こう、この身分の上下というものは激しいもんだから、女の人は結局一番、昔は首里(すい)うてぃ知らじの念仏屋(にんぶちゃやぁ)(首里では知らない人のいない念仏屋)といってですね、人が亡くなったらそうこの鐘を叩いてこのあれがおった。あんた達がもう分からんはずよ、おったそこのあの大将の娘だったそうですよ、これも結局まぁ美人(ちゅらかぁぎぃ)だったんでしょうね、女はそしてまぁこの首里の男と結局ひ、一夜しかあの交わっていないんだがもう既に妊娠していたそうですがね、そしてその後妊娠して後から男がまた訪ねて来てから、「何故、近頃はもう会ってくれないか。」とまぁあれしたら、「あなたの身分とわしとは違うくて、わしはもう最低の身分の人の子だからあんたのような高い身分の人とはできない。」ということを男に打ち明けたら、「おまえはその、情けがない女だなぁ。」と男にいわれたんだが、「情けがあったからこそ、あんたの可愛いあの男の子ももうあのできているよう。」ということをいうたそうだ。男はもうびっくりして、そんないやしいあれから生まれた自分の子かと思ったらあのあれしたそうですがね、半分驚きしたらしいあぁいたそうですがね、それからそのぅ、「この子供は、あんたに負けないようにりっぱにわしが育てるから、あなたは学問の道に励みなさい。」とまぁ女をと別れたらしいですがね、そして女はその後からまぁこの後々この男の子は、男の子がとったんでしょうね、自分は山原の奥に行ってですね、あの牡丹なんかを作って自分で侘しく暮らしているそうですよ、奥山でそしてこの子がもう大きくなって、結局自分のお父さんに、「うちのお母さんはだれか。」といったらこれちょっといえないもんだから、あれだったそうですよ、結局お父さんが歌を息子に教えたそうですよ。「糸目(いとぅみ)から針目(はりみ)ふきるとぅんわぬや、ぬんでぃ産みさとぅがみくししすが。」(糸目と針目が反対になってもどうして産んだ子といえようか)といってですね、針というのは本当は糸を通すんでしょう、それが反対になっても絶対あのこの、あんたもうあんたの子だったことを、わし誰にもいわないからということを、あの男の方にいうてあれあのまぁ息子にお父さんがいうたんでしょうね、息子はその歌覚えて行って結局あちこち探して回って、もう自分のお母さんらしい人はいないもんだから、もうある山奥にずっと行って行ったらこの赤い光りが見えるもんだから、もう夜も遅くなっているもんだから、「今晩はあの何処でもいいから、もう泊めてくれんか。」といったら、もう自分を産んだお母さんがは顔形など分かりよったんでしょうね、初めはびっくりしたんだが、「まっ一晩だったらいいから、いい、あのあぁいい泊め、泊めていいよう。」ていったら、もうこのお母さんはこの若い者はもう自分の子であるんだが、早くもう寝込んでしまったら、顔みたらどうしても自分の産んだ子、どうしてこんな山奥まで訪ねて来るかと、もう女の親としては考えて、翌朝起きたら結局、結局お父さんが教えたように、「糸目(いとぅみ)から針目(はりみ)ふきるとぅんわぬや。」(糸目と針目が反対になっても)とその話しをお母さんにしたら、またお母さんが、「ぬんでぃ産みさとぅがみくししすが。」(どうして産んだ子といえようか)といって歌まぁつないだもんだから、「これは本当の自分の子でもあるし、お母さんであるねぇ。」といって、二人まぁここで抱き合って泣いてあれしたそうですがね、それからこの息子としては本当のお母さんだから、「もうあの首里に連れて行く。」ということをお母さんに、あのこの山奥におるお母さんにいうたそうですがね、お母さんが、「身分も違うシ、わしみたいな者がこの子を産んだといったら、世間体ともこのまた人の子あぁ、この子の立身の妨げにもなるから。」といってですね、「じゃあんたがあの無理にもわしを連れて行くんだったら、じゃあわしは着替えるから、あの少しあんた後ろの山に行って、牡丹を作っているからそれでも見てきなさい。」ということを息子に伝えたから、娘はあぁ息子は、「あぁまぁお母さん一緒に行ってくれるね、首里に行ってくれるね。」と喜んで後ろの山奥の牡丹を見ながら、その間にお母さんは、首里に行ったらもうあのここの恥さらしになるもんだからと、あの自分は井戸に落ちこんで亡くなって、あの首里にとうとう帰らんであれしたということらしいがね、これもまぁ少しはあったかは分からんが、この子はもう高い位にあがっている青年だから、自分、お母さんがそういう卑しい身分からの子であるというたら、世間体がどうも困るということで自分は結局むす、息子の出世のために自分は犠牲になったというあれでしょうね。
| レコード番号 | 47O378952 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C376 |
| 決定題名 | 奥山の牡丹(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 照屋善徳 |
| 話者名かな | てるやぜんとく |
| 生年月日 | 19171125 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 南風原町神里 |
| 記録日 | 19910828 |
| 記録者の所属組織 | 南風原町口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 南風原町T160A12 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 身分の上下,女,首里,念仏屋,鐘,美人,首里の男,妊娠,男の子,奥山,糸目,針目,山奥の牡丹,息子の出世,犠牲 |
| 梗概(こうがい) | こう、この身分の上下というものは激しいもんだから、女の人は結局一番、昔は首里(すい)うてぃ知らじの念仏屋(にんぶちゃやぁ)(首里では知らない人のいない念仏屋)といってですね、人が亡くなったらそうこの鐘を叩いてこのあれがおった。あんた達がもう分からんはずよ、おったそこのあの大将の娘だったそうですよ、これも結局まぁ美人(ちゅらかぁぎぃ)だったんでしょうね、女はそしてまぁこの首里の男と結局ひ、一夜しかあの交わっていないんだがもう既に妊娠していたそうですがね、そしてその後妊娠して後から男がまた訪ねて来てから、「何故、近頃はもう会ってくれないか。」とまぁあれしたら、「あなたの身分とわしとは違うくて、わしはもう最低の身分の人の子だからあんたのような高い身分の人とはできない。」ということを男に打ち明けたら、「おまえはその、情けがない女だなぁ。」と男にいわれたんだが、「情けがあったからこそ、あんたの可愛いあの男の子ももうあのできているよう。」ということをいうたそうだ。男はもうびっくりして、そんないやしいあれから生まれた自分の子かと思ったらあのあれしたそうですがね、半分驚きしたらしいあぁいたそうですがね、それからそのぅ、「この子供は、あんたに負けないようにりっぱにわしが育てるから、あなたは学問の道に励みなさい。」とまぁ女をと別れたらしいですがね、そして女はその後からまぁこの後々この男の子は、男の子がとったんでしょうね、自分は山原の奥に行ってですね、あの牡丹なんかを作って自分で侘しく暮らしているそうですよ、奥山でそしてこの子がもう大きくなって、結局自分のお父さんに、「うちのお母さんはだれか。」といったらこれちょっといえないもんだから、あれだったそうですよ、結局お父さんが歌を息子に教えたそうですよ。「糸目(いとぅみ)から針目(はりみ)ふきるとぅんわぬや、ぬんでぃ産みさとぅがみくししすが。」(糸目と針目が反対になってもどうして産んだ子といえようか)といってですね、針というのは本当は糸を通すんでしょう、それが反対になっても絶対あのこの、あんたもうあんたの子だったことを、わし誰にもいわないからということを、あの男の方にいうてあれあのまぁ息子にお父さんがいうたんでしょうね、息子はその歌覚えて行って結局あちこち探して回って、もう自分のお母さんらしい人はいないもんだから、もうある山奥にずっと行って行ったらこの赤い光りが見えるもんだから、もう夜も遅くなっているもんだから、「今晩はあの何処でもいいから、もう泊めてくれんか。」といったら、もう自分を産んだお母さんがは顔形など分かりよったんでしょうね、初めはびっくりしたんだが、「まっ一晩だったらいいから、いい、あのあぁいい泊め、泊めていいよう。」ていったら、もうこのお母さんはこの若い者はもう自分の子であるんだが、早くもう寝込んでしまったら、顔みたらどうしても自分の産んだ子、どうしてこんな山奥まで訪ねて来るかと、もう女の親としては考えて、翌朝起きたら結局、結局お父さんが教えたように、「糸目(いとぅみ)から針目(はりみ)ふきるとぅんわぬや。」(糸目と針目が反対になっても)とその話しをお母さんにしたら、またお母さんが、「ぬんでぃ産みさとぅがみくししすが。」(どうして産んだ子といえようか)といって歌まぁつないだもんだから、「これは本当の自分の子でもあるし、お母さんであるねぇ。」といって、二人まぁここで抱き合って泣いてあれしたそうですがね、それからこの息子としては本当のお母さんだから、「もうあの首里に連れて行く。」ということをお母さんに、あのこの山奥におるお母さんにいうたそうですがね、お母さんが、「身分も違うシ、わしみたいな者がこの子を産んだといったら、世間体ともこのまた人の子あぁ、この子の立身の妨げにもなるから。」といってですね、「じゃあんたがあの無理にもわしを連れて行くんだったら、じゃあわしは着替えるから、あの少しあんた後ろの山に行って、牡丹を作っているからそれでも見てきなさい。」ということを息子に伝えたから、娘はあぁ息子は、「あぁまぁお母さん一緒に行ってくれるね、首里に行ってくれるね。」と喜んで後ろの山奥の牡丹を見ながら、その間にお母さんは、首里に行ったらもうあのここの恥さらしになるもんだからと、あの自分は井戸に落ちこんで亡くなって、あの首里にとうとう帰らんであれしたということらしいがね、これもまぁ少しはあったかは分からんが、この子はもう高い位にあがっている青年だから、自分、お母さんがそういう卑しい身分からの子であるというたら、世間体がどうも困るということで自分は結局むす、息子の出世のために自分は犠牲になったというあれでしょうね。 |
| 全体の記録時間数 | 11:02 |
| 物語の時間数 | 11:02 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |