今からおよそ、五、六十年前だったと思いますが、昆布崎の佐久川小のイジャータンメーという、タンメーの話をさせていただきます。このイジャータンメーは、現在の昆布の桟橋の近くに住居があり、製糖期にはキビを出し、その暇々には海に行って魚釣りなんかした、半農半漁の生活なされた非常にやさしいタンメーでありました。ある日、タンメーは、仲間と二人で海に行き、昆布の海岸の隅原という浜で、魚の餌にするミミジャーを岩の下の砂から取っていたんだけど、ミミズ取りに夢中なっている間に、その岩がイジャータンメーの足の上にのっかかってしまい、どうにも身動きがとれなくなったわけです。それで、もう一人の方が、タンメーの姿が見えないもんだから、捜してみたら、すでにイジャータンメーは大きな岩に足を挟まれたていたって。ちょうど満ち潮に向かっていたので、「これは、もう大変だ。」ということで、すぐ部落に戻って来て、ドラや鐘を叩いて、「ヒードー、ミジドー。」とみんなを集めて、「今、スミバルの海岸で、佐久川小のタンメーが大きな岩に足をはさまれて、大変なことになっておる。」と。「みんな、鋸、棒、斧とか持って集まれ。」と言われた。みんなは何が何やらさっぱり分からない。鋸を持って来る者、斧を持って来る者、棒を持って来る者、あるいは、げんのうや包丁を持って来る者など、手当たり次第いろいろなものを持って来た。それから、昆布のドラや太鼓の騒ぎを聞いて、隣の天願部落からもたくさん駆け込んで来た。そのときには、お爺さんの臍のあたりまで潮が満ちて来ていたという。棒を入れてこの岩を引っくり返そうと思っても、五、六トンもある大岩だからびくともしない。もう、どうすることもできない。お爺さんの首のところまで潮がどんどん満ちてきたとき、その潮の圧力か何かで、少しゆるんだときに、みんなでお爺さんを引っ張ったら足が抜けたということである。もう足はグジャグジャになっている。それで、部落から戸を持ってきて、それに乗っけて、みんなで家まで運んだ。家に帰ってきても、痛いとも言わずに、 「グジャグジャなっているところは、潮水で洗いなさい。」と言うて、そのぐらい、このタンメーはイジャータンメーだったということであります。そのグジャグジャなった足も、元通りにはならなくて、引きずって歩いていたけど、いつも笑顔で、みんなにありがとうと話していました。その後、佐久川小のイジャータンメーという名前がつけられたわけです。
| レコード番号 | 47O421086 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C034 |
| 決定題名 | 岩に足を挟まれた佐久川タンメ―(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 佐久川小のイジャータンメー |
| 話者名 | 座間味宗松 |
| 話者名かな | ざまみむねまつ |
| 生年月日 | 19171010 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市昆布 |
| 記録日 | 19800802 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T32 B2 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説、 世間話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上159頁 |
| キーワード | イジャータンメ―,半農半漁,隅原,満潮,ドラ,鉦,潮 |
| 梗概(こうがい) | 今からおよそ、五、六十年前だったと思いますが、昆布崎の佐久川小のイジャータンメーという、タンメーの話をさせていただきます。このイジャータンメーは、現在の昆布の桟橋の近くに住居があり、製糖期にはキビを出し、その暇々には海に行って魚釣りなんかした、半農半漁の生活なされた非常にやさしいタンメーでありました。ある日、タンメーは、仲間と二人で海に行き、昆布の海岸の隅原という浜で、魚の餌にするミミジャーを岩の下の砂から取っていたんだけど、ミミズ取りに夢中なっている間に、その岩がイジャータンメーの足の上にのっかかってしまい、どうにも身動きがとれなくなったわけです。それで、もう一人の方が、タンメーの姿が見えないもんだから、捜してみたら、すでにイジャータンメーは大きな岩に足を挟まれたていたって。ちょうど満ち潮に向かっていたので、「これは、もう大変だ。」ということで、すぐ部落に戻って来て、ドラや鐘を叩いて、「ヒードー、ミジドー。」とみんなを集めて、「今、スミバルの海岸で、佐久川小のタンメーが大きな岩に足をはさまれて、大変なことになっておる。」と。「みんな、鋸、棒、斧とか持って集まれ。」と言われた。みんなは何が何やらさっぱり分からない。鋸を持って来る者、斧を持って来る者、棒を持って来る者、あるいは、げんのうや包丁を持って来る者など、手当たり次第いろいろなものを持って来た。それから、昆布のドラや太鼓の騒ぎを聞いて、隣の天願部落からもたくさん駆け込んで来た。そのときには、お爺さんの臍のあたりまで潮が満ちて来ていたという。棒を入れてこの岩を引っくり返そうと思っても、五、六トンもある大岩だからびくともしない。もう、どうすることもできない。お爺さんの首のところまで潮がどんどん満ちてきたとき、その潮の圧力か何かで、少しゆるんだときに、みんなでお爺さんを引っ張ったら足が抜けたということである。もう足はグジャグジャになっている。それで、部落から戸を持ってきて、それに乗っけて、みんなで家まで運んだ。家に帰ってきても、痛いとも言わずに、 「グジャグジャなっているところは、潮水で洗いなさい。」と言うて、そのぐらい、このタンメーはイジャータンメーだったということであります。そのグジャグジャなった足も、元通りにはならなくて、引きずって歩いていたけど、いつも笑顔で、みんなにありがとうと話していました。その後、佐久川小のイジャータンメーという名前がつけられたわけです。 |
| 全体の記録時間数 | 7:54 |
| 物語の時間数 | 7:54 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |