年寄りを山に連れて行って捨てた。それは、はっきり知らないが、長野県あたりだろうと思う。そこ
は食料の少い国で、人間が多すぎて、食料が足りないので、六十歳になると、山に捨てた。息子が誰にも見
られないように捨てた。あと二、三年で捨てられるという人は金をためて、ドブロクを作って、皆に別れの
酒を出した。そして捨てられる時、息子に背負われて、山の奥に行った。その息子は、親孝行者で、母親を
背負っていたがこの母親も息子がかわいいから、道に迷わないように木の葉をとっては捨て、とっては捨て
した。そして山へ行って捨てる。だが、やはり別れた母親がかわいそうで、毎日夜中に誰にも知られないよ
うに、食べ物を持っていって母親に食べさせて、生きながらえるようにした。村に大きな騒動が起った。ど
のような騒動であったか知らないが、村中の人が協議するがどうしたら良いかわからない。何か上の方から
要求されているが、それをどうして良いのかわからない。孝行息子は、夜中に母親に会いに行って村のこと
を話すと、母親は年寄りだから、亀の甲より年の功という言葉があるように、「それは、こういうふうにし
なさい。」と息子に教えて、息子は村の集いの時に、発表した。すると、「それは、いい。」と、その意見がとりあげられた。「しかし、こんな立派な返事をお前が考えたのか、誰から習ったのか。」と聞かれる。息子は、母親に習ったことを話すと村のきまりに反するとして殺されるが、仕方なく、「実は母親を姥捨て山に連れて行ったが、毎日食べ物を持っていって、まだ生きています。この母親から聞きました。殺すのなら殺して下さい。」と言うと、「いやいや殺さない。」と皆が言った。「お前は立派なことをしたのだからお母さんを連れもどしなさい。」と言った。それからあと、この村で年寄りを捨てることはなくなった。
| レコード番号 | 47O421986 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C061 |
| 決定題名 | 親捨て山(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 上江洲安英 |
| 話者名かな | うえずあんえい |
| 生年月日 | 19100302 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市塩屋 |
| 記録日 | 19800806 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T56 A4 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市の民話ふるさとの昔話153頁 通観151頁 |
| キーワード | 山,年寄り,六十歳,親孝行者,木の葉, |
| 梗概(こうがい) | 年寄りを山に連れて行って捨てた。それは、はっきり知らないが、長野県あたりだろうと思う。そこ は食料の少い国で、人間が多すぎて、食料が足りないので、六十歳になると、山に捨てた。息子が誰にも見 られないように捨てた。あと二、三年で捨てられるという人は金をためて、ドブロクを作って、皆に別れの 酒を出した。そして捨てられる時、息子に背負われて、山の奥に行った。その息子は、親孝行者で、母親を 背負っていたがこの母親も息子がかわいいから、道に迷わないように木の葉をとっては捨て、とっては捨て した。そして山へ行って捨てる。だが、やはり別れた母親がかわいそうで、毎日夜中に誰にも知られないよ うに、食べ物を持っていって母親に食べさせて、生きながらえるようにした。村に大きな騒動が起った。ど のような騒動であったか知らないが、村中の人が協議するがどうしたら良いかわからない。何か上の方から 要求されているが、それをどうして良いのかわからない。孝行息子は、夜中に母親に会いに行って村のこと を話すと、母親は年寄りだから、亀の甲より年の功という言葉があるように、「それは、こういうふうにし なさい。」と息子に教えて、息子は村の集いの時に、発表した。すると、「それは、いい。」と、その意見がとりあげられた。「しかし、こんな立派な返事をお前が考えたのか、誰から習ったのか。」と聞かれる。息子は、母親に習ったことを話すと村のきまりに反するとして殺されるが、仕方なく、「実は母親を姥捨て山に連れて行ったが、毎日食べ物を持っていって、まだ生きています。この母親から聞きました。殺すのなら殺して下さい。」と言うと、「いやいや殺さない。」と皆が言った。「お前は立派なことをしたのだからお母さんを連れもどしなさい。」と言った。それからあと、この村で年寄りを捨てることはなくなった。 |
| 全体の記録時間数 | 5:30 |
| 物語の時間数 | 5:30 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |