南風原間切という所にね、黄金森と呼ばれている小さな丘みたいなのがあって、そこにね、兼城按司という按司の墓があったわけね。それで、そこの百姓で独身者の平田という青年が通ったところ、大雨にたたられてしまったらしいねえ、その墓の上のところに庇みたいな少し出ているところがあって、そこは雨は漏らないでしょう。そこで雨宿りしようと隠れていたわけねえ。今では頭の毛をつかむことができないが、そのころの青年は髪はカタカシラよ。それだからやっぱり髪は長いのでつかまえることが出来るので、誰かがそこの墓から手を出して引っぱった様子。青年はもう大変驚いてねえ、気絶しそうになると、娘が墓の中から、「私はちゃんと生きている人間だから、なにも驚かないで下さい。幽霊ならば熱はないでしょう。私は熱病でね、ハナカゼをひいて寝ていたら、いつの間にかここに連れてこられている。もうここを開けて出ようと思っても出ることができないのでね、私の家に行って、私の命を助けて下さいませんか。」と落ちつかせたらしいねえ。そうしたら、その家では、ユタを頼んでね、墓に行ったようだ。そうしてそこから娘を出してね、出す時に薄を結んだものを桑の枝に結んだ沖縄のサン、それで厄払いをしてね、それで、魔物を追い払うことができたんだよ。家に連れて来たらね、それが八月八日はヨーカビと言って、その時にはね、もうだいたい沖縄中必ずタマガイなどが出るとか言ってね、八月一日はシバサシと言って、門とかまた大きな古い木にね、魔物がここにつかないようにということでね、ゲーン結んで、シバをいろんなところに差すわけね。八月一日のシバサシはそういうことから始ったんだよ。そうしたらねえ、按司と百姓とでは身分の差が大変だからねえ、それで、按司が平田に、「もし、貴方がよかったら私達の子供をもらっていただけませんか。」と言ったようだねえ。これは身分の相違で、百姓の分際で、按司の娘と結婚するのは、もう大変ですよ。だから、平田が、「そういうことはできません。自分の身分に合うような女を嫁にもらいます。」と言ったら、「もうこの恩返しにね、娘はあげます。私が許せばすむことですのでね、貴方は、そんなに心配しなくてもいいですよ。」と言って結婚させたんだって。終ります。
| レコード番号 | 47O412528 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C099 |
| 決定題名 | 生き返った娘(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | シバサシ由来 |
| 話者名 | 伊波豊吉 |
| 話者名かな | いはとよきち |
| 生年月日 | 19121108 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 石川市石川 |
| 記録日 | 19820805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T16A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いしかわの民話昔話編P38 |
| キーワード | 南風原間切,黄金森,兼城按司,墓,百姓で独身者の平田,大雨,雨宿り,墓から手,娘,サン,厄払い,魔物,八月八日,ヨーカビ,シバサ |
| 梗概(こうがい) | 南風原間切という所にね、黄金森と呼ばれている小さな丘みたいなのがあって、そこにね、兼城按司という按司の墓があったわけね。それで、そこの百姓で独身者の平田という青年が通ったところ、大雨にたたられてしまったらしいねえ、その墓の上のところに庇みたいな少し出ているところがあって、そこは雨は漏らないでしょう。そこで雨宿りしようと隠れていたわけねえ。今では頭の毛をつかむことができないが、そのころの青年は髪はカタカシラよ。それだからやっぱり髪は長いのでつかまえることが出来るので、誰かがそこの墓から手を出して引っぱった様子。青年はもう大変驚いてねえ、気絶しそうになると、娘が墓の中から、「私はちゃんと生きている人間だから、なにも驚かないで下さい。幽霊ならば熱はないでしょう。私は熱病でね、ハナカゼをひいて寝ていたら、いつの間にかここに連れてこられている。もうここを開けて出ようと思っても出ることができないのでね、私の家に行って、私の命を助けて下さいませんか。」と落ちつかせたらしいねえ。そうしたら、その家では、ユタを頼んでね、墓に行ったようだ。そうしてそこから娘を出してね、出す時に薄を結んだものを桑の枝に結んだ沖縄のサン、それで厄払いをしてね、それで、魔物を追い払うことができたんだよ。家に連れて来たらね、それが八月八日はヨーカビと言って、その時にはね、もうだいたい沖縄中必ずタマガイなどが出るとか言ってね、八月一日はシバサシと言って、門とかまた大きな古い木にね、魔物がここにつかないようにということでね、ゲーン結んで、シバをいろんなところに差すわけね。八月一日のシバサシはそういうことから始ったんだよ。そうしたらねえ、按司と百姓とでは身分の差が大変だからねえ、それで、按司が平田に、「もし、貴方がよかったら私達の子供をもらっていただけませんか。」と言ったようだねえ。これは身分の相違で、百姓の分際で、按司の娘と結婚するのは、もう大変ですよ。だから、平田が、「そういうことはできません。自分の身分に合うような女を嫁にもらいます。」と言ったら、「もうこの恩返しにね、娘はあげます。私が許せばすむことですのでね、貴方は、そんなに心配しなくてもいいですよ。」と言って結婚させたんだって。終ります。 |
| 全体の記録時間数 | 7:11 |
| 物語の時間数 | 6:32 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |