首里のどこっては覚えてないけど、首里のあるところに、姉と弟がおったそうです。それでね、戦前は頭につける鬢付(ビンジキ)と方言ではいったが、こんなものを担いで売っている少年がいましたよね。その少年が裏門から入って来たら、そこにいた男の子があんまりきれいで、ハッとして驚いて見惚れていたって。そしたから、その男の子が、「うちらのお姉さんはもっと僕よりきれいだよ。」と言ったので、「だったら、見せてちょうだい。」と言ったわけ。そしたら、「じゃ、姉さんは誰にも見られたことがないから、僕が転んだふりして、大声叫ぶから。そうしないと姉さんは出て来ないからよ。そのときにあんたは木の陰で隠れていて見てくださいよ。」と相談をやったわけ。それで弟はもう大声で叫んだから、姉さんは裏座小から紡いでいる糸を持ったまま弟がいる庭に出て来たって。そしたら、もうこの油売りはしゃべるなと言われていたがこの姉さんがきれいだったから、驚いて「ハァー。」と大声を出したから、その姉さんは、「シジャに見られた。」と言って、もう家にも入らないで、この紡ぎ糸を持ってゴンゴンゴンゴンと首里から出て、浦添のクシミシビラというところに行ったわさ。どうして、クシニシビラというのかというとね、この姉さんを捜しに行ったとき、ちょうどこの坂で姉さんの後ろ姿の腰が見えたもんで、もう方言で腰にはクシというさ。だから、クシミシビラと名付けられたそうです。それからどんどんどんどんあの普天間の方に入って行ったって。だから、もう親たちは驚いて姉さんが持って行った糸を頼って捜したって。そして、毎日毎日、首里からこの権現の洞窟の前に通って泣いて、「あんたがもうこっちにいたら、もう大変だからどうか出てください。」と、もう親は毎日泣いて頼んでいたって。そして、しばらくしたら、戦前は結婚式をするときに、クェーといって四角い蓋のついた籠があったからね、もう姿は見えないけど、この洞窟から声がしたわけ。「私の持ち物、着物も何もかも持って来てください。私はあんたたちの子どもと思わないでください。私はこちら守る神だからもう諦めてください。」と言ったって。それで、もう親は仕方なく帰ってね、その着物や何やら、持ち物が入っているクェーを、そこの洞窟の中の方に置いてあったって。そしたら、龍のような物がガラガラガラガラと出て来て、それが引っ張って内に入れていったって。昔の葬式のときにテンゲーといって龍の形しているものを竿につけてあったんだよ。このような龍の形をしたものであったわけね。それで、もうこっちも閉ざされて、それっきりだったそうです。
| レコード番号 | 47O361314 |
|---|---|
| CD番号 | 47O36C049 |
| 決定題名 | 普天間権現由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 玉那覇ツル |
| 話者名かな | たまなはつる |
| 生年月日 | 19230310 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県西原町字我謝 |
| 記録日 | 19900625 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 西原町補足調査2班T50A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 西原町史 別巻西原の民話P541 |
| キーワード | 浦添,クシミシビラ,普天間権現,洞窟,神,龍,テンゲー |
| 梗概(こうがい) | 首里のどこっては覚えてないけど、首里のあるところに、姉と弟がおったそうです。それでね、戦前は頭につける鬢付(ビンジキ)と方言ではいったが、こんなものを担いで売っている少年がいましたよね。その少年が裏門から入って来たら、そこにいた男の子があんまりきれいで、ハッとして驚いて見惚れていたって。そしたから、その男の子が、「うちらのお姉さんはもっと僕よりきれいだよ。」と言ったので、「だったら、見せてちょうだい。」と言ったわけ。そしたら、「じゃ、姉さんは誰にも見られたことがないから、僕が転んだふりして、大声叫ぶから。そうしないと姉さんは出て来ないからよ。そのときにあんたは木の陰で隠れていて見てくださいよ。」と相談をやったわけ。それで弟はもう大声で叫んだから、姉さんは裏座小から紡いでいる糸を持ったまま弟がいる庭に出て来たって。そしたら、もうこの油売りはしゃべるなと言われていたがこの姉さんがきれいだったから、驚いて「ハァー。」と大声を出したから、その姉さんは、「シジャに見られた。」と言って、もう家にも入らないで、この紡ぎ糸を持ってゴンゴンゴンゴンと首里から出て、浦添のクシミシビラというところに行ったわさ。どうして、クシニシビラというのかというとね、この姉さんを捜しに行ったとき、ちょうどこの坂で姉さんの後ろ姿の腰が見えたもんで、もう方言で腰にはクシというさ。だから、クシミシビラと名付けられたそうです。それからどんどんどんどんあの普天間の方に入って行ったって。だから、もう親たちは驚いて姉さんが持って行った糸を頼って捜したって。そして、毎日毎日、首里からこの権現の洞窟の前に通って泣いて、「あんたがもうこっちにいたら、もう大変だからどうか出てください。」と、もう親は毎日泣いて頼んでいたって。そして、しばらくしたら、戦前は結婚式をするときに、クェーといって四角い蓋のついた籠があったからね、もう姿は見えないけど、この洞窟から声がしたわけ。「私の持ち物、着物も何もかも持って来てください。私はあんたたちの子どもと思わないでください。私はこちら守る神だからもう諦めてください。」と言ったって。それで、もう親は仕方なく帰ってね、その着物や何やら、持ち物が入っているクェーを、そこの洞窟の中の方に置いてあったって。そしたら、龍のような物がガラガラガラガラと出て来て、それが引っ張って内に入れていったって。昔の葬式のときにテンゲーといって龍の形しているものを竿につけてあったんだよ。このような龍の形をしたものであったわけね。それで、もうこっちも閉ざされて、それっきりだったそうです。 |
| 全体の記録時間数 | 8:30 |
| 物語の時間数 | 16:24 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |