男やもめだったって。その一人住まいの男は、干し蛸を買いこんで来たようだね。蛸をハガマに入れて煮たところ、隣の人が、男が蛸を買って来るのを見て、「隣の男は、蛸を買って来るようだったが、あいつは、いつもハガマに何もかも煮て食べているから、ハガマを借りて来い。」と言って、使いの者をやったようだ。蛸が煮上がった時分を見計らって、ハガマを借りに行くと、男は蛸を煮てあった。ハガマに水を入れて干し蛸を煮たものだから、ハガマからあふれるほど膨らんだので、ハガマの中に入っている蛸と水をたらいに一緒にこぼした。たらいに蛸と水もこぼれただろうと思って、「持って行きな、ほれ。」と言って、ハガマを貸した。そうしたら、ハガマを借りた人は、得意満面でタコがくっついたハガマを持って行って、得意になって、「思ったとおり、この男だったらやるなと思っていたが、うまくいったぞ。」と言って、隣の人は、借りて来たハガマの蛸をほおばった。蛸を煮た男は、隣の使いの者が帰ってから、たらいの中を串でかき混ぜてみたりしても、蛸はどこにも見当たらず、全部、水ばかりであったので、「今日の蛸は、マジムン(化け物)だったのか、それとも蛸だったのか。」と言って、水をかき混ぜては、見たりした。どんなにかき混ぜて、蛸は隣に行ってしまっているので、男は、目をきょろきょろさせてマジムンだったのか、蛸だったのかなどと、言って、思い出してはかき混ぜ、かき混ぜしていた。隣は蛸を食べてしまい、からのハガマを返した。男は、しゃがみこんで水をすくったりしていた。蛸はたらいの中にこぼしたと思ったが、ハガマいっぱいに広がったので、尻をとがらせても、水と一緒にたらいに落ちてはないから、ただの水だけをかき混ぜていたって。それで隣の人は、「得をしたな。」と喜んでいたって。才知勝負だったって、昔は。
| レコード番号 | 47O421603 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C050 |
| 決定題名 | 吸いつき蛸(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 宜野座三郎 |
| 話者名かな | ぎのざさぶろう |
| 生年月日 | 18860101 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市米原 |
| 記録日 | 19800808 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川T45 B7 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下722頁 |
| キーワード | 男やもめ,干し蛸,ハガマ |
| 梗概(こうがい) | 男やもめだったって。その一人住まいの男は、干し蛸を買いこんで来たようだね。蛸をハガマに入れて煮たところ、隣の人が、男が蛸を買って来るのを見て、「隣の男は、蛸を買って来るようだったが、あいつは、いつもハガマに何もかも煮て食べているから、ハガマを借りて来い。」と言って、使いの者をやったようだ。蛸が煮上がった時分を見計らって、ハガマを借りに行くと、男は蛸を煮てあった。ハガマに水を入れて干し蛸を煮たものだから、ハガマからあふれるほど膨らんだので、ハガマの中に入っている蛸と水をたらいに一緒にこぼした。たらいに蛸と水もこぼれただろうと思って、「持って行きな、ほれ。」と言って、ハガマを貸した。そうしたら、ハガマを借りた人は、得意満面でタコがくっついたハガマを持って行って、得意になって、「思ったとおり、この男だったらやるなと思っていたが、うまくいったぞ。」と言って、隣の人は、借りて来たハガマの蛸をほおばった。蛸を煮た男は、隣の使いの者が帰ってから、たらいの中を串でかき混ぜてみたりしても、蛸はどこにも見当たらず、全部、水ばかりであったので、「今日の蛸は、マジムン(化け物)だったのか、それとも蛸だったのか。」と言って、水をかき混ぜては、見たりした。どんなにかき混ぜて、蛸は隣に行ってしまっているので、男は、目をきょろきょろさせてマジムンだったのか、蛸だったのかなどと、言って、思い出してはかき混ぜ、かき混ぜしていた。隣は蛸を食べてしまい、からのハガマを返した。男は、しゃがみこんで水をすくったりしていた。蛸はたらいの中にこぼしたと思ったが、ハガマいっぱいに広がったので、尻をとがらせても、水と一緒にたらいに落ちてはないから、ただの水だけをかき混ぜていたって。それで隣の人は、「得をしたな。」と喜んでいたって。才知勝負だったって、昔は。 |
| 全体の記録時間数 | 2:25 |
| 物語の時間数 | 2:25 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |