昔、屋良のちょっとした東側の所に、うっそうとした木の繁った下にムルチグムイといって深い沼みたいな池がありました。そこは大昔のこと、毎年すごい蛇が出てきて、近辺の農作物を食い荒らして、、村の人々を困らしていました。なんとかして退治しなくちゃいけないと思うけど、あんまり蛇が恐ろしいもんだから、退治のしようがありませんでした。「これは困ったなあ」村中みんな作物を取られてしまって、もう飢餓に陥るくらいになっていたけれども、その退治のしようが分かりません。それを聞いた王様は、「これはいけない。ぜひ国の力で何とかしよう」と国からたくさんの家来を出し、侍たちを送って退治させようとしましたが、それでも駄目でした。そしたら、村の祝女に聞いてみて相談しようということになって、その方法を取ったら、「これはそんな人の力で退治できるものではない。この村の人間を生贄にしないと、この蛇は治まらない」という話が出ました。それを聞いた王様はますます困って、国中にそのお触れを出しました。こういう訳で、村人みんなを助けるために生贄を出さないといけないが、どうしましょうっていって、誰かそういう志のある者はいないのか、とお触れを出しました。そしたら、この村に貧しい親子が、たいへん貧乏な暮らしをしていて、お母さんは病弱で、娘はお母さんの薬代も作れなくて、たいへん気の毒な暮らしをしている家庭がありました。この一人娘が、「よし、私それに行きます。生贄になります。どうぞ私をあてて下さい」と言いました。これはお母さんにも内緒です。そして、蛇の出る前の日に仕度を整え、祝女と一緒に準備をしました。準備が整って、さあ生贄になる日です。そしたら、村中の人々は、みんな気の毒がって、「あんな孝行娘が、あんなにきれいな子供が気の毒だ」と同情しました。だけど、国中の人のためにこれ仕方ないかねぇ、とみんな泣き寝入りしていました。そして、どこからともなく聞いたお母さんは、「それはたいへんだ」と寝床にいるのを振り切って、その時間までに駆けつけて、ムルチに行きました。そしたら、娘は座台に座っています。白い着物を着て、もう蛇の来るのを待っています。お母さんはありったけの声で叫んで、名前を呼んで近寄って行きました。すると、いつの間にか池の中から怖い蛇が現れてきて、今にも飛び掛かろうとする時に、お母さんは簪を振りかざして、「絶対こんなことがあってたまるものか」飛び掛かって行きました。すると、蛇が今にも咬みつきそうになった時に、お母さんの簪が蛇の目を刺そうとしたちょうどその時に、簪の力で雷が落ちてきて、蛇の顔にぶつかりました。命中した蛇は黒こげになって、そこにうずくまってしまいました。そのお陰でこの娘は助かったという話です。
| レコード番号 | 47O416032 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C320 |
| 決定題名 | 屋良ムルチ(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 山内敏 |
| 話者名かな | やまうちとし |
| 生年月日 | 19180810 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 嘉手納町国直 |
| 記録日 | 19940222 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 嘉手納T19B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | かでなの民話P52 |
| キーワード | 沼,孝行娘,祝女,生贄,国王,お触れ,簪, |
| 梗概(こうがい) | 昔、屋良のちょっとした東側の所に、うっそうとした木の繁った下にムルチグムイといって深い沼みたいな池がありました。そこは大昔のこと、毎年すごい蛇が出てきて、近辺の農作物を食い荒らして、、村の人々を困らしていました。なんとかして退治しなくちゃいけないと思うけど、あんまり蛇が恐ろしいもんだから、退治のしようがありませんでした。「これは困ったなあ」村中みんな作物を取られてしまって、もう飢餓に陥るくらいになっていたけれども、その退治のしようが分かりません。それを聞いた王様は、「これはいけない。ぜひ国の力で何とかしよう」と国からたくさんの家来を出し、侍たちを送って退治させようとしましたが、それでも駄目でした。そしたら、村の祝女に聞いてみて相談しようということになって、その方法を取ったら、「これはそんな人の力で退治できるものではない。この村の人間を生贄にしないと、この蛇は治まらない」という話が出ました。それを聞いた王様はますます困って、国中にそのお触れを出しました。こういう訳で、村人みんなを助けるために生贄を出さないといけないが、どうしましょうっていって、誰かそういう志のある者はいないのか、とお触れを出しました。そしたら、この村に貧しい親子が、たいへん貧乏な暮らしをしていて、お母さんは病弱で、娘はお母さんの薬代も作れなくて、たいへん気の毒な暮らしをしている家庭がありました。この一人娘が、「よし、私それに行きます。生贄になります。どうぞ私をあてて下さい」と言いました。これはお母さんにも内緒です。そして、蛇の出る前の日に仕度を整え、祝女と一緒に準備をしました。準備が整って、さあ生贄になる日です。そしたら、村中の人々は、みんな気の毒がって、「あんな孝行娘が、あんなにきれいな子供が気の毒だ」と同情しました。だけど、国中の人のためにこれ仕方ないかねぇ、とみんな泣き寝入りしていました。そして、どこからともなく聞いたお母さんは、「それはたいへんだ」と寝床にいるのを振り切って、その時間までに駆けつけて、ムルチに行きました。そしたら、娘は座台に座っています。白い着物を着て、もう蛇の来るのを待っています。お母さんはありったけの声で叫んで、名前を呼んで近寄って行きました。すると、いつの間にか池の中から怖い蛇が現れてきて、今にも飛び掛かろうとする時に、お母さんは簪を振りかざして、「絶対こんなことがあってたまるものか」飛び掛かって行きました。すると、蛇が今にも咬みつきそうになった時に、お母さんの簪が蛇の目を刺そうとしたちょうどその時に、簪の力で雷が落ちてきて、蛇の顔にぶつかりました。命中した蛇は黒こげになって、そこにうずくまってしまいました。そのお陰でこの娘は助かったという話です。 |
| 全体の記録時間数 | 5:01 |
| 物語の時間数 | 4:58 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |