〔方言原話〕 くれー黄金(くがに)ぬい華ぬ話い。昔(んかし)あるとぅくまうてぃ、一人(ちゅい)ぬ百姓(ひゃくそー)ぬ自分(どぅー)ぬ畑ぬ側(すば)うてぃ、黄金(くがに)ぬ華ぬ上(あ)がいし見(んー)ぢゃーに、鍬(くぇー)持(むっ)ち行(いん)ぢゃーに、「確かに、くぬまんぐとぅやたしが。」んち、掘(ふ)とーしが、ちゃっさ掘(ふ)てぃん黄金(くがねー)出(んぢ)らん、石塊(いしぐるー)びけーる出(んぢ)たくとぅ、なーひん下(しちゃ)るやる、うほーくん上(あ)がとーてーるむん、でぃち掘(ふ)とーしが、黄金(くがに)やいぎさーぬ物(むのー)一(てぃー)ちん出(んぢ)らん。深(ふかー)く掘(ふ)い返(けー)らち、自分(どぅー)ぬ高さやか、深く掘(ふ)とーしが、黄金(くがねー)出(んぢ)らん、しそーいねー、んまんかい、行商女(かみあちねー)がちゃーぎーしが、籠(ばーき)んかい小物(ぐなむん)ぐゎから、だーしぐゎーぬーん入りやーに、頭(ちぶ)んかいかみとーてぃ通(とぅい)りかっとーる時(ばー)に、「あいえーなー、くぬ石ぐゎーや上等(じょーとぅー)やるむん、私(わん)にんかいくぃみそーらんなー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「いー、持(むっ)ち行けー、石るやる。」んでぃ言(いゃ)がなー、うぬ女(いなぐ)ん見(んー)ぢゃーに、「ぬーがやーや夫(うとぅ)ん居(う)らんどぅあるい、うぬ若さぬ者(むん)ぬ、行商女(かみあちねー)し歩(あっ)ちぇる。」んち問(とー)たくとぅ、「うー、私(わん)ねー夫(うとぅ)んうしなてぃる、銭(じん)ぐゎー儲(もー)きいんでぃる行商女(かみあちねー)し暮らちょいびーる。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あんるやんなー、昔(んかし)からやー、役ん立たん夫(うとぅ)持(むっ)ち別りてーういし、夫(うとぅ)持(む)ちゃーすしやかねー石持(む)ちゃーし、んでぃ言(い)ゆる言葉(いくとぅば)ぬ有くとぅ、とー、やーんなー、なんじゅ徳(とぅく)ぬねーらん男(いきが)当たてぃ、伴侶(くさてぃ)ん失(うしな)てぃ、一人者(むん)(やぐさみむん)なてぃ、一人暮(ちゅいぐ)らしるそーれー、なー、今(なま)から夫(うとぅ)持(むっ)っち、夫(うとぅ)持(む)ちゃーすしやかねー、うぬ石持(むっ)っち石持(む)ちゃーせーわ。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ行商女(かみあちねー)や笑てぃ、「貴方(うんじょ)いーいむん教(ならー)ちぇみせーさ、なーあんせー、今(なま)から夫(うとー)持(む)たん、石持(む)ちゃーさびーさ。」んちうぬ石ぐゎーやふぃってぃはちーねーら。あんさーなかい、あまうてぃん、くまうてぃん商売(あちねー)し、家(やー)かい帰(けー)てぃ行(いん)ぢさくとぅ、途中(みちなかー)うてぃとめーてーる石(いせー)黄金(くがに)なてぃ、うりがる黄金(くがに)やしが、黄金(くがに)ぬ華見(んー)ち、黄金(くがに)かめーいんちさる人(ちょー)徳果(とぅっくゎ)ぬねーらん、掘(ふ)い出(んぢゃ)ちえーあてぃん、見(みー)ぬ前(めー)んかい有てぃん、黄金(くがに)なてー見(みー)らんどぅあくとぅ、んまから通(とー)いる行商女(かみあちねー)がけーふぃてぃはちねーらん。昔(んかし)ぬ人(ちゅ)ぬ、黄金(くがに)ぬ華ぬ上がいし、見(んー)だわーんまんかい、「自分(どぅー)ぬ徳果(とぅっくゎ)ぬ有(あー)とーらー、くぬ桑木(くわぎ)繁(わか)らちくぃみそーり。」んち桑木(くわぎ)植(うぃ)やーなかい、三年(さんにん)ぬ間(うぇーま)、うぬ桑木(くわぎ)ぬ、生(みー)ゆがやー、枯(か)りゆがやーんち見(んー)ちからるうぬ黄金(くがに)ぬ有んでぃ、思(うむ)いっとぅくま掘(ふ)いるぐとぅんちぬ話いやしが、うぬ人(ちょー)、黄金(くがに)ぬ華見(んー)ちゃくとぅ、しぐ掘(ふ)いんでぃさーなかい、本当(ふんとー)や、自分(どぅー)んかいや、うり取(とぅ)いる運(さー)や当たてーねーらんしが、掘(ふ)い出(んぢゃ)ちゃくとぅ、だーうぬ行商女(かみあちねー)んかいる、黄金(くがに)取(とぅ)る運(さー)や当たとーてーる様子(ふーじ)やくとぅ、うぬ行商女(かみあちねー)や、他人(ちゅ)ぬ掘(ふ)い出(んぢゃ)ちぇーる黄金(くがに)ふぃてぃ、家(やー)かい持(むっ)っち行(いん)ぢゃてぃ、あんすくとぅ、昔(んかし)から、果報(かふー)や目(みー)ぬ前(めー)んかい有てぃわからんでぃ。自分(どぅー)ぬ黄金(くがに)とぅめーいる運(さー)あらんむんやれー、黄金(くがに)ん、黄金(くがに)なてぃー見(みー)らんくとぅ、自分(どぅー)ぬ取(とぅ)ゆーさん、また、自分(どぅー)ぬうぬ運(さー)当たとーるむんやれー、他人(ちゅ)ぬ掘(ふ)い出(んぢゃ)ちやてぃんとぅめーてぃ取(とぅ)らすん。あんすくとぅ、徳果(とぅっくゎ)ぬ入ちょーる人(ちゅ)、他(ふか)ぬ人(ちゅ)ぬやてぃん徳(とぅく)ちきてぃ取(とぅ)らすしが、徳果(とぅっくゎ)ぬ入ちぇーねーらん人(ちょ)、目(みー)ぬ前(めー)んかい下がてぃ有る徳(とぅく)ん取(とぅ)ゆーさん。あんすくとぅ、徳果(とぅっくゎ)目(みー)ぬ前(めー)んかい有てぃんわからんでぃる話ぬ、「黄金(くがに)とぅめーてぃ焦(く)がりり、銀(なんじゃ)とぅめーてぃ難儀(なんぢ)しー。」昔(んかし)ぬ人(ちゅ)ぬ言葉(いくとぅば)、黄金(くがに)ぬ華ぬ話い。〔共通語訳〕 此れは黄金の華の話し。昔、或る処で、一人の百姓が自分の畠の側で黄金の華の上るのを見て、鍬を持って行って、確かに上っていた場所は此処等辺りだったと思って掘ったのだが、幾ら掘っても黄金は出ないで石の塊りだけが出て来たので、もっと下の方だらう、多量に上っていたからと思い、下の方に掘って行ったのですが、黄金らしき物は何一つ出て来ないのでもっと掘返し、自分の高さよりも深く堀ったのですが、黄金は出ません。すると、其処へ行商女が来よるのですが、篭に日用品の小物等を入れて頭に載せて、其の穴を掘っている処に通り掛りました。そして「あらまー此の小石は上等ですねぇー、私に下さいませんか」と言いますので「おー持って行きなさい、石なんだから」と言いながら其の女を見て「どおーして、貴方は夫も居ないのですか、そんなに若い者が行商女等して歩いているが」と尋ねますと「はい、私は夫を亡くしてしまったので、お銭を儲けるために行商女をして暮しているのです」と言いますので「其うだったのか、昔から役立たずの夫を持って何回も夫を持つよりも、石を持ちなさい。と言う語葉が有るから、もう貴方もあんまり徳の無い男に当り、伴呂も失なって一人者になって、一人暮しをしているなら、もう今から又、夫を持つよりも其の石を持って、石持しなさい」と言いますと其の行商女は笑いながら「貴方は大変良い諺を教えて下さいましたから其れでは、今から夫は持たづに石持をします」と言って、其の小石を拾上て行ったのです。それから彼方、此方で商売をして家に帰って来ますと、途中で拾った石は黄金になっていました。本当は此の石が黄金なんだが、黄金の華を見て、黄金を探そうとした人、徳果が無くて、掘り出しても目の前に有っても、黄金になっては見えないのですから、其処から通る行商女が拾上げて持って行ってしまったのです。昔の人が、黄金の華の上るのを見たならば、其処に「私に徳果が有りますならば、此の桑の木を繁らして下さい」と念じて桑の木を植えて、三年間、其の桑の木生えるか、枯れるか、見定めてから其の黄金が有ると思はれる場所を掘る様に、と言う話しですが、其の人は黄金の華を見ると、早速掘り出そうとしているのですが、本当は、自分には其れを取運は当っていないのだが、掘出しておくと、其の行商女に黄金を取る運が当っていた様子なので、其の行商女は、他人が掘り出した黄金を拾って家に持って帰ったそうです。だから、昔から、果報は目の前に有ってもわからないと言うそうです。自分が黄金を拾う運でないならば、黄金も、黄金になっては見えないので自分が取る事は出来ず、又、自分に其の運が当っているならば、他人が掘り出してでも探して取らせます。だから、徳果の入っている人は、他人がでも徳を付けて取らせますが、徳果の入ってない人は、目の前に下っている徳も取る事が出来ません。だから、徳果は目の前に有ってもわからんと言う話し。「黄金拾って焦れる、銀拾って難儀せよ」昔の人の言う語葉、黄金の華の話し。平成9年2月17日 高江洲亮・赤嶺素花女翻字 T2A3
| レコード番号 | 47O170011 |
|---|---|
| CD番号 | 47O17C002 |
| 決定題名 | 黄金の華(方言) |
| 話者がつけた題名 | 黄金の華(くがにぬはな) |
| 話者名 | 阿波根昌栄 |
| 話者名かな | あはごんしょうえい |
| 生年月日 | 19210309 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
| 記録日 | 19970217 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T02A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 ことわざ |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
| キーワード | 畑の石,行商,黄金,桑の木 |
| 梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 くれー黄金(くがに)ぬい華ぬ話い。昔(んかし)あるとぅくまうてぃ、一人(ちゅい)ぬ百姓(ひゃくそー)ぬ自分(どぅー)ぬ畑ぬ側(すば)うてぃ、黄金(くがに)ぬ華ぬ上(あ)がいし見(んー)ぢゃーに、鍬(くぇー)持(むっ)ち行(いん)ぢゃーに、「確かに、くぬまんぐとぅやたしが。」んち、掘(ふ)とーしが、ちゃっさ掘(ふ)てぃん黄金(くがねー)出(んぢ)らん、石塊(いしぐるー)びけーる出(んぢ)たくとぅ、なーひん下(しちゃ)るやる、うほーくん上(あ)がとーてーるむん、でぃち掘(ふ)とーしが、黄金(くがに)やいぎさーぬ物(むのー)一(てぃー)ちん出(んぢ)らん。深(ふかー)く掘(ふ)い返(けー)らち、自分(どぅー)ぬ高さやか、深く掘(ふ)とーしが、黄金(くがねー)出(んぢ)らん、しそーいねー、んまんかい、行商女(かみあちねー)がちゃーぎーしが、籠(ばーき)んかい小物(ぐなむん)ぐゎから、だーしぐゎーぬーん入りやーに、頭(ちぶ)んかいかみとーてぃ通(とぅい)りかっとーる時(ばー)に、「あいえーなー、くぬ石ぐゎーや上等(じょーとぅー)やるむん、私(わん)にんかいくぃみそーらんなー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「いー、持(むっ)ち行けー、石るやる。」んでぃ言(いゃ)がなー、うぬ女(いなぐ)ん見(んー)ぢゃーに、「ぬーがやーや夫(うとぅ)ん居(う)らんどぅあるい、うぬ若さぬ者(むん)ぬ、行商女(かみあちねー)し歩(あっ)ちぇる。」んち問(とー)たくとぅ、「うー、私(わん)ねー夫(うとぅ)んうしなてぃる、銭(じん)ぐゎー儲(もー)きいんでぃる行商女(かみあちねー)し暮らちょいびーる。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あんるやんなー、昔(んかし)からやー、役ん立たん夫(うとぅ)持(むっ)ち別りてーういし、夫(うとぅ)持(む)ちゃーすしやかねー石持(む)ちゃーし、んでぃ言(い)ゆる言葉(いくとぅば)ぬ有くとぅ、とー、やーんなー、なんじゅ徳(とぅく)ぬねーらん男(いきが)当たてぃ、伴侶(くさてぃ)ん失(うしな)てぃ、一人者(むん)(やぐさみむん)なてぃ、一人暮(ちゅいぐ)らしるそーれー、なー、今(なま)から夫(うとぅ)持(むっ)っち、夫(うとぅ)持(む)ちゃーすしやかねー、うぬ石持(むっ)っち石持(む)ちゃーせーわ。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ行商女(かみあちねー)や笑てぃ、「貴方(うんじょ)いーいむん教(ならー)ちぇみせーさ、なーあんせー、今(なま)から夫(うとー)持(む)たん、石持(む)ちゃーさびーさ。」んちうぬ石ぐゎーやふぃってぃはちーねーら。あんさーなかい、あまうてぃん、くまうてぃん商売(あちねー)し、家(やー)かい帰(けー)てぃ行(いん)ぢさくとぅ、途中(みちなかー)うてぃとめーてーる石(いせー)黄金(くがに)なてぃ、うりがる黄金(くがに)やしが、黄金(くがに)ぬ華見(んー)ち、黄金(くがに)かめーいんちさる人(ちょー)徳果(とぅっくゎ)ぬねーらん、掘(ふ)い出(んぢゃ)ちえーあてぃん、見(みー)ぬ前(めー)んかい有てぃん、黄金(くがに)なてー見(みー)らんどぅあくとぅ、んまから通(とー)いる行商女(かみあちねー)がけーふぃてぃはちねーらん。昔(んかし)ぬ人(ちゅ)ぬ、黄金(くがに)ぬ華ぬ上がいし、見(んー)だわーんまんかい、「自分(どぅー)ぬ徳果(とぅっくゎ)ぬ有(あー)とーらー、くぬ桑木(くわぎ)繁(わか)らちくぃみそーり。」んち桑木(くわぎ)植(うぃ)やーなかい、三年(さんにん)ぬ間(うぇーま)、うぬ桑木(くわぎ)ぬ、生(みー)ゆがやー、枯(か)りゆがやーんち見(んー)ちからるうぬ黄金(くがに)ぬ有んでぃ、思(うむ)いっとぅくま掘(ふ)いるぐとぅんちぬ話いやしが、うぬ人(ちょー)、黄金(くがに)ぬ華見(んー)ちゃくとぅ、しぐ掘(ふ)いんでぃさーなかい、本当(ふんとー)や、自分(どぅー)んかいや、うり取(とぅ)いる運(さー)や当たてーねーらんしが、掘(ふ)い出(んぢゃ)ちゃくとぅ、だーうぬ行商女(かみあちねー)んかいる、黄金(くがに)取(とぅ)る運(さー)や当たとーてーる様子(ふーじ)やくとぅ、うぬ行商女(かみあちねー)や、他人(ちゅ)ぬ掘(ふ)い出(んぢゃ)ちぇーる黄金(くがに)ふぃてぃ、家(やー)かい持(むっ)っち行(いん)ぢゃてぃ、あんすくとぅ、昔(んかし)から、果報(かふー)や目(みー)ぬ前(めー)んかい有てぃわからんでぃ。自分(どぅー)ぬ黄金(くがに)とぅめーいる運(さー)あらんむんやれー、黄金(くがに)ん、黄金(くがに)なてぃー見(みー)らんくとぅ、自分(どぅー)ぬ取(とぅ)ゆーさん、また、自分(どぅー)ぬうぬ運(さー)当たとーるむんやれー、他人(ちゅ)ぬ掘(ふ)い出(んぢゃ)ちやてぃんとぅめーてぃ取(とぅ)らすん。あんすくとぅ、徳果(とぅっくゎ)ぬ入ちょーる人(ちゅ)、他(ふか)ぬ人(ちゅ)ぬやてぃん徳(とぅく)ちきてぃ取(とぅ)らすしが、徳果(とぅっくゎ)ぬ入ちぇーねーらん人(ちょ)、目(みー)ぬ前(めー)んかい下がてぃ有る徳(とぅく)ん取(とぅ)ゆーさん。あんすくとぅ、徳果(とぅっくゎ)目(みー)ぬ前(めー)んかい有てぃんわからんでぃる話ぬ、「黄金(くがに)とぅめーてぃ焦(く)がりり、銀(なんじゃ)とぅめーてぃ難儀(なんぢ)しー。」昔(んかし)ぬ人(ちゅ)ぬ言葉(いくとぅば)、黄金(くがに)ぬ華ぬ話い。〔共通語訳〕 此れは黄金の華の話し。昔、或る処で、一人の百姓が自分の畠の側で黄金の華の上るのを見て、鍬を持って行って、確かに上っていた場所は此処等辺りだったと思って掘ったのだが、幾ら掘っても黄金は出ないで石の塊りだけが出て来たので、もっと下の方だらう、多量に上っていたからと思い、下の方に掘って行ったのですが、黄金らしき物は何一つ出て来ないのでもっと掘返し、自分の高さよりも深く堀ったのですが、黄金は出ません。すると、其処へ行商女が来よるのですが、篭に日用品の小物等を入れて頭に載せて、其の穴を掘っている処に通り掛りました。そして「あらまー此の小石は上等ですねぇー、私に下さいませんか」と言いますので「おー持って行きなさい、石なんだから」と言いながら其の女を見て「どおーして、貴方は夫も居ないのですか、そんなに若い者が行商女等して歩いているが」と尋ねますと「はい、私は夫を亡くしてしまったので、お銭を儲けるために行商女をして暮しているのです」と言いますので「其うだったのか、昔から役立たずの夫を持って何回も夫を持つよりも、石を持ちなさい。と言う語葉が有るから、もう貴方もあんまり徳の無い男に当り、伴呂も失なって一人者になって、一人暮しをしているなら、もう今から又、夫を持つよりも其の石を持って、石持しなさい」と言いますと其の行商女は笑いながら「貴方は大変良い諺を教えて下さいましたから其れでは、今から夫は持たづに石持をします」と言って、其の小石を拾上て行ったのです。それから彼方、此方で商売をして家に帰って来ますと、途中で拾った石は黄金になっていました。本当は此の石が黄金なんだが、黄金の華を見て、黄金を探そうとした人、徳果が無くて、掘り出しても目の前に有っても、黄金になっては見えないのですから、其処から通る行商女が拾上げて持って行ってしまったのです。昔の人が、黄金の華の上るのを見たならば、其処に「私に徳果が有りますならば、此の桑の木を繁らして下さい」と念じて桑の木を植えて、三年間、其の桑の木生えるか、枯れるか、見定めてから其の黄金が有ると思はれる場所を掘る様に、と言う話しですが、其の人は黄金の華を見ると、早速掘り出そうとしているのですが、本当は、自分には其れを取運は当っていないのだが、掘出しておくと、其の行商女に黄金を取る運が当っていた様子なので、其の行商女は、他人が掘り出した黄金を拾って家に持って帰ったそうです。だから、昔から、果報は目の前に有ってもわからないと言うそうです。自分が黄金を拾う運でないならば、黄金も、黄金になっては見えないので自分が取る事は出来ず、又、自分に其の運が当っているならば、他人が掘り出してでも探して取らせます。だから、徳果の入っている人は、他人がでも徳を付けて取らせますが、徳果の入ってない人は、目の前に下っている徳も取る事が出来ません。だから、徳果は目の前に有ってもわからんと言う話し。「黄金拾って焦れる、銀拾って難儀せよ」昔の人の言う語葉、黄金の華の話し。平成9年2月17日 高江洲亮・赤嶺素花女翻字 T2A3 |
| 全体の記録時間数 | 4:24 |
| 物語の時間数 | 4:24 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |