昔、松原の、南に金持ちの家と、北にその金持ちからいつもお金や米を借りている子持ちの貧乏者の家があった。ある時、南の人は、余りにも金や米を借り過ぎる北の人に、「働きもしないのになぜ子供を産むのだ」と尋ねた。するとその人は、「子供は大きくなったら働くし、それによって面倒を見てもらえるから幸せだ」と答えた。南の人は、「確かに後で幸せになるかもしれんが、今はおれから恵んでもらっている身だろう。その点、子供はなくても米や粟をたくさん持っているおれの方がお前よりずっと幸せだと言ってきたため、結局この二人のどちらが幸せなのかを、同じ部落の人に見てもらうことになった。その日から、南の家はどっちが幸せかを見る日まで、自分の家から米や粟を取り出す準備を、北の人は山に行き、子供たちに踊りを教えたり、おしろいや紅のつけ方を教えた。当日、南の家は前もって準備した米や粟の俵を庭に出し、人々に自分が幸せであるということを見せ付けようとした。しかし、対する北の家の子供たちは、この日まで一生懸命練習した踊りを力いっぱい見せたため、人々は子供たちの踊りに見入ってしまい、南の家の俵を見る人は誰もいなかった。さらに、そこへ大雨が降ってきた。南の家の俵は、人々が踊りを見るための踏み台となり、脆くなったために俵は破れ、雨に流されていった。一方、北の家は大雨にも負けず、まだ踊り続けていた。人々はたとえ貧しくても子供がたくさんいる北の家の方が幸せであると知った。その後、南の家の人は思い病気にかかり、北の家の人たちに、「もし自分が死んだら、その後の世話をしてくれ」と頼んだ。北の人たちはそれを引き受けたが、心の中では早く亡くなることを祈っていた。間もなく南の人は亡くなり、北の家の人は彼の死体の入った棺桶にたくさんの釘を打ち、南の家の人を神様にさせず、棺桶に閉じ込めようとした。数日後、北の家の人の夢の中に、嬉しそうな顔をした南の人が出てきた。北の人がそのわけを尋ねると、南の人は、「あの時、釘を打ってくれたお陰で、(地下で)蟻や虫に食われることなく、無事に先祖のところへ行くことができた」と答えた。そのことがあって以来、松原には、死者を無事に先祖の元へ届けるようにと棺桶に釘を打って埋める風習が始まったといわれている。
| レコード番号 | 47O233201 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C152 |
| 決定題名 | 宝較べ(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 垣花昌美 |
| 話者名かな | かきのはなまさみ |
| 生年月日 | 19110620 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 不明 |
| 記録日 | 19960226 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 平良T26A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 宝較べ,俵,子供の数,棺桶,鉦 |
| 梗概(こうがい) | 昔、松原の、南に金持ちの家と、北にその金持ちからいつもお金や米を借りている子持ちの貧乏者の家があった。ある時、南の人は、余りにも金や米を借り過ぎる北の人に、「働きもしないのになぜ子供を産むのだ」と尋ねた。するとその人は、「子供は大きくなったら働くし、それによって面倒を見てもらえるから幸せだ」と答えた。南の人は、「確かに後で幸せになるかもしれんが、今はおれから恵んでもらっている身だろう。その点、子供はなくても米や粟をたくさん持っているおれの方がお前よりずっと幸せだと言ってきたため、結局この二人のどちらが幸せなのかを、同じ部落の人に見てもらうことになった。その日から、南の家はどっちが幸せかを見る日まで、自分の家から米や粟を取り出す準備を、北の人は山に行き、子供たちに踊りを教えたり、おしろいや紅のつけ方を教えた。当日、南の家は前もって準備した米や粟の俵を庭に出し、人々に自分が幸せであるということを見せ付けようとした。しかし、対する北の家の子供たちは、この日まで一生懸命練習した踊りを力いっぱい見せたため、人々は子供たちの踊りに見入ってしまい、南の家の俵を見る人は誰もいなかった。さらに、そこへ大雨が降ってきた。南の家の俵は、人々が踊りを見るための踏み台となり、脆くなったために俵は破れ、雨に流されていった。一方、北の家は大雨にも負けず、まだ踊り続けていた。人々はたとえ貧しくても子供がたくさんいる北の家の方が幸せであると知った。その後、南の家の人は思い病気にかかり、北の家の人たちに、「もし自分が死んだら、その後の世話をしてくれ」と頼んだ。北の人たちはそれを引き受けたが、心の中では早く亡くなることを祈っていた。間もなく南の人は亡くなり、北の家の人は彼の死体の入った棺桶にたくさんの釘を打ち、南の家の人を神様にさせず、棺桶に閉じ込めようとした。数日後、北の家の人の夢の中に、嬉しそうな顔をした南の人が出てきた。北の人がそのわけを尋ねると、南の人は、「あの時、釘を打ってくれたお陰で、(地下で)蟻や虫に食われることなく、無事に先祖のところへ行くことができた」と答えた。そのことがあって以来、松原には、死者を無事に先祖の元へ届けるようにと棺桶に釘を打って埋める風習が始まったといわれている。 |
| 全体の記録時間数 | 13:40 |
| 物語の時間数 | 13:40 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |