〔方言原話〕 学校うってー、人(ちょー)、猿(さーるー)からるなとーるんでぃる教(ならー)すしが、沖縄(うちなー)ぬ昔話(んかしばなし)いや、人(ちゅ)からる猿(さーるー)やなとーんでぃる話い。昔(んかし)あるとぅくまんかい、大変(じこー)ぬ大金持(うぇーきんちゅ)ぬめんせーたんでぃ。あんし、家(やー)ん、屋敷(やしち)ん、大(まぎ)いく、ちゅら家(やー)造(ちゅく)てぃうしが、んまぬ側(すば)んかい大変(じこー)な貧乏者(ふぃんすーむん)ぬ年寄(とぅすぃ)夫婦(みいとぅんだ)ぬ居(う)みせーたんでぃしが、ある年(とぅし)ぬ大晦日(とぅしぬゆるー)に、貧乏者(ふぃんすーむん)ぬ年寄達(とぅすぃんちゃー)や、隣(とぅな)ぬ大金持(うぇーきんちゅ)ぬ家(やー)んかい行(いん)ぢ、「今日(ちゅー)や年(とぅし)ぬ夜(ゆるー)やしが、年(とぅし)取(とぅ)いる米(くみ)ぬねーらんくとぅ、米(くみ)いふぇー貸(いらー)ちくぃみそーり。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「今日(ちゅー)や年(とぅし)切(ぢ)りんでぃ言(い)ち、何(ぬー)やてぃん、借(か)とーせー返(けー)する日(ふぃ)やしが、君達(いったー)んかい米(くみ)貸(いらー)しーねー、今日(ちゅー)ぬ夜中(ゆなか)までぃねー返(けー)しゆーさんくとぅ貸(いらー)さん。」でぃち貸(いらー)さんなたくとぅ、なー、あんせー仕方ならんさー火正月(ふぃーそーぐゎち)さーやー。」んち、火(ふぃー)燃(めー)ち二人(たい)し前(めー)なち火正月(ふぃーそーぐゎち)さがなー、「若さいにから他人(ちゅ)ぬ加勢(かしー)びけーし、むる銭(ぢのー)儲(もー)きえーしーゆうさん、今(なま)ないねー、仕事(しぐとぅ)ん思(うむ)いるぐとぅーしーゆうさん、また銭(ぢ)ぬん、儲(もー)きゆうさんしが、隠徳(いんとぅく)儲(もー)きてーくとぅしむさやー。」んち、話しーさがなーいちょーたくとぅ、うぬ頃(じぶん)、隣(とない)ぬ大金持(うぇーきんちゅ)ぬ家(やー)んかい、物乞(むぬくーやー)が来(ち)、「一夜(ちゅゆる)泊(とぅ)まらちくぃーり。」んち、頼(たる)だくとぅ、「私達(わったー)や、家(やー)ん、まぎさらしが、下男(ぢにん)ぬ達(ちゃー)、女中達(じょーしちゃーたー)が多(うふ)さぬ、やー泊(とぅ)まらする室(ぢゃー)やえねーらんくとぅ、隣(とぅない)行(いん)ぢ泊(とぅ)まれー。」んち泊(とぅ)まらさんたんでぃ。あんさくとぅ、うぬ物乞(むぬくーやー)やや隣(とぅない)ぬ貧乏者達(ふぃんすーむんぬちゃー)家(やー)んかい行(いん)ぢゃーに話いさくとぅ、「私達(わったー)や貧乏者(ふぃんすーむん)なてぃ、大晦日(とぅしぬゆるー)なてぃん、食(か)むしがねーらん。隣(とぅない)んかい行(いん)ぢ、米(くみ)貸(いらー)しみそーらんくとぅ、火正月(ふぃーそーぐゎち)るそーる。また、家(やー)ぐゎーん狭(いば)さしが、あんしんしむらー泊(とぅ)まれー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ物乞(むぬくーやー)や、うぬ家(やー)んかい泊(とぅ)まてぃさくとぅ、「何(ぬ)ん、食(か)むしがねーらんあらー、私(わー)がいーてぃちぇーしが有くとぅ、うり煮ち食(か)まな。」んち、袋(ふくる)引(ふぃ)っ下(さ)ぎてぃちゃーに、「鍋(なーび)んかい湯(ゆー)沸かいせー。」んち、沸かしみやーに、くーてー袋(ふくる)ぐゎーから、押(う)し差(ざ)しぬ顔(かぶ)さーに、何(ぬー)がなぬ粉(くー)ぐゎーいふぇー入(いっ)たくとぅ、鍋(なーび)ぬ満杯(みっちゃき)御馳走(くゎっちー)なてぃさーに、うりん年(とぅし)ぬ夜(ゆるー)ぬ年(とぅし)取(とぅ)ってぃさくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ二人(たい)んかい、「貴方達(うんじゅなー)や何故(ぬーふ)さみせーが。」んち問(とぅ)うたくとぅ、「私達(わったー)や若さいにから、今(なま)までぃむる他人(ちゅ)ぬ加勢(かしー)びけーし、銭(じー)ぬ儲(もー)きらん、陰徳(いんとぅく)びけーる儲(もー)きとーしが、なー年(とぅし)取(とぅ)ってぃ、ぬーんならん、今(なま)からー、銭(じん)、金(かに)ん、欲(ふ)さーねーらんしが、今一度(なーちゅけん)若くなてぃ、元(むとぅ)ぬぐとぅし若くなてぃ、元(むとぅ)ぬぐとぅし皆(んな)が為(たみ)、うーはまいし働かりーれーやーんでぃ思(うむ)いん。」でぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ、「明日(あちゃー)や一月一日(ちーたちぬふぃー)やくとぅ朝早(ふぇー)く、夜(ゆー)ぬ明(あ)きらんまーどぅ、産井戸(んぶがー)行(いん)ぢ、水(みじ)汲(く)でぃちゃーに湯(ゆー)沸かせー。」んち、話いーし寝(にん)たくとぅ、年寄達(とぅすぃんちゃー)や翌日(なーちゃ)なたくとぅ、夜闇(ゆーぬみー)ぬ明(あ)きらんまーどぅ、産井戸(んぶがー)行(いん)ぢ水(みじ)汲(く)でぃち湯(ゆー)沸かちゃくとぅ、うりんかいん、押(う)し差(ざ)しぬ顔(かぶ)さーに粉(くー)ぐゎー入りやーなかい、「とー、うぬ水(みじ)し浴(あ)みれー。」んでぃ言(い)ち、浴(あ)みたくとぅ、二人共(たいなむん)、昔(んかし)ぬ若者(わかむん)なてぃさくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ、「私(わん)ねー、なーひん巡(みぐ)りはるやしが、くぬ袋(ふくろー)置(う)ちょーたくとぅ、何(ぬー)やてぃん、欲(ふ)さしが有いねー、欲(ふ)さる物(むん)ぬ名(なー)言(いゃー)なかい、手(てぃー)入りーねー、何(ぬー)やてぃん、欲(ふ)さしが出(んぢゃ)さりーくとぅ、くり置(う)ちょーかわー、君達(いったー)使(ちけー)よー。」んち、袋(ふろー)置(う)ち出(んぢ)てぃ、行(いん)ぢゃくとぅ、うぬ若者(わかむん)ぬ達(ちゃー)や、「くれー、いー袋(ふくる)いーたん、やしが世間(しきん)ねー私達(わったー)とぅ同様(ぬーぬぐとぅ)正月(そーぐゎち)しーかんてぃそーる家庭(ちねー)あくとぅ、でぃー、米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)さーに、皆(んな)んかい分きら。」んち、米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)ちゃくとぅ、筵(むしる)ぬ満杯(みっちゃき)なてぃ、さくとぅ、ちゃーし分きーがんでぃちさくとぅ、妻(とぅじ)ぬ、「んだ、隣(とぅない)行(いん)ぢ、升(ちょーばん)借(か)てぃ来(くー)。」んち行(いん)ぢゃーに、「升(ちょーばん)借(か)いびら。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「やーや誰(たー)やたが。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「隣(とぅない)ぬ年寄(とぅすぃ)るやる。」んでぃち話いさくとぅ、うぬ主人(ぬーせー)、「升(ちょーば)のー貸(か)らちん減(ふぃ)ならんくとぅしむしが、くったーや、昨日(ちぬー)、年(とぅし)取(とぅ)いる米(くみ)ぬねーらんくとぅ、貸(いらー)しんちるちゅーたしが、何(ぬー)測(はか)いがやー。んでぃ思(うむ)やーに、升(ちょーばん)ぬ底(すく)んかい鬢着(びんぢき)付(ち)やーに持(む)たちゃくとぅ、若者達(わかむんぬちゃー)二人(たい)や、風呂敷(うちゅくぃー)いくちぬんかい測(はか)てぃ入りやーに、升(ちょーば)の返(けー)ちゃくとぅ、主人(ぬーせー)うり見(んー)ぢゃーに、「君達(いったー)や米(くめー)まーからあたが。」んち問(とー)たくとぅ、「昨夜(ゆーび)私達(わったー)家(やー)んかい物乞(むぬくーやー)がちゃーに泊(とぅ)まらちゃくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ暁(あがちち)早(ふぇー)く起(う)てぃ水(みじ)汲(く)でぃち浴(あ)みりんでぃ言(い)ちゃくとぅ、産井戸(んぶがー)行(いん)ぢ水(みじ)汲(く)でぃち、湯(ゆー)沸(わ)かち浴(あ)みたくとぅ、くんぐとぅ若くなとーん。また、袋(ふくる)いーらちぇーしが、うぬ袋(ふくる)から自分(どぅー)ぬ欲(ふ)させー何(ぬー)やてぃん出(んぢ)るいー袋(ふくる)なやーに、うりから米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)さーに、困(くま)とーる人達(ちゅぬちゃー)んかい分(わ)きゆんでぃる升(ちょーば)のー借(かっ)さみ。」んでぃち話いさくとぅ、「とー、あんせー、私達(わったー)にん、うぬ袋(ふくる)借(か)らせー。」んち袋(ふくる)借(か)てぃ行(いん)ぢゃーに、教(ならー)さったる通(とぅー)い、自分(どぅー)ぬ欲(ふ)さし、「銭(じのー)ねーらんがやー。」んでぃ言(いゃー)に、手(てぃー)入(いっ)たくとぅ、銭(じのー)あらん、全部(むる)やな物(むん)びけー出(んぢ)たくとぅ、「くんぐとーるやな袋(ふくる)。」んでぃ言(いゃー)に、くさみち、火(ふぃー)んかいけー燃(めー)ちねーらん。あんし隣(とぅない)んかい行(いん)ぢゃーに、「あれー、やな袋(ふくる)、全部(むる)やな物(むん)ぬる出(んぢ)る。君達(いったー)や貧乏者(ふぃんすーむん)やくとぅ私達(わったー)うれー羨(うれー)まさしるさらやー、あぬ袋(ふくろー)私(わー)が燃(めー)ちゃせー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「羨(うれー)まさあらんどー、うぬ見(んー)ち、見(んー)でー、米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)ち、皆(んな)んかい配(はじゆ)んでぃち、包(ちち)でぃ置(う)ちぇーせー。」んちうぬ風呂敷(うちゅくぃー)包(ちち)ん見(み)したくとぅ、ぬーんでぃん言(いゃ)んぐとぅ、家(やー)かい帰(けー)てぃさくとぅ、うぬ後(あとぅ)袋(ふくる)いーらちゃる人(ちゅ)ぬ巡(みぐ)てぃちゃーに、「ちゃーやたが、あぬ袋(ふくろー)今(なま)ん使(ちか)とーみ。」んち、問(とー)たくとぅ、「隣(とぅない)ぬ借(か)てぃ行ちゃーに、銭(じん)出(んぢゃ)すんちさくとぅ、全部やな物(むん)ぬ出(んぢ)わんち、けー燃(めー)ちねーらん。」でぃち話いさくとぅ、「あったーやしむちぬわっさくとぅやー、あんせー私(わー)が引(ふぃ)ち臼(うーし)いーてぃちぇーくとぅ、今(なま)からーうり使(ちけー)は、くぬ臼(うー)せー穴んかい水(みじ)入りやがなー、自分(どぅー)ぬ欲(ふ)さしが名(なー)言(いゃ)がなー、廻(みぐ)らしーねー、ぬーやてぃん出(んぢ)ーさ。」んち教(ならー)ち、「なー隣(とぅない)ぬ者達(むんぬちゃー)ねー貸(いら)すなよー、あったーやしむちぬわっさぬ。」んち、石臼(いしうーし)いーらち、また出(んぢ)てぃ行(いん)ぢゃくとぅ、うぬ若者達(わかむんぬちゃー)や、また自分(どぅー)ぬ欲(ふ)さし出(んぢゃ)ち使(ちか)たくとぅ、うり見(んー)ぢゃーに、隣(とぅない)ぬ主人(ぬーせー)また、「私達(わったー)にん借(か)らせー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「いーいーいー、君達(いったー)に貸(か)らしーねー、君達(いったー)が叩(たた)ち割(わ)いくとぅ、貸(から)さん。」でぃち貸(から)さんたくとぅ、うぬ主人(ぬーせー)、「あんせーうぬ人(ちゅ)ぬちーねー、私達(わったー)んかい知らしよー、私達(わったー)んうんぐとーる欲(ふ)さくとぅ。」んち家(やー)かい帰(けー)てぃ、行(ん)ぢからちゅてーし、またうぬ人(ちゅ)ぬ尋(たじゅに)てぃちゃくとぅ、「隣(とぅない)ぬ主人(ぬーし)ぬ泊(とぅ)まらすくとぅ、めんそーりんち事(くとぅ)じっさとーいびん。」ち話いさくとぅ、「あんせー今日(ちゅー)ぬ夜(ゆろー)あまんぢ、泊(とぅ)まるがやー。」んちんまから出(んぢ)てぃ、隣(とぅない)ぬ大屋(うふやー)うてぃ泊(とぅ)まてぃさくとぅ、主人(ぬーし)ぬ、「私達(わったー)ん若くなてぃ、なーひん働ちぶさいびーくとぅ、若くなちくぃみそーり。」んち願(ねが)たくとぅ、「あんせー、明日(あちゃー)ぬ暁(あかちち)井戸(かー)行(いん)ぢ水(みじ)汲(く)でぃちゃーに、湯(ゆー)沸かせー。」んち、寝(にん)たくとぅ、翌日(なーちゃ)早(ふぇー)く起(う)きてぃ、水(みじ)汲(く)りてぃちゃーに湯(ゆー)沸(わ)かちさくとぅ、押(う)し差(ざ)しぬ顔(かぶ)さーに薬(くすい)入(いっ)てぃ、「家族(やーにんじゅ)皆(んな)浴(あ)みれー。」んでぃ言(い)みそーちゃくとぅ、皆(んな)浴(あ)みとーしが、、さくとぅ皆(んな)猿(さーるー)なてぃさくとぅ、「猿(さーるー)や山んかい行き。」んち、追(うぃー)払(ほー)やーなかい、隣(とぅない)ぬ若者達(わかむんぬちゃー)呼(ゆ)ばーに、今日(ちゅー)からくぬ家(やー)ん、屋敷(やしち)ん全部(むる)君達(いったー)むんやくとぅ、くまうてぃ暮らせー。」んち、二人(たい)んかいいーらち、出(んぢ)てぃ行(いん)ぢゃくとぅ、うぬ後(あとぅ)、猿(さーるー)なとーる人達(ちゅぬちゃー)が、夕方(ゆさん)でぃないねー、うぬ家(やー)ぬ外庭(ふかなー)ぬ丸石(まーいさー)ぬ上(うぃ)んかい、膝(ちん)し抱(だ)ちいち、「私(わー)家(やー)ねーりー。」し、家(やー)ぬ内んかい向(ん)かてぃあびたんでぃるむんぬ、うぬ後(あとぅ)から、うぬ人(ちゅ)ぬ、また、巡(みぐ)てぃちくとぅ、「ちゃーがまーしやみ。」んち問(とー)たくとぅ、「うー、美(ちゅら)さる大屋(まぎやー)んかい暮らち、いーあんべーやいびーしが、ちむぐりさる事(くとぅ)(てぃー)えー有いびーん。」でぃ言(い)ちゃくとぅ、「くまんかい居(う)たる人達(ちゅぬちゃー)が毎日(めーにち)夕方(ゆさんでぃ)ないねー、外庭(ふかなー)ぬ丸石(まーいさー)ぬ上(うぃ)んかい、膝(ちん)し抱(だ)ちいち、くまんかい向(ん)かてぃ、『私(わー)家(やー)ねーりー。』し、あびしが、見(んー)ちょーちーねー、ちむぐりさいびーん。」りち話しさくとぅ、「あったーやなーま人(ちゅ)ぬ心(くくろ)わかてぃねーん、猿(さーるー)や山うてぃ暮らすしる当たい前(めー)やる、また、人(ちゅ)ぬ心(くくろー)、人(ちゅ)やか他(ふか)ぬ者(むん)なてぃ見(んー)だわるわかいる。あったーが本当(じゅん)に人(ちゅ)ぬ心(くくる)わかいねー、人間(にんじん)なさはんしむくとぅ、うぬ間(うぇーま)うぬままそーけー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「大変(じこー)ちむぐりさいびーんどーやー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あったーやまーんかいちゅーが。」んでぃち問(とー)たくとぅ、外庭(ふかなー)ぬ丸石(まーいさー)ぬ上(うぃ)んかい、膝(ちん)し抱(だ)ちいーびーん。」りち返答(ふぃんとー)さくとぅ、「あんせーうぬ丸石(まーいさー)強(ちゅー)く焼けー。」んでぃち教(ならー)ちゃくとぅ、若者達(わかむんぬちゃー)二人(たい)や、うぬ丸石(まーいさー)ちゅーぢゅーとぅ焼ちちきてぃ置(う)ちぇーたくとぅ、丸石(まーいさー)や黒(くるー)るそーくとぅ、焼きとーせーわからん。夕方(ゆさんでぃ)なてぃさくとぅ、猿達(さーるーたー)や、今日(ちゅー)ん集(あち)まてぃちゃーに、丸石(まーいさー)かいいーんちさーに、強(ちゅ)く焼かってぃるうくとぅ、跳(とぅ)ん上(あ)がてぃいーしくとぅ、まじゅーん、尻(ちび)から睾丸(くーが)までぃ焼かりやーに真(まっ)赤(かー)らなてぃさくとぅ、うぬ子(くゎ)、孫(んまが)ぬ猿(さーるー)や、皆(んな)赤尻(あかちびー)、赤睾丸(あかくーがー)なとーんでぃ。元旦(ちーたち)に朝早(ふぇー)く起(う)てぃ、若水(わかみじ)迎(んけー)てぃち、うり沸(わ)かち浴(あ)みーねー若返(わかげー)い、うりし御馳走(くゎっち)作(ちゅく)てぃ食(か)まーなかい、「若年(わかどぅし)から取(とぅ)みそーちー。」んでぃうなきてぃ、年頭(にんとぅー)ぬ挨拶(いぇーさち)すせーうんにんから始またんでぃ。〔共通語訳〕 学校の勉強では、人は猿から進化したと教はりますが、沖縄の昔では人から猿に変化したという事になっています。昔、或る処に大変な大金持ちの人が住んでいました。そして、家も、屋敷も大きして奇麗な家を造って住んでいるのですが、其処の側には大変貧乏者の老夫婦が住んでいました。或る年の大晦日の日に、貧乏者の年寄達は、隣りの大金持ちの家に行き「今日は大晦日で年の夜だが、年を取るお米が無いから、お米を少し貸して下さい」と申しますと「今日は年の末で、何でも借りた物を返済する日なんだが、君達にお米を貸すと今日の夜中には返せないだろうから、貸すわけにはいかない」と言って貸して呉れませんでしたので「もうそれでは仕方が無いから火正月をしよう」と言って、火を燃やして、それを前にして二人であたりながら「若い時から、他人の事や加勢ばかりしてお銭を儲ける事は出来なかったが、今になると、仕事も思う様には出来ない、又お銭儲ける事は出来ないが、陰徳は儲けてあるからねー」と話し合って、坐っている頃、隣りの大金持の家の方に、乞食風の男が来て、「今夜一晩宿めて呉れ」と頼みますと、「私達は家も大きいが、下男達や、女中達が多勢居るので、君を宿らす空室が無いから、隣りに行って宿りなさい」と言って宿めなかったので、その乞食は隣り貧乏者達の家に行って「一晩宿めてくれ」と話しますと「私達は貧乏者で大晦日でも食べる物が無く、隣りに行ってお米を貸して下さい、と、頼んでも貸して下さらないので、火正月をやっているところだ。それに、家も狭いのだが、其れでもよかったら宿りなさい」と言いますと、其の乞食は「何にも食べる物が無いなら、私が貰って来た物が有るから、其れを煮て食べよう」と言いながら、袋を下げて来て「鍋に湯を沸かしなさい」と言って沸させて、押差の頭で何かの粉を少し入れますと、鍋の一杯御馳走が出来ましたので、それで年の夜の年を取ったのです。そして其の人が二人に「貴方達は何が欲しいか」と問いますと「私達は若い時から今迄ずぅと、他人の加勢ばかりして、お銭は儲けず、陰徳ばかり儲けているのだが、もう年を取って何も出来ない。今からはお銭も欲しくはないが、もう一度若くなって、元の様にして、皆の為に元氣一杯働けたらなーと思う」と申しますと、其の人は「明日は一月元旦だから、朝早く、夜の明けぬ中に産井戸に行き、水を汲んで来て湯を沸かしなさい」と話して、其の夜は寝たのです。翌日になると年寄達は夜の闇の末だ明きらぬ中に起きて、産井戸に行水を汲んで来て湯を沸かしますと押差の頭で粉を入れて「さー浴なさい」と言いますので、浴ますと、二人共昔の若者になったのです。すると其の人は「私は他にも、もっと行く処が有るから巡ってこなくてはいけないが、此の袋を置いて行くから、何でも欲しい物が有る時は、欲しい物の名前を言いながら手を入れると、何でも欲しい物が出るから、此れを置いておくから君達で使いなさい」と申して、袋を置いて出て行きました。すると若者達は「此れは良い袋を貰った、だが、世間には私達同様に正月に困っている家庭もあるから袋からお米を沢山出して、其の人達に分けようではないか」と、お米を出しますと沢山出て、筵の一杯になりますと「さーどうして分けようか」と言う事になりますと、妻が「私が隣りに行って升を借りて来ます」と言って隣に行き「升を貸して下さい」と申しますと「貴女はどなたでしたか」と申しますので「隣の年寄」と話しますと、其処の主人は「升は貸しても減らないからよいが、此れ達、昨日は、年を取る米が無いから貸して呉れと来ていたが、何を測るのか」と思って升の底に鬢着を付けて持たしますと、若者達二人は、風呂敷数枚に測って入れて、升を返しますと。主人は其れを見て「君達、米は何処から有ったのか」と問いますので「昨夜私達に乞食が来て、宿を貸しますと其の人が『朝早く起きて、水を汲んで来て、入浴しなさい』と言うので、朝早く起きて産井戸に行き水を汲んで来て湯を沸かして浴ると、此の様に若くなったのです。又、袋を呉れてありますが、其の袋から、自分の欲しい物は何でも出る良い袋なので、其れからお米を沢山出して困っている人達に分けて上ようと思って升を借りたのです」と話しますと「あーそうか、其では私達にも其の袋を借して」と言て、袋を借りて行き、教った通り、自分の欲しいもの「銭はないかねー」と言って手を入れますと、銭ではなく、銭ではなく、全部悪い物ばかり出て来たので「此の様な悪袋」と言って、大いに怒り火の中に入れて燃してしまい、其れで隣に行って「あれは悪袋、全部悪い物ばかりしか出ない。君達は貧乏者だから、私達を羨しがってやったのだろう。あの袋は燃やしたよ」と言いますと「羨しがっているのではない。此れを見て見ろ、米を沢山出して、皆に配るために包んで置いてあるんだ」と、其の風呂敷包を見せますと、何にも言はずに家に帰って行きました。其の後、袋を貰はした人が巡って来て「どうだ、彼の袋は今も使っているか」と聞きますと「隣の主人が借て行って、銭を出そうとすると、全部悪い物ばかり出たので燃してしまいました」と話しますと「彼達は心掛けの悪い人だからねー、其れでは私が引臼を貰って来たから、今後は此れを使いなさい。此の臼は、穴の所に水を入れながら、自分の欲しい物の名前を言いながら廻すと何でも出るよ」と教えて「もう隣の者達には貸してはいけないよ、彼等は心掛が悪いから」と、石臼を貰はして、又、出て行きました。其の若者達は、又、自分の欲しい者を出して使っていますと、其れを見て隣の主人が又、「私達にも貸して」と申しましたが「いいえ、此れを君達に貸すと、叩き割るから貸さない」と答えて貸しませんでした。すると、其の主人が「それでは、其の人が来たら知らせてくれ、私達も此の様な物が欲しいから」と言って、家に帰りましたが、暫らくすると、又、彼の人が尋ねて来ましたので「隣の主人が宿らすので、おいで下さる様にと言付けられています」と話しますと「其れでは今日の夜は彼処で宿らうかな」と其処から出て行って、隣の大家に宿りますと主人が「私達も若くなって、もっと働きたいのです。だから若くして下さいます様に」とお願いしますと「おーそーか、其れでは明日の暁井戸に行、水を汲んで来て湯を沸かせ」と言って寝ますと、翌日は早く起きて、水を汲んで来て、湯を沸かしますと押差の頭で藥を入れて「家族皆浴なさい」と申しますので、皆が浴ると、どーでしょう、皆猿の様になったのです。すると「猿は山へ行け」と追払って、隣の若者達を呼んで「今日からは、此の家も屋敷も全部君達の物だから、此処で暮らしなさい」と言って、二人に貰はして出て行きますと、其の後、猿になった人達は、夕方になると其の家の外庭の方に置いてある丸石(差石)の上に膝を抱いて坐り「私の家を渡せ」と家の内に向って叫んでいたそうですが、其の後も又、其の人が巡って来て「どうかね、住み良いか」と問いますと「はい、美しいし、大きな家に暮して、とても良氣分ですが可哀相な事が一つ有ります」と答えますと「其れは何か」と聞き返しますと「此処に居た人達が毎日、夕方になると外庭の丸石の上に来て、膝を抱いて坐り、此処に向って『私の家を渡せ』と叫んでいますが、見ていると、とても可哀相です」と話しますと「彼達は未だに人に心がわかっていないから、猿は山で暮すのが当り前である。人の心というものは人間以外の者になって見ないとわからない、彼達が本当に人の心がわかる様になると人間にしてもよいから、其れがわかる迄は其の尽にしておきなさい」と申しますと「とても可哀相ですよ」と申し上げますと、其の人は「彼達は何処に来るのか」と尋ねますので「外庭の丸石の上に膝を抱いて坐ります」と答えますと、其の人は「其れでは其の丸石を強く焼いておきなさい」と教えましたので、若者達二人は、其の丸石を強く焼き付けて置いたのです。丸石というのは、黒色ですから焼けているのはわかりません。夕方になりますと今日も集まって来て、丸石の上に坐ろうと、強く焼かれているのですから、跳上って坐ると同時に、お尻から 丸焼かれて真赤になってしまったのです。其して其の子孫の猿は皆、赤尻、赤 丸の猿になったのです。元旦の朝早く起きて、若水を迎えて来て、其の水を沸かして浴ると若返る事と其れで御馳走を作って食べて「若年から取られましたでしょうか」と年頭の挨拶をするのは此の時から始まったそうです。平成9年2月17日 高江洲亮・赤嶺素花女翻字 T2A1
| レコード番号 | 47O170009 |
|---|---|
| CD番号 | 47O17C002 |
| 決定題名 | 大晦日の客(方言) |
| 話者がつけた題名 | 大晦日の客(トゥシヌユルーぬチャク) |
| 話者名 | 阿波根昌栄 |
| 話者名かな | あはごんしょうえい |
| 生年月日 | 19210309 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
| 記録日 | 19970217 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T02A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
| キーワード | 大晦日,猿,火正月,客,升,湯,焼いた石,赤尻 |
| 梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 学校うってー、人(ちょー)、猿(さーるー)からるなとーるんでぃる教(ならー)すしが、沖縄(うちなー)ぬ昔話(んかしばなし)いや、人(ちゅ)からる猿(さーるー)やなとーんでぃる話い。昔(んかし)あるとぅくまんかい、大変(じこー)ぬ大金持(うぇーきんちゅ)ぬめんせーたんでぃ。あんし、家(やー)ん、屋敷(やしち)ん、大(まぎ)いく、ちゅら家(やー)造(ちゅく)てぃうしが、んまぬ側(すば)んかい大変(じこー)な貧乏者(ふぃんすーむん)ぬ年寄(とぅすぃ)夫婦(みいとぅんだ)ぬ居(う)みせーたんでぃしが、ある年(とぅし)ぬ大晦日(とぅしぬゆるー)に、貧乏者(ふぃんすーむん)ぬ年寄達(とぅすぃんちゃー)や、隣(とぅな)ぬ大金持(うぇーきんちゅ)ぬ家(やー)んかい行(いん)ぢ、「今日(ちゅー)や年(とぅし)ぬ夜(ゆるー)やしが、年(とぅし)取(とぅ)いる米(くみ)ぬねーらんくとぅ、米(くみ)いふぇー貸(いらー)ちくぃみそーり。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「今日(ちゅー)や年(とぅし)切(ぢ)りんでぃ言(い)ち、何(ぬー)やてぃん、借(か)とーせー返(けー)する日(ふぃ)やしが、君達(いったー)んかい米(くみ)貸(いらー)しーねー、今日(ちゅー)ぬ夜中(ゆなか)までぃねー返(けー)しゆーさんくとぅ貸(いらー)さん。」でぃち貸(いらー)さんなたくとぅ、なー、あんせー仕方ならんさー火正月(ふぃーそーぐゎち)さーやー。」んち、火(ふぃー)燃(めー)ち二人(たい)し前(めー)なち火正月(ふぃーそーぐゎち)さがなー、「若さいにから他人(ちゅ)ぬ加勢(かしー)びけーし、むる銭(ぢのー)儲(もー)きえーしーゆうさん、今(なま)ないねー、仕事(しぐとぅ)ん思(うむ)いるぐとぅーしーゆうさん、また銭(ぢ)ぬん、儲(もー)きゆうさんしが、隠徳(いんとぅく)儲(もー)きてーくとぅしむさやー。」んち、話しーさがなーいちょーたくとぅ、うぬ頃(じぶん)、隣(とない)ぬ大金持(うぇーきんちゅ)ぬ家(やー)んかい、物乞(むぬくーやー)が来(ち)、「一夜(ちゅゆる)泊(とぅ)まらちくぃーり。」んち、頼(たる)だくとぅ、「私達(わったー)や、家(やー)ん、まぎさらしが、下男(ぢにん)ぬ達(ちゃー)、女中達(じょーしちゃーたー)が多(うふ)さぬ、やー泊(とぅ)まらする室(ぢゃー)やえねーらんくとぅ、隣(とぅない)行(いん)ぢ泊(とぅ)まれー。」んち泊(とぅ)まらさんたんでぃ。あんさくとぅ、うぬ物乞(むぬくーやー)やや隣(とぅない)ぬ貧乏者達(ふぃんすーむんぬちゃー)家(やー)んかい行(いん)ぢゃーに話いさくとぅ、「私達(わったー)や貧乏者(ふぃんすーむん)なてぃ、大晦日(とぅしぬゆるー)なてぃん、食(か)むしがねーらん。隣(とぅない)んかい行(いん)ぢ、米(くみ)貸(いらー)しみそーらんくとぅ、火正月(ふぃーそーぐゎち)るそーる。また、家(やー)ぐゎーん狭(いば)さしが、あんしんしむらー泊(とぅ)まれー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ物乞(むぬくーやー)や、うぬ家(やー)んかい泊(とぅ)まてぃさくとぅ、「何(ぬ)ん、食(か)むしがねーらんあらー、私(わー)がいーてぃちぇーしが有くとぅ、うり煮ち食(か)まな。」んち、袋(ふくる)引(ふぃ)っ下(さ)ぎてぃちゃーに、「鍋(なーび)んかい湯(ゆー)沸かいせー。」んち、沸かしみやーに、くーてー袋(ふくる)ぐゎーから、押(う)し差(ざ)しぬ顔(かぶ)さーに、何(ぬー)がなぬ粉(くー)ぐゎーいふぇー入(いっ)たくとぅ、鍋(なーび)ぬ満杯(みっちゃき)御馳走(くゎっちー)なてぃさーに、うりん年(とぅし)ぬ夜(ゆるー)ぬ年(とぅし)取(とぅ)ってぃさくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ二人(たい)んかい、「貴方達(うんじゅなー)や何故(ぬーふ)さみせーが。」んち問(とぅ)うたくとぅ、「私達(わったー)や若さいにから、今(なま)までぃむる他人(ちゅ)ぬ加勢(かしー)びけーし、銭(じー)ぬ儲(もー)きらん、陰徳(いんとぅく)びけーる儲(もー)きとーしが、なー年(とぅし)取(とぅ)ってぃ、ぬーんならん、今(なま)からー、銭(じん)、金(かに)ん、欲(ふ)さーねーらんしが、今一度(なーちゅけん)若くなてぃ、元(むとぅ)ぬぐとぅし若くなてぃ、元(むとぅ)ぬぐとぅし皆(んな)が為(たみ)、うーはまいし働かりーれーやーんでぃ思(うむ)いん。」でぃ言(い)ちゃくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ、「明日(あちゃー)や一月一日(ちーたちぬふぃー)やくとぅ朝早(ふぇー)く、夜(ゆー)ぬ明(あ)きらんまーどぅ、産井戸(んぶがー)行(いん)ぢ、水(みじ)汲(く)でぃちゃーに湯(ゆー)沸かせー。」んち、話いーし寝(にん)たくとぅ、年寄達(とぅすぃんちゃー)や翌日(なーちゃ)なたくとぅ、夜闇(ゆーぬみー)ぬ明(あ)きらんまーどぅ、産井戸(んぶがー)行(いん)ぢ水(みじ)汲(く)でぃち湯(ゆー)沸かちゃくとぅ、うりんかいん、押(う)し差(ざ)しぬ顔(かぶ)さーに粉(くー)ぐゎー入りやーなかい、「とー、うぬ水(みじ)し浴(あ)みれー。」んでぃ言(い)ち、浴(あ)みたくとぅ、二人共(たいなむん)、昔(んかし)ぬ若者(わかむん)なてぃさくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ、「私(わん)ねー、なーひん巡(みぐ)りはるやしが、くぬ袋(ふくろー)置(う)ちょーたくとぅ、何(ぬー)やてぃん、欲(ふ)さしが有いねー、欲(ふ)さる物(むん)ぬ名(なー)言(いゃー)なかい、手(てぃー)入りーねー、何(ぬー)やてぃん、欲(ふ)さしが出(んぢゃ)さりーくとぅ、くり置(う)ちょーかわー、君達(いったー)使(ちけー)よー。」んち、袋(ふろー)置(う)ち出(んぢ)てぃ、行(いん)ぢゃくとぅ、うぬ若者(わかむん)ぬ達(ちゃー)や、「くれー、いー袋(ふくる)いーたん、やしが世間(しきん)ねー私達(わったー)とぅ同様(ぬーぬぐとぅ)正月(そーぐゎち)しーかんてぃそーる家庭(ちねー)あくとぅ、でぃー、米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)さーに、皆(んな)んかい分きら。」んち、米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)ちゃくとぅ、筵(むしる)ぬ満杯(みっちゃき)なてぃ、さくとぅ、ちゃーし分きーがんでぃちさくとぅ、妻(とぅじ)ぬ、「んだ、隣(とぅない)行(いん)ぢ、升(ちょーばん)借(か)てぃ来(くー)。」んち行(いん)ぢゃーに、「升(ちょーばん)借(か)いびら。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「やーや誰(たー)やたが。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「隣(とぅない)ぬ年寄(とぅすぃ)るやる。」んでぃち話いさくとぅ、うぬ主人(ぬーせー)、「升(ちょーば)のー貸(か)らちん減(ふぃ)ならんくとぅしむしが、くったーや、昨日(ちぬー)、年(とぅし)取(とぅ)いる米(くみ)ぬねーらんくとぅ、貸(いらー)しんちるちゅーたしが、何(ぬー)測(はか)いがやー。んでぃ思(うむ)やーに、升(ちょーばん)ぬ底(すく)んかい鬢着(びんぢき)付(ち)やーに持(む)たちゃくとぅ、若者達(わかむんぬちゃー)二人(たい)や、風呂敷(うちゅくぃー)いくちぬんかい測(はか)てぃ入りやーに、升(ちょーば)の返(けー)ちゃくとぅ、主人(ぬーせー)うり見(んー)ぢゃーに、「君達(いったー)や米(くめー)まーからあたが。」んち問(とー)たくとぅ、「昨夜(ゆーび)私達(わったー)家(やー)んかい物乞(むぬくーやー)がちゃーに泊(とぅ)まらちゃくとぅ、うぬ人(ちゅ)ぬ暁(あがちち)早(ふぇー)く起(う)てぃ水(みじ)汲(く)でぃち浴(あ)みりんでぃ言(い)ちゃくとぅ、産井戸(んぶがー)行(いん)ぢ水(みじ)汲(く)でぃち、湯(ゆー)沸(わ)かち浴(あ)みたくとぅ、くんぐとぅ若くなとーん。また、袋(ふくる)いーらちぇーしが、うぬ袋(ふくる)から自分(どぅー)ぬ欲(ふ)させー何(ぬー)やてぃん出(んぢ)るいー袋(ふくる)なやーに、うりから米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)さーに、困(くま)とーる人達(ちゅぬちゃー)んかい分(わ)きゆんでぃる升(ちょーば)のー借(かっ)さみ。」んでぃち話いさくとぅ、「とー、あんせー、私達(わったー)にん、うぬ袋(ふくる)借(か)らせー。」んち袋(ふくる)借(か)てぃ行(いん)ぢゃーに、教(ならー)さったる通(とぅー)い、自分(どぅー)ぬ欲(ふ)さし、「銭(じのー)ねーらんがやー。」んでぃ言(いゃー)に、手(てぃー)入(いっ)たくとぅ、銭(じのー)あらん、全部(むる)やな物(むん)びけー出(んぢ)たくとぅ、「くんぐとーるやな袋(ふくる)。」んでぃ言(いゃー)に、くさみち、火(ふぃー)んかいけー燃(めー)ちねーらん。あんし隣(とぅない)んかい行(いん)ぢゃーに、「あれー、やな袋(ふくる)、全部(むる)やな物(むん)ぬる出(んぢ)る。君達(いったー)や貧乏者(ふぃんすーむん)やくとぅ私達(わったー)うれー羨(うれー)まさしるさらやー、あぬ袋(ふくろー)私(わー)が燃(めー)ちゃせー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「羨(うれー)まさあらんどー、うぬ見(んー)ち、見(んー)でー、米(くみ)沢山(だちぇーん)出(んぢゃ)ち、皆(んな)んかい配(はじゆ)んでぃち、包(ちち)でぃ置(う)ちぇーせー。」んちうぬ風呂敷(うちゅくぃー)包(ちち)ん見(み)したくとぅ、ぬーんでぃん言(いゃ)んぐとぅ、家(やー)かい帰(けー)てぃさくとぅ、うぬ後(あとぅ)袋(ふくる)いーらちゃる人(ちゅ)ぬ巡(みぐ)てぃちゃーに、「ちゃーやたが、あぬ袋(ふくろー)今(なま)ん使(ちか)とーみ。」んち、問(とー)たくとぅ、「隣(とぅない)ぬ借(か)てぃ行ちゃーに、銭(じん)出(んぢゃ)すんちさくとぅ、全部やな物(むん)ぬ出(んぢ)わんち、けー燃(めー)ちねーらん。」でぃち話いさくとぅ、「あったーやしむちぬわっさくとぅやー、あんせー私(わー)が引(ふぃ)ち臼(うーし)いーてぃちぇーくとぅ、今(なま)からーうり使(ちけー)は、くぬ臼(うー)せー穴んかい水(みじ)入りやがなー、自分(どぅー)ぬ欲(ふ)さしが名(なー)言(いゃ)がなー、廻(みぐ)らしーねー、ぬーやてぃん出(んぢ)ーさ。」んち教(ならー)ち、「なー隣(とぅない)ぬ者達(むんぬちゃー)ねー貸(いら)すなよー、あったーやしむちぬわっさぬ。」んち、石臼(いしうーし)いーらち、また出(んぢ)てぃ行(いん)ぢゃくとぅ、うぬ若者達(わかむんぬちゃー)や、また自分(どぅー)ぬ欲(ふ)さし出(んぢゃ)ち使(ちか)たくとぅ、うり見(んー)ぢゃーに、隣(とぅない)ぬ主人(ぬーせー)また、「私達(わったー)にん借(か)らせー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「いーいーいー、君達(いったー)に貸(か)らしーねー、君達(いったー)が叩(たた)ち割(わ)いくとぅ、貸(から)さん。」でぃち貸(から)さんたくとぅ、うぬ主人(ぬーせー)、「あんせーうぬ人(ちゅ)ぬちーねー、私達(わったー)んかい知らしよー、私達(わったー)んうんぐとーる欲(ふ)さくとぅ。」んち家(やー)かい帰(けー)てぃ、行(ん)ぢからちゅてーし、またうぬ人(ちゅ)ぬ尋(たじゅに)てぃちゃくとぅ、「隣(とぅない)ぬ主人(ぬーし)ぬ泊(とぅ)まらすくとぅ、めんそーりんち事(くとぅ)じっさとーいびん。」ち話いさくとぅ、「あんせー今日(ちゅー)ぬ夜(ゆろー)あまんぢ、泊(とぅ)まるがやー。」んちんまから出(んぢ)てぃ、隣(とぅない)ぬ大屋(うふやー)うてぃ泊(とぅ)まてぃさくとぅ、主人(ぬーし)ぬ、「私達(わったー)ん若くなてぃ、なーひん働ちぶさいびーくとぅ、若くなちくぃみそーり。」んち願(ねが)たくとぅ、「あんせー、明日(あちゃー)ぬ暁(あかちち)井戸(かー)行(いん)ぢ水(みじ)汲(く)でぃちゃーに、湯(ゆー)沸かせー。」んち、寝(にん)たくとぅ、翌日(なーちゃ)早(ふぇー)く起(う)きてぃ、水(みじ)汲(く)りてぃちゃーに湯(ゆー)沸(わ)かちさくとぅ、押(う)し差(ざ)しぬ顔(かぶ)さーに薬(くすい)入(いっ)てぃ、「家族(やーにんじゅ)皆(んな)浴(あ)みれー。」んでぃ言(い)みそーちゃくとぅ、皆(んな)浴(あ)みとーしが、、さくとぅ皆(んな)猿(さーるー)なてぃさくとぅ、「猿(さーるー)や山んかい行き。」んち、追(うぃー)払(ほー)やーなかい、隣(とぅない)ぬ若者達(わかむんぬちゃー)呼(ゆ)ばーに、今日(ちゅー)からくぬ家(やー)ん、屋敷(やしち)ん全部(むる)君達(いったー)むんやくとぅ、くまうてぃ暮らせー。」んち、二人(たい)んかいいーらち、出(んぢ)てぃ行(いん)ぢゃくとぅ、うぬ後(あとぅ)、猿(さーるー)なとーる人達(ちゅぬちゃー)が、夕方(ゆさん)でぃないねー、うぬ家(やー)ぬ外庭(ふかなー)ぬ丸石(まーいさー)ぬ上(うぃ)んかい、膝(ちん)し抱(だ)ちいち、「私(わー)家(やー)ねーりー。」し、家(やー)ぬ内んかい向(ん)かてぃあびたんでぃるむんぬ、うぬ後(あとぅ)から、うぬ人(ちゅ)ぬ、また、巡(みぐ)てぃちくとぅ、「ちゃーがまーしやみ。」んち問(とー)たくとぅ、「うー、美(ちゅら)さる大屋(まぎやー)んかい暮らち、いーあんべーやいびーしが、ちむぐりさる事(くとぅ)(てぃー)えー有いびーん。」でぃ言(い)ちゃくとぅ、「くまんかい居(う)たる人達(ちゅぬちゃー)が毎日(めーにち)夕方(ゆさんでぃ)ないねー、外庭(ふかなー)ぬ丸石(まーいさー)ぬ上(うぃ)んかい、膝(ちん)し抱(だ)ちいち、くまんかい向(ん)かてぃ、『私(わー)家(やー)ねーりー。』し、あびしが、見(んー)ちょーちーねー、ちむぐりさいびーん。」りち話しさくとぅ、「あったーやなーま人(ちゅ)ぬ心(くくろ)わかてぃねーん、猿(さーるー)や山うてぃ暮らすしる当たい前(めー)やる、また、人(ちゅ)ぬ心(くくろー)、人(ちゅ)やか他(ふか)ぬ者(むん)なてぃ見(んー)だわるわかいる。あったーが本当(じゅん)に人(ちゅ)ぬ心(くくる)わかいねー、人間(にんじん)なさはんしむくとぅ、うぬ間(うぇーま)うぬままそーけー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「大変(じこー)ちむぐりさいびーんどーやー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あったーやまーんかいちゅーが。」んでぃち問(とー)たくとぅ、外庭(ふかなー)ぬ丸石(まーいさー)ぬ上(うぃ)んかい、膝(ちん)し抱(だ)ちいーびーん。」りち返答(ふぃんとー)さくとぅ、「あんせーうぬ丸石(まーいさー)強(ちゅー)く焼けー。」んでぃち教(ならー)ちゃくとぅ、若者達(わかむんぬちゃー)二人(たい)や、うぬ丸石(まーいさー)ちゅーぢゅーとぅ焼ちちきてぃ置(う)ちぇーたくとぅ、丸石(まーいさー)や黒(くるー)るそーくとぅ、焼きとーせーわからん。夕方(ゆさんでぃ)なてぃさくとぅ、猿達(さーるーたー)や、今日(ちゅー)ん集(あち)まてぃちゃーに、丸石(まーいさー)かいいーんちさーに、強(ちゅ)く焼かってぃるうくとぅ、跳(とぅ)ん上(あ)がてぃいーしくとぅ、まじゅーん、尻(ちび)から睾丸(くーが)までぃ焼かりやーに真(まっ)赤(かー)らなてぃさくとぅ、うぬ子(くゎ)、孫(んまが)ぬ猿(さーるー)や、皆(んな)赤尻(あかちびー)、赤睾丸(あかくーがー)なとーんでぃ。元旦(ちーたち)に朝早(ふぇー)く起(う)てぃ、若水(わかみじ)迎(んけー)てぃち、うり沸(わ)かち浴(あ)みーねー若返(わかげー)い、うりし御馳走(くゎっち)作(ちゅく)てぃ食(か)まーなかい、「若年(わかどぅし)から取(とぅ)みそーちー。」んでぃうなきてぃ、年頭(にんとぅー)ぬ挨拶(いぇーさち)すせーうんにんから始またんでぃ。〔共通語訳〕 学校の勉強では、人は猿から進化したと教はりますが、沖縄の昔では人から猿に変化したという事になっています。昔、或る処に大変な大金持ちの人が住んでいました。そして、家も、屋敷も大きして奇麗な家を造って住んでいるのですが、其処の側には大変貧乏者の老夫婦が住んでいました。或る年の大晦日の日に、貧乏者の年寄達は、隣りの大金持ちの家に行き「今日は大晦日で年の夜だが、年を取るお米が無いから、お米を少し貸して下さい」と申しますと「今日は年の末で、何でも借りた物を返済する日なんだが、君達にお米を貸すと今日の夜中には返せないだろうから、貸すわけにはいかない」と言って貸して呉れませんでしたので「もうそれでは仕方が無いから火正月をしよう」と言って、火を燃やして、それを前にして二人であたりながら「若い時から、他人の事や加勢ばかりしてお銭を儲ける事は出来なかったが、今になると、仕事も思う様には出来ない、又お銭儲ける事は出来ないが、陰徳は儲けてあるからねー」と話し合って、坐っている頃、隣りの大金持の家の方に、乞食風の男が来て、「今夜一晩宿めて呉れ」と頼みますと、「私達は家も大きいが、下男達や、女中達が多勢居るので、君を宿らす空室が無いから、隣りに行って宿りなさい」と言って宿めなかったので、その乞食は隣り貧乏者達の家に行って「一晩宿めてくれ」と話しますと「私達は貧乏者で大晦日でも食べる物が無く、隣りに行ってお米を貸して下さい、と、頼んでも貸して下さらないので、火正月をやっているところだ。それに、家も狭いのだが、其れでもよかったら宿りなさい」と言いますと、其の乞食は「何にも食べる物が無いなら、私が貰って来た物が有るから、其れを煮て食べよう」と言いながら、袋を下げて来て「鍋に湯を沸かしなさい」と言って沸させて、押差の頭で何かの粉を少し入れますと、鍋の一杯御馳走が出来ましたので、それで年の夜の年を取ったのです。そして其の人が二人に「貴方達は何が欲しいか」と問いますと「私達は若い時から今迄ずぅと、他人の加勢ばかりして、お銭は儲けず、陰徳ばかり儲けているのだが、もう年を取って何も出来ない。今からはお銭も欲しくはないが、もう一度若くなって、元の様にして、皆の為に元氣一杯働けたらなーと思う」と申しますと、其の人は「明日は一月元旦だから、朝早く、夜の明けぬ中に産井戸に行き、水を汲んで来て湯を沸かしなさい」と話して、其の夜は寝たのです。翌日になると年寄達は夜の闇の末だ明きらぬ中に起きて、産井戸に行水を汲んで来て湯を沸かしますと押差の頭で粉を入れて「さー浴なさい」と言いますので、浴ますと、二人共昔の若者になったのです。すると其の人は「私は他にも、もっと行く処が有るから巡ってこなくてはいけないが、此の袋を置いて行くから、何でも欲しい物が有る時は、欲しい物の名前を言いながら手を入れると、何でも欲しい物が出るから、此れを置いておくから君達で使いなさい」と申して、袋を置いて出て行きました。すると若者達は「此れは良い袋を貰った、だが、世間には私達同様に正月に困っている家庭もあるから袋からお米を沢山出して、其の人達に分けようではないか」と、お米を出しますと沢山出て、筵の一杯になりますと「さーどうして分けようか」と言う事になりますと、妻が「私が隣りに行って升を借りて来ます」と言って隣に行き「升を貸して下さい」と申しますと「貴女はどなたでしたか」と申しますので「隣の年寄」と話しますと、其処の主人は「升は貸しても減らないからよいが、此れ達、昨日は、年を取る米が無いから貸して呉れと来ていたが、何を測るのか」と思って升の底に鬢着を付けて持たしますと、若者達二人は、風呂敷数枚に測って入れて、升を返しますと。主人は其れを見て「君達、米は何処から有ったのか」と問いますので「昨夜私達に乞食が来て、宿を貸しますと其の人が『朝早く起きて、水を汲んで来て、入浴しなさい』と言うので、朝早く起きて産井戸に行き水を汲んで来て湯を沸かして浴ると、此の様に若くなったのです。又、袋を呉れてありますが、其の袋から、自分の欲しい物は何でも出る良い袋なので、其れからお米を沢山出して困っている人達に分けて上ようと思って升を借りたのです」と話しますと「あーそうか、其では私達にも其の袋を借して」と言て、袋を借りて行き、教った通り、自分の欲しいもの「銭はないかねー」と言って手を入れますと、銭ではなく、銭ではなく、全部悪い物ばかり出て来たので「此の様な悪袋」と言って、大いに怒り火の中に入れて燃してしまい、其れで隣に行って「あれは悪袋、全部悪い物ばかりしか出ない。君達は貧乏者だから、私達を羨しがってやったのだろう。あの袋は燃やしたよ」と言いますと「羨しがっているのではない。此れを見て見ろ、米を沢山出して、皆に配るために包んで置いてあるんだ」と、其の風呂敷包を見せますと、何にも言はずに家に帰って行きました。其の後、袋を貰はした人が巡って来て「どうだ、彼の袋は今も使っているか」と聞きますと「隣の主人が借て行って、銭を出そうとすると、全部悪い物ばかり出たので燃してしまいました」と話しますと「彼達は心掛けの悪い人だからねー、其れでは私が引臼を貰って来たから、今後は此れを使いなさい。此の臼は、穴の所に水を入れながら、自分の欲しい物の名前を言いながら廻すと何でも出るよ」と教えて「もう隣の者達には貸してはいけないよ、彼等は心掛が悪いから」と、石臼を貰はして、又、出て行きました。其の若者達は、又、自分の欲しい者を出して使っていますと、其れを見て隣の主人が又、「私達にも貸して」と申しましたが「いいえ、此れを君達に貸すと、叩き割るから貸さない」と答えて貸しませんでした。すると、其の主人が「それでは、其の人が来たら知らせてくれ、私達も此の様な物が欲しいから」と言って、家に帰りましたが、暫らくすると、又、彼の人が尋ねて来ましたので「隣の主人が宿らすので、おいで下さる様にと言付けられています」と話しますと「其れでは今日の夜は彼処で宿らうかな」と其処から出て行って、隣の大家に宿りますと主人が「私達も若くなって、もっと働きたいのです。だから若くして下さいます様に」とお願いしますと「おーそーか、其れでは明日の暁井戸に行、水を汲んで来て湯を沸かせ」と言って寝ますと、翌日は早く起きて、水を汲んで来て、湯を沸かしますと押差の頭で藥を入れて「家族皆浴なさい」と申しますので、皆が浴ると、どーでしょう、皆猿の様になったのです。すると「猿は山へ行け」と追払って、隣の若者達を呼んで「今日からは、此の家も屋敷も全部君達の物だから、此処で暮らしなさい」と言って、二人に貰はして出て行きますと、其の後、猿になった人達は、夕方になると其の家の外庭の方に置いてある丸石(差石)の上に膝を抱いて坐り「私の家を渡せ」と家の内に向って叫んでいたそうですが、其の後も又、其の人が巡って来て「どうかね、住み良いか」と問いますと「はい、美しいし、大きな家に暮して、とても良氣分ですが可哀相な事が一つ有ります」と答えますと「其れは何か」と聞き返しますと「此処に居た人達が毎日、夕方になると外庭の丸石の上に来て、膝を抱いて坐り、此処に向って『私の家を渡せ』と叫んでいますが、見ていると、とても可哀相です」と話しますと「彼達は未だに人に心がわかっていないから、猿は山で暮すのが当り前である。人の心というものは人間以外の者になって見ないとわからない、彼達が本当に人の心がわかる様になると人間にしてもよいから、其れがわかる迄は其の尽にしておきなさい」と申しますと「とても可哀相ですよ」と申し上げますと、其の人は「彼達は何処に来るのか」と尋ねますので「外庭の丸石の上に膝を抱いて坐ります」と答えますと、其の人は「其れでは其の丸石を強く焼いておきなさい」と教えましたので、若者達二人は、其の丸石を強く焼き付けて置いたのです。丸石というのは、黒色ですから焼けているのはわかりません。夕方になりますと今日も集まって来て、丸石の上に坐ろうと、強く焼かれているのですから、跳上って坐ると同時に、お尻から 丸焼かれて真赤になってしまったのです。其して其の子孫の猿は皆、赤尻、赤 丸の猿になったのです。元旦の朝早く起きて、若水を迎えて来て、其の水を沸かして浴ると若返る事と其れで御馳走を作って食べて「若年から取られましたでしょうか」と年頭の挨拶をするのは此の時から始まったそうです。平成9年2月17日 高江洲亮・赤嶺素花女翻字 T2A1 |
| 全体の記録時間数 | 12:03 |
| 物語の時間数 | 12:03 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |