お金を借りたのは糸満の人だったでしょうね。内地の人からお金を借りて本土で一緒だったのか知らないが、お金を借りてあったので、貸した人が、取りに来たらしい。本土から取りに来たが、糸満の人はお金が無くて払えないので、「無いよ。」と言ったら、「それでは何時だったら払えるか。」と言うと、「いつの何日ごろにはできる。」と言ったらしい。この内地の人は、何日と約束してそのまま帰ったそうだ。約束した日に取りに来たが、お金はまだ作ってなかった。お金を取りに来た人は非常に怒って、「きょうは何が何でも取って行く。」と言った。それを見て、「あなたはひどく怒っているが、『手が出そうになったら、意地を引け。意地がでそうになったら、手を引け。急がば廻れ』という言葉がある、その言葉を胸に留めて、今日は帰ってください。次の約束の日までには、お金は準備しておくので、そのときに取りに来てください。」と借りた人は、お願いした。「次までには必ずお金を準備しておけよ。」と強く言い残して帰ったようだね。帰るときに、近道をしようとしたが、「急がば廻れ。」という言葉を思い出して、遠回りした。近道するには、川や海を越えなければならなかったのでしょうね、そこは、すぐに潮が満ちてきていた。「ここを渡っていたら、命はなかっただろうなあ、彼が言ったとおり遠回りをしたおかげで、命は助かった。」と思った。また、お金を取りに行った男が家に戻ってみると、障子が閉められ男の影が写っていた。それは、自分の母親が男の格好をし、一緒に留守番をしていて、ちょうど夕食をとっていたのであった。親を連れて来て、子供と妻の三人で夕食していたそうだ。それで内地の人は、妻が別の男を家の中に入れているのだと思い、刀を振り回し殺そうとしたとき、「手が出そうになったら、意地を引け。」という言葉を思い出し、まずはと思って、刀を納めて家の中に入って行った。すると、切り殺そうとした男は、男の格好をした自分の母親であった。「やがて切り殺すところだった。お金を貸した糸満の人に、『手が出そうになったら、意地を引け。意地が出そうになったら、手を引け』と言われたことを思い出し、思い止まったが、やがて親を切り殺すところだった。」と。そのときに恩義を感じたんでしょう。そして、「いついつ来てくれ。」という、約束の日に出かけて行ったところ、その糸満の人はお金を準備してあった。「お金は準備出来たので、受け取れ。」と言ったら、お金を貸した男は、「そのお金は取らなくてもいい。あなたが教えた諺で、私は帰り道に『急がば廻れ』という言葉で遠回りをして命が助かり、家に帰ったら『手が出そうになったら、意地を引け。意地が出そうになったら、手を引け』という言葉で、自分の親を切り殺さずに済んだ。家を格護するために、母親が男の格好をしていたのを、やがて殺すところだった。だから、私はこのお金は受け取れない。」と言った。しかし、お金を借りた男は、「私は、借りたお金は必ず返す。」と言う。貸した男も、「取らないと言えば取らん。」と言う。一方は必ず払うと言い、取らない、受け取れと、押し問答したお金は、糸満の白銀堂に埋め、それから、白銀堂を拝むことになったという話を聞いたよ。
| レコード番号 | 47O421151 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C036 |
| 決定題名 | 白銀堂由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 仲宗根ウト |
| 話者名かな | なかそねうと |
| 生年月日 | 19091120 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 具志川市仲嶺 |
| 記録日 | 19800808 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T34 B7 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上471頁 |
| キーワード | 糸満,お金,意地が出たら手を引け,手が出たら意地を引け,急がば回れ,白銀堂 |
| 梗概(こうがい) | お金を借りたのは糸満の人だったでしょうね。内地の人からお金を借りて本土で一緒だったのか知らないが、お金を借りてあったので、貸した人が、取りに来たらしい。本土から取りに来たが、糸満の人はお金が無くて払えないので、「無いよ。」と言ったら、「それでは何時だったら払えるか。」と言うと、「いつの何日ごろにはできる。」と言ったらしい。この内地の人は、何日と約束してそのまま帰ったそうだ。約束した日に取りに来たが、お金はまだ作ってなかった。お金を取りに来た人は非常に怒って、「きょうは何が何でも取って行く。」と言った。それを見て、「あなたはひどく怒っているが、『手が出そうになったら、意地を引け。意地がでそうになったら、手を引け。急がば廻れ』という言葉がある、その言葉を胸に留めて、今日は帰ってください。次の約束の日までには、お金は準備しておくので、そのときに取りに来てください。」と借りた人は、お願いした。「次までには必ずお金を準備しておけよ。」と強く言い残して帰ったようだね。帰るときに、近道をしようとしたが、「急がば廻れ。」という言葉を思い出して、遠回りした。近道するには、川や海を越えなければならなかったのでしょうね、そこは、すぐに潮が満ちてきていた。「ここを渡っていたら、命はなかっただろうなあ、彼が言ったとおり遠回りをしたおかげで、命は助かった。」と思った。また、お金を取りに行った男が家に戻ってみると、障子が閉められ男の影が写っていた。それは、自分の母親が男の格好をし、一緒に留守番をしていて、ちょうど夕食をとっていたのであった。親を連れて来て、子供と妻の三人で夕食していたそうだ。それで内地の人は、妻が別の男を家の中に入れているのだと思い、刀を振り回し殺そうとしたとき、「手が出そうになったら、意地を引け。」という言葉を思い出し、まずはと思って、刀を納めて家の中に入って行った。すると、切り殺そうとした男は、男の格好をした自分の母親であった。「やがて切り殺すところだった。お金を貸した糸満の人に、『手が出そうになったら、意地を引け。意地が出そうになったら、手を引け』と言われたことを思い出し、思い止まったが、やがて親を切り殺すところだった。」と。そのときに恩義を感じたんでしょう。そして、「いついつ来てくれ。」という、約束の日に出かけて行ったところ、その糸満の人はお金を準備してあった。「お金は準備出来たので、受け取れ。」と言ったら、お金を貸した男は、「そのお金は取らなくてもいい。あなたが教えた諺で、私は帰り道に『急がば廻れ』という言葉で遠回りをして命が助かり、家に帰ったら『手が出そうになったら、意地を引け。意地が出そうになったら、手を引け』という言葉で、自分の親を切り殺さずに済んだ。家を格護するために、母親が男の格好をしていたのを、やがて殺すところだった。だから、私はこのお金は受け取れない。」と言った。しかし、お金を借りた男は、「私は、借りたお金は必ず返す。」と言う。貸した男も、「取らないと言えば取らん。」と言う。一方は必ず払うと言い、取らない、受け取れと、押し問答したお金は、糸満の白銀堂に埋め、それから、白銀堂を拝むことになったという話を聞いたよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:51 |
| 物語の時間数 | 5:51 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |