昔は六十余ると、山の奥に連れて行って置いてきたという話を申しあげます。息子が自分の親を負んぶして、山奥に連れて行く時にこの母親は木の枝を折って行ったそうです。少し歩いてはまた枝を折って置いたりしていたそうです。それで、山奥にお母さんを置いて、「お母さんすまないが、これは国からの達しで年寄りは山の中に連れて行けということになっているから、お母さん悪く思わないで、ここにいて下さい。」と置いたようなんです。だけど、息子が家に帰る時に、お母さんが言った言葉に、「お前は、こんなに山奥まで来ているから、道に迷わないように私が木の枝を折ってあっちこっちに置いてあるから、それを頼って、家は探しながら行ってね。」とお母さんは、そのように仰ったそうです。だけど家に帰って行ったら、唐の国から、灰縄御用、それから馬の親子、切り倒した大きな木の根っこと末を見分けることという三つの難題が出されて、それを解かないといけないことになっていたそうです。「もうこれはどうして考えたらいいのかなあ。」と自分の親のところに行って、「灰縄御用というのは、どうしたら出来るのですか。」と親に聞いたようなんです。そしたら、「それは、一番やさしいよ。縄をなってそれを焼いたら灰縄になるよ。」と教えたそうです。また、「馬の親子の場合は同じ恰好をしている馬だから人が見ては、『ああ同じ恰好をしているが、これはどれが親馬かなあ、どれが子馬かなあ、こういうことは分からん』というはず。だけど、馬二つのまん中に草を置いて、一番先に草を食べるのが子馬だよ。それからまた、木の根っこと末を見分けろということだが見てはもうこれはどこが根っこやら、どこが末なのか分からない。だけど、木を水の中に浮かばせた時、沈んだ所は根っこだよ。それから、少し浮き上がる所は末なんだよ。」とお母さんが教えたそうです。お母さんからこのように習って息子は、「答えは、わかりますよ。このような次第です。」と持っていたようです。そしたら、「あんたは偉い。あんたはご褒美あげようね。」とこう言われたそうです。だけど息子が、「これは、私が考えたものではありません。これは、私の母親が考えて解いたんですよ。」と言うと、もうそれから後は、「年寄りは宝なんだなあ。」と言って山の中に捨てなくなったという話なんです。
| レコード番号 | 47O412702 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C108 |
| 決定題名 | 親捨山(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 新垣ミツ |
| 話者名かな | あらかきみつ |
| 生年月日 | 19150402 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 石川市東恩納 |
| 記録日 | 19820802 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T24B06 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 六十余る,山の奥,息子,自分の親,木の枝,道,唐の国,灰縄御用,馬の親子,根っこと末,年寄りは宝 |
| 梗概(こうがい) | 昔は六十余ると、山の奥に連れて行って置いてきたという話を申しあげます。息子が自分の親を負んぶして、山奥に連れて行く時にこの母親は木の枝を折って行ったそうです。少し歩いてはまた枝を折って置いたりしていたそうです。それで、山奥にお母さんを置いて、「お母さんすまないが、これは国からの達しで年寄りは山の中に連れて行けということになっているから、お母さん悪く思わないで、ここにいて下さい。」と置いたようなんです。だけど、息子が家に帰る時に、お母さんが言った言葉に、「お前は、こんなに山奥まで来ているから、道に迷わないように私が木の枝を折ってあっちこっちに置いてあるから、それを頼って、家は探しながら行ってね。」とお母さんは、そのように仰ったそうです。だけど家に帰って行ったら、唐の国から、灰縄御用、それから馬の親子、切り倒した大きな木の根っこと末を見分けることという三つの難題が出されて、それを解かないといけないことになっていたそうです。「もうこれはどうして考えたらいいのかなあ。」と自分の親のところに行って、「灰縄御用というのは、どうしたら出来るのですか。」と親に聞いたようなんです。そしたら、「それは、一番やさしいよ。縄をなってそれを焼いたら灰縄になるよ。」と教えたそうです。また、「馬の親子の場合は同じ恰好をしている馬だから人が見ては、『ああ同じ恰好をしているが、これはどれが親馬かなあ、どれが子馬かなあ、こういうことは分からん』というはず。だけど、馬二つのまん中に草を置いて、一番先に草を食べるのが子馬だよ。それからまた、木の根っこと末を見分けろということだが見てはもうこれはどこが根っこやら、どこが末なのか分からない。だけど、木を水の中に浮かばせた時、沈んだ所は根っこだよ。それから、少し浮き上がる所は末なんだよ。」とお母さんが教えたそうです。お母さんからこのように習って息子は、「答えは、わかりますよ。このような次第です。」と持っていたようです。そしたら、「あんたは偉い。あんたはご褒美あげようね。」とこう言われたそうです。だけど息子が、「これは、私が考えたものではありません。これは、私の母親が考えて解いたんですよ。」と言うと、もうそれから後は、「年寄りは宝なんだなあ。」と言って山の中に捨てなくなったという話なんです。 |
| 全体の記録時間数 | 6:02 |
| 物語の時間数 | 5:06 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |