〔方言原話〕 鬼餅(ムーチー)ぬ話(はな)しい。くれえー旧暦(きゅう)ぬ師走(しわーし)ぬ八日(はちにち)ねー、餅(ムーチー)ちゅくてぃかまーに、各人(なーめーめー)、自分(どぅ)ぬ年(とぅし)ぬ数(うっさ)なー、縄(ちな)しくんちさぎーしが、うれー月桃(さんにん)ぬ葉(ふゎー)しちちでぃんぶすくとぅ、月桃餅(さんにんムーチー)んでぃん言い、鬼餅(うんにんムーチー)んでぃん言い。また、ホーハイ餅(ムーチー)んでぃん言しが、ぬーんちホーハイ餅(ムーチー)んでぃ言がんでぇー。昔(んかし)、兄妹二人(ちょーでぇーたい)うしが、うぬ妹(うっとぉー)じこーぬ美人(ちゅらかーぎー)やしが、まーかいいかん、親達(うやぬちゃー)んうらんどぅあくとぅ、夫婦(みーとぅんだ)ぬぐとぅし、二人(たい)し暮らちょーしが、うぬ兄(しーじゃ)んでぃせー、むる他人(ちゅ)とぉー違てぃ、他人(ちゅ)ぬするぐとぉーさん。ありんくりん、むる他人(ちゅ)とぉー違とぉーる仕様仕方(しよーしざま)さぎーん。さくとぅ、妹(うっとぉー)なーくれえー、兄妻(しーじゃんとぅぜー)んとぅめーらん、自分(どぅ)ん夫(うとぉー)むたらんちそうしが、ふぃるましいくとぅに、話(はな)しいんなんじゅさん。うりから食物(むぬ)かむしん他人(ちゅ)とぉー違とぉーい。ふぃるましいむんでぃちそうしが、仕事(しぐとぉ)かいん行かん。家(やー)うてぃ呑気怠慢(うったいもうたい)しさくとぅ、ある時(ばー)にうぬ兄(しーじゃ)ぬ、「私(わん)ねえー用事(ゆーじゅ)いぢちゅーくとぅ。」んち、さくとぅ妹(うっとぉー)、「ぬーがしみるする。留守番(やーぬばー)ぬ私(わー)すさ。やしが、後(あとぅ)から私(わん)ねえー畑(はる)かい行ちゅくとぅ、私(わー)がうらんうぇーまにちゅーらー、冷物(ふぃじゅるむのー)しごーかまんぐとぅ、あちらちかみよう。」んち、兄(しーじゃ)んかい言ち、後(あとぅ)から畑(はる)かい行ちゅんねーびーさーなかい、まじちゃーがすらんでぃうむやーなかい、家(やー)ぬ後(くし)からしらんふーなーし、家(やー)ぬ裏座(くちゃ)ぐゎんかいくまやーなかい、くゎっくぃてぃんちょーたくとぅ、ちゅてぇーさくとぅ、うぬ兄(しーじゃー)けーてぃちさーに、がさがさ、台所(しむ)うてぃすんねぇーさぎいしが、ぬーそうがやーんでぃうむてぃ、くゎっくぃてぃうぬままんちょーたくとぅ、後(あとぉー)かまぎーせーぬーがやら、普通(あたいめー)ぬ人(ちゅ)ぬかむしとぉ違てぃ、がさがささぎーしが、火(ふぃー)ちきてぃ鍋(なーび)んかいいっちょーし、あちらちかむる様子(よーし)んねえらん、ぬーすがやーんちんちょたくとぅ、血(ちー)んたらたらそうる生肉(なまじし)、鬼(うに)ぬ顔(ちら)なとぉーてぃ、ぱくないかまぎーしんーぢゃーに、「とぉーくれえー鬼(うに)るやてぇーる。」んち、うぬ妹(うっとぉー)ふとぅふとぅし、いちょねえー、うれえーうちかまーに、水(みじ)し全部(むる)かちあれてぃ、鬼(うに)ぬ姿(しがた)から人(ちゅ)ぬ姿(しがた)んかいなやーに、またとぅんじたくとぅ、うぬ思うと(うっとぉー)しらんふーなーしんぢゃーなかい、うぬ先(さち)ぬ夜(ゆる)、兄(しーぢゃ)ぬ、「なー私達(わったー)や、君(やー)ん夫(うとぉ)むたん、私(わん)にん妻(とぅぜー)とぅめーらんむん、二人(たい)夫婦(みーとぅんだ)ないみなー。」んち、笑とぉーてぃ、言ゃぎーたしが、「とぉーなーくれえー鬼(うに)るやるむん、くりが妻(とぅじ)んでぇーなたんどぉーやれえー、うちくゎーってぃ一大事(いちでぇーじ)。」んでぃうむやーなかい、しらんふーなーし、けーてぃんぢ、兄(しーじゃー)じこーぬ餅(むち)じょうぐーやくとぅ、月桃餅(さんにんムーチー)ちゅくてぃくぃりよるやるんちさーに、畑(はたき)からけーてぃちから、米(くみ)ふぃちさくとぅ、兄(しーじゃ)ぬ、「ぬーそうが。」んでぃ言ちゃくとぅ、妹(うっとぉー)、「なーあぬー、兄(やっちー)や餅(むちぇー)じょうぐやしがなげーかでぇーんだんむん、でぃー餅(むち)ちゅくてぃかまな。」んでぃ言ちゃくとぅ、「いいー、上等(じょーとうー)やさー。」んち、うっさくゎったーしさーなかい、夕方(ゆさんでぃ)までぃねえー餅(むち)んちゅくてぃ、だてぇーん月桃(さんにん)ぬ葉(ふゎー)んかいちちでぇーる餅(むち)んちゅくてぃさーなかい、兄(しーぢゃ)んかい、「今日(ちゅー)や、うぬ餅(むち)ん酒(さき)んむちゃーなかい、なー師走(しわし)んなーなてぇーうしが、まーがたんじ、人(ちゅ)ぬうらん所(とぅくま)うてぃ、あぬー話(はな)しいしんだな。」んち話(はな)しいさくとぅ、うぬ前(めー)ぬ夜(ゆる)、兄(しーじゃ)ぬ、「なー君(やー)ん夫(うとぉー)うらんあい、私(わん)にん妻(とぅぜー)うらんくとぅ、二人(たい)夫婦(みーとぅんだ)ないしるませーあらに。」んち話(はな)しいんぢゃちぇーてぇーくとぅ、うぬ兄(しーじゃー)、いやでぃんうぬ話(はな)しい、ちかするはじんち、酒(さき)んむっち餅(むち)んむっち、まーがな人(ちゅ)ぬうら所(とぅくま)んかいんち、んぢゃくとぅ、くせー断崖(ちりばんた)やしが、んまんかい崖(はんたー)後(くし)なち、兄(しーじゃー)いしてぃ、色々(いるん)なゆぬ中ぬ話(はな)しいさがなー、「とぉー餅(むち)ん腹一杯(ちゅふゎーら)かめー。だてぇーんちゅくてぃちぇーん。」でぃちさがなー、兄(しーじゃ)ぬ側(すば)んかいゆてぃ行ちゅしんでぇー、うぬ妹(うっとぉー)着物(ちん)ぬ下(しちゃ)からーぬーんちちぇーねえーん。昔(んか)せー沖縄(うちなー)ぬ人(ちょー)ぬーんちらんどぅあくとぅ、うぬままるやしが、帯(うーび)よーみとぉーる所(とぅくま)から、次第(しでぇー)に前(めー)ぬあちゃーなかい、下(しちゃ)んまるみー、うりから、腹(わた)ん、胸元(んに)ん次第(しでぇー)にみーてぃさくとぅ、兄(しーじゃ)、「あはー先日(くぬめー)にあん言ちゃくとぅ、今日(ちゅー)やなー、夫婦(みーとぅんだ)なてぃんしむでぃちるやがやー。」んち、妹(うっとぅ)が、胸(んに)ぬ両方(どぉーほー)ぬ乳房(ちー)ぬあちゃくとぅ、兄(しーじゃ)ぬ、「いぇー、君(やー)むのーうまぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、妹(うっとぅ)ぬ、「うま乳城(ちーぐしく)。」んでぃ言ちゃくとぅ、「えーあんどぅやみ。」んち言ちさくとぅ、次第(しでぇー)に下(しちゃ)んーぢゃーなかい、臍(ふす)ぬ穴ぬあちょーしんーぢゃーなかい、「うまーぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、「うまー臍口平畑(ふすぐちとぉーばる)んでぃ言ん。」でぃ言ちゃくとぅ、男(いきが)ぬあまみーくまみーさくとぅ、餅(むち)ん酒(さき)ん、うりが側(すば)んかい、ゆしやーゆしやーし、女(いなぐ)んゆてぃちゃくとぅ、うぬ男(いきがー)、「あーなー妻(とぅじ)なてぃんしむんでぃち、やさやーんでぃちうむいがなー、自分(どぅー)ん後(くし)んかい、しんちゃーしんちゃーし、崖(はんた)ぬ上(うぃ)んかいちょーせーわからん。あんしさくとぅ、後(あとぅ)んでぃ言いねえー、二本(たーち)ぬ脚(ふぃさ)あきてぃ、下(しちゃ)ぬまるあちさくとぅ、兄(しーじゃ)ぬ、「あんしうまーぬーんでぃ言ゅが。」んでぃ言ちゃくとぅ、妹(うっとぉー)、「うまー鬼喰口(うにくぇーぐち)。」んでぃ、妹(うっとぅ)ぬ言ちゃくとぅ、「ヒィー。」んでぃる言ちゃる、とぅんたちゅんでぃしいねえー、片手(かたでぃー)や酒(さき)、片手(かたでぃー)や餅(むち)むっちょーくとぅ、立ち上がいんちすしとぉ同時(まじゅ)ん、うぬ妹(うっとぅ)ぬうしけーらちゃくとぅ、後(くし)ぬ崖(はんた)んかいうてぃやーなかい、うぬ鬼(うねー)死亡(けーしぢ)さくとぅ、うぬ妹(うっとぉー)家(やー)かいけーてぃ行ちゃーに、餅(むち)煮ちぇーる。餅(むち)ゆでぃ汁またあちらさーに、鬼(うに)ぬ足(ふぃさ)焼き、んでぃち、じょーんかいはにまちさくとぅ、うんにんから、鬼(うねー)くーんたんでぃ。丁度(ちょーどぅ)うぬ日(ふぃー)ぬ、旧ぬ師走(しわーし)ぬ八日(はちにち)なやーなかい、うんにんからー、うぬ餅(ムーチー)や、鬼(うに)んかいくゎーさーなかい、鬼(うに)くるちゃる食物(くぇーむん)なやーに、鬼餅(うんにんムーチー)んでぃん言ゅしが。なーてぃーちぬ名(なー)や、ホーハイ餅(ムーチー)んでぃち、女(いなぐ)ぬホーハトォーてぃ、鬼(うに)んかい餅(むち)くぃやーに、鬼(うに)くるちゃんでぃち、ホーハイ餅(ムーチー)んでぃ言ゅる。うりから、月桃(さんにん)ぬ餅(ムーチー)んでぃん言しが、うれえー月桃(さんにん)ぬ葉(ふゎー)んかいちちでぃゆでぃーくとぅ、うぬ餅(ムーチー)しいてぃ、月桃(さんにん)ぬかばし、じこー美味(まーさ)る餅(ムーチー)やしが、うりんかえー月桃餅(さんにんムーチー)んでぃん言ん。餅(ムーチー)ぬ話(はな)しい。〔共通語訳〕 鬼餅(ムーチー)の話。これは旧暦の師走の八日に、鬼餅(ムーチー)を作って食べて、また各人が自分の年の数だけ縄で縛ってつり下げるが、これは月桃(さんにん)の葉で包んで蒸すので、月桃餅(さんにんムーチー)とも言うが、鬼餅(うんにんムーチー)ともいうし、またホーハイ餅(ムーチー)ともいうが、それでは、なぜホーハイ餅(ムーチー)というかと言うと、その理由は。昔、兄妹(きょうだい)二人いたが、この妹は大変な美人だがどこにも嫁に行かず、親達も亡くなっているので、二人で夫婦の様にして暮らしているが、その兄というのは、まったく人と異なり、他人の様にはせず、あれもこれも全部人とは違った仕様仕方をしていた。すると妹は、これは兄も結婚しないので、自分も結婚できないでいるが、珍しい事に、話し合いもあまり無く、それから食べ物を食べるのも人とは違っているので、珍しい事だと思っているが、仕事にも行かずに家でぶらぶらして暮らしているが、或る時その兄が、「私は用事に行ってくる。」と言いますと、妹は、「ああいいですよ、留守番は私がしますから。でも後で私も畑に行きますから、もし私が居ない間に帰ってきたら、冷たい物はそのまま食べないで、温めて食べて下さいね。」と兄に言って、後から畑に行く真似をして途中から帰り、「いったいどうするのだろう。」と思って、家の後ろの方から裏の座敷に入り、引き籠もって隠れて見ていたから、暫くすると、その兄が帰ってきて、何か台所の方でガサガサしている様子だが、何をしているのだろうと思って、隠れてそのまま見ていると、何か食べているが注意して見ていると、何だか、普通の人の食べ物とは違って、ガサガサしているが、火をつけて鍋に入っているのを温めて食べている様子もない。何をするのだろうと見ていると、血の垂れている生肉を、鬼の顔になってパクパク食べているのを見て、「ああ、これは鬼だったのか。」と思い、その妹は震えながら座っていると、鬼はそれを全部喰い尽くして、水で全部洗い流し、鬼の顔から人間の顔になってまた飛び出して行くと、その妹は知らん顔で出ていき、昨夜この兄が、「私達は、お前も夫がいない。私も妻はいないから、二人で夫婦になろうか。」と言って笑っていたのを思い出して、「ああもう、鬼の妻にでもなったら喰い尽くされてしまって大変だ。」と思い、それで知らん顔して畑から帰ってきて、兄はとっても餅が好物だったから、月桃餅(さんにんムーチー)を作って食べさせようと思い、畑から帰ってきてお米を挽いていると、兄が、「何をしているのか。」と言いますと、妹は、「もうあのう、兄さんは餅が好物だが永い間食べてないから、今度は餅を作って食べよう。」と言いますと、兄は、「ううん、それは上等だ。」と、喜び勇んでいますと、夕方頃には餅もできまして、たくさん月桃(さんにん)の葉に包んだ餅ができたので、兄に、「今日はこの餅もお酒も持ってから、師走になっているが、どこかに行って人のいない所で話し合いましょう。」と言いますと、その前の夜、兄が、「もうお前も夫がいないし、私も妻がいないから、二人で夫婦になるのが良いではないか。」と、話を出してあったから、この兄はたぶんその事についての話を聞かせるはずと思い、酒を持って餅も持って、どこか人のいない所にと探していたら、後ろは断崖だが、そこで崖を後ろにして兄に座らせ、いろいろ世間話をしながら、「はい、餅も腹一杯食べなさい。たくさん作ってきました。」と話しながら兄の側にすり寄りますと、その妹は着物の下からは何も着けていません。胸の方も肌着は着けていません。昔の沖縄の人は大方その様にして、上部はそのままですが、帯を緩めてありますので、そこから次第に前の方が開いて、下の方も丸見え。それからお腹も胸元も次第に見えてくると、兄は、「ああ、先日の夜あの話をしたので、今日はもう、夫婦になってもよいと思っているのだな。」と思っていたら、胸元の両方の乳房が開いていたので、兄が、「おい、お前のそれは何か。」と言いますと、妹は、「そこは乳の城です。」と話しますと、「ええそうか。」と言いながら、次第に下の方を見ながら、臍の穴の開いているのを見て、「そこは何か。」と言いますと、「そこは臍口平畑と言います。」と答えますと、男はあっちこっち見ていると、餅も酒も兄の側に寄せながら、妹も寄ってくるので、兄は、「ああ、もう妻になってもよいと思っているのだな。」と思いながら、押されて、自分も次第に後ろに退き、崖の上に来ているのがわかりません。そうすると、最後に妹が、二つの足を開けて下の方を全開しますと、兄が、「それで、そこは何というのか。」と言いますと、妹は、「そこは鬼を喰う口。」と言いますと、「ひええ。」と叫んで飛び立とうとしますと、片手にはお酒を持ち、片手に餅を持ったまま立ち上がると同時に、妹が押し倒しますと、後ろの崖に墜落して、その鬼は死んだのです。するとその妹は実家に帰っていき、餅を煮た煮汁を加熱して、「鬼の足焼け。」と言いながら、戸外に振りまいたのです。するとそれからは、鬼は来なくなったのです。丁度その日が、旧暦の師走の八日だったのです。その時から、その餅の煮汁は鬼の足を焼くし、また、餅は食べさせて鬼を殺した食べ物という事で、鬼餅(うんにんムーチー)ともいうが、もう一つの名はホーハイ餅(ムーチー)といって、女が陰部を見せながら鬼に餅を食べさせて、鬼を退治したのでホーハイ餅(ムーチー)という様になっているが、月桃餅(さんにんムーチー)ともいう。それは、月桃(さんにん)の葉で包んで蒸すので、月桃(さんにん)の香りが餅にうつり、大変香ばしく、またとても美味しい餅で、それには月桃餅(さんにんムーチー)ともいう。餅(ムーチー)の話。識名隆人翻字 T5B1
| レコード番号 | 47O170041 |
|---|---|
| CD番号 | 47O17C005 |
| 決定題名 | 鬼餅(方言) |
| 話者がつけた題名 | 鬼餅(ムーチー) |
| 話者名 | 阿波根昌栄 |
| 話者名かな | あはごんしょうえい |
| 生年月日 | 19210309 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
| 記録日 | 19970217 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T05B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 民俗 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
| キーワード | 月桃(サンニン),ホーハイ,兄妹,鬼,餅 |
| 梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 鬼餅(ムーチー)ぬ話(はな)しい。くれえー旧暦(きゅう)ぬ師走(しわーし)ぬ八日(はちにち)ねー、餅(ムーチー)ちゅくてぃかまーに、各人(なーめーめー)、自分(どぅ)ぬ年(とぅし)ぬ数(うっさ)なー、縄(ちな)しくんちさぎーしが、うれー月桃(さんにん)ぬ葉(ふゎー)しちちでぃんぶすくとぅ、月桃餅(さんにんムーチー)んでぃん言い、鬼餅(うんにんムーチー)んでぃん言い。また、ホーハイ餅(ムーチー)んでぃん言しが、ぬーんちホーハイ餅(ムーチー)んでぃ言がんでぇー。昔(んかし)、兄妹二人(ちょーでぇーたい)うしが、うぬ妹(うっとぉー)じこーぬ美人(ちゅらかーぎー)やしが、まーかいいかん、親達(うやぬちゃー)んうらんどぅあくとぅ、夫婦(みーとぅんだ)ぬぐとぅし、二人(たい)し暮らちょーしが、うぬ兄(しーじゃ)んでぃせー、むる他人(ちゅ)とぉー違てぃ、他人(ちゅ)ぬするぐとぉーさん。ありんくりん、むる他人(ちゅ)とぉー違とぉーる仕様仕方(しよーしざま)さぎーん。さくとぅ、妹(うっとぉー)なーくれえー、兄妻(しーじゃんとぅぜー)んとぅめーらん、自分(どぅ)ん夫(うとぉー)むたらんちそうしが、ふぃるましいくとぅに、話(はな)しいんなんじゅさん。うりから食物(むぬ)かむしん他人(ちゅ)とぉー違とぉーい。ふぃるましいむんでぃちそうしが、仕事(しぐとぉ)かいん行かん。家(やー)うてぃ呑気怠慢(うったいもうたい)しさくとぅ、ある時(ばー)にうぬ兄(しーじゃ)ぬ、「私(わん)ねえー用事(ゆーじゅ)いぢちゅーくとぅ。」んち、さくとぅ妹(うっとぉー)、「ぬーがしみるする。留守番(やーぬばー)ぬ私(わー)すさ。やしが、後(あとぅ)から私(わん)ねえー畑(はる)かい行ちゅくとぅ、私(わー)がうらんうぇーまにちゅーらー、冷物(ふぃじゅるむのー)しごーかまんぐとぅ、あちらちかみよう。」んち、兄(しーじゃ)んかい言ち、後(あとぅ)から畑(はる)かい行ちゅんねーびーさーなかい、まじちゃーがすらんでぃうむやーなかい、家(やー)ぬ後(くし)からしらんふーなーし、家(やー)ぬ裏座(くちゃ)ぐゎんかいくまやーなかい、くゎっくぃてぃんちょーたくとぅ、ちゅてぇーさくとぅ、うぬ兄(しーじゃー)けーてぃちさーに、がさがさ、台所(しむ)うてぃすんねぇーさぎいしが、ぬーそうがやーんでぃうむてぃ、くゎっくぃてぃうぬままんちょーたくとぅ、後(あとぉー)かまぎーせーぬーがやら、普通(あたいめー)ぬ人(ちゅ)ぬかむしとぉ違てぃ、がさがささぎーしが、火(ふぃー)ちきてぃ鍋(なーび)んかいいっちょーし、あちらちかむる様子(よーし)んねえらん、ぬーすがやーんちんちょたくとぅ、血(ちー)んたらたらそうる生肉(なまじし)、鬼(うに)ぬ顔(ちら)なとぉーてぃ、ぱくないかまぎーしんーぢゃーに、「とぉーくれえー鬼(うに)るやてぇーる。」んち、うぬ妹(うっとぉー)ふとぅふとぅし、いちょねえー、うれえーうちかまーに、水(みじ)し全部(むる)かちあれてぃ、鬼(うに)ぬ姿(しがた)から人(ちゅ)ぬ姿(しがた)んかいなやーに、またとぅんじたくとぅ、うぬ思うと(うっとぉー)しらんふーなーしんぢゃーなかい、うぬ先(さち)ぬ夜(ゆる)、兄(しーぢゃ)ぬ、「なー私達(わったー)や、君(やー)ん夫(うとぉ)むたん、私(わん)にん妻(とぅぜー)とぅめーらんむん、二人(たい)夫婦(みーとぅんだ)ないみなー。」んち、笑とぉーてぃ、言ゃぎーたしが、「とぉーなーくれえー鬼(うに)るやるむん、くりが妻(とぅじ)んでぇーなたんどぉーやれえー、うちくゎーってぃ一大事(いちでぇーじ)。」んでぃうむやーなかい、しらんふーなーし、けーてぃんぢ、兄(しーじゃー)じこーぬ餅(むち)じょうぐーやくとぅ、月桃餅(さんにんムーチー)ちゅくてぃくぃりよるやるんちさーに、畑(はたき)からけーてぃちから、米(くみ)ふぃちさくとぅ、兄(しーじゃ)ぬ、「ぬーそうが。」んでぃ言ちゃくとぅ、妹(うっとぉー)、「なーあぬー、兄(やっちー)や餅(むちぇー)じょうぐやしがなげーかでぇーんだんむん、でぃー餅(むち)ちゅくてぃかまな。」んでぃ言ちゃくとぅ、「いいー、上等(じょーとうー)やさー。」んち、うっさくゎったーしさーなかい、夕方(ゆさんでぃ)までぃねえー餅(むち)んちゅくてぃ、だてぇーん月桃(さんにん)ぬ葉(ふゎー)んかいちちでぇーる餅(むち)んちゅくてぃさーなかい、兄(しーぢゃ)んかい、「今日(ちゅー)や、うぬ餅(むち)ん酒(さき)んむちゃーなかい、なー師走(しわし)んなーなてぇーうしが、まーがたんじ、人(ちゅ)ぬうらん所(とぅくま)うてぃ、あぬー話(はな)しいしんだな。」んち話(はな)しいさくとぅ、うぬ前(めー)ぬ夜(ゆる)、兄(しーじゃ)ぬ、「なー君(やー)ん夫(うとぉー)うらんあい、私(わん)にん妻(とぅぜー)うらんくとぅ、二人(たい)夫婦(みーとぅんだ)ないしるませーあらに。」んち話(はな)しいんぢゃちぇーてぇーくとぅ、うぬ兄(しーじゃー)、いやでぃんうぬ話(はな)しい、ちかするはじんち、酒(さき)んむっち餅(むち)んむっち、まーがな人(ちゅ)ぬうら所(とぅくま)んかいんち、んぢゃくとぅ、くせー断崖(ちりばんた)やしが、んまんかい崖(はんたー)後(くし)なち、兄(しーじゃー)いしてぃ、色々(いるん)なゆぬ中ぬ話(はな)しいさがなー、「とぉー餅(むち)ん腹一杯(ちゅふゎーら)かめー。だてぇーんちゅくてぃちぇーん。」でぃちさがなー、兄(しーじゃ)ぬ側(すば)んかいゆてぃ行ちゅしんでぇー、うぬ妹(うっとぉー)着物(ちん)ぬ下(しちゃ)からーぬーんちちぇーねえーん。昔(んか)せー沖縄(うちなー)ぬ人(ちょー)ぬーんちらんどぅあくとぅ、うぬままるやしが、帯(うーび)よーみとぉーる所(とぅくま)から、次第(しでぇー)に前(めー)ぬあちゃーなかい、下(しちゃ)んまるみー、うりから、腹(わた)ん、胸元(んに)ん次第(しでぇー)にみーてぃさくとぅ、兄(しーじゃ)、「あはー先日(くぬめー)にあん言ちゃくとぅ、今日(ちゅー)やなー、夫婦(みーとぅんだ)なてぃんしむでぃちるやがやー。」んち、妹(うっとぅ)が、胸(んに)ぬ両方(どぉーほー)ぬ乳房(ちー)ぬあちゃくとぅ、兄(しーじゃ)ぬ、「いぇー、君(やー)むのーうまぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、妹(うっとぅ)ぬ、「うま乳城(ちーぐしく)。」んでぃ言ちゃくとぅ、「えーあんどぅやみ。」んち言ちさくとぅ、次第(しでぇー)に下(しちゃ)んーぢゃーなかい、臍(ふす)ぬ穴ぬあちょーしんーぢゃーなかい、「うまーぬーやが。」んでぃ言ちゃくとぅ、「うまー臍口平畑(ふすぐちとぉーばる)んでぃ言ん。」でぃ言ちゃくとぅ、男(いきが)ぬあまみーくまみーさくとぅ、餅(むち)ん酒(さき)ん、うりが側(すば)んかい、ゆしやーゆしやーし、女(いなぐ)んゆてぃちゃくとぅ、うぬ男(いきがー)、「あーなー妻(とぅじ)なてぃんしむんでぃち、やさやーんでぃちうむいがなー、自分(どぅー)ん後(くし)んかい、しんちゃーしんちゃーし、崖(はんた)ぬ上(うぃ)んかいちょーせーわからん。あんしさくとぅ、後(あとぅ)んでぃ言いねえー、二本(たーち)ぬ脚(ふぃさ)あきてぃ、下(しちゃ)ぬまるあちさくとぅ、兄(しーじゃ)ぬ、「あんしうまーぬーんでぃ言ゅが。」んでぃ言ちゃくとぅ、妹(うっとぉー)、「うまー鬼喰口(うにくぇーぐち)。」んでぃ、妹(うっとぅ)ぬ言ちゃくとぅ、「ヒィー。」んでぃる言ちゃる、とぅんたちゅんでぃしいねえー、片手(かたでぃー)や酒(さき)、片手(かたでぃー)や餅(むち)むっちょーくとぅ、立ち上がいんちすしとぉ同時(まじゅ)ん、うぬ妹(うっとぅ)ぬうしけーらちゃくとぅ、後(くし)ぬ崖(はんた)んかいうてぃやーなかい、うぬ鬼(うねー)死亡(けーしぢ)さくとぅ、うぬ妹(うっとぉー)家(やー)かいけーてぃ行ちゃーに、餅(むち)煮ちぇーる。餅(むち)ゆでぃ汁またあちらさーに、鬼(うに)ぬ足(ふぃさ)焼き、んでぃち、じょーんかいはにまちさくとぅ、うんにんから、鬼(うねー)くーんたんでぃ。丁度(ちょーどぅ)うぬ日(ふぃー)ぬ、旧ぬ師走(しわーし)ぬ八日(はちにち)なやーなかい、うんにんからー、うぬ餅(ムーチー)や、鬼(うに)んかいくゎーさーなかい、鬼(うに)くるちゃる食物(くぇーむん)なやーに、鬼餅(うんにんムーチー)んでぃん言ゅしが。なーてぃーちぬ名(なー)や、ホーハイ餅(ムーチー)んでぃち、女(いなぐ)ぬホーハトォーてぃ、鬼(うに)んかい餅(むち)くぃやーに、鬼(うに)くるちゃんでぃち、ホーハイ餅(ムーチー)んでぃ言ゅる。うりから、月桃(さんにん)ぬ餅(ムーチー)んでぃん言しが、うれえー月桃(さんにん)ぬ葉(ふゎー)んかいちちでぃゆでぃーくとぅ、うぬ餅(ムーチー)しいてぃ、月桃(さんにん)ぬかばし、じこー美味(まーさ)る餅(ムーチー)やしが、うりんかえー月桃餅(さんにんムーチー)んでぃん言ん。餅(ムーチー)ぬ話(はな)しい。〔共通語訳〕 鬼餅(ムーチー)の話。これは旧暦の師走の八日に、鬼餅(ムーチー)を作って食べて、また各人が自分の年の数だけ縄で縛ってつり下げるが、これは月桃(さんにん)の葉で包んで蒸すので、月桃餅(さんにんムーチー)とも言うが、鬼餅(うんにんムーチー)ともいうし、またホーハイ餅(ムーチー)ともいうが、それでは、なぜホーハイ餅(ムーチー)というかと言うと、その理由は。昔、兄妹(きょうだい)二人いたが、この妹は大変な美人だがどこにも嫁に行かず、親達も亡くなっているので、二人で夫婦の様にして暮らしているが、その兄というのは、まったく人と異なり、他人の様にはせず、あれもこれも全部人とは違った仕様仕方をしていた。すると妹は、これは兄も結婚しないので、自分も結婚できないでいるが、珍しい事に、話し合いもあまり無く、それから食べ物を食べるのも人とは違っているので、珍しい事だと思っているが、仕事にも行かずに家でぶらぶらして暮らしているが、或る時その兄が、「私は用事に行ってくる。」と言いますと、妹は、「ああいいですよ、留守番は私がしますから。でも後で私も畑に行きますから、もし私が居ない間に帰ってきたら、冷たい物はそのまま食べないで、温めて食べて下さいね。」と兄に言って、後から畑に行く真似をして途中から帰り、「いったいどうするのだろう。」と思って、家の後ろの方から裏の座敷に入り、引き籠もって隠れて見ていたから、暫くすると、その兄が帰ってきて、何か台所の方でガサガサしている様子だが、何をしているのだろうと思って、隠れてそのまま見ていると、何か食べているが注意して見ていると、何だか、普通の人の食べ物とは違って、ガサガサしているが、火をつけて鍋に入っているのを温めて食べている様子もない。何をするのだろうと見ていると、血の垂れている生肉を、鬼の顔になってパクパク食べているのを見て、「ああ、これは鬼だったのか。」と思い、その妹は震えながら座っていると、鬼はそれを全部喰い尽くして、水で全部洗い流し、鬼の顔から人間の顔になってまた飛び出して行くと、その妹は知らん顔で出ていき、昨夜この兄が、「私達は、お前も夫がいない。私も妻はいないから、二人で夫婦になろうか。」と言って笑っていたのを思い出して、「ああもう、鬼の妻にでもなったら喰い尽くされてしまって大変だ。」と思い、それで知らん顔して畑から帰ってきて、兄はとっても餅が好物だったから、月桃餅(さんにんムーチー)を作って食べさせようと思い、畑から帰ってきてお米を挽いていると、兄が、「何をしているのか。」と言いますと、妹は、「もうあのう、兄さんは餅が好物だが永い間食べてないから、今度は餅を作って食べよう。」と言いますと、兄は、「ううん、それは上等だ。」と、喜び勇んでいますと、夕方頃には餅もできまして、たくさん月桃(さんにん)の葉に包んだ餅ができたので、兄に、「今日はこの餅もお酒も持ってから、師走になっているが、どこかに行って人のいない所で話し合いましょう。」と言いますと、その前の夜、兄が、「もうお前も夫がいないし、私も妻がいないから、二人で夫婦になるのが良いではないか。」と、話を出してあったから、この兄はたぶんその事についての話を聞かせるはずと思い、酒を持って餅も持って、どこか人のいない所にと探していたら、後ろは断崖だが、そこで崖を後ろにして兄に座らせ、いろいろ世間話をしながら、「はい、餅も腹一杯食べなさい。たくさん作ってきました。」と話しながら兄の側にすり寄りますと、その妹は着物の下からは何も着けていません。胸の方も肌着は着けていません。昔の沖縄の人は大方その様にして、上部はそのままですが、帯を緩めてありますので、そこから次第に前の方が開いて、下の方も丸見え。それからお腹も胸元も次第に見えてくると、兄は、「ああ、先日の夜あの話をしたので、今日はもう、夫婦になってもよいと思っているのだな。」と思っていたら、胸元の両方の乳房が開いていたので、兄が、「おい、お前のそれは何か。」と言いますと、妹は、「そこは乳の城です。」と話しますと、「ええそうか。」と言いながら、次第に下の方を見ながら、臍の穴の開いているのを見て、「そこは何か。」と言いますと、「そこは臍口平畑と言います。」と答えますと、男はあっちこっち見ていると、餅も酒も兄の側に寄せながら、妹も寄ってくるので、兄は、「ああ、もう妻になってもよいと思っているのだな。」と思いながら、押されて、自分も次第に後ろに退き、崖の上に来ているのがわかりません。そうすると、最後に妹が、二つの足を開けて下の方を全開しますと、兄が、「それで、そこは何というのか。」と言いますと、妹は、「そこは鬼を喰う口。」と言いますと、「ひええ。」と叫んで飛び立とうとしますと、片手にはお酒を持ち、片手に餅を持ったまま立ち上がると同時に、妹が押し倒しますと、後ろの崖に墜落して、その鬼は死んだのです。するとその妹は実家に帰っていき、餅を煮た煮汁を加熱して、「鬼の足焼け。」と言いながら、戸外に振りまいたのです。するとそれからは、鬼は来なくなったのです。丁度その日が、旧暦の師走の八日だったのです。その時から、その餅の煮汁は鬼の足を焼くし、また、餅は食べさせて鬼を殺した食べ物という事で、鬼餅(うんにんムーチー)ともいうが、もう一つの名はホーハイ餅(ムーチー)といって、女が陰部を見せながら鬼に餅を食べさせて、鬼を退治したのでホーハイ餅(ムーチー)という様になっているが、月桃餅(さんにんムーチー)ともいう。それは、月桃(さんにん)の葉で包んで蒸すので、月桃(さんにん)の香りが餅にうつり、大変香ばしく、またとても美味しい餅で、それには月桃餅(さんにんムーチー)ともいう。餅(ムーチー)の話。識名隆人翻字 T5B1 |
| 全体の記録時間数 | 8:21 |
| 物語の時間数 | 8:21 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |