昔話だよ。あるところに大金持ちと貧乏人のお婆さん、お爺さんがおられた。正月になると、貧乏人のウスメー(お爺さん)、ハーメー(お婆さん)たち二人は食べる物もない。正月のご馳走もないので、金持ちの家に、藁を借りに行った。その藁を借りに行ったわけは、藁を借りてきたら、精米した残りの籾があるだろうと、藁を借りに行ったのだが、その金持ちは、藁も貸してくれなかった。「おまえたちは、正月はするな。」と、叱り飛ばした。ウスメー、ハーメーが非常に困っているときに、どこから来たのか分からないが、金持ちの家に、物乞いのふりをした人が、「夕飯を食べさせてくれ。」と言って来た。「こんな正月だというのに、家もないなら、死ね。」と、物乞いも叱り飛ばして帰した。そうしたら、その物乞いは、泣く泣く戻って、今度は、貧乏人のウスメー、ハーメーの家に行った。「頭が入れば尻が出る小さな家ですが、それでもよろしければ、泊まってください。」と言われ、そこで泊まった。泊めてもらったら、その人は、 「明日、夜明けとともに起きて、あなた方は若水を汲んで来て、風呂を沸かして浴びて、若くなりなさい。また、そのうえで、正月の飾りものとして、炭と昆布とを飾っておくと、いつまでも若々しくなるよ。」と教えてくれた。そうして、また、「ご飯は。」と言ったら、米はかんざしのカブの三回だけハガマに入れたのだが、ハガマ一杯のご飯が炊け、そうして、裕福に正月も迎えることができた。また、隣の金持ちは、その人たちの真似をしようと、若水を汲んで来て浴びたら、化けて猿になったり、動物になったりして、金持ちの財産はウスメー、ハーメーのものになったという話を聞いた覚えがある。そのウスメー、ハーメーたちが、金持ちの家に住んだところ、「私の家だ。私の家だ。」と言って、猿がやって来た。それをその泊まった、物乞いのふりをした客に話すと、「それだったら、黒いマー石を焼いて、猿が座るところに置いておきなさい。」と教えた。そのうちに、猿がやって来て座ったら、その猿は赤尻になって、それからは来なかったって。それで話はそのようなものであったようだが、「新たまる年や 炭とぅ昆布飾じゃてぃ(新しい年には 炭と昆布を飾って)心から姿 若くなゆん(心から姿までも 若くなる)。」と。その歌は、貧乏者のウスメー、ハーメーが作ったって。
| レコード番号 | 47O421293 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C040 |
| 決定題名 | 猿長者(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 金城良信 |
| 話者名かな | きんじょうりょうしん |
| 生年月日 | 19080624 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市上江洲 |
| 記録日 | 19800808 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T37 B8 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | 昔ばなしやしが |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下266頁 通観51頁 |
| キーワード | 金持ち,貧乏人,正月,わら,もみ,若水,風呂,炭,昆布,猿,黒石,赤尻, |
| 梗概(こうがい) | 昔話だよ。あるところに大金持ちと貧乏人のお婆さん、お爺さんがおられた。正月になると、貧乏人のウスメー(お爺さん)、ハーメー(お婆さん)たち二人は食べる物もない。正月のご馳走もないので、金持ちの家に、藁を借りに行った。その藁を借りに行ったわけは、藁を借りてきたら、精米した残りの籾があるだろうと、藁を借りに行ったのだが、その金持ちは、藁も貸してくれなかった。「おまえたちは、正月はするな。」と、叱り飛ばした。ウスメー、ハーメーが非常に困っているときに、どこから来たのか分からないが、金持ちの家に、物乞いのふりをした人が、「夕飯を食べさせてくれ。」と言って来た。「こんな正月だというのに、家もないなら、死ね。」と、物乞いも叱り飛ばして帰した。そうしたら、その物乞いは、泣く泣く戻って、今度は、貧乏人のウスメー、ハーメーの家に行った。「頭が入れば尻が出る小さな家ですが、それでもよろしければ、泊まってください。」と言われ、そこで泊まった。泊めてもらったら、その人は、 「明日、夜明けとともに起きて、あなた方は若水を汲んで来て、風呂を沸かして浴びて、若くなりなさい。また、そのうえで、正月の飾りものとして、炭と昆布とを飾っておくと、いつまでも若々しくなるよ。」と教えてくれた。そうして、また、「ご飯は。」と言ったら、米はかんざしのカブの三回だけハガマに入れたのだが、ハガマ一杯のご飯が炊け、そうして、裕福に正月も迎えることができた。また、隣の金持ちは、その人たちの真似をしようと、若水を汲んで来て浴びたら、化けて猿になったり、動物になったりして、金持ちの財産はウスメー、ハーメーのものになったという話を聞いた覚えがある。そのウスメー、ハーメーたちが、金持ちの家に住んだところ、「私の家だ。私の家だ。」と言って、猿がやって来た。それをその泊まった、物乞いのふりをした客に話すと、「それだったら、黒いマー石を焼いて、猿が座るところに置いておきなさい。」と教えた。そのうちに、猿がやって来て座ったら、その猿は赤尻になって、それからは来なかったって。それで話はそのようなものであったようだが、「新たまる年や 炭とぅ昆布飾じゃてぃ(新しい年には 炭と昆布を飾って)心から姿 若くなゆん(心から姿までも 若くなる)。」と。その歌は、貧乏者のウスメー、ハーメーが作ったって。 |
| 全体の記録時間数 | 3:12 |
| 物語の時間数 | 3:12 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |