〔方言原話〕 くれー、棺箱(くゎんばく)んかい、何故(ぬーんち)宝箱(たからばく)んでぃ言(いゅ)がんでぃる話い。昔(んかし)、あるとぅくまんかい、貧乏者(ふぃんすーむん)ぬ老夫婦(とぅすぃみいとぅんだ)ぬめんせーたんでぃしが、大晦日(とぅしぬゆるー)なてぃん二人(たい)し火正月(ふぃーそーぐゎち)さーやーんち、火(ふぃー)燃(めー)ち、正月(そーぐゎち)さがなー話いし、「私達(わったー)や、誠(まくとぅ)そーてぃ、人助(ちゅだし)きすんでぃ、金銭(ぢんかねー)儲(もー)きゆーさんしが、今(なま)までぃ、陰徳(いんとぅく)儲(もー)きてーくとぅ、徳(とぅく)ぬ有(あ)れー、黄金(くがに)んうがむんどー、人間(にんじ)のー誠(まくとぅ)る第一(でーいち)どー。」んち、話いさがなー、「あまぬ墓んかえー、宝ぬ入(いっ)ちょーる箱(はく)ぬ有(あ)んでぃしがやー、有(あ)みせーるとぅくろー、うー事(ぐとぅ)やー。」んち、話いさくとぅ、家(やー)ぬ外(ふか)うてぃ、立ち聞(ぢ)ちそーる盗人(ぬすどぅ)ぬ、うぬ話い聞(ち)ちゃーに、「くぬ人達(ちゅぬちゃー)や、世間(しきん)うてー、じこー誠(まくとぅ)な者(むん)でぃる話いやくとぅ、くぬ人達(ちゅぬちゃー)が嘘(ゆくしむにー)ぬ話(はなしー)やさん筈(はじ)。」んち、うぬ墓んかい行(いん)ぢゃーに、開(あ)きてぃ見(んー)ちゃくとぅ、なるふどぅ、箱(はく)ぬ有(あ)る、くれー本当(ふんとー)やさやーんち、うぬ箱(はく)開(あ)きてぃ見(んー)ちゃくとぅ、中(なーか)、ハブぬみっちゃかてぃさくとぅ、盗人(ぬすどぅ)、たましちんぬぎやーに、「くぬひゃー、やなたんめーぐゎー達(たー)や、私(わー)が立ち聞(ぢ)ちそーしわかやーに、私(わん)ハブんかい喰(くぃー)付(ち)きらすんでぃち、嘘(ゆくしむにー)せーさやー、とーあんやらー、反対にくぬハブ持(むっ)ち行(いん)ぢゃーに、あったー喰(くぃー)付(ち)きらしはるないる。」んち、うぬ箱(はく)担(かた)みてぃちゃーに、屋根(やー)ぬ頂上(いりちゃ)ぬ下側(しちゃむち)ぬふちばやんぢゃーに、んまから、家(やー)ぬ中(うち)んかい、うぬハブ投(な)ぎんちゃくとぅ、家(やー)ぬ中(うち)うてーうぬハボー黄金(くがに)なてぃ、バラバラ落(う)てぃてぃさくとぅ、老夫婦(とぅすぃみいとぅんだー)、「うねうね、今(なま)ねー、黄金(くがに)ぬ拝(うが)まっとーん、やー、御前(んめー)、誠(まくとぅー)、、陰徳(いんとぅく)儲(もー)きとーちーねー、後(あとー)、黄金(くがに)ん拝(うが)まりんどー。」んち、うっさそーみせーたんでぃ。あんさくとぅ、うんにんからー、棺箱(くゎんばく)んかえー宝箱(たからばく)んでぃ言(いゅ)るぐとぅなとーんでぃ。〔共通語訳〕 これは、棺箱に何故宝箱と言うのか、というお話。昔あるところに、貧乏者の老夫婦がおったそうだが、大晦日になっても何一つ食べるものが無いので、仕方がないから二人で火を燃やして、火正月をやろうということになり、火を燃やして正月をしながらの話し合いは、「私達、誠一筋で人助けをするためにお金も儲けることはできなかったが、今まで陰徳を沢山儲けたから、徳があれば黄金も授かるだろう。人間は誠が第一だ。」と話した後、「あそこの墓には宝物の入った棺箱があるという話を聞いたが、お金の沢山ある人は良いねえ。」と話し合っていますと、家の外で立ち聞きしていた盗人は、その話を聞いて、「この人達は世間の人の話では非常に誠な者だとの話だから、この人達が嘘をつくような事はない筈。」と思ってその墓に行って開けてみると、なるほど、棺箱が置いてあり、これは本当だったのだと思い、その棺箱を開けてみると、中は蛇が満杯入っているので盗人はびっくり仰天し、「この悪爺婆達、私が立ち聞きしているのをわかり、それで私を蛇に食いつかせるために嘘をついたのだなあ。よし、それでは、反対にこの蛇を持って行って、かれらに食いつかせてやろう。」と言うことで、その棺箱を担いできて、屋根の頂上より少し下側の斜めになった所を壊して、そこから家の中にその蛇を投げ入れると、家の中ではその蛇は、みんな黄金になってパラパラと落ちましたので、老人夫婦は、「ほれほれ、今度は黄金が拝まれた、見てごらんおばあさん、誠を尽くして陰徳を儲けておくと、あとは黄金も拝まれるんだよ。」と言い合って喜んだそうである。そのようなことがあって、その時から棺箱のことを宝箱というようになったとの話。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T3B6
| レコード番号 | 47O170028 |
|---|---|
| CD番号 | 47O17C003 |
| 決定題名 | 宝箱(方言) |
| 話者がつけた題名 | 宝箱(棺箱) |
| 話者名 | 阿波根昌栄 |
| 話者名かな | あはごんしょうえい |
| 生年月日 | 19210309 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
| 記録日 | 19970217 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T03B07 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
| キーワード | 火正月,棺箱,盗人,蛇,黄金 |
| 梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 くれー、棺箱(くゎんばく)んかい、何故(ぬーんち)宝箱(たからばく)んでぃ言(いゅ)がんでぃる話い。昔(んかし)、あるとぅくまんかい、貧乏者(ふぃんすーむん)ぬ老夫婦(とぅすぃみいとぅんだ)ぬめんせーたんでぃしが、大晦日(とぅしぬゆるー)なてぃん二人(たい)し火正月(ふぃーそーぐゎち)さーやーんち、火(ふぃー)燃(めー)ち、正月(そーぐゎち)さがなー話いし、「私達(わったー)や、誠(まくとぅ)そーてぃ、人助(ちゅだし)きすんでぃ、金銭(ぢんかねー)儲(もー)きゆーさんしが、今(なま)までぃ、陰徳(いんとぅく)儲(もー)きてーくとぅ、徳(とぅく)ぬ有(あ)れー、黄金(くがに)んうがむんどー、人間(にんじ)のー誠(まくとぅ)る第一(でーいち)どー。」んち、話いさがなー、「あまぬ墓んかえー、宝ぬ入(いっ)ちょーる箱(はく)ぬ有(あ)んでぃしがやー、有(あ)みせーるとぅくろー、うー事(ぐとぅ)やー。」んち、話いさくとぅ、家(やー)ぬ外(ふか)うてぃ、立ち聞(ぢ)ちそーる盗人(ぬすどぅ)ぬ、うぬ話い聞(ち)ちゃーに、「くぬ人達(ちゅぬちゃー)や、世間(しきん)うてー、じこー誠(まくとぅ)な者(むん)でぃる話いやくとぅ、くぬ人達(ちゅぬちゃー)が嘘(ゆくしむにー)ぬ話(はなしー)やさん筈(はじ)。」んち、うぬ墓んかい行(いん)ぢゃーに、開(あ)きてぃ見(んー)ちゃくとぅ、なるふどぅ、箱(はく)ぬ有(あ)る、くれー本当(ふんとー)やさやーんち、うぬ箱(はく)開(あ)きてぃ見(んー)ちゃくとぅ、中(なーか)、ハブぬみっちゃかてぃさくとぅ、盗人(ぬすどぅ)、たましちんぬぎやーに、「くぬひゃー、やなたんめーぐゎー達(たー)や、私(わー)が立ち聞(ぢ)ちそーしわかやーに、私(わん)ハブんかい喰(くぃー)付(ち)きらすんでぃち、嘘(ゆくしむにー)せーさやー、とーあんやらー、反対にくぬハブ持(むっ)ち行(いん)ぢゃーに、あったー喰(くぃー)付(ち)きらしはるないる。」んち、うぬ箱(はく)担(かた)みてぃちゃーに、屋根(やー)ぬ頂上(いりちゃ)ぬ下側(しちゃむち)ぬふちばやんぢゃーに、んまから、家(やー)ぬ中(うち)んかい、うぬハブ投(な)ぎんちゃくとぅ、家(やー)ぬ中(うち)うてーうぬハボー黄金(くがに)なてぃ、バラバラ落(う)てぃてぃさくとぅ、老夫婦(とぅすぃみいとぅんだー)、「うねうね、今(なま)ねー、黄金(くがに)ぬ拝(うが)まっとーん、やー、御前(んめー)、誠(まくとぅー)、、陰徳(いんとぅく)儲(もー)きとーちーねー、後(あとー)、黄金(くがに)ん拝(うが)まりんどー。」んち、うっさそーみせーたんでぃ。あんさくとぅ、うんにんからー、棺箱(くゎんばく)んかえー宝箱(たからばく)んでぃ言(いゅ)るぐとぅなとーんでぃ。〔共通語訳〕 これは、棺箱に何故宝箱と言うのか、というお話。昔あるところに、貧乏者の老夫婦がおったそうだが、大晦日になっても何一つ食べるものが無いので、仕方がないから二人で火を燃やして、火正月をやろうということになり、火を燃やして正月をしながらの話し合いは、「私達、誠一筋で人助けをするためにお金も儲けることはできなかったが、今まで陰徳を沢山儲けたから、徳があれば黄金も授かるだろう。人間は誠が第一だ。」と話した後、「あそこの墓には宝物の入った棺箱があるという話を聞いたが、お金の沢山ある人は良いねえ。」と話し合っていますと、家の外で立ち聞きしていた盗人は、その話を聞いて、「この人達は世間の人の話では非常に誠な者だとの話だから、この人達が嘘をつくような事はない筈。」と思ってその墓に行って開けてみると、なるほど、棺箱が置いてあり、これは本当だったのだと思い、その棺箱を開けてみると、中は蛇が満杯入っているので盗人はびっくり仰天し、「この悪爺婆達、私が立ち聞きしているのをわかり、それで私を蛇に食いつかせるために嘘をついたのだなあ。よし、それでは、反対にこの蛇を持って行って、かれらに食いつかせてやろう。」と言うことで、その棺箱を担いできて、屋根の頂上より少し下側の斜めになった所を壊して、そこから家の中にその蛇を投げ入れると、家の中ではその蛇は、みんな黄金になってパラパラと落ちましたので、老人夫婦は、「ほれほれ、今度は黄金が拝まれた、見てごらんおばあさん、誠を尽くして陰徳を儲けておくと、あとは黄金も拝まれるんだよ。」と言い合って喜んだそうである。そのようなことがあって、その時から棺箱のことを宝箱というようになったとの話。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T3B6 |
| 全体の記録時間数 | 2:09 |
| 物語の時間数 | 2:09 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |