(はーや)んかい張てぇーる魔除札(ふーふだ)、髪(からじ)のーすんねーびーし、はじゅせーんーだん、皆(んな)ん、みーやうすらってぃるうくとぅ。中んかい行ちゃーに、妻(とぅじ)ぬ前(めー)うてぃ、「貴方(やー)やなー、あんし立派に、玉黄金(たまくがに)なしぐゎー、なーんぢゃちとぅらち、貴方(やー)やなー、じこー立派な女(いなぐ)やさ。とぉーあんしどぉー。女(いなぐ)んでぃせえー、玉黄金(たまくがに)なしぐゎーなしんぢゃさわる本当(ふんとぉ)ぬ女(いなぐ)どぉー。」んちさーなかい、あんし、うぬ子供(わらばー)一回(ちゅけーん)抱ちゃーなかい、下(しちゃ)んかいうるち、座(ぢゃー)からんぢてぃ、また元(むとぅ)ぬ座(ざー)うてぃ、色々話(はな)しいさーなかい、後(あとぅ)から、「なー、いー時刻(じぶん)なとぉーい。私(わん)ねえーあやかーてぇーるむんけーらい。」んちさーに、「また満産(まんさん)にちゅーさ。」んでぃちけーてぃ後(あとぅ)、今度(くんどぉー)満産(まんさん)なてぃ、満産(まんさん)からぬむどぅやー、うぬ墓ぬ前(めー)とぅーたくとぅ、あぬ女(いなぐ)ぬゆびとぅみてぃ、うぬ女(いなぐ)ぬ、「私(わん)ねえー、貴方(うんじゅ)んかいうんじさわるやくとぅ。」んでぃちさくとぅ、「ぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、「私(わー)墓ぬ側(すば)んかい洞窟(がま)ぬあしが、中(なーか)んかい水(みじ)ぬ溜まとぉーしが、うまんかい鯉魚(くーいゆ)ぬ四匹(ゆーち)いっちょーびいくとぅ、うりむっちんぢ、貴方達(うんじゅなー)池(くむい)んかいちかてぃくぃみそうり。かんなぢいーくとぅぬあいびいくとぅ。」んちさくとぅ、「えーあんやみ。にふぇーどぉー。」んちさーに、むっちんぢちかなたくとぅ、一匹(てぃちぇー)死ぢょーしが、ぬくいぬ三匹(みーちぇー)うぬままふどぅうぃーてぃさくとぅ、うぬ家庭(ちねー)や、次第(しでぇー)に繁盛(さけー)てぃ、学問(がくむぬ)んじこー優りてぃ、うぬ青年(にーせー)や、親方(うぇーかた)びぬ位(くれー)んかいちち、また、うぬ子孫(くゎんまが)までぇー親方(うぇーかた)びぬ位(くれー)んかいちちょーしが、だー後(あとぉ)ぬ鯉魚(くーいゆ)ぬ、一匹(てぃちぇー)死ぢょーくとぅ、うぬ後(あとぅ)ぬ子(くゎー)、黄冠(ちーはちまち)いーる、まぎさる仕事(しぐとぉー)そうしが、親方(うぇーかた)びぬ位(くれー)ぬ前(めー)うてぃとぅまてぃ、親方(うぇーかた)びまでぇーなゆうさんたんでぃ。くれえー、私(わー)親(うや)ぬ友達(どぅしぬちゃー)があちまてぃぬ話(はな)しいやしが。また、別(びち)ぬ逆立幽霊(さかだちゆーりー)ぬ話(はな)しいや。青年達(にーせーたー)二人(たい)ぬ話(はな)しいや、いーぬむんやしが、はじみ、妻(とぅじ)そうたる女(いなぐ)ぬ、じこー美人(ちゅらかーぎー)なてぃ、友達(どぅしぬちゃー)皆(んな)んかい、うれーまさ、嫉妬(にーたさ)さったくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、辻(ちーぢ)ぬ女郎(じゅり)ぬ所(とぅくま)んかいかゆてぃさくとぅ、うぬ妻(とぅぜー)、「私(わー)がちゅらさんでぃち、夫(うとぅ)ぬ立場ぬ悪くなてぃ、辻(ちーぢ)んかい行ちゅらー。」んでぃ言ゃーなかい、剃刀(かんすい)さーに、自分(どぅー)ぬ鼻先(はなざち)うしちっちゃくとぅ、うぬ妻(とぅぜー)じこーぬやなかーぎーなたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や女郎(じゅり)とぅ一緒(まじゅん)なてぃ、うぬ妻(とぅじ)ちるくるち、墓んかいいってぃ、女郎(じゅり)妻(とぅじ)さくとぅ、先妻(さちとぅぜー)幽霊(ゆーりー)なてぃ、夫(うとぉー)まやーさってぃ、妻(とぅじ)ぬ幽霊(ゆーりー)んでぃうむてぃ、女郎(じゅり)ちりくるちゃんでぃ。あんすくとぅ、逆立幽霊(さかだちゆーりー)んでぃん言ゅしが、幽霊(ゆーりー)ぬ仇討ちんでぃん言ゅん。〔共通語訳〕 逆立幽霊の話。これは、昔那覇に、大変武勇も達者で学問も優れた青年が二人いて、二人はとても仲の良い親友だったのです。そしてその一人は、若くて美しい娘と仲良くなって、その後二人は結婚して夫婦になったのですが、その後 妻は病に倒れて亡くなってしまったのです。するとその青年は、妻が亡くなったので寂しくなり、また別の美しい若い娘と仲良くなりましたので、先に夫婦になっていた妻は亡くなって後生にいっているのですが、その娘に嫉妬して、時々そこに現れる様になったので、その後から仲良くなった若い娘は、怖がってもうそこには来なくなりましたので、その青年は、これはこのままではいけないと思って、五寸釘を持っていき、墓の眉に打ち込もうとしますと、丁度中心には打てず、片側に寄せて打ちますと、丁度中に入っている女の足に当たる所に、その釘を打ち込んだのです。するとその後から、「まかん道」のその墓には、墓の眉に足を打ちつけられた逆立幽霊が出るという噂が広まったので、これは困った事になってしまったと思っているのですが、人々は皆怖がって、そこを通らなくなったのです。するともう一人の友人がその事情をよく知っているので、「これは何とかしなければいけない。」と思って、彼女は私の顔を知っているし、行って話せば何とか聞いてくれるかもしれないと考えて、その青年も武勇が達者であるが学問も優れていて、二人同じ程度の優等生だが、彼が行ってみますと、なるほど噂に聞いた通り、足を上にしつつ、釘で打ち止められ、逆立ちになって白い着物を着た幽霊がいます。その青年が、「おい、君はその様にして世間を騒がせているが、その様な事をしてはいけないではないか。」と言いますと、その女は、「私は世間を騒がしているのではありません。お願いしようとするのですが、この様にして現れてきているのです。」と話しますので、「ああそうだったのか。それでその頼み事とは何か。」と問いかけますと、その女は、「実はもう、私は残念でなりません。この世に来て、後生の世界になっていますが、後から来た女が子どもを産んで、今日は川下(がーうり)なんですが、そこに行こうとすると、家の入口から裏座敷にも、魔除札が張られていて、また。産婦のいる所にはしめ縄も張られているので、入る事ができない。私が世間様の目を覆ってあげますから、貴方は私の頼みを聞いて下さいませんか。」と話しますと、青年は、「そうだなあ。考えて見れば、元は君も、君の夫だった人一緒に、酒を飲んだり御馳走を食べたりした仲だから、私のできる分は君の事もするが、だか、もしこれが世間に知れると、私は生きてはいられないんだよ。」と話しますと、女は、「その様な事はさせません。世間様の目は私が覆ってあげます。」と言いますので、「ああそうか。それではどうするのか。」と言いますと、「入口に行かれた時、貴方は草履を脱ぐ時には、外に向かって脱いで下さい。他の人達は内に向かったまま草履を脱いで、そのまま上がって行きますが、貴方は外に向かって草履を脱ぎまして、中に入りになる時には振り向いて中に入りますから、振り向く時に、あの魔除札を一枚剥がして下さい。貴方が振り向くと皆さんは、いらっしゃいませ、とお辞儀をします。また、裏座に行かれる時には、私は妻はいるが、まだ子どもには恵まれず授かっていないから、君達に今日授かった子どもを、一度抱かせてくれないか。と夫に願ってみなさい。これは、貴方達は無二の親友だから決して反対しないはずですから。」と言いますので、「なるほど、そうだなあ。私達は君がいる時から一緒に夫婦になっているが、未だに子宝が授からないから、それもよい考えだなあ。」と言いますと、女が、「そして貴方が裏座敷に行き低頭して入りますと、あのしめ縄が下にさがっていて、貴方の丁髷に少し触れますから、その時側にいる若い人が、これは失礼しました、と言ってそのしめ縄を入口の部分だけ外して下さいますので、貴方は髪を直す真似をしながらそこの魔除札を一枚外して下さい。」と言いますと、「ええそうか。それも良いが、しかし君がその場ですぐに子どもの命を取ると、これは大変困った事になるではないか。」と聞き返しますと、「決してそうではありません。私が入って子どもの命を取るにしても、子どもには何の罪もありません。だから子どもはそこの子どもとして、満産祝いも済ませて、立派にお披露目も終わり、名乗りをあげさせてから連れて行きます。だから貴方には、一切迷惑はかけません。」と話しますと、「それなら良いが、それを君が望ならそうしてあげるから、今後そのような事をしてはいけないよ。」と言いながら、打ち込まれている五寸釘を引き抜いて、墓の上の方に置き、「今後は、世間を騒がすような事をしてはいけないよ。」と話しますと、その女は足を打ち止められた釘を抜かれたので、そこから下におりて墓の中に入り、「有り難うございました。」とお礼して、「満産祝いが終わったら、もう一度お会いして下さい。」とその女が話しましたので、「君とまた会うのか。」と言いますと、その女は、「私は、もうここから出て、世間様の目にはつきませんが、貴方にお礼を申し上げます。」と言いますので、その青年は、「ああそうか。」と言いながら、青年は抜いた釘を墓の上に置いてあるのを確かめてから、友人の川下(がーうり)に行きながらなので、それから友人の家に行き、家の入口で、「子どもが生まれたそうですね。玉の様な男の子を授かったそうではないか。」と話しますと、その友人は大変喜んで、「おおよく来た。さあ入りたまえ。」と迎えますと、「はい。」と言って、言われた様に後ろ向きに草履を脱いで、振り向いてみると、そこには主人が出迎え、友達も大勢座っています。その人達が、「ようこそいっらしゃいました。」とお辞儀をして、頭を下げますと、主人は自分の席に戻るために後ろ向きになっていますので、その時に魔除札を一枚剥がして自分の懐にいれました。そして、しばらくの間は、酒を飲み御馳走も食べていましたが、思い出した様に、「私達も早く、玉の様な男の子を授かれば良いが。」と話しながら、友人に、「あのね、今日生まれたその男の子を、一度私に抱かせてくれないかな。」と話しますと、その友人は、「ああいいよ。そうだ、君は私達よりも先に結婚していて、子どもも大変欲しいはずだから、いいよいいよ、妻はあそこの座敷に居るが、妻の側に寝かせてあるから、ゆっくりゆっくり行って、泣かさない様に抱けよ。」と話しますと、来ている友人は、「もう、君は今日から父親だ。私はまだ父親になっていないから、敬語を使おうか。」と言いますと、友人は、「いや、それはいけない。友達は今まで通りの友達ではないか。君に敬語を使われたら僕はどうするか。お互い友達ではないか。今まで通りでいいよ。」と言って笑いますと、「そうか。それでは私は、その子どもを一回抱いてくるからねえ。」と言って、裏座の入口まで行きますと、彼女が言っていた通り、しめ縄が下にさがっています。その友人は教えられて知っています。すると、「こちらです。」と、一人の青年が先になって案内しますと、その友人は頭を下げて入ろうとしたので、さがっているしめ縄の先端が丁髷に当たりました。「これは失礼しました。」と、〔昔は武士の頭に触れる事は大変無礼な事なのですから〕「暫くお待ち下さい。」と言って、案内してくれた青年が、座敷の入口にさがっていたしめ縄を、入口の部分だけ外して持っていますので、「有り難う。」と言って頭をさげると、しめ縄を持ってお通しもできませんので、側の柱に縛り付けようとしていますので、後ろ向きになっています。友人は髪を直す真似をして魔除札を外したのですが、見ていません。みんなも目を覆われているのです。それで中に入り、奥さんの所に行き、「貴方は、こんな立派な玉の様な男の子を産んでくれて、とても立派な婦女子だ。大変立派だよ。女というのは、立派な玉の様な男の子を産んで、はじめて、立派な婦女子だよ。」と言いながら、その子どもを一回抱いて、下におろしてその座敷を出て、また元の席に戻り、いろいろ話した後、「もう良い時刻になっているし、十分にあやかったから帰る。」と挨拶して、「また満産に来るよ。」と言って帰った後、今度は満産の日になり、満産祝いからの帰り道、あの墓の前を通りますと、かのじょあ呼び止めて、その女が、「私は貴方にお礼をしなくてはなりません。」と申しますので、「何かね。」と答えますと、「私の墓の側に洞窟があり、中には水が溜まっていますが、そこに鯉が四匹入っておりますから、それを持っていかれて貴方達の池に入れて養って下さい。必ず良い事があります。」と話しますので、「ああそうか。それはありがとう。」と言って、持って帰って養いますと、一匹は養っている間に死にましたが、残る三匹はそのまま成長しました。するとその家庭は次第に繁盛し、学問にも優れて、その後青年は親方部(うぇーかたび)の位について、その子どもと孫までは、親方部(うぇーかたび)につきましたが、後の鯉が一匹死にましたので、その次の子は親方部(うぇーかたび)の前で止まり、黄冠を授与される様な功績のある人にはなりましたが、親方部(うぇーかたび)にはなれなかったそうです。これは、私の父の友人達が集まっての話ですが。また別の逆立幽霊の話では、青年達の話は同様なのだが、始めに妻になった女が大変美人なので、友達はみんなそれを羨み嫉妬したので、その青年は辻の女郎の所に通う様になったので、その妻は、「私が美しいゆえに、夫の立場が悪くなって辻に通うようになったのなら。」と言って、剃刀で自分の鼻先を切り落としますと、その妻は大変な醜女なってしまったので、その青年は女郎と一緒になり、その妻を切り殺して墓に入れ、女郎を妻にしますと、妻は幽霊になってでてきて、夫を惑わして、妻の幽霊だと思って女郎を切り殺したそうです。だから、逆立幽霊ともいうが、幽霊の仇討ちともいいます。識名隆人翻字 T6A4
全体の記録時間数 14:10
物語の時間数 14:10
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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