今日また屋良ムルチの話を申し上げます。昔、屋良ムルチ池の傍に大変良い畑を持っている百姓がいらっしゃったそうです。毎年何もかも野菜もよくできたから、その年は麦を沢山植えて実らせたが、畑の見回りで見るたんびにもうそれが減っているから、それで男は畑を見回りに行って、「珍しいことだ。作物を作ってやがてもう取穫もできると喜んで畑を見回っているのに、誰がこんなに麦の穂だけを盗んで行くのか、見るたんびに減っている。これは夜隠れていて捕まえよう。」と思っていたそうです。この男は兄弟と非常に仲が悪くて、いつも友達と兄弟のようなつき合いをして親しくしておりました。するとある晩、畑を見回ってみると、やっぱりカサカサして音が聞こえたので、「今日はもう盗人を捕まえたぞ。」と言って、大きな棒でこれを強く、頭や首目掛けて叩くと、その大きなものはそのまま倒れたから、「殺すつもりではなかったのに、倒れて動かないから死んでしまったんだろう。私は人を殺してしまったなあ、今日はもう大変なことになった。」と驚いて、夜なのに日ごろから仲の良い友人の家に行って友人を起こしたら、「何で、今ごろから何しに来たか。」と言うから、「こうこうして私は今日人を殺してしまった。どうしたらよいかねえ。まずは私一人ではどうにも出来ないから、一緒に行って助けてくれ。」と言うと、友人はもう、「お前が人を殺したのなら、私はお前と一緒に歩くと二人で殺したと言われるから私はお前とは行かん。」と断られて、「それでは仕方がな。もう兄に話をしてみよう。」と兄のところへ行って、「どうか兄さん、今日は助けて下さい。」「何が、何のことだ。」と言うと、「こうこうで人を殺して、私は自分一人では後片づけは出来ないので助けて下さい。」とお願いすると兄は、「ああ、そんならこれはどうしても兄弟だから、断れない。まずは行ってみよう。」と起きて、一緒に行って見ると、大きな鰻がそこに倒れていたから、もうそれから二人大変喜んで、そして自分達だけではこんな大きなものは食べきれなくて、村じゅう起してお祝いをして、そうして、元々仲の悪い兄弟だったが、心を入れ換えてうんと兄弟仲も良くなったって。「指を折れば前の方にしか折れないのと同じで、肉親の縁は切って切れるものではない。」と言う言葉は、これから始まったと。それで、この鰻で御馳走を作って、村じゅうでお祝いをしたそうだ。人の話では屋良ムルチには大きな鰻が隠れていたと。
| レコード番号 | 47O412620 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C104 |
| 決定題名 | 兄弟の仲直り(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 町田キヨ |
| 話者名かな | まちだきよ |
| 生年月日 | 19060908 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 石川市東恩納 |
| 記録日 | 19820802 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T21B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いしかわの民話昔話編P60 |
| キーワード | 屋良ムルチ,畑,兄弟,仲が悪い,友達,盗人,人を殺した,後片づけ,大きな鰻,肉親の縁は切って切れるものではない |
| 梗概(こうがい) | 今日また屋良ムルチの話を申し上げます。昔、屋良ムルチ池の傍に大変良い畑を持っている百姓がいらっしゃったそうです。毎年何もかも野菜もよくできたから、その年は麦を沢山植えて実らせたが、畑の見回りで見るたんびにもうそれが減っているから、それで男は畑を見回りに行って、「珍しいことだ。作物を作ってやがてもう取穫もできると喜んで畑を見回っているのに、誰がこんなに麦の穂だけを盗んで行くのか、見るたんびに減っている。これは夜隠れていて捕まえよう。」と思っていたそうです。この男は兄弟と非常に仲が悪くて、いつも友達と兄弟のようなつき合いをして親しくしておりました。するとある晩、畑を見回ってみると、やっぱりカサカサして音が聞こえたので、「今日はもう盗人を捕まえたぞ。」と言って、大きな棒でこれを強く、頭や首目掛けて叩くと、その大きなものはそのまま倒れたから、「殺すつもりではなかったのに、倒れて動かないから死んでしまったんだろう。私は人を殺してしまったなあ、今日はもう大変なことになった。」と驚いて、夜なのに日ごろから仲の良い友人の家に行って友人を起こしたら、「何で、今ごろから何しに来たか。」と言うから、「こうこうして私は今日人を殺してしまった。どうしたらよいかねえ。まずは私一人ではどうにも出来ないから、一緒に行って助けてくれ。」と言うと、友人はもう、「お前が人を殺したのなら、私はお前と一緒に歩くと二人で殺したと言われるから私はお前とは行かん。」と断られて、「それでは仕方がな。もう兄に話をしてみよう。」と兄のところへ行って、「どうか兄さん、今日は助けて下さい。」「何が、何のことだ。」と言うと、「こうこうで人を殺して、私は自分一人では後片づけは出来ないので助けて下さい。」とお願いすると兄は、「ああ、そんならこれはどうしても兄弟だから、断れない。まずは行ってみよう。」と起きて、一緒に行って見ると、大きな鰻がそこに倒れていたから、もうそれから二人大変喜んで、そして自分達だけではこんな大きなものは食べきれなくて、村じゅう起してお祝いをして、そうして、元々仲の悪い兄弟だったが、心を入れ換えてうんと兄弟仲も良くなったって。「指を折れば前の方にしか折れないのと同じで、肉親の縁は切って切れるものではない。」と言う言葉は、これから始まったと。それで、この鰻で御馳走を作って、村じゅうでお祝いをしたそうだ。人の話では屋良ムルチには大きな鰻が隠れていたと。 |
| 全体の記録時間数 | 4:28 |
| 物語の時間数 | 4:26 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |