〔方言原話〕 くれー、上原組(うぃーばるぐみ)ぬ山瑞慶覧(やまーじきらん)ぬカミー叔父(うんちゅー)が、召集さりみそうち、明後日出発(あさてぇーたち)みせーんでぃる夜(ゆる)、山瑞慶覧(やまーじきらん)うてぃ校長瑞慶覧(こーちょーじきらん)ぬ、朝敏(ちょうびん)兄さんが、話(はな)しいしみせーたる、中城(なかぐしく)ぬ美女(ちゅらいなぐ)ぬ話(はな)しい。うぬ当時(とぅじ)や、朝敏(ちょうびん)兄さのー中城(なかぐしく)うてぃ、歯科医院(はーいさ)そうみせーたん。昔中城(んかしなかぐしく)んかいじこーぬ美女(ちゅらいなぐ)ぬうまりてぃ、ちらかーぎーちらさぬ、容姿(どぅーむちねー)から、人情(しなさき)ん、知恵(じんぶ)ぬんまんどぉる女(いなぐ)やたんでぃ。あんすくとぅ、間切中(まじりぢゅー)、他間切(たまじり)からん、ぬじゅまーがまんどぉーたんでぃしが、ある時(ばー)に、一人(ちゅい)ぬ美青年(ちゅらにーせー)が、うぬ女(いなぐ)ぬ井戸(かー)から水(みじ)くでぃちゅーしんぢゃーにうちふりてぃ、いくけーぬんかゆてぃみーちきてぃさくとぅ、あとぉー、女(いなぐ)んうりわかやーに、話(はな)しいさくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ別りーる時(ばー)に、「天(てぃん)ぬんかい、火(ふぃー)ちきてぃめんそうり。」んち、別りたくとぅ。うぬ青年(にーせー)や、家(やー)かいけーてぃいちゃーなかい、竿(そー)ぬ先(さち)んかい、灯節(とぅぶし)くんち、うりたてぃてぃかいむっち、上(うぃ)ぬ灯節(とぅぶし)んーちょーたくとぅ、隣(とぅない)ぬ物知祖母(むぬしりぱーぱー)が、「ぬーそうるばーが。」んちとぅたくとぅ、「私(わん)ねーじこぬ美女(ちゅらいなぐ)みーじけーせーしが、話(はな)しいさくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ、天(てぃ)ぬんかい火(ふぃー)ちきてぃめんそうり、んでぃいてぇーくとぅ、灯節(とぅぶし)んかい火(ふぃー)ちきてぃ、うぬ女(いなぐ)ぬ家(やー)んかいいちゅんでぃちゃん。」でぃいちゃくとぅ、うぬ祖母(パーパー)やわらてぃ、「いぇー、知恵不足者(さらぶりむん)。天(てぃ)ぬんかい火(ふぃー)ちきてぃくうんでぃせー、灯節(とぅぶし)んかい火(ふぃー)ちきてぃくーんでぃるばーやあらん。月(ちち)ぬんじらばくーんでぃる意味(ばー)るやる。」んち、ならーちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、ぐりーし、家(やー)かいんぢ、月(ちち)ぬ夜(ゆー)なたくとぅ、美女(ちゅらいなぐ)ぬ家(やー)ぬ、家(やー)ぬ側(すば)うてぃ話(はな)しいし、物語(むぬがたい)さーに、別りーる時(ばー)に、うぬ女(いなぐ)ぬ、「今度(くんどぉ)、馬二匹(んまたーち)んかい鞍一(くらてぃーち)かけてぃめんそうり。」んでぃち話(はな)しいさーに別りたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、家(やー)かいけーてぃ、鞍ぬまぎーちゅくてぃ、馬二匹(んまたーち)並びてぃかきんでぃすしが、ちゃーしんかかららんなたくとぅ、隣(とぅない)ぬ祖母(ぱーぱー)んかい話(はな)しいさくとぅ、「馬二匹(んまたーち)んでぃいせー、妊娠(かさぎ)とぉーる馬(んま)るやる。二匹(たーち)並びてぇーあらん。」でぃちならーちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、他人(ちゅ)ぬ妊娠(かさぎ)とぉーる馬(んま)かてぃちゃーに、うりんかい鞍かきてぃぬてぃんぢゃーに、また話(はな)しい物語(むぬがたい)さーに、別りーる時(ばー)に、「今度(くんどぉー)、何月何日(いちんいっか)めんそうり。」んち、別りてぃんぢゃんでぃ。やしが、うぬ青年(にーせー)や、今迄(なままでぃ)自分(どぅ)ぬ知恵(じんぶん)し、さるばーやーあらん。全部(むる)隣(とぅない)ぬ祖母(ぱーぱー)がる、ならちぇーくとぅ、本当(ふんとぉー)や知恵(じんぶ)のーいきらさるばーやくとぅ、うぬ日(ふぃー)なたくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ家(やー)んかいんぢゃれー、裏座ぬ入口(いりぐちー)ぬ戸(はしる)いふぇぐゎーあちさくとぅ、戸(はしる)あきてぃ内(うち)んかいいっちゃくとぅ、入口(いりぐちー)ぬ内(うち)んかえー会席御膳(くゎいしきうぢん)ぬんかい、冷御飯(ふぃぢゅるうぶん)とぅ、皮(かー)ぬちちょーる竹(だき)ぬ枝(ゆだー)ぬ御箸一本(うめーしかたぐー)とぅ米粒七、八(くみしじななち、やーち)に、小刀(しーぐ)ぬぬぢうちきてぃ、うぬ側(すば)んかえー鞘(しー)ぬうかっとぉーしが、うぬ女(いなごー)、胸(んに)んあきてぃ、乳房(ちー)ん布団(うーどぅ)ぬ上(うぃ)んかいまるんぢゃしさーに、枕元(まっくゎぐゎ)ぬんかえー、くーてぃ灯籠(とぅーる)ぬうかってぃさくとぅ、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)ん会席(くゎいしき)んゆーみーゆん。さくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、知恵(ぢんぶ)のーいきらさるあくとぅ、うぬ意味(ちむぇー)やわからん、小刀(しーぐ)とぅ竹(だき)ぬ枝(ゆだー)ぬ御箸(うめーし)とぅやーに、御橋(うめー)せえ二(たーち)んかいわやーに、御飯(うぶん)かむんちさくとぅ、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)ぬ女(いなぐ)ぬ、「貴方(うんじょうー)やーさるそうみせーるい。家(やー)かいけーみそうれー。」んでぃ言ちゃくとぅ、青年(にーせー)や、わけえーわからんなてぃ、家(やー)かいけーてぃ、倦怠憂鬱(うふとぅるばい)さくとぅ、今度(くんどぉー)隣(とぅない)ぬ祖母(ぱーぱー)がうりんーち、「ぬーが倦怠憂鬱(うふとぅるばい)そうる。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、「女(いなぐ)ぬくーんでぃ言たくとぅんぢゃしが、ぬーぬ話(はな)しいんねえらん、会席(くゎいしき)んかいありとぅくりとぅうかっとぉーしが、自分(どぅー)や蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)んかい、胸(んに)ん乳房(ちー)んまるんぢゃしにんてぃ、私(わー)が一本(かたぐー)御箸(うめーし)わてぃかむんちさくとぅ、貴方(うんじょうー)やーさるそうみせーるい。家(やー)かいけーみそうれー。んでぃ言たん。」でぃち、話(はな)しいさくとぅ、祖母(ぱーぱー)や、「貴方(やー)やぬーちぃーちわからん、大無知識(さらぶしじょー)やさ。あんせーかんげーてぃんーでぇー。会席(くゎいしき)んかいうちょーる御飯(うぶ)のーにーらんうぇーまー、一粒(ちゅしぢ)なー離りてぃふぃっちからんしが、熱(にち)んでゃちにーねえ、むちゃくなやーにふぃっちかてぃ離りらん。うりが冷(ふぃじゅ)てぃ、熱(にち)ぬねーらんないねえー、益々(ゆく)ん強(ちゅー)くふぃっちかてぃ離りらん。人(ちゅ)ぬ夫婦(みーとぅんだ)ん同様(いーぬぐとぅ)、熱(にち)ぬ冷(ふぃじゅ)てぃん、骨壺(かーみ)ぬ尻(ちび)てぃーちなてぃんしまびーんでぃる意味(ちむぇー)、又、皮(かー)ぬちちょーる竹(だき)ぬ枝(ゆだー)ぬ御箸(うめー)せー、竹(だけ)えー竹(だき)よう竹(だき)、んち、抱けー抱きよう抱(だき)、んでぃる意味(ばー)。米(くめー)くみんでぃる意味(ちむぇー)、小刀(しーご)ー鞘(しー)よう鞘(しー)、んち小刀(しーぐ)ぬぢーうちぇーせー、男(いきがー)小刀(しーぐ)、女(いなごー)鞘(しー)やくとぅ、小刀(しーぐ)鞘(しー)んかいいりり。貴方(うんじゅ)が小刀(しーぐ)、私(わー)鞘(しー)んかいしなーしんでぃ言ちょる意味(しじ)やくとぅ、貴方(やー)や会席(くゎいしき)ぬ小刀(しーぐ)鞘(しー)んかいしなーさーに、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)んかいいっちくーんでぃ言ちょー意味(ちむぇー)、あんすくとぅ、うり言葉(くとぅば)しいーねー、米(めー)から竹(だち)米くみ)小刀(しぐ)鞘(しー)ないくとぅ、いちまでぃん夫婦(みーとぅんだ)ぬ縁結(いんむし)ぶくとぅ、前(めー)から上(うぃ)んかいんぢ抱(だち)組(くまー)に小刀(しじ)鞘(しー)んかいいりーし待っち、胸(んに)ん乳房(ちー)んあきてぃみしてぇーせー、下(しちゃー)ぬーんちちぇーうらんどぉー、んでぃる意味(ばー)やくとぅ、貴方が(やー)がぬーんでぃんいやんぐとぅ、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)んかいやーに、着物全部(ちぬんむる)はじやーに、上(うぃー)んかいぬぶいねえー、会席(くゎいしき)女(いなぐ)ぬ側(はた)からんーじーねー、小刀、竹、米(しぐ、だち、くみ)、しぐ抱込(だちくみ)み、るやくとぅ、女(いなぐ)ん抱込(だちく)みーねー、小刀(しーぐ)、鞘(しー)んかいしなーち、夫婦(みーとぅんだ)ぬちぢしーねー、後世迄(あぬゆまでぃ)んむしばりーてぇーしが、貴方(やー)や大無知識(さらぶしじょー)るやくとぅ、なー今(なま)から貴方(やー)がんぢん話(はな)しいやならんさ。女(いなぐ)恥かかちねーらんむんぬ、又、会席(くゎいしき)ぬ品物(しなむのー)、女(いなぐ)ぬ口から、貴方(うんじゅ)が妻(とぅじ)なてぃんしまびーんでぇー言いぐりさくとぅ、あまうてぃんくまうてぃんうぬ話(はな)しいやちかーりるむんぬ、貴方(やー)やうりんわからんたんなー。」んち、話(はな)しいさくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、心痛(しんく)さーに病気(やんめー)かかてぃ、後(あとぉー)死亡(けーまーち)さくとぅ、友達、親戚達(どぅしぬちゃー、うぇーかぬちゃー)さーに、女(いなぐ)ぬ部落(しま)ぬみーゆる所(とぅくま)んかいんでぃちんでぃやーに、森(むい)ぬ側(すば)んかい墓ふいんちしーねー、反対からん、墓ふやーたーがちゃーぎーたんでぃ。あんし話(はな)しいさくとぅ、あぬ美女(ちゅらいなぐ)ぬ、男(いきが)うみーくがりさーに、死亡(けーまー)ちゃんでぃる、くとぅんかいなやーに、二人(たい)が墓並びてぃふやーにちゅくてぃ、両方(どぉーほー)んかい竹(だき)うぃたくとぅ、うぬ竹(だけー)風(かじ)ん吹ちんたっちからんなたくとぅ、両方(どぉーほー)ぬ親達(うやぬちゃー)が相談さーに、死亡(まー)し後(あとぅ)から夫婦(みーとぅんだ)なち、ちゅとぅんまぬ墓んかいいったくとぅ、いふぃぐゎーぬ風(かじ)ぬ吹ちん、両方(どぉーほー)ぬ竹(だけー)ちゅいしーじーし、一緒(まじゅん)なとぉーたんでぃ。あんし、うぬ森(むい)や今(なま)んあんでぃ。中城渡口(なかぐしくとぅぐち)から、与那原んかい行ちゅる道ぬ側(すば)んかいあんでぃ。〔共通語訳〕 この話は、上原組の屋号山瑞慶覧のカミ叔父さんが、召集で明後日出発なされるという日の夜、山瑞慶覧の家で、校長瑞慶覧の朝敏兄さんがお話しになった、中城の美女の話。この当時、朝敏兄さんは中城で歯科医院を開業なさっておられた。昔、中城に大変な美女が生まれて、顔立ちも美しく、容姿も端麗で、人情も厚く、知恵も豊かな女だったので、中城間切中、又、他の間切からも恋慕う人がいたそうだが、ある時、一人の美青年が、この女が井戸から水を汲んで来るのを見て一目惚れし、何度も通って見つめているうちに、彼女もこれを察して話をし、その娘は別れる時に、「天に火をつけておいでなさい。」と言って別れました。するとその青年は、家に帰って竿の先に灯節を結い付けて、それを持って上の灯節を見ていると、隣の物知り婆が、「何をしているのか。」と聞くと、「私は大変美しい娘見初めているが、その娘が、天に火をつけておいでなさい、と言ったので、灯節に火をつけてその娘の家に行こうと思っている。」と言うと「隣の婆は笑って、「おい、知恵不足者。天に火をつけておいでというのは、灯節に火をつけておいでといってるのではなく、月が上がったらおいで、と言っているのだ。」と教えました。すると、その青年は婆に御礼を言って家に帰り、月夜になると娘の家の側にでいろいろ話をして、別れる時にこの娘が、「今度は二匹の馬に鞍を一つおいておいでなさい。」と話して、別れました。するとその青年は家に帰り、特別大きな鞍を作って、二匹の馬を並べて乗せようとするが、どうしても乗せられない。それで隣の婆に話しますと、「馬二匹というのは妊娠している馬であって、二匹並べるのではない。」と教えると、その青年は他人の妊娠した馬を借りてきて鞍を置き、その馬に乗って行き、またいろいろ話をして別れる時に、「今度は何月何日においでなさい。」と言って別れました。しかし、この青年は今まで自分の知恵でやったのではなく、全部隣の婆が教えていたので、本当は知恵が少なかった。その日になってその女の家に行ってみると、裏座敷の入り口が少し開いているので戸を開けて内に入ると、入り口の裏側に会席御膳があり、冷えた御飯と、竹の枝のお箸一本と、米粒七、八粒、小刀とその鞘がおいてあった。その向こうには蚊帳を張って、中にはその娘が寝ていますが、その娘は胸元も乳房も布団の上に丸出し、枕元には小さい灯がついてて、会席もよく見える。するとその青年は、知恵が少ないからその意味がわからずに、小刀で竹のお箸を二つに割って、御飯を食べようとすると、蚊帳の中の娘が、「貴方はお腹を空かしているのですか。家に帰って下さい。」と言うので、青年はわけがわからず家に帰って憂鬱にしていると、今度は隣の婆がそれを見て、「何で憂鬱にしているのか。」と言うと、その青年は、「娘がおいでと言うので行ったのだが、何の話も無く会席御膳にあれとこれと置かれてあったが、自分は蚊帳の中で胸元も乳房も丸出しで寝ていて、私が一本の箸を割って御飯を食べようとすると、貴方はお腹を空かしているのですか。家に帰って下さい、と言われた。」と話すと、婆は、「お前は何一つ知らない無常識者だ。考えてみなさい。会席に置かれた御飯は、炊く前は一粒一粒離れているが、炊くと互いに引き合って離れない。それが冷えて熱が無くなると、益々強く引っ付き合って、決して離れない程固く引っ付く。人間の夫婦もこれと同様で、熱が無くなって骨壺の底一つになっても良いですという意味。又、竹は竹だよ竹、と言って、抱けは抱けだよ抱け、という意味。そして、米は組という意味。小刀は鞘だよ鞘というのは、抜いて置かれているのは、男は小刀、女は鞘だから、貴方の小刀を私の鞘に入れなさい、という意味だから、貴方は会席の小刀を鞘の中に入れて、蚊帳の内に入って来なさい、といっている意味だから、それを言葉でいうと、前(御飯)から抱(竹)き組(米)で、すぐ(小刀)やる(鞘)、そうするといつまでも夫婦の縁を結びますからと、前から上にいって抱き組んで小刀を鞘に入れるのを待って、胸元も乳房も開けて見せているのは、下には何も着けていません、という意味だから、貴方が何も言わずに蚊帳の内に入り、着物を全部脱いで上にのぼると、会席を女の方から見ると、すぐ(小刀)抱き(竹)込(米)、すぐ抱き込。女も抱き込むと、すぐ(小刀)さや(鞘)に入れて、夫婦の契りをすれば、後世までも結ばれたものを。お前は大無知識者だから、今から行っても話しはできないよ。女に恥をかかせてしまったのだから。又、会席の品物は、女の口から貴方の妻になっても良いですとは言いにくからで、あちらこちらでよくその話があると聞くのに、お前はそれも知らなかったのか。」と話すと、その青年は心痛のあまりに病気になり、亡くなってしまいました。すると友達や親戚が集まって、せめて娘の部落が見える所にと思い、森の側に墓を掘ろうとすると、反対側からも墓を掘る人達が来たので話をすると、美女が男を思い焦がれて亡くなったとの事で、二人の墓を並べて造り、両方に竹を植えたのですが、その竹はどんなに風が吹いても接する事がないので、これを見た両方の親達が相談して、亡くなったあと夫婦にして一か所の墓に入れると、少しの風が吹いても支え合って一緒になっているとの事です。そしてその森は今もあるそうです。中城渡口から与那原に行く道の側にあるそうだ。識名隆人翻字 T5A2
レコード番号 | 47O170038 |
---|---|
CD番号 | 47O17C005 |
決定題名 | 美女(方言) |
話者がつけた題名 | 美女(ちゅらゐなぐ) |
話者名 | 阿波根昌栄 |
話者名かな | あはごんしょうえい |
生年月日 | 19210309 |
性別 | 男 |
出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
記録日 | 19970217 |
記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
元テープ番号 | T05A02 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 本格昔話 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | 上原組の瑞慶覧朝賢さん召集の夜、朝敏兄さんより |
文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
キーワード | 中城の美女,天に火をつける,隣の物知り,二匹の馬に鞍一つ,小刀,竹 |
梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 くれー、上原組(うぃーばるぐみ)ぬ山瑞慶覧(やまーじきらん)ぬカミー叔父(うんちゅー)が、召集さりみそうち、明後日出発(あさてぇーたち)みせーんでぃる夜(ゆる)、山瑞慶覧(やまーじきらん)うてぃ校長瑞慶覧(こーちょーじきらん)ぬ、朝敏(ちょうびん)兄さんが、話(はな)しいしみせーたる、中城(なかぐしく)ぬ美女(ちゅらいなぐ)ぬ話(はな)しい。うぬ当時(とぅじ)や、朝敏(ちょうびん)兄さのー中城(なかぐしく)うてぃ、歯科医院(はーいさ)そうみせーたん。昔中城(んかしなかぐしく)んかいじこーぬ美女(ちゅらいなぐ)ぬうまりてぃ、ちらかーぎーちらさぬ、容姿(どぅーむちねー)から、人情(しなさき)ん、知恵(じんぶ)ぬんまんどぉる女(いなぐ)やたんでぃ。あんすくとぅ、間切中(まじりぢゅー)、他間切(たまじり)からん、ぬじゅまーがまんどぉーたんでぃしが、ある時(ばー)に、一人(ちゅい)ぬ美青年(ちゅらにーせー)が、うぬ女(いなぐ)ぬ井戸(かー)から水(みじ)くでぃちゅーしんぢゃーにうちふりてぃ、いくけーぬんかゆてぃみーちきてぃさくとぅ、あとぉー、女(いなぐ)んうりわかやーに、話(はな)しいさくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ別りーる時(ばー)に、「天(てぃん)ぬんかい、火(ふぃー)ちきてぃめんそうり。」んち、別りたくとぅ。うぬ青年(にーせー)や、家(やー)かいけーてぃいちゃーなかい、竿(そー)ぬ先(さち)んかい、灯節(とぅぶし)くんち、うりたてぃてぃかいむっち、上(うぃ)ぬ灯節(とぅぶし)んーちょーたくとぅ、隣(とぅない)ぬ物知祖母(むぬしりぱーぱー)が、「ぬーそうるばーが。」んちとぅたくとぅ、「私(わん)ねーじこぬ美女(ちゅらいなぐ)みーじけーせーしが、話(はな)しいさくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ、天(てぃ)ぬんかい火(ふぃー)ちきてぃめんそうり、んでぃいてぇーくとぅ、灯節(とぅぶし)んかい火(ふぃー)ちきてぃ、うぬ女(いなぐ)ぬ家(やー)んかいいちゅんでぃちゃん。」でぃいちゃくとぅ、うぬ祖母(パーパー)やわらてぃ、「いぇー、知恵不足者(さらぶりむん)。天(てぃ)ぬんかい火(ふぃー)ちきてぃくうんでぃせー、灯節(とぅぶし)んかい火(ふぃー)ちきてぃくーんでぃるばーやあらん。月(ちち)ぬんじらばくーんでぃる意味(ばー)るやる。」んち、ならーちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、ぐりーし、家(やー)かいんぢ、月(ちち)ぬ夜(ゆー)なたくとぅ、美女(ちゅらいなぐ)ぬ家(やー)ぬ、家(やー)ぬ側(すば)うてぃ話(はな)しいし、物語(むぬがたい)さーに、別りーる時(ばー)に、うぬ女(いなぐ)ぬ、「今度(くんどぉ)、馬二匹(んまたーち)んかい鞍一(くらてぃーち)かけてぃめんそうり。」んでぃち話(はな)しいさーに別りたくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、家(やー)かいけーてぃ、鞍ぬまぎーちゅくてぃ、馬二匹(んまたーち)並びてぃかきんでぃすしが、ちゃーしんかかららんなたくとぅ、隣(とぅない)ぬ祖母(ぱーぱー)んかい話(はな)しいさくとぅ、「馬二匹(んまたーち)んでぃいせー、妊娠(かさぎ)とぉーる馬(んま)るやる。二匹(たーち)並びてぇーあらん。」でぃちならーちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、他人(ちゅ)ぬ妊娠(かさぎ)とぉーる馬(んま)かてぃちゃーに、うりんかい鞍かきてぃぬてぃんぢゃーに、また話(はな)しい物語(むぬがたい)さーに、別りーる時(ばー)に、「今度(くんどぉー)、何月何日(いちんいっか)めんそうり。」んち、別りてぃんぢゃんでぃ。やしが、うぬ青年(にーせー)や、今迄(なままでぃ)自分(どぅ)ぬ知恵(じんぶん)し、さるばーやーあらん。全部(むる)隣(とぅない)ぬ祖母(ぱーぱー)がる、ならちぇーくとぅ、本当(ふんとぉー)や知恵(じんぶ)のーいきらさるばーやくとぅ、うぬ日(ふぃー)なたくとぅ、うぬ女(いなぐ)ぬ家(やー)んかいんぢゃれー、裏座ぬ入口(いりぐちー)ぬ戸(はしる)いふぇぐゎーあちさくとぅ、戸(はしる)あきてぃ内(うち)んかいいっちゃくとぅ、入口(いりぐちー)ぬ内(うち)んかえー会席御膳(くゎいしきうぢん)ぬんかい、冷御飯(ふぃぢゅるうぶん)とぅ、皮(かー)ぬちちょーる竹(だき)ぬ枝(ゆだー)ぬ御箸一本(うめーしかたぐー)とぅ米粒七、八(くみしじななち、やーち)に、小刀(しーぐ)ぬぬぢうちきてぃ、うぬ側(すば)んかえー鞘(しー)ぬうかっとぉーしが、うぬ女(いなごー)、胸(んに)んあきてぃ、乳房(ちー)ん布団(うーどぅ)ぬ上(うぃ)んかいまるんぢゃしさーに、枕元(まっくゎぐゎ)ぬんかえー、くーてぃ灯籠(とぅーる)ぬうかってぃさくとぅ、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)ん会席(くゎいしき)んゆーみーゆん。さくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、知恵(ぢんぶ)のーいきらさるあくとぅ、うぬ意味(ちむぇー)やわからん、小刀(しーぐ)とぅ竹(だき)ぬ枝(ゆだー)ぬ御箸(うめーし)とぅやーに、御橋(うめー)せえ二(たーち)んかいわやーに、御飯(うぶん)かむんちさくとぅ、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)ぬ女(いなぐ)ぬ、「貴方(うんじょうー)やーさるそうみせーるい。家(やー)かいけーみそうれー。」んでぃ言ちゃくとぅ、青年(にーせー)や、わけえーわからんなてぃ、家(やー)かいけーてぃ、倦怠憂鬱(うふとぅるばい)さくとぅ、今度(くんどぉー)隣(とぅない)ぬ祖母(ぱーぱー)がうりんーち、「ぬーが倦怠憂鬱(うふとぅるばい)そうる。」んでぃ言ちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、「女(いなぐ)ぬくーんでぃ言たくとぅんぢゃしが、ぬーぬ話(はな)しいんねえらん、会席(くゎいしき)んかいありとぅくりとぅうかっとぉーしが、自分(どぅー)や蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)んかい、胸(んに)ん乳房(ちー)んまるんぢゃしにんてぃ、私(わー)が一本(かたぐー)御箸(うめーし)わてぃかむんちさくとぅ、貴方(うんじょうー)やーさるそうみせーるい。家(やー)かいけーみそうれー。んでぃ言たん。」でぃち、話(はな)しいさくとぅ、祖母(ぱーぱー)や、「貴方(やー)やぬーちぃーちわからん、大無知識(さらぶしじょー)やさ。あんせーかんげーてぃんーでぇー。会席(くゎいしき)んかいうちょーる御飯(うぶ)のーにーらんうぇーまー、一粒(ちゅしぢ)なー離りてぃふぃっちからんしが、熱(にち)んでゃちにーねえ、むちゃくなやーにふぃっちかてぃ離りらん。うりが冷(ふぃじゅ)てぃ、熱(にち)ぬねーらんないねえー、益々(ゆく)ん強(ちゅー)くふぃっちかてぃ離りらん。人(ちゅ)ぬ夫婦(みーとぅんだ)ん同様(いーぬぐとぅ)、熱(にち)ぬ冷(ふぃじゅ)てぃん、骨壺(かーみ)ぬ尻(ちび)てぃーちなてぃんしまびーんでぃる意味(ちむぇー)、又、皮(かー)ぬちちょーる竹(だき)ぬ枝(ゆだー)ぬ御箸(うめー)せー、竹(だけ)えー竹(だき)よう竹(だき)、んち、抱けー抱きよう抱(だき)、んでぃる意味(ばー)。米(くめー)くみんでぃる意味(ちむぇー)、小刀(しーご)ー鞘(しー)よう鞘(しー)、んち小刀(しーぐ)ぬぢーうちぇーせー、男(いきがー)小刀(しーぐ)、女(いなごー)鞘(しー)やくとぅ、小刀(しーぐ)鞘(しー)んかいいりり。貴方(うんじゅ)が小刀(しーぐ)、私(わー)鞘(しー)んかいしなーしんでぃ言ちょる意味(しじ)やくとぅ、貴方(やー)や会席(くゎいしき)ぬ小刀(しーぐ)鞘(しー)んかいしなーさーに、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)んかいいっちくーんでぃ言ちょー意味(ちむぇー)、あんすくとぅ、うり言葉(くとぅば)しいーねー、米(めー)から竹(だち)米くみ)小刀(しぐ)鞘(しー)ないくとぅ、いちまでぃん夫婦(みーとぅんだ)ぬ縁結(いんむし)ぶくとぅ、前(めー)から上(うぃ)んかいんぢ抱(だち)組(くまー)に小刀(しじ)鞘(しー)んかいいりーし待っち、胸(んに)ん乳房(ちー)んあきてぃみしてぇーせー、下(しちゃー)ぬーんちちぇーうらんどぉー、んでぃる意味(ばー)やくとぅ、貴方が(やー)がぬーんでぃんいやんぐとぅ、蚊帳(かちゃ)ぬ内(うち)んかいやーに、着物全部(ちぬんむる)はじやーに、上(うぃー)んかいぬぶいねえー、会席(くゎいしき)女(いなぐ)ぬ側(はた)からんーじーねー、小刀、竹、米(しぐ、だち、くみ)、しぐ抱込(だちくみ)み、るやくとぅ、女(いなぐ)ん抱込(だちく)みーねー、小刀(しーぐ)、鞘(しー)んかいしなーち、夫婦(みーとぅんだ)ぬちぢしーねー、後世迄(あぬゆまでぃ)んむしばりーてぇーしが、貴方(やー)や大無知識(さらぶしじょー)るやくとぅ、なー今(なま)から貴方(やー)がんぢん話(はな)しいやならんさ。女(いなぐ)恥かかちねーらんむんぬ、又、会席(くゎいしき)ぬ品物(しなむのー)、女(いなぐ)ぬ口から、貴方(うんじゅ)が妻(とぅじ)なてぃんしまびーんでぇー言いぐりさくとぅ、あまうてぃんくまうてぃんうぬ話(はな)しいやちかーりるむんぬ、貴方(やー)やうりんわからんたんなー。」んち、話(はな)しいさくとぅ、うぬ青年(にーせー)や、心痛(しんく)さーに病気(やんめー)かかてぃ、後(あとぉー)死亡(けーまーち)さくとぅ、友達、親戚達(どぅしぬちゃー、うぇーかぬちゃー)さーに、女(いなぐ)ぬ部落(しま)ぬみーゆる所(とぅくま)んかいんでぃちんでぃやーに、森(むい)ぬ側(すば)んかい墓ふいんちしーねー、反対からん、墓ふやーたーがちゃーぎーたんでぃ。あんし話(はな)しいさくとぅ、あぬ美女(ちゅらいなぐ)ぬ、男(いきが)うみーくがりさーに、死亡(けーまー)ちゃんでぃる、くとぅんかいなやーに、二人(たい)が墓並びてぃふやーにちゅくてぃ、両方(どぉーほー)んかい竹(だき)うぃたくとぅ、うぬ竹(だけー)風(かじ)ん吹ちんたっちからんなたくとぅ、両方(どぉーほー)ぬ親達(うやぬちゃー)が相談さーに、死亡(まー)し後(あとぅ)から夫婦(みーとぅんだ)なち、ちゅとぅんまぬ墓んかいいったくとぅ、いふぃぐゎーぬ風(かじ)ぬ吹ちん、両方(どぉーほー)ぬ竹(だけー)ちゅいしーじーし、一緒(まじゅん)なとぉーたんでぃ。あんし、うぬ森(むい)や今(なま)んあんでぃ。中城渡口(なかぐしくとぅぐち)から、与那原んかい行ちゅる道ぬ側(すば)んかいあんでぃ。〔共通語訳〕 この話は、上原組の屋号山瑞慶覧のカミ叔父さんが、召集で明後日出発なされるという日の夜、山瑞慶覧の家で、校長瑞慶覧の朝敏兄さんがお話しになった、中城の美女の話。この当時、朝敏兄さんは中城で歯科医院を開業なさっておられた。昔、中城に大変な美女が生まれて、顔立ちも美しく、容姿も端麗で、人情も厚く、知恵も豊かな女だったので、中城間切中、又、他の間切からも恋慕う人がいたそうだが、ある時、一人の美青年が、この女が井戸から水を汲んで来るのを見て一目惚れし、何度も通って見つめているうちに、彼女もこれを察して話をし、その娘は別れる時に、「天に火をつけておいでなさい。」と言って別れました。するとその青年は、家に帰って竿の先に灯節を結い付けて、それを持って上の灯節を見ていると、隣の物知り婆が、「何をしているのか。」と聞くと、「私は大変美しい娘見初めているが、その娘が、天に火をつけておいでなさい、と言ったので、灯節に火をつけてその娘の家に行こうと思っている。」と言うと「隣の婆は笑って、「おい、知恵不足者。天に火をつけておいでというのは、灯節に火をつけておいでといってるのではなく、月が上がったらおいで、と言っているのだ。」と教えました。すると、その青年は婆に御礼を言って家に帰り、月夜になると娘の家の側にでいろいろ話をして、別れる時にこの娘が、「今度は二匹の馬に鞍を一つおいておいでなさい。」と話して、別れました。するとその青年は家に帰り、特別大きな鞍を作って、二匹の馬を並べて乗せようとするが、どうしても乗せられない。それで隣の婆に話しますと、「馬二匹というのは妊娠している馬であって、二匹並べるのではない。」と教えると、その青年は他人の妊娠した馬を借りてきて鞍を置き、その馬に乗って行き、またいろいろ話をして別れる時に、「今度は何月何日においでなさい。」と言って別れました。しかし、この青年は今まで自分の知恵でやったのではなく、全部隣の婆が教えていたので、本当は知恵が少なかった。その日になってその女の家に行ってみると、裏座敷の入り口が少し開いているので戸を開けて内に入ると、入り口の裏側に会席御膳があり、冷えた御飯と、竹の枝のお箸一本と、米粒七、八粒、小刀とその鞘がおいてあった。その向こうには蚊帳を張って、中にはその娘が寝ていますが、その娘は胸元も乳房も布団の上に丸出し、枕元には小さい灯がついてて、会席もよく見える。するとその青年は、知恵が少ないからその意味がわからずに、小刀で竹のお箸を二つに割って、御飯を食べようとすると、蚊帳の中の娘が、「貴方はお腹を空かしているのですか。家に帰って下さい。」と言うので、青年はわけがわからず家に帰って憂鬱にしていると、今度は隣の婆がそれを見て、「何で憂鬱にしているのか。」と言うと、その青年は、「娘がおいでと言うので行ったのだが、何の話も無く会席御膳にあれとこれと置かれてあったが、自分は蚊帳の中で胸元も乳房も丸出しで寝ていて、私が一本の箸を割って御飯を食べようとすると、貴方はお腹を空かしているのですか。家に帰って下さい、と言われた。」と話すと、婆は、「お前は何一つ知らない無常識者だ。考えてみなさい。会席に置かれた御飯は、炊く前は一粒一粒離れているが、炊くと互いに引き合って離れない。それが冷えて熱が無くなると、益々強く引っ付き合って、決して離れない程固く引っ付く。人間の夫婦もこれと同様で、熱が無くなって骨壺の底一つになっても良いですという意味。又、竹は竹だよ竹、と言って、抱けは抱けだよ抱け、という意味。そして、米は組という意味。小刀は鞘だよ鞘というのは、抜いて置かれているのは、男は小刀、女は鞘だから、貴方の小刀を私の鞘に入れなさい、という意味だから、貴方は会席の小刀を鞘の中に入れて、蚊帳の内に入って来なさい、といっている意味だから、それを言葉でいうと、前(御飯)から抱(竹)き組(米)で、すぐ(小刀)やる(鞘)、そうするといつまでも夫婦の縁を結びますからと、前から上にいって抱き組んで小刀を鞘に入れるのを待って、胸元も乳房も開けて見せているのは、下には何も着けていません、という意味だから、貴方が何も言わずに蚊帳の内に入り、着物を全部脱いで上にのぼると、会席を女の方から見ると、すぐ(小刀)抱き(竹)込(米)、すぐ抱き込。女も抱き込むと、すぐ(小刀)さや(鞘)に入れて、夫婦の契りをすれば、後世までも結ばれたものを。お前は大無知識者だから、今から行っても話しはできないよ。女に恥をかかせてしまったのだから。又、会席の品物は、女の口から貴方の妻になっても良いですとは言いにくからで、あちらこちらでよくその話があると聞くのに、お前はそれも知らなかったのか。」と話すと、その青年は心痛のあまりに病気になり、亡くなってしまいました。すると友達や親戚が集まって、せめて娘の部落が見える所にと思い、森の側に墓を掘ろうとすると、反対側からも墓を掘る人達が来たので話をすると、美女が男を思い焦がれて亡くなったとの事で、二人の墓を並べて造り、両方に竹を植えたのですが、その竹はどんなに風が吹いても接する事がないので、これを見た両方の親達が相談して、亡くなったあと夫婦にして一か所の墓に入れると、少しの風が吹いても支え合って一緒になっているとの事です。そしてその森は今もあるそうです。中城渡口から与那原に行く道の側にあるそうだ。識名隆人翻字 T5A2 |
全体の記録時間数 | 8:40 |
物語の時間数 | 8:40 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | ◎ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |