吉屋チルー(シマグチ)

概要

昔は貧しい家では、男は糸満売り、女は尾類売りに出された。吉屋チルは恩納村の瀬良垣の生まれであった。父親がチルを尾類売りする話がきまってとうとう売られて行く日、那覇に向かう途中に比謝橋を渡る時に、チルーは「恨みある くぬ比謝橋や 誰が架きてぃうちぇが 情きねん人ぬ架きてぃあゆさ」と歌った。吉屋チルを買った那覇の尾類買いの人もチルが大変美人だったので、将来は売れっ子になるだろうと可愛がった。またチルーが尾類になってお客を取る時には必ず歌を作って、自分が歌った上の句に対し、下の句上手に作れる人でなければお客は取らなかった。ある日、二人の金持ちと一人の貧乏人の客がチルーの所に来た。チルーは「流りゆる水に桜花受きてぃ」と上句を歌い、それに続く下句を作りなさいと三人に言った。一人の金持ちは「あまかかいくまかかい かかてぃいちゅさ」、もう一人は「がまぬかにぐゎーぬ くーてぃいちゅさ」と下句を詠んだ。そして貧乏人は「色美らさあてぃるすくてぃんちゃる」と下句を詠んだ。そしてチルーはその貧乏人を客に呼んだ。また、昔はライ病の人が物乞いをしたら、お金を少しずつ与えたものである。ある日、尾類親の所へ、クンチャーの人がお金をたくさん持って来て、お客としてやってきた。その時、チルーは大変美しい娘に成長しているので、各地からお客を取っていた。顔を隠して頭巾をしているその男をチルーは不審に思ったが、親の言う通りにお客として迎え入れ一緒に寝た。そのお琴に「もう寝るんだからその頭巾を取って下さい」と言って、頭巾を取らせたらその男はライ病であった。吉屋チルーは大変ショックを受けて、その場で自殺した。

再生時間:6:50

民話詳細DATA

レコード番号 47O412493
CD番号 47O41C097
決定題名 吉屋チルー(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 喜友名カニヤ
話者名かな きゅうなかにや
生年月日 19081224
性別
出身地 石川市石川
記録日 19820804
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石川市T13B03
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 貧しい家,男は糸満売り,女は尾類売り,吉屋チル,恩納村の瀬良垣,比謝橋,大変美人,歌,ライ病,自殺
梗概(こうがい) 昔は貧しい家では、男は糸満売り、女は尾類売りに出された。吉屋チルは恩納村の瀬良垣の生まれであった。父親がチルを尾類売りする話がきまってとうとう売られて行く日、那覇に向かう途中に比謝橋を渡る時に、チルーは「恨みある くぬ比謝橋や 誰が架きてぃうちぇが 情きねん人ぬ架きてぃあゆさ」と歌った。吉屋チルを買った那覇の尾類買いの人もチルが大変美人だったので、将来は売れっ子になるだろうと可愛がった。またチルーが尾類になってお客を取る時には必ず歌を作って、自分が歌った上の句に対し、下の句上手に作れる人でなければお客は取らなかった。ある日、二人の金持ちと一人の貧乏人の客がチルーの所に来た。チルーは「流りゆる水に桜花受きてぃ」と上句を歌い、それに続く下句を作りなさいと三人に言った。一人の金持ちは「あまかかいくまかかい かかてぃいちゅさ」、もう一人は「がまぬかにぐゎーぬ くーてぃいちゅさ」と下句を詠んだ。そして貧乏人は「色美らさあてぃるすくてぃんちゃる」と下句を詠んだ。そしてチルーはその貧乏人を客に呼んだ。また、昔はライ病の人が物乞いをしたら、お金を少しずつ与えたものである。ある日、尾類親の所へ、クンチャーの人がお金をたくさん持って来て、お客としてやってきた。その時、チルーは大変美しい娘に成長しているので、各地からお客を取っていた。顔を隠して頭巾をしているその男をチルーは不審に思ったが、親の言う通りにお客として迎え入れ一緒に寝た。そのお琴に「もう寝るんだからその頭巾を取って下さい」と言って、頭巾を取らせたらその男はライ病であった。吉屋チルーは大変ショックを受けて、その場で自殺した。
全体の記録時間数 7:01
物語の時間数 6:50
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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