ある所に、村一番の大金持ちがいらっしゃったそうだ。家も大層立派に構えられ、貫祿のあるいい人であられたそうなんだが。そこへ、大変汚い恰好をしていらっしゃる乞食がきて、「お腹がすいてもう私はどうしようもないので、食ベ物を少し下さい。」と、そういってお願いすると、「お前にあげるものはない。」と。「それなら、水を少し飲ませて下さい。」というと、「水もない。」と。また、「煙草一服のませて下さい。」というと、中から主人が出てきて、「火もない。」というので、もう仕方なく、この乞食は帰った。そこから戻り、また別の家へ行った。すると、そこでは、もうようやく水をもらったが、そこからもおい返されたので、どこともなく歩いているうちに東恩納に着いた。乞食はそこでも、「あんまりにもお腹がすいてたまりませんので、何か食べさせて下さい。」とお願いすると、「それでは、私たちの食べ残しですが、それでもよければ食べていなさい。」といわれたので、やっと食べ物を口にすることができた。こんなに遠くまで歩いてきたので、大変疲れているうえに、ご飯を食べたので、ほんのいっときの間だが寝てしまった。しばらくして起きてから水を飲ませたり、煙草をのませたりしていると、「疲れている。」というので、「そんなに疲れているのなら、ここに泊まりなさい。」とおっしゃったそうだ。そういうふうに、ご飯をあげ、泊めてあげたところが、当の家だったそうだ。当の家で、その人にご飯をあげ泊めていたら、死んでしまった。これは、すぐ今からは夜でもあるし葬式はできないので、棺箱を作って入れて置いていた。もうその家では子や孫でもないので、家には置けないから、庭に出して置いておき、明日夜が明けてから葬式はしようと思って、外に置いていた。そうして翌日、夜が明けてから、「さあ、これはこんなにしていてはいけないので、兄弟や親せき、隣り近所の人を呼び、わけを話して一緒に葬式もしよう。」と、隣り近所の人を呼びに行こうとして、この棺箱を動かそうとしたら、あまり重くて動かせない。「めずらしいことだ。どうしてこれは、こんなに重くなったんだろう。」と思って開けて見ると黄金になっていたんだって。それで、その時から、当の黄金は始まったといわれる。そういう話をしてから、当のウスメーは、「これから、ここに誰がきても、ご飯を下さいという人にはご飯をあげ、水が欲しいという人には水を飲ませてあげなさい。」と、遺言をなさったんですって。それからは夕飯を全部食べて何もないときは、もう一度作ってでも残しておいてたようです。そういう話を、お婆さんたちから聞いたんですが。
| レコード番号 | 47O412426 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C095 |
| 決定題名 | 宝箱由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 町田キヨ |
| 話者名かな | まちだきよ |
| 生年月日 | 19060808 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 石川市東恩納 |
| 記録日 | 19820613 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T10A12 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 石川の民話伝説編P337 |
| キーワード | 大金持ち,大変汚い恰好,乞食,東恩納,棺箱,黄金 |
| 梗概(こうがい) | ある所に、村一番の大金持ちがいらっしゃったそうだ。家も大層立派に構えられ、貫祿のあるいい人であられたそうなんだが。そこへ、大変汚い恰好をしていらっしゃる乞食がきて、「お腹がすいてもう私はどうしようもないので、食ベ物を少し下さい。」と、そういってお願いすると、「お前にあげるものはない。」と。「それなら、水を少し飲ませて下さい。」というと、「水もない。」と。また、「煙草一服のませて下さい。」というと、中から主人が出てきて、「火もない。」というので、もう仕方なく、この乞食は帰った。そこから戻り、また別の家へ行った。すると、そこでは、もうようやく水をもらったが、そこからもおい返されたので、どこともなく歩いているうちに東恩納に着いた。乞食はそこでも、「あんまりにもお腹がすいてたまりませんので、何か食べさせて下さい。」とお願いすると、「それでは、私たちの食べ残しですが、それでもよければ食べていなさい。」といわれたので、やっと食べ物を口にすることができた。こんなに遠くまで歩いてきたので、大変疲れているうえに、ご飯を食べたので、ほんのいっときの間だが寝てしまった。しばらくして起きてから水を飲ませたり、煙草をのませたりしていると、「疲れている。」というので、「そんなに疲れているのなら、ここに泊まりなさい。」とおっしゃったそうだ。そういうふうに、ご飯をあげ、泊めてあげたところが、当の家だったそうだ。当の家で、その人にご飯をあげ泊めていたら、死んでしまった。これは、すぐ今からは夜でもあるし葬式はできないので、棺箱を作って入れて置いていた。もうその家では子や孫でもないので、家には置けないから、庭に出して置いておき、明日夜が明けてから葬式はしようと思って、外に置いていた。そうして翌日、夜が明けてから、「さあ、これはこんなにしていてはいけないので、兄弟や親せき、隣り近所の人を呼び、わけを話して一緒に葬式もしよう。」と、隣り近所の人を呼びに行こうとして、この棺箱を動かそうとしたら、あまり重くて動かせない。「めずらしいことだ。どうしてこれは、こんなに重くなったんだろう。」と思って開けて見ると黄金になっていたんだって。それで、その時から、当の黄金は始まったといわれる。そういう話をしてから、当のウスメーは、「これから、ここに誰がきても、ご飯を下さいという人にはご飯をあげ、水が欲しいという人には水を飲ませてあげなさい。」と、遺言をなさったんですって。それからは夕飯を全部食べて何もないときは、もう一度作ってでも残しておいてたようです。そういう話を、お婆さんたちから聞いたんですが。 |
| 全体の記録時間数 | 4:08 |
| 物語の時間数 | 3:57 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |