昔の話ですが、私達は蔡氏と言っています。蔡氏と言ったら、字は草かんむり買いて、下は祭り、蔡氏です。言わば三十六姓の一つの氏ですけれども、実は、この三十六姓は、私達のずっと先祖の頃、今の中国の
福洲から沖縄に渡って来たものです。先祖が唐に、旅にいらっしゃる時に、実は昔は、帆を張った船で、支那に渡って行っていましたが、その出発前に浜で、人が亀をつかまえて、殺して食べようとしているのを、
先祖が買って、海に放してあげたそうです。その時にこの甲に、昔のかんざし、かんざしは、髪さしですがこれをさして、海に放してあげたそうですね。その後、何年か経って、その人が、唐に渡ろうとしたときに、台風に出会って、船が割れたので、その船の側に、岩のようなものがあって、そこに登ってみると、実は、それは岩ではなくて、亀であった。それで、「これは、私が買って放した亀ではないだろうか。」と思っ
て、以前に買って、海に放すときに、髪さしをさして行かした、その所を探してみると、自分の髪さしがそこにさされていた。それで、「これは、私が買って放した亀だな。」と言って、「人の恩は忘れないんだな
ー。」と言って感心した。そして、それに乗ったら、実は亀は、亀だけでは疲れて運ぶことができなかった
ので、フカも、沖縄の言葉ではサバと言いますが、一緒になって、その先祖を陸まで運んで行ったと言う、
話です。これは、丁度、大和の、言えば浦島太郎の話に似ていますが、ただフカも一緒にと言うのは、浦島
太郎にはない事です。そうして、その後、私達の先祖、助けられた祖先から子孫の人達は、亀とフカの肉は
、食べてはいけないと言って、私達の親達は、戦前までそれをみんな守って、亀とフカの肉は、絶対食べな
いようにしていました。そう言う話です。
| レコード番号 | 47O420991 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C031 |
| 決定題名 | 亀の肉を食べないわけ(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 翁長の元祖の話 |
| 話者名 | 翁長維行 |
| 話者名かな | おながいこう |
| 生年月日 | 19180411 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市西原 |
| 記録日 | 19800801 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T29 B3 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説、 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 父親から |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上225頁 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし33頁 通観312頁 |
| キーワード | 蔡氏,三十六世,唐旅,支那,亀,亀の甲,かんざし,台風,船割れ,フカ, |
| 梗概(こうがい) | 昔の話ですが、私達は蔡氏と言っています。蔡氏と言ったら、字は草かんむり買いて、下は祭り、蔡氏です。言わば三十六姓の一つの氏ですけれども、実は、この三十六姓は、私達のずっと先祖の頃、今の中国の 福洲から沖縄に渡って来たものです。先祖が唐に、旅にいらっしゃる時に、実は昔は、帆を張った船で、支那に渡って行っていましたが、その出発前に浜で、人が亀をつかまえて、殺して食べようとしているのを、 先祖が買って、海に放してあげたそうです。その時にこの甲に、昔のかんざし、かんざしは、髪さしですがこれをさして、海に放してあげたそうですね。その後、何年か経って、その人が、唐に渡ろうとしたときに、台風に出会って、船が割れたので、その船の側に、岩のようなものがあって、そこに登ってみると、実は、それは岩ではなくて、亀であった。それで、「これは、私が買って放した亀ではないだろうか。」と思っ て、以前に買って、海に放すときに、髪さしをさして行かした、その所を探してみると、自分の髪さしがそこにさされていた。それで、「これは、私が買って放した亀だな。」と言って、「人の恩は忘れないんだな ー。」と言って感心した。そして、それに乗ったら、実は亀は、亀だけでは疲れて運ぶことができなかった ので、フカも、沖縄の言葉ではサバと言いますが、一緒になって、その先祖を陸まで運んで行ったと言う、 話です。これは、丁度、大和の、言えば浦島太郎の話に似ていますが、ただフカも一緒にと言うのは、浦島 太郎にはない事です。そうして、その後、私達の先祖、助けられた祖先から子孫の人達は、亀とフカの肉は 、食べてはいけないと言って、私達の親達は、戦前までそれをみんな守って、亀とフカの肉は、絶対食べな いようにしていました。そう言う話です。 |
| 全体の記録時間数 | 3:59 |
| 物語の時間数 | 3:59 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |