火玉返し(方言)

概要

〔方言原話〕 火玉返(ふぃだまげー)しぬ話い。昔(んかし)、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)が畑(はる)から戻(むどぅ)てぃちゃーがなー、小川(かーら)ぐゎー渡いんちしーねー、後(くし)から美(ちゅら)さる若娘子(わかうぃなぐ)ぬちゃーなかい、「私(わん)あがたんかい渡ちくぃみそーり。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)やぼーにーし担(かた)みとーる籠(ばーけー)んまんかい置(う)ちゃーに、うぬ娘子(うぃなぐ)うーふぁさーに、うぬ小川(かーら)ぐゎー渡ちとぅらちゃんでぃ。自分(どぅー)やまた、渡てぃ行ちゃーに、籠(ばーき)んあ担(かた)みてちゃーに一緒(まじゅん)歩(あっ)っちゃくとぅ、うぬ娘子(うぃなぐ)ぬ、「じちぇー私(わん)ねー当たい前(めー)ぬ人(ちょー)あらん、天帝(てぃんてぃー)言(いー)ちらって降(う)りてぃちゃる火玉(ふぃだま)るやしが、家(やー)二(たー)ち焼ちくんち言(いー)ちきらってぃ、一軒(てぃーち)焼ちゃしが、なー一軒(てぃーち)焼きはるやしがなー、やーや、水(みじ)ん上(うぃ)から私(わん)渡ちとぅらちぇーくとぅ、うぬ恩(うん)じとーし、なー一軒(てぃーち)焼たる家(やー)や、焼かんてぃんくまする手段(てぃだん)ぬあくとぅ、うり教(ならー)さはーうんぐとぅしーよー。私(わん)ねー火玉(ふぃだま)るやくとぅやー、一軒(てぃーち)焼ちーねー、うりが返(けー)し、なー一軒(てぃーち)焼きはるやしが、うぬ手段(てぃだん)教(ならー)さはー、必(かんな)じあんしーよー。あんせーなー一軒(てぃーち)焼かんてぃんしむくとぅ、うぬまま天(てぃん)かい返(けー)いさ。あんさーに、二軒(たーち)焼ちゃびたんでいち、私(わー)が天(てぃん)ぬ神様んかいうなきーねー、あんし通(とぅい)いくとぅあんしーよー。」んち、教(ならー)ちぇーしが、うぬ火玉返(ふぃだまげー)し、火玉(ふぃだ)んでぃせー一軒(てぃーち)ぬ家(やー)焼ちるんせー、うぬまんぐら、しりまんまーるーそーてぃ、まーがなんかい、またなー一軒(てぃーち)焼かりーせーねーらんがやーんち見(みー)ぐるぐるし歩(あっ)ちゅんでぃち、うぬ火玉(ふぃだま)まーんかいんやらしーねー行ちゅるとぅくまんぢぇー、また、家(やー)ぬ焼かりーくとぅ、あねーさんぐとぅ、天(てぃぬ)んかい火玉返(ふぃだま)返(けー)すんでぃる、火玉返(ふぃだまげー)しやしが、あんしうぬ手段(てぃだん)でぃ言(い)せー、ちゃーししやがんでぃ言(いー)ねー、四辻(ゆーちかじまやー)んかい行ちゃーなかい、木(きー)ぐゎー三本(みーち)立てぃやーにうゎーびくんち、うりが側(すば)んかい藁やらわん、枯葉(ふぁーがらー)やらわん三束(みーち)立てぃやーなかい、家(やー)ぐゎーぬぐとぅしみてぃ、うりんかい火(ふぃ)付(ち)きやなかい燃(あー)ち、「ゆわじーま、あじまーよ、あじまー。」んでぃち三回(みけーん)あびやーがなー、うぬ側(すば)まんまーるーから棒切(ぼーぢらー)さーに、うぬ火(ふぃ)すぐりよー、あんせー火事(くゎじ)ぬ出(んぢ)やーなかい、皆(んな)が騒じよーくとぅ同様(いーぬむん)やくとぅ、なー一回(ちゅけーん)言(いゅ)くとぅ、ゆー聞(ち)ちよーきよー。」んでぃ言(いゃー)なかい、『わわーじーまー、あじまーよーあじまー。』んでぃ言(い)ち、うぬ娘(うぃなぐ)ぬ教(なら)ちさくとぅ、うぬ青年(にーせー)やいすじ家(やー)かい帰(けー)やーなかい、竹(だき)三本(みーち)立てぃやーに、うゎーびくんぢ付(ち)きやーに、藁三束(みたばい)や側(すば)んかい立てぃやーに、隣(ちゅけー)、近所(とぅねー)ぬ人達(ちゅぬちゃー)とぅ一緒(まじゅん)し、うらんかい火(ふぃ)付(ち)きてぃ、皆(んな)、持(むっ)ちょーる棒切(ぼーぢらー)さーなかい、燃(めー)とーる藁束(わらたばい)や打ちゃがちーなー、「わわーじーまー、あじまーよ、あじまー。」んちあびやがなー三回(みけーん)んまみぐたんでぃ。あんさくとぅ、後(あとぅ)ぬ焼きる家(やー)や焼きらんぐとぅぬがーたんでんぃ。うんにんから、一箇所(ちゅとぅくま)ぬ家(やー)ぬ焼いねー、うぬ家(や)ぬ焼きてぃ後(あとぅ)、道ぬ四辻(ゆーちかじまやー)んかい出(んぢ)てぃ、竹(だき)やらわん、木の枝やらわんしむくとぅ、三本(みーち)うゎーびくんち立てぃやーに、うりんかい藁やらわん、枯葉(ふぁがらー)やらわんくんち、子供達(わらびんちゃー)んしーてぃ、一緒(まじゅん)さーに火(ふぃー)付(ち)てぃ、「ゆわーじーまー。あじまーよー、あじまー。」んち火玉返(ふぃだまげー)しすん。うりが火玉返(ふぃだまげー)しぬ話いやしが、うれー昭和七、八年頃(にんぐる)までぃ有てぃ、私(わー)覚(うび)とーせー八年頃(はちにんぐる)ぬ事(くとぅ)やしが、仲栄真(なけーま)んでぃ言(いゅ)る所(とぅくる)ぬ家(や)ぬ焼きてぃ、火事(くゎじ)ぬ出(んぢ)たる翌日(なーちゃ)、側(すば)ぬ四辻(かじまやー)うてぃ、んま火玉返(ふぃだまげー)しんちさぎーしが、学校から帰(けー)やがなー、うぬさぎーる時(ばー)に、私達(わったー)やはっちゃかてぃさくとぅ、「ぬーんちうんぐとぅすがやー。」んち問(とー)たくとぅ、「うれー火玉返(ふぃだまげー)し君達(いったー)竹(だき)ぐゎー持(むっ)ちちゃーなかい、『ゆわじーま、あじまーよ、あじまー。』んちあびーがなー廻(みぐ)やー廻(みぐ)やーし打(うっ)ち歩(あっ)けー。」んち歩(あっ)かさったしが、うりが火玉返(ふぃだまげー)し、昔(んかし)、昔(んかし)んちん昭和七、八年頃(にんぐる)までぃ、私達(わったー)までーうりさしが、今(なーまー)なーうんぐとぅするとぅくまー、めんそーちんやー。くりが火玉返(ふぃだまげー)しぬ話い。〔共通語訳〕 火玉返しと言う話し。昔、一人の青年が畑から帰って来る時に途中の小川の側迄来ると、後から美しい若い娘が来て、其の青年に「私を向側迄渡して下さい」と頼みました。すると、其の青年は棒で天秤に担いでいた篭を其処に下して置き、其の娘を背負って、其の小川を渡し、自分は又、小川を渡って行って、自分の篭を棒で担いで来て一緒に歩き出しますと、其の娘が「実は私は普通の人ではありません。天帝(天の神様)に言付けられて、降りて来た火玉(火事を起す神)ですが、家を二軒焼いて来る様に言付けられていますが、一軒は焼きましたが、もう一軒焼かないといけないのですが、貴方が水の上から私を渡してくれましたので、其の恩返しにもう一軒焼く家は焼かづに済む手段が有るから、其れを教えますから、其の様にしなさい。私火玉だから、一軒焼くと、其の返しにもう一軒焼かないといけませんが、其の手段を教えますから必其の様にしなさい。其すると、私はもう一軒焼かないで其の尽天に帰って行、其して『二軒焼きました』と私が天の神様に申し上ると、それで通りますから、其の様にしなさい」と教えたのですが、其の火玉返し、火玉と言うのは、一軒家を焼くと、其処等辺り迴りながら、もう一軒焼けそうな家をさがし迴っているのです。其のさがし迴っている火玉を追払うと、其の火玉は何処に行くから、其すると行った処では、又、家を焼かれるから其うはしないで、天に其の火玉を返すと言うのが火玉返しであるが、それでは其の手段とは、どの様な手段かと申しますと、道路の四辻に行って、竹か木の枝を三本組み合わせて立て、其れに火を着けて燃しながら皆で「ゆわーぢーまー、あじまーよ、あじまー」三回叫びながら、其の迴りを迴りながら、棒切等で、側から其の火を打ちなさい。其すると、火事になって、火事になって、皆が騒いでいる様に見えるから。もう一回言うから良く聞いていきなさい。『ゆわーじーまーあじまーよーあじまー」と其の娘が教えました。すると其の青年は早速家に帰って行き、竹を三本立て上部を縛り付けて、三脚に立て、藁束、三束側に立て、近所の人達と共に、其れに火を着けて、皆、持っている棒切で燃えている藁束をたたきながら「ゆわーじーまー、あじまーよーあじまー」と叫びながら三回其処を廻ったそうです。すると、次に焼かれる家は焼けないで済んだそうです。其の時から一ヶ所の家が焼けると、家が焼けた後、道路の十字架に出て、竹でも良し、木の枝でも良いから、三本立て、上部を縛り三脚にして立て、其れに藁三束か、枯葉等を束にして立て、子供達も一緒になって火を着けて、「ゆわーじーまー、あじまーよーあじまー」と叫んで火玉返しをする話しだが、其れも昭和七・八年頃迄は有った。私が覚えているのは、昭和八年頃の事だが、仲栄真と言う家が焼けて火事の出た翌日に、側の十字架で其の火玉返しと言うのをやっているが、学校からの帰りに其れをやっている場所に差掛ったので「何で其の様な事をするのか」と聞きますと、「此れは火玉返し、君達も竹切等を持って『ゆわーじーまー、あじまーよーあじま』と叫びながら打って廻りながら歩きなさい」と言はれて歩かされたが、其れが火玉返し、昔、昔といっても昭和七・八年頃迄、私達迄は其れをやったが今はもう、其の様な事をなさる方はいらっしゃらないと思う此れが火玉返しの話し。平成9年2月17日 高江洲亮・赤嶺素花女翻字 T2A5

再生時間:5:23

民話詳細DATA

レコード番号 47O170013
CD番号 47O17C002
決定題名 火玉返し(方言)
話者がつけた題名 火玉返し
話者名 阿波根昌栄
話者名かな あはごんしょうえい
生年月日 19210309
性別
出身地 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭
記録日 19970217
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 T02A05-T02B01
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話、 伝説、 俗信
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 『想い出の昔話』
キーワード 火玉,天の神,四辻,火事除け
梗概(こうがい) 〔方言原話〕 火玉返(ふぃだまげー)しぬ話い。昔(んかし)、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)が畑(はる)から戻(むどぅ)てぃちゃーがなー、小川(かーら)ぐゎー渡いんちしーねー、後(くし)から美(ちゅら)さる若娘子(わかうぃなぐ)ぬちゃーなかい、「私(わん)あがたんかい渡ちくぃみそーり。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ青年(にーせー)やぼーにーし担(かた)みとーる籠(ばーけー)んまんかい置(う)ちゃーに、うぬ娘子(うぃなぐ)うーふぁさーに、うぬ小川(かーら)ぐゎー渡ちとぅらちゃんでぃ。自分(どぅー)やまた、渡てぃ行ちゃーに、籠(ばーき)んあ担(かた)みてちゃーに一緒(まじゅん)歩(あっ)っちゃくとぅ、うぬ娘子(うぃなぐ)ぬ、「じちぇー私(わん)ねー当たい前(めー)ぬ人(ちょー)あらん、天帝(てぃんてぃー)言(いー)ちらって降(う)りてぃちゃる火玉(ふぃだま)るやしが、家(やー)二(たー)ち焼ちくんち言(いー)ちきらってぃ、一軒(てぃーち)焼ちゃしが、なー一軒(てぃーち)焼きはるやしがなー、やーや、水(みじ)ん上(うぃ)から私(わん)渡ちとぅらちぇーくとぅ、うぬ恩(うん)じとーし、なー一軒(てぃーち)焼たる家(やー)や、焼かんてぃんくまする手段(てぃだん)ぬあくとぅ、うり教(ならー)さはーうんぐとぅしーよー。私(わん)ねー火玉(ふぃだま)るやくとぅやー、一軒(てぃーち)焼ちーねー、うりが返(けー)し、なー一軒(てぃーち)焼きはるやしが、うぬ手段(てぃだん)教(ならー)さはー、必(かんな)じあんしーよー。あんせーなー一軒(てぃーち)焼かんてぃんしむくとぅ、うぬまま天(てぃん)かい返(けー)いさ。あんさーに、二軒(たーち)焼ちゃびたんでいち、私(わー)が天(てぃん)ぬ神様んかいうなきーねー、あんし通(とぅい)いくとぅあんしーよー。」んち、教(ならー)ちぇーしが、うぬ火玉返(ふぃだまげー)し、火玉(ふぃだ)んでぃせー一軒(てぃーち)ぬ家(やー)焼ちるんせー、うぬまんぐら、しりまんまーるーそーてぃ、まーがなんかい、またなー一軒(てぃーち)焼かりーせーねーらんがやーんち見(みー)ぐるぐるし歩(あっ)ちゅんでぃち、うぬ火玉(ふぃだま)まーんかいんやらしーねー行ちゅるとぅくまんぢぇー、また、家(やー)ぬ焼かりーくとぅ、あねーさんぐとぅ、天(てぃぬ)んかい火玉返(ふぃだま)返(けー)すんでぃる、火玉返(ふぃだまげー)しやしが、あんしうぬ手段(てぃだん)でぃ言(い)せー、ちゃーししやがんでぃ言(いー)ねー、四辻(ゆーちかじまやー)んかい行ちゃーなかい、木(きー)ぐゎー三本(みーち)立てぃやーにうゎーびくんち、うりが側(すば)んかい藁やらわん、枯葉(ふぁーがらー)やらわん三束(みーち)立てぃやーなかい、家(やー)ぐゎーぬぐとぅしみてぃ、うりんかい火(ふぃ)付(ち)きやなかい燃(あー)ち、「ゆわじーま、あじまーよ、あじまー。」んでぃち三回(みけーん)あびやーがなー、うぬ側(すば)まんまーるーから棒切(ぼーぢらー)さーに、うぬ火(ふぃ)すぐりよー、あんせー火事(くゎじ)ぬ出(んぢ)やーなかい、皆(んな)が騒じよーくとぅ同様(いーぬむん)やくとぅ、なー一回(ちゅけーん)言(いゅ)くとぅ、ゆー聞(ち)ちよーきよー。」んでぃ言(いゃー)なかい、『わわーじーまー、あじまーよーあじまー。』んでぃ言(い)ち、うぬ娘(うぃなぐ)ぬ教(なら)ちさくとぅ、うぬ青年(にーせー)やいすじ家(やー)かい帰(けー)やーなかい、竹(だき)三本(みーち)立てぃやーに、うゎーびくんぢ付(ち)きやーに、藁三束(みたばい)や側(すば)んかい立てぃやーに、隣(ちゅけー)、近所(とぅねー)ぬ人達(ちゅぬちゃー)とぅ一緒(まじゅん)し、うらんかい火(ふぃ)付(ち)きてぃ、皆(んな)、持(むっ)ちょーる棒切(ぼーぢらー)さーなかい、燃(めー)とーる藁束(わらたばい)や打ちゃがちーなー、「わわーじーまー、あじまーよ、あじまー。」んちあびやがなー三回(みけーん)んまみぐたんでぃ。あんさくとぅ、後(あとぅ)ぬ焼きる家(やー)や焼きらんぐとぅぬがーたんでんぃ。うんにんから、一箇所(ちゅとぅくま)ぬ家(やー)ぬ焼いねー、うぬ家(や)ぬ焼きてぃ後(あとぅ)、道ぬ四辻(ゆーちかじまやー)んかい出(んぢ)てぃ、竹(だき)やらわん、木の枝やらわんしむくとぅ、三本(みーち)うゎーびくんち立てぃやーに、うりんかい藁やらわん、枯葉(ふぁがらー)やらわんくんち、子供達(わらびんちゃー)んしーてぃ、一緒(まじゅん)さーに火(ふぃー)付(ち)てぃ、「ゆわーじーまー。あじまーよー、あじまー。」んち火玉返(ふぃだまげー)しすん。うりが火玉返(ふぃだまげー)しぬ話いやしが、うれー昭和七、八年頃(にんぐる)までぃ有てぃ、私(わー)覚(うび)とーせー八年頃(はちにんぐる)ぬ事(くとぅ)やしが、仲栄真(なけーま)んでぃ言(いゅ)る所(とぅくる)ぬ家(や)ぬ焼きてぃ、火事(くゎじ)ぬ出(んぢ)たる翌日(なーちゃ)、側(すば)ぬ四辻(かじまやー)うてぃ、んま火玉返(ふぃだまげー)しんちさぎーしが、学校から帰(けー)やがなー、うぬさぎーる時(ばー)に、私達(わったー)やはっちゃかてぃさくとぅ、「ぬーんちうんぐとぅすがやー。」んち問(とー)たくとぅ、「うれー火玉返(ふぃだまげー)し君達(いったー)竹(だき)ぐゎー持(むっ)ちちゃーなかい、『ゆわじーま、あじまーよ、あじまー。』んちあびーがなー廻(みぐ)やー廻(みぐ)やーし打(うっ)ち歩(あっ)けー。」んち歩(あっ)かさったしが、うりが火玉返(ふぃだまげー)し、昔(んかし)、昔(んかし)んちん昭和七、八年頃(にんぐる)までぃ、私達(わったー)までーうりさしが、今(なーまー)なーうんぐとぅするとぅくまー、めんそーちんやー。くりが火玉返(ふぃだまげー)しぬ話い。〔共通語訳〕 火玉返しと言う話し。昔、一人の青年が畑から帰って来る時に途中の小川の側迄来ると、後から美しい若い娘が来て、其の青年に「私を向側迄渡して下さい」と頼みました。すると、其の青年は棒で天秤に担いでいた篭を其処に下して置き、其の娘を背負って、其の小川を渡し、自分は又、小川を渡って行って、自分の篭を棒で担いで来て一緒に歩き出しますと、其の娘が「実は私は普通の人ではありません。天帝(天の神様)に言付けられて、降りて来た火玉(火事を起す神)ですが、家を二軒焼いて来る様に言付けられていますが、一軒は焼きましたが、もう一軒焼かないといけないのですが、貴方が水の上から私を渡してくれましたので、其の恩返しにもう一軒焼く家は焼かづに済む手段が有るから、其れを教えますから、其の様にしなさい。私火玉だから、一軒焼くと、其の返しにもう一軒焼かないといけませんが、其の手段を教えますから必其の様にしなさい。其すると、私はもう一軒焼かないで其の尽天に帰って行、其して『二軒焼きました』と私が天の神様に申し上ると、それで通りますから、其の様にしなさい」と教えたのですが、其の火玉返し、火玉と言うのは、一軒家を焼くと、其処等辺り迴りながら、もう一軒焼けそうな家をさがし迴っているのです。其のさがし迴っている火玉を追払うと、其の火玉は何処に行くから、其すると行った処では、又、家を焼かれるから其うはしないで、天に其の火玉を返すと言うのが火玉返しであるが、それでは其の手段とは、どの様な手段かと申しますと、道路の四辻に行って、竹か木の枝を三本組み合わせて立て、其れに火を着けて燃しながら皆で「ゆわーぢーまー、あじまーよ、あじまー」三回叫びながら、其の迴りを迴りながら、棒切等で、側から其の火を打ちなさい。其すると、火事になって、火事になって、皆が騒いでいる様に見えるから。もう一回言うから良く聞いていきなさい。『ゆわーじーまーあじまーよーあじまー」と其の娘が教えました。すると其の青年は早速家に帰って行き、竹を三本立て上部を縛り付けて、三脚に立て、藁束、三束側に立て、近所の人達と共に、其れに火を着けて、皆、持っている棒切で燃えている藁束をたたきながら「ゆわーじーまー、あじまーよーあじまー」と叫びながら三回其処を廻ったそうです。すると、次に焼かれる家は焼けないで済んだそうです。其の時から一ヶ所の家が焼けると、家が焼けた後、道路の十字架に出て、竹でも良し、木の枝でも良いから、三本立て、上部を縛り三脚にして立て、其れに藁三束か、枯葉等を束にして立て、子供達も一緒になって火を着けて、「ゆわーじーまー、あじまーよーあじまー」と叫んで火玉返しをする話しだが、其れも昭和七・八年頃迄は有った。私が覚えているのは、昭和八年頃の事だが、仲栄真と言う家が焼けて火事の出た翌日に、側の十字架で其の火玉返しと言うのをやっているが、学校からの帰りに其れをやっている場所に差掛ったので「何で其の様な事をするのか」と聞きますと、「此れは火玉返し、君達も竹切等を持って『ゆわーじーまー、あじまーよーあじま』と叫びながら打って廻りながら歩きなさい」と言はれて歩かされたが、其れが火玉返し、昔、昔といっても昭和七・八年頃迄、私達迄は其れをやったが今はもう、其の様な事をなさる方はいらっしゃらないと思う此れが火玉返しの話し。平成9年2月17日 高江洲亮・赤嶺素花女翻字 T2A5
全体の記録時間数 5:23
物語の時間数 5:23
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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