これは、私が十五、六歳ぐらいの若いころに親たちから聞いた話です。正月になると、いつも親たちが、「自分たちはいっぱい食べたから、天井の嫁のウトゥーにも食べ物をあげなさい。」と言ったので、「嫁のウトゥーというのは誰なのか。」と聞いたり、子どもながらにいろいろ話を聞いたら、こんな由来があります。昔、ある村に、家族で生活していたようですが、男主人は、隣の家から、正月のご馳走の肉を分けてきた。昔は、現在と違って食べ物も少ない。正月ともなると、一食、二食も抜くほど、腹をすかせ夕飯を待ちかねている時代だったからね。そうして、肉を分けてきて、家の柱の上に置いたところ、姑が肉が煮えるのを待てずに生肉を食べたりしたので、嫁が、「このガチマヤー。」とののしったようだ。嫁は布を織っていたようで、メーグサで姑を打ったら、その姑は、猫になって逃げていっていなくなった。そうして、夫が来て、「アンマー(お母さん)はどこにいらしたか。」「かくかくしかじかで見苦しいから、私がメーグサで打ったら、ネコになっていなくなってしまった。」と言った。そうしたから、「おまえというやつは、正月前だというのに、おまえがそういうことをしたから、こうなってしまったんじゃないか。今度は私が、おまえをメーグサで打ってみよう。」と言って、夫が妻をメーグサで打ったから、ネズミになってクークークーして、天井に上がって行ってしまった。昔から、ネコとネズミの仲が悪いというのは、それから始まったということだが、この嫁のウトゥーに食べ物をあげなさいというのは、昔、正月に何もかもそこに広げておいたものだから、ネズミが降りてきて、広げてある食べ物を食われないようにと、あらかじめネズミにものを食べさせておけば、ここにあるのは食わないだろうとの考えで、昔の人はこの話を作ったようです。
| レコード番号 | 47O420984 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C030 |
| 決定題名 | 嫁鼠と姑猫(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 嫁ノウトゥの話 |
| 話者名 | 伊良波朝正 |
| 話者名かな | いらはちょうせい |
| 生年月日 | 19231215 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 東村有銘 |
| 記録日 | 19800801 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T29 A6 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 動物昔話、 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | うれー私たーが |
| 伝承事情 | 父親から |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下420頁 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし145頁 通観842頁 |
| キーワード | 正月,嫁,姑,肉,つまみ食い,ガチマヤー,メーグサ,猫,鼠, |
| 梗概(こうがい) | これは、私が十五、六歳ぐらいの若いころに親たちから聞いた話です。正月になると、いつも親たちが、「自分たちはいっぱい食べたから、天井の嫁のウトゥーにも食べ物をあげなさい。」と言ったので、「嫁のウトゥーというのは誰なのか。」と聞いたり、子どもながらにいろいろ話を聞いたら、こんな由来があります。昔、ある村に、家族で生活していたようですが、男主人は、隣の家から、正月のご馳走の肉を分けてきた。昔は、現在と違って食べ物も少ない。正月ともなると、一食、二食も抜くほど、腹をすかせ夕飯を待ちかねている時代だったからね。そうして、肉を分けてきて、家の柱の上に置いたところ、姑が肉が煮えるのを待てずに生肉を食べたりしたので、嫁が、「このガチマヤー。」とののしったようだ。嫁は布を織っていたようで、メーグサで姑を打ったら、その姑は、猫になって逃げていっていなくなった。そうして、夫が来て、「アンマー(お母さん)はどこにいらしたか。」「かくかくしかじかで見苦しいから、私がメーグサで打ったら、ネコになっていなくなってしまった。」と言った。そうしたから、「おまえというやつは、正月前だというのに、おまえがそういうことをしたから、こうなってしまったんじゃないか。今度は私が、おまえをメーグサで打ってみよう。」と言って、夫が妻をメーグサで打ったから、ネズミになってクークークーして、天井に上がって行ってしまった。昔から、ネコとネズミの仲が悪いというのは、それから始まったということだが、この嫁のウトゥーに食べ物をあげなさいというのは、昔、正月に何もかもそこに広げておいたものだから、ネズミが降りてきて、広げてある食べ物を食われないようにと、あらかじめネズミにものを食べさせておけば、ここにあるのは食わないだろうとの考えで、昔の人はこの話を作ったようです。 |
| 全体の記録時間数 | 3:02 |
| 物語の時間数 | 3:02 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |