阿麻和利(共通語)

概要

阿麻和利というのはね、屋良字に生まれたけれどもね、その頃ほら、ムルチの話をするように、日照りがあって、飢餓があったでしょう。その時代の人だから、もう、生活に困ってるでしょう。そしてなるべく口減らしをしたい世の中に、この子は生まれたわけね。これがまあ、そう成長するっても、この阿麻和利は、肢体不自由、今の小児麻痺みたいな子に生まれたので、親からも見離されて、これは穴に捨てられたわけよ。この親たちは、何でかってったら、ほら、生活に困っているから、一人でもなるべく少ない方がいいということで。ところが母親たる者は、そんなすぐには捨てられないでしょ。だから、これに食べ物を、その頃の話だから芋だったんですね。何日分かそこの穴の側に置いて、これで食べる間は生きながらえておけと言って、母親はそこに置いた。そして母親たちは、生活を多分ここの部落で過ごしたでしょう。そして、それが何年かした時、今度この阿麻和利は、この穴の中で、自分はあまり体動かんから、親が持ってきた食べ物を少しずつ食べて、まあ命をつないでいて、そして、寝ている時に、蜘蛛の巣が張って、生きていることを寝ておってこう見てから、この人は蜘蛛から知恵を授かったわけ。そして蜘蛛は尻から糸を出して、網を作って生きているさね。そういうのを見て、自分も、(ああ、あんな蜘蛛でさえもこういった知恵があって、そして生き延びている。だから自分だってね、よし生き延びるその考えを出そう)と。普通の人だったら死ぬでしょう。もうあの頃は食べ物もないし、親からも見離されてね、もう死んだ方がいいさって思ったかもしれないけど、この子はその蜘蛛の巣や、蜘蛛を見て自分の生きるのと、網を作るのを考え出したわけさ。して、これはね、こっちのこの穴から出て、多分もう抜け出すぐらいだから、七、八歳ぐらい、もう歩けるようになっていたんでしょう。ところが、歩けるっても、普通の人のように歩けるんじゃなくて、肢体不自由だから。で、これが屋良を出て、越来から高江洲辺りを通って、屋慶名にいくさね。そして、屋慶名辺りに辿り着いて、そこで、何ていうのかね。そこで屋慶名の人に助けられて生活をしたんでしょうね。そしたらその人はね、とってもジンブン持ちで、頭が良くて、いろんな人達からの信用を得るようになったわけ。何か話をするにも、これのものは、何か信頼できるような話だねっていうみたいにさ。で、ほら、いろんな知恵もあるしということで、そこで皆と一緒に、屋慶名人みたいに生活しているうちに、その屋慶名の人達が生活に困っていることを見て、自分がその穴にいた時の、あの蜘蛛が網を作ったのを思い出したわけ。で、その百姓達にね、魚を捕る網を作ることを指導したの。「こんなこんなして作ってみなさい」て。そしたら、百姓達は皆ね網を作ったわけさ。で、この網で、「そしたら魚を捕れるか捕れないか、海で捕ってみぃ」て言ったら、捕れたでしょう。それから、そこの屋慶名の人達は、「阿麻和利ジンブン持ちやっさー、上等やっさー。くりが、くぬふーじ、いじゃさんてーれー、皆やーさすてーんどー」って。ひもじい思いをしたけど、こんないい考えを出してくれて良かったと言って、皆海に行ってその網でね、魚を捕るようになったから、その屋慶名の人々は網を作るようになって、漁師になって生活が出来るようになったわけさ。そして、生活が出来るようになったらば、成人する頃からはね、有名になったわけね。これはジンブン持ちである。それから、阿麻和利は、中城城主やら、首里に嘘ついて、戦争しようとした。自分が大将になるには、血を流さないと大将になれないでしょう。そして謀叛起こしたわけさ。で、いろんな悪知恵を出して、大人になったら自分がこの大将になろうとしてね、中城の護佐丸の所に攻め寄せたでしょう、松明をつけて。その松明をつけて、阿麻和利を加勢したのが屋慶名の百姓達。これね、救われたから、皆、阿麻和利の言うこと聞いたわけさ、結局。そして松明をつけて、「御前達、いつのいつ頃ね、私が合図したらおいでよう」って。その話をしておって、自分は中城城の護佐丸滅ぼしに入ったわけさ。そして、阿麻和利は、護佐丸を退治したでしょ。そしてから、この中城の護佐丸のお妃は、首里の王様のきょうだいか何かだったさあね。それで、今度は、護佐丸を退治する前に、護佐丸が首里城を攻めるという計画をしているよ、という嘘をついたわけ、首里城に。そしたら首里は、こんな事ないでしょというふうに、安心していたけれども。安心していて戦の用意をせずに、護佐丸が攻め寄せて来たのかな。全部これは阿麻和利が作った話だわけさ、あっち、ぼんやりさせた事も。それで、最後には、阿麻和利は謀叛がばれてね逃げてきてこの屋良は自分の故郷であると言って、屋良からずっと読谷に逃げ落ちて行くところを、古堅のどこかでやられたってゆう話ね。で、古堅のどこかにね、この阿麻和利の墓があるっていうんですよ。屋良の人は、その古堅の墓はね、本当に阿麻和利の墓だったって。

再生時間:12:50

民話詳細DATA

レコード番号 47O235622
CD番号 47O23C301
決定題名 阿麻和利(共通語)
話者がつけた題名
話者名 宮城巳知子
話者名かな みやぎみちこ
生年月日 19260412
性別
出身地 嘉手納町字屋良
記録日 19930828
記録者の所属組織 沖縄国際大学口承研
元テープ番号 嘉手納T01B05
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 かでなの民話P116
キーワード 阿麻和利,屋良,ムルチ,日照り,肢体不自由,穴,蜘蛛の巣,網,屋慶名,百姓達,魚,中城城主,首里,嘘,戦争,大将,悪知恵,護佐丸,首里城,謀叛,読谷,阿麻和利の墓
梗概(こうがい) 阿麻和利というのはね、屋良字に生まれたけれどもね、その頃ほら、ムルチの話をするように、日照りがあって、飢餓があったでしょう。その時代の人だから、もう、生活に困ってるでしょう。そしてなるべく口減らしをしたい世の中に、この子は生まれたわけね。これがまあ、そう成長するっても、この阿麻和利は、肢体不自由、今の小児麻痺みたいな子に生まれたので、親からも見離されて、これは穴に捨てられたわけよ。この親たちは、何でかってったら、ほら、生活に困っているから、一人でもなるべく少ない方がいいということで。ところが母親たる者は、そんなすぐには捨てられないでしょ。だから、これに食べ物を、その頃の話だから芋だったんですね。何日分かそこの穴の側に置いて、これで食べる間は生きながらえておけと言って、母親はそこに置いた。そして母親たちは、生活を多分ここの部落で過ごしたでしょう。そして、それが何年かした時、今度この阿麻和利は、この穴の中で、自分はあまり体動かんから、親が持ってきた食べ物を少しずつ食べて、まあ命をつないでいて、そして、寝ている時に、蜘蛛の巣が張って、生きていることを寝ておってこう見てから、この人は蜘蛛から知恵を授かったわけ。そして蜘蛛は尻から糸を出して、網を作って生きているさね。そういうのを見て、自分も、(ああ、あんな蜘蛛でさえもこういった知恵があって、そして生き延びている。だから自分だってね、よし生き延びるその考えを出そう)と。普通の人だったら死ぬでしょう。もうあの頃は食べ物もないし、親からも見離されてね、もう死んだ方がいいさって思ったかもしれないけど、この子はその蜘蛛の巣や、蜘蛛を見て自分の生きるのと、網を作るのを考え出したわけさ。して、これはね、こっちのこの穴から出て、多分もう抜け出すぐらいだから、七、八歳ぐらい、もう歩けるようになっていたんでしょう。ところが、歩けるっても、普通の人のように歩けるんじゃなくて、肢体不自由だから。で、これが屋良を出て、越来から高江洲辺りを通って、屋慶名にいくさね。そして、屋慶名辺りに辿り着いて、そこで、何ていうのかね。そこで屋慶名の人に助けられて生活をしたんでしょうね。そしたらその人はね、とってもジンブン持ちで、頭が良くて、いろんな人達からの信用を得るようになったわけ。何か話をするにも、これのものは、何か信頼できるような話だねっていうみたいにさ。で、ほら、いろんな知恵もあるしということで、そこで皆と一緒に、屋慶名人みたいに生活しているうちに、その屋慶名の人達が生活に困っていることを見て、自分がその穴にいた時の、あの蜘蛛が網を作ったのを思い出したわけ。で、その百姓達にね、魚を捕る網を作ることを指導したの。「こんなこんなして作ってみなさい」て。そしたら、百姓達は皆ね網を作ったわけさ。で、この網で、「そしたら魚を捕れるか捕れないか、海で捕ってみぃ」て言ったら、捕れたでしょう。それから、そこの屋慶名の人達は、「阿麻和利ジンブン持ちやっさー、上等やっさー。くりが、くぬふーじ、いじゃさんてーれー、皆やーさすてーんどー」って。ひもじい思いをしたけど、こんないい考えを出してくれて良かったと言って、皆海に行ってその網でね、魚を捕るようになったから、その屋慶名の人々は網を作るようになって、漁師になって生活が出来るようになったわけさ。そして、生活が出来るようになったらば、成人する頃からはね、有名になったわけね。これはジンブン持ちである。それから、阿麻和利は、中城城主やら、首里に嘘ついて、戦争しようとした。自分が大将になるには、血を流さないと大将になれないでしょう。そして謀叛起こしたわけさ。で、いろんな悪知恵を出して、大人になったら自分がこの大将になろうとしてね、中城の護佐丸の所に攻め寄せたでしょう、松明をつけて。その松明をつけて、阿麻和利を加勢したのが屋慶名の百姓達。これね、救われたから、皆、阿麻和利の言うこと聞いたわけさ、結局。そして松明をつけて、「御前達、いつのいつ頃ね、私が合図したらおいでよう」って。その話をしておって、自分は中城城の護佐丸滅ぼしに入ったわけさ。そして、阿麻和利は、護佐丸を退治したでしょ。そしてから、この中城の護佐丸のお妃は、首里の王様のきょうだいか何かだったさあね。それで、今度は、護佐丸を退治する前に、護佐丸が首里城を攻めるという計画をしているよ、という嘘をついたわけ、首里城に。そしたら首里は、こんな事ないでしょというふうに、安心していたけれども。安心していて戦の用意をせずに、護佐丸が攻め寄せて来たのかな。全部これは阿麻和利が作った話だわけさ、あっち、ぼんやりさせた事も。それで、最後には、阿麻和利は謀叛がばれてね逃げてきてこの屋良は自分の故郷であると言って、屋良からずっと読谷に逃げ落ちて行くところを、古堅のどこかでやられたってゆう話ね。で、古堅のどこかにね、この阿麻和利の墓があるっていうんですよ。屋良の人は、その古堅の墓はね、本当に阿麻和利の墓だったって。
全体の記録時間数 13:00
物語の時間数 12:50
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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