〔方言原話〕 位牌(とーとーめー)ぬ話い。昔(んかせー)、首里(すい)、那覇(なーふぁ)うてー、かーま昔(んかし)から、位牌(とーとーめー)や皆(んな)信じてぃ、親(うや)。御先祖(ふぁーふじ)ん信じとーるしじやしが、田舎まんぐらんかい、行(い)ちーねー、位牌(とーとーめー)やねーらんなてぃさくとぅ、御主加那志前(うしゅがなしーめー)ぬ、「くれあんせーならん、親(うや)御元祖(うぐゎんす)ぬめんたくとぅ、私達(わったー)ん居(う)る親(うや)、御先祖(ふぁーふじ)んかいぬ恩返(うんぢげー)しとぅし、位牌(とーとーめー)作(ちゅく)らんぐとーならん。皆(んな)位牌(とーとーめー)作(ちゅく)てぃ、あんし、親御元祖(うやぐゎんす)大切(てーしち)にし崇(あが)みり。」んでぃる事(くとぅ)んかいなたくとぅ、だー、今(なま)までぃ、作(ちゅく)たい崇(あが)みたいさる事(くとぅ)ん、せーんだんい位牌(とーとーめー)るやくとぅ、うぬ位牌(とーとーめー)、首里(すい)、那覇(なーふぁ)行(いん)ぢ買(こー)いねー、値段(でー)ん高(たか)さぬ、しぐ行(いん)ぢゃーなかい、けー買(こー)てぃちゅるあたぬ銭(じん)持(むっ)ちょーせーなー、田舎うてー大変(じこー)ぬ金持(うぇーきんちゅ)んでぃるあたいやくとぅ、とーなーうれーちゃーすがんち、皆(んな)心配(しわ)そーいねー、「何月(いち)ぬ何日(いっか)、んまんかい調査(しらびー)が行(い)ちゅくとぅ、皆(んな)作(ちゅく)てぃ置(う)ちゅるぐとぅ。」んち、達しぬ出(んぢ)たくとぅ、「くれーなー大変(でーじ)なとーん。」んでぃ言(いゃー)なかい、金持達(うぇーきたー)とぅ相談さーなかい、金持達(うぇーきたー)や皆(んな)買(こー)いすらーしみてぃ、置(う)ちきらさーに、巡視(みぐやー)がちーねー、一方(ちゅとぅくま)からうしーさーしる巡(みぐ)いくとぅ、うぬ金持(うぇーき)ぬ終(う)わらはーしぐうぬ位牌(とーとーめー)や持(む)ちゃーなかい、いふぇーがたぬ家(やー)んかい持(む)っち行(いん)ぢいしてぃ、また、後(あとぅ)んかい居(う)る金持(うぇーきー)ぬ物(むのー)、始(はじ)みぬ金持(うぇーきー)ぬ家(やー)から持(むっ)ち置(う)ちぇーる家(やー)ぬ側(すば)ぬ家(やー)んかい、貸(か)らさーに、、終(う)わいねー、ちゃー廻(みぐ)るーし順番にちゃ廻(みぐ)いし、うぬ位牌(とーとーめー)や家(やー)ぬ後(くしー)なーでぃーちゃー廻(まー)ちしし、村中持(むっ)ち廻(みぐ)てぃさーなかい、村中ぬむん、七、八人ぬ金持達(うぇーきたー)むんさーなかい、全部(むる)廻(みぐ)らち、なまねーくま、なまねーあまし、持(む)っち、行(いん)ぢさくとぅ、位牌(とーとーめー)調査員(しらびやー)ん、「んー、くれー皆(んな)作(ちゅく)らっとーん、やしが位牌(とーとーめー)ぬ有るうっさ全部(むる)似(に)ちょーるやー、似(に)ちょーる位牌(とーとーめー)やさやー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)が、「君達(いったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、私達(わったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、あんし似(に)ちいちょる、一門(いちむん)がやたら。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あはー、くまぬ村(むらー)皆(んな)一門(いちむん)どぅやいる。」んでぃ、言(い)ちゃれー、「うー。」んちゃくとぅ、うっさし皆(んな)作(ちゅく)てーびーんでぃる事(くとぅ)んかいなやーに、「君達(いったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、私達(わったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、あんし似(に)ちいちょる一門(いちむん)がやたら。」んでぃる言(いー)方(かた)、ぬーがな似(に)ちょーるが二(たー)ち有いねー、うんぐとぅ、言葉(くとぅば)ぬ出(んぢ)んでぃ、言(い)やないかい、一門(いちむん)がやたらんでぃるぐとぅんかいなとーんでぃ。〔共通語訳〕 位牌(とーとーめー)の話。昔、首里(しゅり)、那覇(なは)ではずうっと昔から位牌を作り、皆これを信じているのですが、田舎辺りに行くと位牌がないのですから、それを知った首里の王様は、「これはこのままではいけない、御元祖様がいらっしゃったから私達も生まれている。親、先祖の方に恩返しとして位牌を作らなければいけない。皆、位牌を作って、そして親元祖を大切にし崇めなさい。」と言うことから、皆作らなければいけなくなりますと、今まで作った事も崇めたりした事もない位牌だし、また、その位牌は首里や那覇で買うのだが、すぐ行って、おいそれと買って来るぐらいのお金を持っているのは、田舎では大金持ちと言われるぐらいの銭持ちですから、もうこれはどうするかと心配している時、「何月何日にそこに調査に行くから、皆作って置いておくように。」との達しが出ましたので、「これは大変な事になった。」と言うて、金持ち達にみんなで相談して、その金持ち達は皆買い揃えておいて、巡視に来る時は片一方から順次に巡って行くのだから、一番目ん金持ちが終わるとすぐ位牌を持って、家の後ろから大分離れたところの家に持って行って置き、また次の金持ちの家が終わると、一番目の金持ちの位牌を持って行った家の側の家に貸して、次々に廻して、その位牌を家の後ろから順繰りに廻して、村中廻して、村中にいる七、八人の金持ち達の物で全家庭廻して、今度はここ、今度はあそこと廻して、位牌を廻して置いて、調査する人に見せますと、位牌の調査の人は、「ううん、これはこれは、皆、作って置いてある。だがしかし、位牌のあるだけ、みな似た物ばかりだね、似た位牌だねえ。」と申しますと、一人の青年が、「君達の位牌ぐゎと私達の位牌ぐゎと、何とよく似ている、一門だったのか。」と言いますと、「ああ、ここの村は皆一門であるのか。」と言いますので、「はい。」と答えますと、「喜んで、位牌は皆作ってありました。」という事になり、「君達の位牌ぐゎと私達の位牌ぐゎと何とよく似ていること、一門だったのかな。」という言い方は、何か似ている物が二つある時、いつでもそのような言葉が出るというので、一門がやたらというようになったのだそうです。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T2A2
| レコード番号 | 47O170010 |
|---|---|
| CD番号 | 47O17C002 |
| 決定題名 | 位牌(方言) |
| 話者がつけた題名 | 位牌(トートーメー) |
| 話者名 | 阿波根昌栄 |
| 話者名かな | あはごんしょうえい |
| 生年月日 | 19210309 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
| 記録日 | 19970217 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T02A02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 民俗 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
| キーワード | 親御元祖 |
| 梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 位牌(とーとーめー)ぬ話い。昔(んかせー)、首里(すい)、那覇(なーふぁ)うてー、かーま昔(んかし)から、位牌(とーとーめー)や皆(んな)信じてぃ、親(うや)。御先祖(ふぁーふじ)ん信じとーるしじやしが、田舎まんぐらんかい、行(い)ちーねー、位牌(とーとーめー)やねーらんなてぃさくとぅ、御主加那志前(うしゅがなしーめー)ぬ、「くれあんせーならん、親(うや)御元祖(うぐゎんす)ぬめんたくとぅ、私達(わったー)ん居(う)る親(うや)、御先祖(ふぁーふじ)んかいぬ恩返(うんぢげー)しとぅし、位牌(とーとーめー)作(ちゅく)らんぐとーならん。皆(んな)位牌(とーとーめー)作(ちゅく)てぃ、あんし、親御元祖(うやぐゎんす)大切(てーしち)にし崇(あが)みり。」んでぃる事(くとぅ)んかいなたくとぅ、だー、今(なま)までぃ、作(ちゅく)たい崇(あが)みたいさる事(くとぅ)ん、せーんだんい位牌(とーとーめー)るやくとぅ、うぬ位牌(とーとーめー)、首里(すい)、那覇(なーふぁ)行(いん)ぢ買(こー)いねー、値段(でー)ん高(たか)さぬ、しぐ行(いん)ぢゃーなかい、けー買(こー)てぃちゅるあたぬ銭(じん)持(むっ)ちょーせーなー、田舎うてー大変(じこー)ぬ金持(うぇーきんちゅ)んでぃるあたいやくとぅ、とーなーうれーちゃーすがんち、皆(んな)心配(しわ)そーいねー、「何月(いち)ぬ何日(いっか)、んまんかい調査(しらびー)が行(い)ちゅくとぅ、皆(んな)作(ちゅく)てぃ置(う)ちゅるぐとぅ。」んち、達しぬ出(んぢ)たくとぅ、「くれーなー大変(でーじ)なとーん。」んでぃ言(いゃー)なかい、金持達(うぇーきたー)とぅ相談さーなかい、金持達(うぇーきたー)や皆(んな)買(こー)いすらーしみてぃ、置(う)ちきらさーに、巡視(みぐやー)がちーねー、一方(ちゅとぅくま)からうしーさーしる巡(みぐ)いくとぅ、うぬ金持(うぇーき)ぬ終(う)わらはーしぐうぬ位牌(とーとーめー)や持(む)ちゃーなかい、いふぇーがたぬ家(やー)んかい持(む)っち行(いん)ぢいしてぃ、また、後(あとぅ)んかい居(う)る金持(うぇーきー)ぬ物(むのー)、始(はじ)みぬ金持(うぇーきー)ぬ家(やー)から持(むっ)ち置(う)ちぇーる家(やー)ぬ側(すば)ぬ家(やー)んかい、貸(か)らさーに、、終(う)わいねー、ちゃー廻(みぐ)るーし順番にちゃ廻(みぐ)いし、うぬ位牌(とーとーめー)や家(やー)ぬ後(くしー)なーでぃーちゃー廻(まー)ちしし、村中持(むっ)ち廻(みぐ)てぃさーなかい、村中ぬむん、七、八人ぬ金持達(うぇーきたー)むんさーなかい、全部(むる)廻(みぐ)らち、なまねーくま、なまねーあまし、持(む)っち、行(いん)ぢさくとぅ、位牌(とーとーめー)調査員(しらびやー)ん、「んー、くれー皆(んな)作(ちゅく)らっとーん、やしが位牌(とーとーめー)ぬ有るうっさ全部(むる)似(に)ちょーるやー、似(に)ちょーる位牌(とーとーめー)やさやー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、一人(ちゅい)ぬ青年(にーせー)が、「君達(いったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、私達(わったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、あんし似(に)ちいちょる、一門(いちむん)がやたら。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あはー、くまぬ村(むらー)皆(んな)一門(いちむん)どぅやいる。」んでぃ、言(い)ちゃれー、「うー。」んちゃくとぅ、うっさし皆(んな)作(ちゅく)てーびーんでぃる事(くとぅ)んかいなやーに、「君達(いったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、私達(わったー)位牌(とーとーめー)ぐゎーとぅ、あんし似(に)ちいちょる一門(いちむん)がやたら。」んでぃる言(いー)方(かた)、ぬーがな似(に)ちょーるが二(たー)ち有いねー、うんぐとぅ、言葉(くとぅば)ぬ出(んぢ)んでぃ、言(い)やないかい、一門(いちむん)がやたらんでぃるぐとぅんかいなとーんでぃ。〔共通語訳〕 位牌(とーとーめー)の話。昔、首里(しゅり)、那覇(なは)ではずうっと昔から位牌を作り、皆これを信じているのですが、田舎辺りに行くと位牌がないのですから、それを知った首里の王様は、「これはこのままではいけない、御元祖様がいらっしゃったから私達も生まれている。親、先祖の方に恩返しとして位牌を作らなければいけない。皆、位牌を作って、そして親元祖を大切にし崇めなさい。」と言うことから、皆作らなければいけなくなりますと、今まで作った事も崇めたりした事もない位牌だし、また、その位牌は首里や那覇で買うのだが、すぐ行って、おいそれと買って来るぐらいのお金を持っているのは、田舎では大金持ちと言われるぐらいの銭持ちですから、もうこれはどうするかと心配している時、「何月何日にそこに調査に行くから、皆作って置いておくように。」との達しが出ましたので、「これは大変な事になった。」と言うて、金持ち達にみんなで相談して、その金持ち達は皆買い揃えておいて、巡視に来る時は片一方から順次に巡って行くのだから、一番目ん金持ちが終わるとすぐ位牌を持って、家の後ろから大分離れたところの家に持って行って置き、また次の金持ちの家が終わると、一番目の金持ちの位牌を持って行った家の側の家に貸して、次々に廻して、その位牌を家の後ろから順繰りに廻して、村中廻して、村中にいる七、八人の金持ち達の物で全家庭廻して、今度はここ、今度はあそこと廻して、位牌を廻して置いて、調査する人に見せますと、位牌の調査の人は、「ううん、これはこれは、皆、作って置いてある。だがしかし、位牌のあるだけ、みな似た物ばかりだね、似た位牌だねえ。」と申しますと、一人の青年が、「君達の位牌ぐゎと私達の位牌ぐゎと、何とよく似ている、一門だったのか。」と言いますと、「ああ、ここの村は皆一門であるのか。」と言いますので、「はい。」と答えますと、「喜んで、位牌は皆作ってありました。」という事になり、「君達の位牌ぐゎと私達の位牌ぐゎと何とよく似ていること、一門だったのかな。」という言い方は、何か似ている物が二つある時、いつでもそのような言葉が出るというので、一門がやたらというようになったのだそうです。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T2A2 |
| 全体の記録時間数 | 3:19 |
| 物語の時間数 | 3:19 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |