昔よう、渡嘉敷ペークという人はね、あれは今の村長みたいな役目をするわけね、それが王様から、「貴方は、どこそこの地頭になって、みんなを治め指導しなさい。」と言って命令されて行ったら、この渡嘉敷ペークという人はね、大変な民主主義で、何でも人の代わりに自分から進んでやるというくらいの偉い人格者だったらしい。そのかわり、お金はないわけ。昔は、この尾類を呼ぶとすると、それは一般の百姓では絶対にできない。昔の尾類というと辻といってね、その女たちが売られて、そして、その儲けというものは、買った抱え親が全部取っていたわけね。それで、大体この女を買うお金の公定があった。公定というのは、百貫なら百貫、今の二円、まあ二ドルで買ったらしいが、お金は一銭も五厘もない人には呼べないわけね。ペークが、「これはどうして尾類を呼んだらいいものか。」と思ってお金を持って行けばいいのに、持たないで辻に行ったら、ペークは貧乏だけど、ペークの仕事というものは立派な役目なので尾類は尊敬していたわけね。敬って、「いらっしゃいね。」と言って、ペークがとうとう尾類を買って呼んだら滑稽な人でもあり、頭といったらまた大変優秀な者だったわけね。尾類はぞっこん惚れてしまったが、「お金を払って下さい。」と言うと、この人はもともと貧乏侍なので、お金は持ってないので、「待っていて下さい、少し待ってくれ。」すると、尾類が、「他の品物などならば借りたり、返したりできて待つことはできますが、この品物というのはきまっていて待つことができません。」と言ったので、「それじゃあお金を持ってくればいいだろう。」とそこで尾類と言い合いになり、二人は喧嘩になって逃げようとすると、「逃がさない。」と言って、「それならどうすればいいか。」と言うと、「着物を脱いで裸になって、褌だけで貴方は帰りなさい。」と言われて、玄関払いされた様子。その時にいろいろと考えてね、「これは恥ずかしくて、道を裸になっては歩けない。」と言って、褌はしていたので、それを脱いで、「下の方はいいが、私は顔を見せるのが恥ずかしいから、この褌で頬被りして行こう。」と言って頬被りしたらしい。それまではいいが、門を飛び出てからね、その時の按司グチというのがあるわけねえ。その按司グチで言うことには、「ここにまかり出たものは睾丸の按司。品物というものは上がるだけ上がって、睾丸は下がるだけ下がって。」と大きな声で、それだけ言って出ようとすると、その尾類がとてもびっくりしてね、「この人をこのまま行かせたら、もう私達が恥ずかしい思いをする。」と思って追って行って捕まえて、さっきとは反対にまた連れてきて着物も羽織も着せて、車に乗せて行かせたんだって。だから、後の文句で物価というものは上がるだけ上がって、金は持たんから睾丸は下に下がってという意味だね。
| レコード番号 | 47O412397 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C093 |
| 決定題名 | 渡嘉敷ペークー フンドシ頭巾(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 伊波幸太郎 |
| 話者名かな | いはこうたろう |
| 生年月日 | 19040101 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 石川市石川 |
| 記録日 | 19820613 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T09B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いしかわの民話伝説編P216 |
| キーワード | 渡嘉敷ペーク,王様,地頭,尾類,辻,貧乏,喧嘩,褌,按司グ,睾丸の按司 |
| 梗概(こうがい) | 昔よう、渡嘉敷ペークという人はね、あれは今の村長みたいな役目をするわけね、それが王様から、「貴方は、どこそこの地頭になって、みんなを治め指導しなさい。」と言って命令されて行ったら、この渡嘉敷ペークという人はね、大変な民主主義で、何でも人の代わりに自分から進んでやるというくらいの偉い人格者だったらしい。そのかわり、お金はないわけ。昔は、この尾類を呼ぶとすると、それは一般の百姓では絶対にできない。昔の尾類というと辻といってね、その女たちが売られて、そして、その儲けというものは、買った抱え親が全部取っていたわけね。それで、大体この女を買うお金の公定があった。公定というのは、百貫なら百貫、今の二円、まあ二ドルで買ったらしいが、お金は一銭も五厘もない人には呼べないわけね。ペークが、「これはどうして尾類を呼んだらいいものか。」と思ってお金を持って行けばいいのに、持たないで辻に行ったら、ペークは貧乏だけど、ペークの仕事というものは立派な役目なので尾類は尊敬していたわけね。敬って、「いらっしゃいね。」と言って、ペークがとうとう尾類を買って呼んだら滑稽な人でもあり、頭といったらまた大変優秀な者だったわけね。尾類はぞっこん惚れてしまったが、「お金を払って下さい。」と言うと、この人はもともと貧乏侍なので、お金は持ってないので、「待っていて下さい、少し待ってくれ。」すると、尾類が、「他の品物などならば借りたり、返したりできて待つことはできますが、この品物というのはきまっていて待つことができません。」と言ったので、「それじゃあお金を持ってくればいいだろう。」とそこで尾類と言い合いになり、二人は喧嘩になって逃げようとすると、「逃がさない。」と言って、「それならどうすればいいか。」と言うと、「着物を脱いで裸になって、褌だけで貴方は帰りなさい。」と言われて、玄関払いされた様子。その時にいろいろと考えてね、「これは恥ずかしくて、道を裸になっては歩けない。」と言って、褌はしていたので、それを脱いで、「下の方はいいが、私は顔を見せるのが恥ずかしいから、この褌で頬被りして行こう。」と言って頬被りしたらしい。それまではいいが、門を飛び出てからね、その時の按司グチというのがあるわけねえ。その按司グチで言うことには、「ここにまかり出たものは睾丸の按司。品物というものは上がるだけ上がって、睾丸は下がるだけ下がって。」と大きな声で、それだけ言って出ようとすると、その尾類がとてもびっくりしてね、「この人をこのまま行かせたら、もう私達が恥ずかしい思いをする。」と思って追って行って捕まえて、さっきとは反対にまた連れてきて着物も羽織も着せて、車に乗せて行かせたんだって。だから、後の文句で物価というものは上がるだけ上がって、金は持たんから睾丸は下に下がってという意味だね。 |
| 全体の記録時間数 | 2:04 |
| 物語の時間数 | 1:53 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |