古猫(方言)

概要

〔方言原話〕 古猫(ふるまやー)ぬ話い。昔(んかせー)猫(まやー)や十年(じゅーにん)余てぃ、養(ちちな)いるむのーあらん、でぃ言(いゅ)る話やしが、昔(んかし)あるとぅくるんかい、小(くー)さいにから大変(じこー)かなさそーる猫(まやー)養(ちかな)とーる家庭(ちねー)ぬあたんでぃ。うぬ猫(まやー)や、小(くー)さいにから養(ちかな)てぃるうくとぅ、子供達(わらばーたー)、二人(たい)、三人(みっちゃい)産(な)ちょーる親達(うやぬちゃー)やしが、近頃(ちかぐる)、模様(むよー)ぬ変(か)わてぃ、畑(はる)んかい行(いん)ぢ、ちーねー、子供達(わらばーたー)ん誰(たー)ん居(う)らんしが、むる、ありん、くりん、煮(に)ちぇーる物(むん)から煮(に)らん物(むん)までぃねーらんなてぃしーさくとぅ、くれー誰(たー)ががすら、見(みー)当(あ)てぃらはるやる、んち、畑(はる)かえー行(いん)ぢやーなかい、うぬ女主人(いなぐぬーせー)、夫(うとぅ)んかい、「なーやうまうてぃ畑(はる)そーきよー、私(わん)ねー行(いん)ぢ見(んー)だいー盗人(ぬすどぅ)ぬが入(いー)ら、ぬーぬが入(いー)ら、物(むん)ぬねーらんなてぃならん。」でぃ言(い)ち、家(やー)かい帰(けー)てぃ静(ゆーし)かてーんぐゎー台所(しむ)ぬ側(すば)んかい忍(ぬ)ばがてぃ、雨戸(はしる)ぬ節穴(ふしふぎ)ぬ穴(みー)から見(んー)ちゃくとぅ、猫(まやー)ぬ戸棚(とぅだな)ぐゎー開(あ)きてぃ、干鰯(だし)ぐゎーぬーん全部(むる)うち食(くゎ)いぎーん、とーなー、うっさがやーんでぃ思(うむ)たくとぅ、今度(くんどー)鍋(なーび)ぬ蓋ぬ把手(てぃ)んかい食(くぃー)たちゃーに、後足(しりー)ぐんぱいしさくとぅ、鍋(なーび)ぬ蓋(ふたー)片側(かたはら)んかい寄(ゆ)やなかい、開(あ)ちゃくとぅ、んまんから中(なーか)ぬ汁たくない食(くゎ)てぃ、足(ふぃさ)し掻(か)ち開(あ)きやーなかい、みーん取(とぅっ)てぃ食(くゎ)ぎーん。あんし食(くゎ)てぃ後(あとー)、鍋(なーび)ん閉(み)ちてぃ、戸棚(とぅだな)ぐゎーぬ閉(み)ちてぃ、口ぬ側(すば)んまんまーる、舌(しば)し拭(ぬぐ)やーなかい、知らんふーなーし、中前(なかめー)んかい行(いん)ぢゃーに、んまうてぃ、日向(ふぃな)返(げー)りてぃ、寝(に)んてぃさくとぅ、くりがるやてぃーさやー、昔(んかし)から、猫(まやー)や、十年(じゅうにん)余(あま)てぃ養(ちない)ーせーあらん、後(あとー)、主人(ぬーし)取(とぅ)いんでぃる話いやしが、私達(わったー)猫(まやー)んあんどぅやがやーんち、今度(くんどー)まじ試(たみ)しんち、子供(わらばー)寝(に)んしーねー、わざとぅ、猫(まやー)ぬ側(すば)うてぃ、筵(むする)敷(し)ちゃーなかい、寝(に)んしてぃ、うゎーびんかい、着物(ちん)ぐゎーかんしてぃ、蚊(がじゃん)にん蠅(ふぇー)にん噛(くゎー)さんぐとぅんちさくとぅ、あんしよーちゅてーそーてぃ、うかがとーたくとぅ、うぬ猫(まやー)や、うぬ子(くゎ)ぬ側(すば)んかい行(い)ちゃーなかい、手(てぃー)ん足(ふぃさ)ん伸(ぬ)ばち、子供(わらば)側(すば)んかい並(なら)ばーに、また、なー一回(ちゅけーん)伸(ぬ)ばさーに、うぬ子供(わらばー)やかねーいふぇー長くなたくとぅ、背伸(ぬーび)すんねーびさーなかい、飛(とぅ)ん出(ぢ)てぃ行(い)ちゃーなかい、家(やー)ぬ後(くし)うてぃ、うーはまい穴掘(ふ)てぃさくとぅ、あはー主人(ぬーし)取(とぅ)いんでぃるやさやー、くぬ子(くゎー)や、私達(わったー)後(あとぅ)継(ち)ぢゅる、私達(わったー)嫡子、くりが命(ぬち)取(とぅ)いんでぃるばーるやがやーんち、うぬ女(いなぐ)ぬ親(うやー)夫(うとぅ)んかい、「私達(わったー)猫(まやー)やうんぐとぅさぎーん。」でぃ言(い)ちゃくとぅ、「うぬ猫(まやー)んでぃせー主人(ぬーし)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いねー、自分(どぅー)ん一緒(まじゅん)命(ぬち)切(ち)りーんでぃくとぅ、うぬ子供(わらばー)寝(に)んしーる時(ばー)ねー、やー乳(ちー)やてぃーさーじんかいはらさーに、子供(わらばー)や寝(に)しちぇーんねーびーし、んまんかい猫(まやー)ぬちゃーねー、しーしーし追(う)やーなかい、着物(ちぬ)んかい、着物(ちん)かんしてぃ、枕(まっくゎ)ぬとぅくまんかえー乳(ちー)はらちぇーるてぃーさーじ置(う)ちゃーなかい、うゎーびから着物(ちん)かんしとーけー。」んち、んまんかい子供(わらばー)寝(に)んしてーんねーしさくとぅ、二、三日うんぐとぅし、寝(に)んしてーんねーびーしそーたくとぅ、うぬ猫(まやー)や後(あとぅ)ぬうんじゅみねー、うぬ子供(わらばー)、乳(ちー)ぬ香(かじゃ)すとぅくまー顔(ちら)やくとぅ、うりが下(しちゃ)むてぃ喉(ぬーでぃー)んかい当(あ)たいっとぅくまんかい噛(くぃー)たっちょしが、だー中(なーかー)着物(ちん)ぬる入(いっ)ちょーくとぅ、子供(わらばー)やあらん、うぬまま喰(くー)てぃ行(い)ちゃーに、掘(ふ)てーる穴(あた)んかい入(いっ)ってぃ、「ミャーオ。」んち、ただ一声(ちゅくぃ)あびやーに、うぬまま子供(わらばー)んでぃ思(うむ)てぃ喰(くー)てぃちぇーる着物(ちん)ぬ上(うぃ)んかい、ぬちちりとーたんでぃ。あんさくとぅ、今度(くんどー)、古猫(ふるまやー)や主人(ぬーし)ぬ命(ぬち)取(とぅ)れーから、自分(どぅー)ぬ死(し)にるすくとぅ、うぬ家(やー)んかい恨み持(むっ)ち、うぬ祟りさーなかい、うぬ猫(まやー)ぬ子(くゎ)、孫(んまが)ぬまた、んまんかいちゅーんでぃくとぅ、よーしかし、見(み)し示(しみ)ぬ為(たみ)に、地(ぢー)んかい穴掘(ふ)てー埋(う)すらんぐとぅ、ありが穴掘(ふ)てーる側(すば)ぬ木(きー)んかい、首くんち下(さ)ぎれー、あんせー、うり見(んー)ぢゃーなかい、たましぬぎやーなかい、うぬ子(くゎ)、孫(んまが)ぬ達(ちゃー)が、また私達(わったー)家(やー)んかい、人(ちゅ)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いがんちぇー来(くー)ん筈(はじ)やくとぅんでぃ言(いゃー)なかい、うぬ猫(まやー)ぬ首くんち下(さ)ぎてぃ、喰(くー)てぃちぇーる着物(ちのー)取(とぅ)やーに、他(ふか)ぬぬーがな入(いっ)ってぃ、人(ちゅ)ぬ入(いっ)ちょーんねーしみてぃ土(んーちゃ)盛(む)てぃ造(ちゅく)てぃさんでぃ。うんにんから、猫(まやー)ぬ死にーねー、うぬ猫(まやー)ぬ、子(くゎ)、孫(んまが)ぬ、また人(ちゅ)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いがちーがすらんでぃ言(いゃー)なかい、死(し)ぢょーる猫(まやー)や、山やらはん、まーやらはんぬ木(きー)んかい、首くんち下(さ)ぎてぃ、君達(いったー)が人(ちゅ)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いがちーねー、くんぐとぅないんどーんち、見(み)しーる為(たみ)にわざと木(きー)ぬ枝んかい、首くんち下(さ)ぎーんでぃさ。〔共通語訳〕 古猫の話。昔、猫は十年以上養ってはいけないという話だが、昔あるところに、小さい時分から大変可愛がっている猫を養っている家庭があったそうだ。それでその猫は小さい時から養っているので、子供が二、三人も生まれている親達なんだが、近頃どうも様子がおかしい。畑に行って帰ってくると、子供達も誰もいないのに、あれもこれも、煮た物から煮てない物まで無くなったりすると気がついたので、よし、これは誰がやるのか見届けてやろうと思い、一度畑には出ていって、その女主人は夫に、「あなたはそこで畑仕事をしてなさい、私は行って見てくる。盗人が来るのか何が入るのか、近頃物が無くなってしまう。」と言って家に帰っていき、静かに台所の側に忍び寄って、雨戸の節穴から覗いてみると、猫が小さな戸棚の戸を開けて、干し鰯などみな喰い千切っているので、ああ、それだけかなと思っていると、今度は鍋の蓋の把手に喰い付いて、後足を踏ん張りますと、鍋の蓋の方は片方に寄ってしまって、開きますと、そこから中の汁をぺろぺろ食べて、足で掻き開けて、中に入っている中身も取って喰っている。そして、喰った後は、鍋の蓋も閉めて戸棚も閉めて、口のまわりも舌で拭いてから、知らん顔で中前の座に行き、そこで日向ぼっこをして寝ころんでいます。すると、こやつがやっていたのだな、昔から猫は十年以上養うものではない、最後は主人の命を取るという話だが、私達の猫もそうなのだろうか、今度はまず試しにと、子供を昼寝させる時は、わざと猫の側に筵を敷いて寝かし、上には着物を被せて、蚊にも蠅にも噛まさんようにして寝かせて、しばらくその猫の様子を見ていると、その猫はその子供の側に行ってからに、手も足も延ばして子供の側に並び、もう一回延ばしてその子供よりも少し長くなりますと、背伸びをするふりをして飛び出していって、庭の後ろの方で一生懸命になって穴を掘っていますので、ははあ、主人の命も取ろうとしているのだなと、その母親は夫に、「私達の猫はそのようにしています。」と話しますと、「その猫というのは、主人の命を取ると、自分も一緒に命が切れるというから、その子供を寝かしている時は、君の乳を手拭いに搾りだして、子供を寝かしつけている真似をして、そこに猫が来ると、しっしっと追いやって、着物に着物を被せておいて、枕の所には乳を搾りだした手拭いを置いて、上の方から着物を被せておきなさい。」と言いますので、そこに子供を寝かしてあるように見せかけておきますと、二、三日そのようにして寝かしつけてある真似をしますと、その猫は最後には、その子供の乳の香りのする所は顔だから、その下の方、喉に当たる所に噛みついたのですが、その中には着物が入っているのですから子供ではないのですが、そのまま喰わえて行って、掘ってある穴に引き込んで、「ニャーオ。」と一声叫んで後、そのまま子供と思って喰わえてきた着物の上に息絶えていたそうです。すると今度は、古猫は主人の命を取ると、自分も死んでしまうので、その家に対して恨みを持ち、その祟りでその猫の子や孫達がまたその家にやって来ると言うので、よし、それでは見せしめのために、地中に穴を掘って埋めずに、その猫が穴を掘った側の木の枝に首を縛って下げておけば、それを見てびっくりして、その子や孫達がまた私達の家に、人の命を取りには来ない筈だからと言って、その猫の首を縛って下げて、喰わえてきた着物を取り、他の何かを入れて人が入っているようにして、土を盛り上げて作っておいたという話。その時から猫が死ぬ時は、その猫の子や孫が、また人の命を取りに来るかもしれないと思い、山の木や他の木の枝に首を縛って下げて、もし君達が人の命を取りに来たらこのようになるよと見せるために、わざと木の枝に首を縛って吊り下げておくんだってさ。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T2B5

再生時間:5:52

民話詳細DATA

レコード番号 47O170018
CD番号 47O17C002
決定題名 古猫(方言)
話者がつけた題名 古猫(ふるまやー)
話者名 阿波根昌栄
話者名かな あはごんしょうえい
生年月日 19210309
性別
出身地 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭
記録日 19970217
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 T02B06
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話、 俗信
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 『想い出の昔話』
キーワード 猫,化け猫,木に吊るす
梗概(こうがい) 〔方言原話〕 古猫(ふるまやー)ぬ話い。昔(んかせー)猫(まやー)や十年(じゅーにん)余てぃ、養(ちちな)いるむのーあらん、でぃ言(いゅ)る話やしが、昔(んかし)あるとぅくるんかい、小(くー)さいにから大変(じこー)かなさそーる猫(まやー)養(ちかな)とーる家庭(ちねー)ぬあたんでぃ。うぬ猫(まやー)や、小(くー)さいにから養(ちかな)てぃるうくとぅ、子供達(わらばーたー)、二人(たい)、三人(みっちゃい)産(な)ちょーる親達(うやぬちゃー)やしが、近頃(ちかぐる)、模様(むよー)ぬ変(か)わてぃ、畑(はる)んかい行(いん)ぢ、ちーねー、子供達(わらばーたー)ん誰(たー)ん居(う)らんしが、むる、ありん、くりん、煮(に)ちぇーる物(むん)から煮(に)らん物(むん)までぃねーらんなてぃしーさくとぅ、くれー誰(たー)ががすら、見(みー)当(あ)てぃらはるやる、んち、畑(はる)かえー行(いん)ぢやーなかい、うぬ女主人(いなぐぬーせー)、夫(うとぅ)んかい、「なーやうまうてぃ畑(はる)そーきよー、私(わん)ねー行(いん)ぢ見(んー)だいー盗人(ぬすどぅ)ぬが入(いー)ら、ぬーぬが入(いー)ら、物(むん)ぬねーらんなてぃならん。」でぃ言(い)ち、家(やー)かい帰(けー)てぃ静(ゆーし)かてーんぐゎー台所(しむ)ぬ側(すば)んかい忍(ぬ)ばがてぃ、雨戸(はしる)ぬ節穴(ふしふぎ)ぬ穴(みー)から見(んー)ちゃくとぅ、猫(まやー)ぬ戸棚(とぅだな)ぐゎー開(あ)きてぃ、干鰯(だし)ぐゎーぬーん全部(むる)うち食(くゎ)いぎーん、とーなー、うっさがやーんでぃ思(うむ)たくとぅ、今度(くんどー)鍋(なーび)ぬ蓋ぬ把手(てぃ)んかい食(くぃー)たちゃーに、後足(しりー)ぐんぱいしさくとぅ、鍋(なーび)ぬ蓋(ふたー)片側(かたはら)んかい寄(ゆ)やなかい、開(あ)ちゃくとぅ、んまんから中(なーか)ぬ汁たくない食(くゎ)てぃ、足(ふぃさ)し掻(か)ち開(あ)きやーなかい、みーん取(とぅっ)てぃ食(くゎ)ぎーん。あんし食(くゎ)てぃ後(あとー)、鍋(なーび)ん閉(み)ちてぃ、戸棚(とぅだな)ぐゎーぬ閉(み)ちてぃ、口ぬ側(すば)んまんまーる、舌(しば)し拭(ぬぐ)やーなかい、知らんふーなーし、中前(なかめー)んかい行(いん)ぢゃーに、んまうてぃ、日向(ふぃな)返(げー)りてぃ、寝(に)んてぃさくとぅ、くりがるやてぃーさやー、昔(んかし)から、猫(まやー)や、十年(じゅうにん)余(あま)てぃ養(ちない)ーせーあらん、後(あとー)、主人(ぬーし)取(とぅ)いんでぃる話いやしが、私達(わったー)猫(まやー)んあんどぅやがやーんち、今度(くんどー)まじ試(たみ)しんち、子供(わらばー)寝(に)んしーねー、わざとぅ、猫(まやー)ぬ側(すば)うてぃ、筵(むする)敷(し)ちゃーなかい、寝(に)んしてぃ、うゎーびんかい、着物(ちん)ぐゎーかんしてぃ、蚊(がじゃん)にん蠅(ふぇー)にん噛(くゎー)さんぐとぅんちさくとぅ、あんしよーちゅてーそーてぃ、うかがとーたくとぅ、うぬ猫(まやー)や、うぬ子(くゎ)ぬ側(すば)んかい行(い)ちゃーなかい、手(てぃー)ん足(ふぃさ)ん伸(ぬ)ばち、子供(わらば)側(すば)んかい並(なら)ばーに、また、なー一回(ちゅけーん)伸(ぬ)ばさーに、うぬ子供(わらばー)やかねーいふぇー長くなたくとぅ、背伸(ぬーび)すんねーびさーなかい、飛(とぅ)ん出(ぢ)てぃ行(い)ちゃーなかい、家(やー)ぬ後(くし)うてぃ、うーはまい穴掘(ふ)てぃさくとぅ、あはー主人(ぬーし)取(とぅ)いんでぃるやさやー、くぬ子(くゎー)や、私達(わったー)後(あとぅ)継(ち)ぢゅる、私達(わったー)嫡子、くりが命(ぬち)取(とぅ)いんでぃるばーるやがやーんち、うぬ女(いなぐ)ぬ親(うやー)夫(うとぅ)んかい、「私達(わったー)猫(まやー)やうんぐとぅさぎーん。」でぃ言(い)ちゃくとぅ、「うぬ猫(まやー)んでぃせー主人(ぬーし)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いねー、自分(どぅー)ん一緒(まじゅん)命(ぬち)切(ち)りーんでぃくとぅ、うぬ子供(わらばー)寝(に)んしーる時(ばー)ねー、やー乳(ちー)やてぃーさーじんかいはらさーに、子供(わらばー)や寝(に)しちぇーんねーびーし、んまんかい猫(まやー)ぬちゃーねー、しーしーし追(う)やーなかい、着物(ちぬ)んかい、着物(ちん)かんしてぃ、枕(まっくゎ)ぬとぅくまんかえー乳(ちー)はらちぇーるてぃーさーじ置(う)ちゃーなかい、うゎーびから着物(ちん)かんしとーけー。」んち、んまんかい子供(わらばー)寝(に)んしてーんねーしさくとぅ、二、三日うんぐとぅし、寝(に)んしてーんねーびーしそーたくとぅ、うぬ猫(まやー)や後(あとぅ)ぬうんじゅみねー、うぬ子供(わらばー)、乳(ちー)ぬ香(かじゃ)すとぅくまー顔(ちら)やくとぅ、うりが下(しちゃ)むてぃ喉(ぬーでぃー)んかい当(あ)たいっとぅくまんかい噛(くぃー)たっちょしが、だー中(なーかー)着物(ちん)ぬる入(いっ)ちょーくとぅ、子供(わらばー)やあらん、うぬまま喰(くー)てぃ行(い)ちゃーに、掘(ふ)てーる穴(あた)んかい入(いっ)ってぃ、「ミャーオ。」んち、ただ一声(ちゅくぃ)あびやーに、うぬまま子供(わらばー)んでぃ思(うむ)てぃ喰(くー)てぃちぇーる着物(ちん)ぬ上(うぃ)んかい、ぬちちりとーたんでぃ。あんさくとぅ、今度(くんどー)、古猫(ふるまやー)や主人(ぬーし)ぬ命(ぬち)取(とぅ)れーから、自分(どぅー)ぬ死(し)にるすくとぅ、うぬ家(やー)んかい恨み持(むっ)ち、うぬ祟りさーなかい、うぬ猫(まやー)ぬ子(くゎ)、孫(んまが)ぬまた、んまんかいちゅーんでぃくとぅ、よーしかし、見(み)し示(しみ)ぬ為(たみ)に、地(ぢー)んかい穴掘(ふ)てー埋(う)すらんぐとぅ、ありが穴掘(ふ)てーる側(すば)ぬ木(きー)んかい、首くんち下(さ)ぎれー、あんせー、うり見(んー)ぢゃーなかい、たましぬぎやーなかい、うぬ子(くゎ)、孫(んまが)ぬ達(ちゃー)が、また私達(わったー)家(やー)んかい、人(ちゅ)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いがんちぇー来(くー)ん筈(はじ)やくとぅんでぃ言(いゃー)なかい、うぬ猫(まやー)ぬ首くんち下(さ)ぎてぃ、喰(くー)てぃちぇーる着物(ちのー)取(とぅ)やーに、他(ふか)ぬぬーがな入(いっ)ってぃ、人(ちゅ)ぬ入(いっ)ちょーんねーしみてぃ土(んーちゃ)盛(む)てぃ造(ちゅく)てぃさんでぃ。うんにんから、猫(まやー)ぬ死にーねー、うぬ猫(まやー)ぬ、子(くゎ)、孫(んまが)ぬ、また人(ちゅ)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いがちーがすらんでぃ言(いゃー)なかい、死(し)ぢょーる猫(まやー)や、山やらはん、まーやらはんぬ木(きー)んかい、首くんち下(さ)ぎてぃ、君達(いったー)が人(ちゅ)ぬ命(ぬち)取(とぅ)いがちーねー、くんぐとぅないんどーんち、見(み)しーる為(たみ)にわざと木(きー)ぬ枝んかい、首くんち下(さ)ぎーんでぃさ。〔共通語訳〕 古猫の話。昔、猫は十年以上養ってはいけないという話だが、昔あるところに、小さい時分から大変可愛がっている猫を養っている家庭があったそうだ。それでその猫は小さい時から養っているので、子供が二、三人も生まれている親達なんだが、近頃どうも様子がおかしい。畑に行って帰ってくると、子供達も誰もいないのに、あれもこれも、煮た物から煮てない物まで無くなったりすると気がついたので、よし、これは誰がやるのか見届けてやろうと思い、一度畑には出ていって、その女主人は夫に、「あなたはそこで畑仕事をしてなさい、私は行って見てくる。盗人が来るのか何が入るのか、近頃物が無くなってしまう。」と言って家に帰っていき、静かに台所の側に忍び寄って、雨戸の節穴から覗いてみると、猫が小さな戸棚の戸を開けて、干し鰯などみな喰い千切っているので、ああ、それだけかなと思っていると、今度は鍋の蓋の把手に喰い付いて、後足を踏ん張りますと、鍋の蓋の方は片方に寄ってしまって、開きますと、そこから中の汁をぺろぺろ食べて、足で掻き開けて、中に入っている中身も取って喰っている。そして、喰った後は、鍋の蓋も閉めて戸棚も閉めて、口のまわりも舌で拭いてから、知らん顔で中前の座に行き、そこで日向ぼっこをして寝ころんでいます。すると、こやつがやっていたのだな、昔から猫は十年以上養うものではない、最後は主人の命を取るという話だが、私達の猫もそうなのだろうか、今度はまず試しにと、子供を昼寝させる時は、わざと猫の側に筵を敷いて寝かし、上には着物を被せて、蚊にも蠅にも噛まさんようにして寝かせて、しばらくその猫の様子を見ていると、その猫はその子供の側に行ってからに、手も足も延ばして子供の側に並び、もう一回延ばしてその子供よりも少し長くなりますと、背伸びをするふりをして飛び出していって、庭の後ろの方で一生懸命になって穴を掘っていますので、ははあ、主人の命も取ろうとしているのだなと、その母親は夫に、「私達の猫はそのようにしています。」と話しますと、「その猫というのは、主人の命を取ると、自分も一緒に命が切れるというから、その子供を寝かしている時は、君の乳を手拭いに搾りだして、子供を寝かしつけている真似をして、そこに猫が来ると、しっしっと追いやって、着物に着物を被せておいて、枕の所には乳を搾りだした手拭いを置いて、上の方から着物を被せておきなさい。」と言いますので、そこに子供を寝かしてあるように見せかけておきますと、二、三日そのようにして寝かしつけてある真似をしますと、その猫は最後には、その子供の乳の香りのする所は顔だから、その下の方、喉に当たる所に噛みついたのですが、その中には着物が入っているのですから子供ではないのですが、そのまま喰わえて行って、掘ってある穴に引き込んで、「ニャーオ。」と一声叫んで後、そのまま子供と思って喰わえてきた着物の上に息絶えていたそうです。すると今度は、古猫は主人の命を取ると、自分も死んでしまうので、その家に対して恨みを持ち、その祟りでその猫の子や孫達がまたその家にやって来ると言うので、よし、それでは見せしめのために、地中に穴を掘って埋めずに、その猫が穴を掘った側の木の枝に首を縛って下げておけば、それを見てびっくりして、その子や孫達がまた私達の家に、人の命を取りには来ない筈だからと言って、その猫の首を縛って下げて、喰わえてきた着物を取り、他の何かを入れて人が入っているようにして、土を盛り上げて作っておいたという話。その時から猫が死ぬ時は、その猫の子や孫が、また人の命を取りに来るかもしれないと思い、山の木や他の木の枝に首を縛って下げて、もし君達が人の命を取りに来たらこのようになるよと見せるために、わざと木の枝に首を縛って吊り下げておくんだってさ。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T2B5
全体の記録時間数 5:52
物語の時間数 5:52
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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