伊波の部落のずっと西のはてに、大きなシー〔岩〕があり、そのシーの前のクガチ原(ばる)というところには、田んぼがたくさんあった。祝女(のろ)は、昔、田んぼをもらいよったそうで、祝女田(ぬーるだー)と呼ばれる田もあったんだけれど。私たちが小さい頃は、そこをよく通った。そして、また、大人になってからは、稲を頭の上に乗せて運び、そのシーの前で稲をおろして休んだ。そこのシーの下には、畳が十畳ぐらい敷かれるくらいの広っぱがあり、男の子や女の子、みんな、ハナライ洞窟(がま)といって、鼻の穴が二つあいたような形の岩があったので、石投げをして遊んだんだけど。そこに石を投げたら、子どもに恵まれない人でも、みんな子どもに恵まれるようって話を聞いたんだけど、いたずらに石を投げても、なかなかかからなかった。前原の方に、「伊波のクガチ原に、ハナライ洞窟(がま)ってありますよねえ。」と、聞かれたので、「はいありますよ。私たちも子どもの頃は石を投げたりして、よく遊んだよ。だけど、その岩のいわれはわからないんだが。」といったら、「そこは、子どもに恵まれない人でも、そこに石を投げて、その石が落ちてこなかったら子どもが授かるといって、私たちは酒一合を入れて、従兄弟姉さん二人、拝みに行ったよ。」というので、「あはあ、そんなこともあるのかねえ。」といって。そして、あるお婆さんに、「ねえあの岩には、そういう、いわれがあるんだってねえ。」といって聞いたら、「うん、そうよう、そうだよ。私たちも長い間男の子に恵まれなかったので、私たちも投げた。別の人の投げたものはかからなかったんだが、私の投げたものはかかって、そして、おそくからだけど、男の子ができたよ。」という話を聞いたから、あんまりめずらしくて‥‥。で、最近物知りが、「伊波は、ずっと西のはてに立派な、大事なジクサンがあるのに、それを知らないのかねえ。」と言うので、「どうして。」と聞くと、「あそこは、軸芯(じくしん)といって伊波の子どもを産み広げた御嶽(うたき)なのに、それを知らないで。それに石川にトゥンジムイといってあるから、あの川と、また、その中間にウクイーという川が流れておったから、この三つつないだら、伊波の部落はとっても栄えるんだけどね。」といった。それは最近聞いたんですよね。「それじゃあ、それはどんなにやったらいいかねえ。」といってしたら、石川の男の方だけど、「これはぜひとも拝まないと、伊波はなにもならんよう。」というから。して、かんじんのその道は、その鼻のある前から切られてしまってる。大きな谷底みたいに切れてしまって通れなくなっているのよう。で、今度は、そのハナライ洞窟(がま)の道、坂になっている田んぼに行く道が通れなくなっているから、これはぜひ道を作らんといけない。こっちは大事な所だからといってね、その石川の人が、今話し中だけど‥‥。
| レコード番号 | 47O412913 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C116 |
| 決定題名 | ハナライ洞窟(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 伊波トヨ |
| 話者名かな | いはとよ |
| 生年月日 | 19110406 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 石川市伊波 |
| 記録日 | 19820803 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T31B13 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いしかわの民話伝説編P130 |
| キーワード | 大きなシー,祝女,ハナライ洞窟,石,子どもが授かる |
| 梗概(こうがい) | 伊波の部落のずっと西のはてに、大きなシー〔岩〕があり、そのシーの前のクガチ原(ばる)というところには、田んぼがたくさんあった。祝女(のろ)は、昔、田んぼをもらいよったそうで、祝女田(ぬーるだー)と呼ばれる田もあったんだけれど。私たちが小さい頃は、そこをよく通った。そして、また、大人になってからは、稲を頭の上に乗せて運び、そのシーの前で稲をおろして休んだ。そこのシーの下には、畳が十畳ぐらい敷かれるくらいの広っぱがあり、男の子や女の子、みんな、ハナライ洞窟(がま)といって、鼻の穴が二つあいたような形の岩があったので、石投げをして遊んだんだけど。そこに石を投げたら、子どもに恵まれない人でも、みんな子どもに恵まれるようって話を聞いたんだけど、いたずらに石を投げても、なかなかかからなかった。前原の方に、「伊波のクガチ原に、ハナライ洞窟(がま)ってありますよねえ。」と、聞かれたので、「はいありますよ。私たちも子どもの頃は石を投げたりして、よく遊んだよ。だけど、その岩のいわれはわからないんだが。」といったら、「そこは、子どもに恵まれない人でも、そこに石を投げて、その石が落ちてこなかったら子どもが授かるといって、私たちは酒一合を入れて、従兄弟姉さん二人、拝みに行ったよ。」というので、「あはあ、そんなこともあるのかねえ。」といって。そして、あるお婆さんに、「ねえあの岩には、そういう、いわれがあるんだってねえ。」といって聞いたら、「うん、そうよう、そうだよ。私たちも長い間男の子に恵まれなかったので、私たちも投げた。別の人の投げたものはかからなかったんだが、私の投げたものはかかって、そして、おそくからだけど、男の子ができたよ。」という話を聞いたから、あんまりめずらしくて‥‥。で、最近物知りが、「伊波は、ずっと西のはてに立派な、大事なジクサンがあるのに、それを知らないのかねえ。」と言うので、「どうして。」と聞くと、「あそこは、軸芯(じくしん)といって伊波の子どもを産み広げた御嶽(うたき)なのに、それを知らないで。それに石川にトゥンジムイといってあるから、あの川と、また、その中間にウクイーという川が流れておったから、この三つつないだら、伊波の部落はとっても栄えるんだけどね。」といった。それは最近聞いたんですよね。「それじゃあ、それはどんなにやったらいいかねえ。」といってしたら、石川の男の方だけど、「これはぜひとも拝まないと、伊波はなにもならんよう。」というから。して、かんじんのその道は、その鼻のある前から切られてしまってる。大きな谷底みたいに切れてしまって通れなくなっているのよう。で、今度は、そのハナライ洞窟(がま)の道、坂になっている田んぼに行く道が通れなくなっているから、これはぜひ道を作らんといけない。こっちは大事な所だからといってね、その石川の人が、今話し中だけど‥‥。 |
| 全体の記録時間数 | 2:17 |
| 物語の時間数 | 2:05 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |