昔の王様時代の話ですが、ついたちの日になると首里城に、ついたちの念願を願うために、国王がお出ましになって戴冠式というのがあったらしい。那覇東町のある一家に、蚤と虱が家を借りていたらしい。この蚤のやつはとても元気者で、この家の人の話を聞き込んだ。その話というのは、「明日はついたちの日で戴冠式だよ。タルー、おまえが行って来なさい。私は行けないので、おまえが行きなさいね。」とターリー (おとうさん)が言ったから、「それなら、そうしましょう、ターリー。」と言った。その話を聞いた蚤は、「いい話を聞いた、明日は虱にはかわいそうだが、私一人で行って戴冠式を拝見して来よう。」と言って、とても嬉しそうに部屋に戻って来た。「ねえ虱よ、私は明日、首里城に行って戴冠式を拝見しようと思っている。おまえではあんなに遠くまでは行けないので、かわいそうだが、私が行ってみるよ。」と、自慢話をしたら、蚤もまた負けてならないと、「どうしたらいいものか。」と考えて、蚤は知らないふりをしてその夜は眠った。翌朝、蚤が起きないうちに起きだして、ゆっくりゆっくり、そうでなくても、虱はゆっくりしか歩けないので、もさもさして人が歩く道に出て待っていたら、彼らが住んでいる家の里之子が旅ぞうりを履いて、そこに立っていたので、「ああ、ちょうどよかった。」と言って、わらじに上っていって座っていた。すると、里之子は歩き始められ、そのまま首里城までわらじにつかまって行った。それで虱は無事に戴冠式を拝見することができた。今度は首里城から出て、坂下の坂の上まで来て休んでいたら、蚤が下からピョンピョン、ピョンピョンと跳びはねて来た。虱は、「このやろうは、今しか来やがらないのか。」と言って、「おい、蚤よ。」と声をかけたが、虱は隠れて見えないでしょう。そしたら、「誰だ、おれを呼ぶのは。」と蚤が言ったので、「虱だよ。」「なんで、おまえがそこにいるのか。」「何を言うか、私はさっき戴冠式を拝ませてもらい、ここまで戻って来たところだよ。おまえは、今からでは間に合わない。もう行くな。」「おまえが、言うのは嘘。おまえの足であんな遠い首里城まで行って来れるはずがない、でたらめを言うな。」と。「このやろう、おまえはおれの言うことが聞けないのか。」と言って、それから口げんかになった。口げんかしながらあとは手も出すようになって、蚤が虱の頭にげんこつをしたら、虱の頭はそれから黒くなり、また、蚤は虱にお腹を蹴られたので、それから腰が曲がってしまった。
| レコード番号 | 47O421974 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C061 |
| 決定題名 | ノミとシラミ(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 上江洲安英 |
| 話者名かな | うえずあんえい |
| 生年月日 | 19100302 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市塩屋 |
| 記録日 | 19800806 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T55 B6 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 動物昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | ふるさとの昔ばなし182頁 通観860頁 具志川市史第3巻下34頁 |
| キーワード | 首里城,御主加那志,戴冠式,のみ,しらみ, |
| 梗概(こうがい) | 昔の王様時代の話ですが、ついたちの日になると首里城に、ついたちの念願を願うために、国王がお出ましになって戴冠式というのがあったらしい。那覇東町のある一家に、蚤と虱が家を借りていたらしい。この蚤のやつはとても元気者で、この家の人の話を聞き込んだ。その話というのは、「明日はついたちの日で戴冠式だよ。タルー、おまえが行って来なさい。私は行けないので、おまえが行きなさいね。」とターリー (おとうさん)が言ったから、「それなら、そうしましょう、ターリー。」と言った。その話を聞いた蚤は、「いい話を聞いた、明日は虱にはかわいそうだが、私一人で行って戴冠式を拝見して来よう。」と言って、とても嬉しそうに部屋に戻って来た。「ねえ虱よ、私は明日、首里城に行って戴冠式を拝見しようと思っている。おまえではあんなに遠くまでは行けないので、かわいそうだが、私が行ってみるよ。」と、自慢話をしたら、蚤もまた負けてならないと、「どうしたらいいものか。」と考えて、蚤は知らないふりをしてその夜は眠った。翌朝、蚤が起きないうちに起きだして、ゆっくりゆっくり、そうでなくても、虱はゆっくりしか歩けないので、もさもさして人が歩く道に出て待っていたら、彼らが住んでいる家の里之子が旅ぞうりを履いて、そこに立っていたので、「ああ、ちょうどよかった。」と言って、わらじに上っていって座っていた。すると、里之子は歩き始められ、そのまま首里城までわらじにつかまって行った。それで虱は無事に戴冠式を拝見することができた。今度は首里城から出て、坂下の坂の上まで来て休んでいたら、蚤が下からピョンピョン、ピョンピョンと跳びはねて来た。虱は、「このやろうは、今しか来やがらないのか。」と言って、「おい、蚤よ。」と声をかけたが、虱は隠れて見えないでしょう。そしたら、「誰だ、おれを呼ぶのは。」と蚤が言ったので、「虱だよ。」「なんで、おまえがそこにいるのか。」「何を言うか、私はさっき戴冠式を拝ませてもらい、ここまで戻って来たところだよ。おまえは、今からでは間に合わない。もう行くな。」「おまえが、言うのは嘘。おまえの足であんな遠い首里城まで行って来れるはずがない、でたらめを言うな。」と。「このやろう、おまえはおれの言うことが聞けないのか。」と言って、それから口げんかになった。口げんかしながらあとは手も出すようになって、蚤が虱の頭にげんこつをしたら、虱の頭はそれから黒くなり、また、蚤は虱にお腹を蹴られたので、それから腰が曲がってしまった。 |
| 全体の記録時間数 | 4:31 |
| 物語の時間数 | 4:31 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |