あるところに、友人と二人、精悍な者がいたらしいが、「おい、我々二人は、こうしてまじめに毎日働いていても、あまり儲けることもできない。二人で語り合い、少しは儲けられる考えをおまえに教えるから、おまえは私の言うとおりに働けばいい、私が少し嘘もまじえて、お金儲けができるよう考えるから、それを実行しようではないか。ただくそまじめに、まじめ一方で働いていては儲けられないよ。」という話から始まった。「それでは、どのようにしたらいいのか。」と言って、「それじゃ、私が、『私の友人にとても鼻が効いて、鼻をヒーヒーさせ、どんなところまでも捜して、なんでも分かる人がいる』と言って、世間に広めれば、すぐにおまえを頼む人が来る。おまえは私と約束したとおりにちゃんとすればいい。」と話し合って、「ああ、それなら、そういうことにしような。」と相談がまとまった。隣近所に、とても大病している金持ちの一人娘がいて、ハナシルコーバーの友人が、そこの主人に、「私の友人に、珍らしいほど鼻が効く人がおります。鼻で、どんな重い病気でも治します。」と言ったら、「それは、なんという者か。」と聞いた。「ハナシルコーバーといいます。」「それなら、おまえの方で話し合いをして、わが家のことを解きあかさせてくれないか。」と、その士族(金持ち)に頼まれた。宣伝を担当するのはこの友人であるので、そうしたら、その話を知って、重病になっている娘が、毎日、小便をする便所の下に、精気を取って成長している蛙がいて、それは誰が見ても、別の蛙とは比べものにならないほど、とても大きくて、その蛙がハナシルコーバーの前に出て来て、「あなた様は、とても鼻が効くということですが、私は、重病になっているお嬢様が、毎日小便する、小便所の下の手水鉢の下に隠れている蛙でありますが、あなた様が、ご覧になれば、私の体格は別の蛙と変わって見えるでしょう。私はお嬢様の手水鉢の下に住まってあの方の精気を取って、成長している蛙でありますが、あなた様が、そのことを鼻でかぎ分けると、私は一大事になりますので、どうか助けてください。」と言って、願ったって。「ああ、そういうことか。確かにおまえは、別の蛙とはつくりも変わっており、おまえは娘の精気を取って成長しているようだな。それなら、おまえは私の言うことを聞けよ。」「はい、聞きます。なんでも聞きます。」「そうなら、何月何日何時ごろ、どこどこに隠れておけよ。すぐ、ちょっとでも見られてはいけないよ、いいか。」「はい、そうします。」と。そうして、その家に行ったら、ハナシルコーバーはすぐ屋敷の周囲を鼻をヒーヒーさせて、鼻を突き出して歩いた。そして、親戚中みな集まっているので、「さあさあ、ここの下には、毎日、娘さんが小便をなさるとき、その精気を取って成長している蛙がいるが、これを逃してはいけません。すぐこれを捕らえなさい。その手水鉢のどこどこの穴におりますので、すぐこれを捕らえなさい。」と言った。すると、確かに、その手水鉢のそばに穴があって、ちゃんと隠れている蛙を捕らえたって。それからはもう、娘は、日に日に毎日良くなって、元気になったって。その蛙を捕ってあと、二、三日で元気になったので、そのことが世間に広まった。そうして、鼻だけで病気を治し、どんなものでも解き明かす人がいると世間で評判になり、ハナシルコーバーはあちこちから依頼に来るぐらい有名になった。それで、あまりにも頼みに来るので、あとは、「もう、私は大変なことになっている。断ることもできないくらい頼みに来るが。」と言ったら、そのときには、また、その友人が、「それなら、おまえが恐れをなしているのなら、何月何日何時に、おまえが家にいないときに、妻と相談しておまえの家に火をつけるから、その場合は妻に火をつけさせるので、おまえは黙っておけよ。」と言った。別から頼まれて行っているところで、鼻をヒーヒーさせて、「もう、大変なことになっています。私の家が焼けておりますが、これは、私の家が焼ける匂いですが。」と言って、使いを行かせてみると、もう家は燃えてしまってない。それで、「私の鼻が変になって、私の鼻は効かなくなっております。」と言って断ったら、「それなら、おまえに、ここからお金と食べ物も与えるから、急いでお金も持って行って、おいしいものから食べて、体力もつけて、また、鼻がよく効くようにしてくれよ。」と、お金もご馳走も与えられたという、ハナシルコーバーの話。家が焼けてしまい、鼻もきかなくなってもう頼みを断る考えだとか。
| レコード番号 | 47O421834 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C056 |
| 決定題名 | 高名の鼻効き(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | ハナシルコーバ |
| 話者名 | 福原兼良 |
| 話者名かな | ふくはらけんりょう |
| 生年月日 | 18990118 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市安慶名 |
| 記録日 | 19800805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T51 B10 T52 A1 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説、 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下240頁 ふるさとの昔ばなし197頁 通観685頁 |
| キーワード | 金儲け,ハナシルコーバ,鼻,金持ち,娘,蛙,小便,病気,チョージ鉢,火事,友だち |
| 梗概(こうがい) | あるところに、友人と二人、精悍な者がいたらしいが、「おい、我々二人は、こうしてまじめに毎日働いていても、あまり儲けることもできない。二人で語り合い、少しは儲けられる考えをおまえに教えるから、おまえは私の言うとおりに働けばいい、私が少し嘘もまじえて、お金儲けができるよう考えるから、それを実行しようではないか。ただくそまじめに、まじめ一方で働いていては儲けられないよ。」という話から始まった。「それでは、どのようにしたらいいのか。」と言って、「それじゃ、私が、『私の友人にとても鼻が効いて、鼻をヒーヒーさせ、どんなところまでも捜して、なんでも分かる人がいる』と言って、世間に広めれば、すぐにおまえを頼む人が来る。おまえは私と約束したとおりにちゃんとすればいい。」と話し合って、「ああ、それなら、そういうことにしような。」と相談がまとまった。隣近所に、とても大病している金持ちの一人娘がいて、ハナシルコーバーの友人が、そこの主人に、「私の友人に、珍らしいほど鼻が効く人がおります。鼻で、どんな重い病気でも治します。」と言ったら、「それは、なんという者か。」と聞いた。「ハナシルコーバーといいます。」「それなら、おまえの方で話し合いをして、わが家のことを解きあかさせてくれないか。」と、その士族(金持ち)に頼まれた。宣伝を担当するのはこの友人であるので、そうしたら、その話を知って、重病になっている娘が、毎日、小便をする便所の下に、精気を取って成長している蛙がいて、それは誰が見ても、別の蛙とは比べものにならないほど、とても大きくて、その蛙がハナシルコーバーの前に出て来て、「あなた様は、とても鼻が効くということですが、私は、重病になっているお嬢様が、毎日小便する、小便所の下の手水鉢の下に隠れている蛙でありますが、あなた様が、ご覧になれば、私の体格は別の蛙と変わって見えるでしょう。私はお嬢様の手水鉢の下に住まってあの方の精気を取って、成長している蛙でありますが、あなた様が、そのことを鼻でかぎ分けると、私は一大事になりますので、どうか助けてください。」と言って、願ったって。「ああ、そういうことか。確かにおまえは、別の蛙とはつくりも変わっており、おまえは娘の精気を取って成長しているようだな。それなら、おまえは私の言うことを聞けよ。」「はい、聞きます。なんでも聞きます。」「そうなら、何月何日何時ごろ、どこどこに隠れておけよ。すぐ、ちょっとでも見られてはいけないよ、いいか。」「はい、そうします。」と。そうして、その家に行ったら、ハナシルコーバーはすぐ屋敷の周囲を鼻をヒーヒーさせて、鼻を突き出して歩いた。そして、親戚中みな集まっているので、「さあさあ、ここの下には、毎日、娘さんが小便をなさるとき、その精気を取って成長している蛙がいるが、これを逃してはいけません。すぐこれを捕らえなさい。その手水鉢のどこどこの穴におりますので、すぐこれを捕らえなさい。」と言った。すると、確かに、その手水鉢のそばに穴があって、ちゃんと隠れている蛙を捕らえたって。それからはもう、娘は、日に日に毎日良くなって、元気になったって。その蛙を捕ってあと、二、三日で元気になったので、そのことが世間に広まった。そうして、鼻だけで病気を治し、どんなものでも解き明かす人がいると世間で評判になり、ハナシルコーバーはあちこちから依頼に来るぐらい有名になった。それで、あまりにも頼みに来るので、あとは、「もう、私は大変なことになっている。断ることもできないくらい頼みに来るが。」と言ったら、そのときには、また、その友人が、「それなら、おまえが恐れをなしているのなら、何月何日何時に、おまえが家にいないときに、妻と相談しておまえの家に火をつけるから、その場合は妻に火をつけさせるので、おまえは黙っておけよ。」と言った。別から頼まれて行っているところで、鼻をヒーヒーさせて、「もう、大変なことになっています。私の家が焼けておりますが、これは、私の家が焼ける匂いですが。」と言って、使いを行かせてみると、もう家は燃えてしまってない。それで、「私の鼻が変になって、私の鼻は効かなくなっております。」と言って断ったら、「それなら、おまえに、ここからお金と食べ物も与えるから、急いでお金も持って行って、おいしいものから食べて、体力もつけて、また、鼻がよく効くようにしてくれよ。」と、お金もご馳走も与えられたという、ハナシルコーバーの話。家が焼けてしまい、鼻もきかなくなってもう頼みを断る考えだとか。 |
| 全体の記録時間数 | 7:49 |
| 物語の時間数 | 7:49 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |