勝連バーマ 山網打ち(シマグチ)

概要

山網打ち‥‥これから勝連バーマの話をやってみようと思っています。時代は、尚・王、俗に坊主大主とおっしゃる国王のころです。勝連バーマといって、たいそう才知な人がいたようです。ちょうどそのとき、勝連間切に対し公事(首里王府)から、「海の物何百斤を、何月何日までに上納しなさい。」という達しが来た。それだけの魚を一度に捕ることはできない。勝連間切の長老たちが集って来られて、「これはどうしたらいいものか。」と言って、話し合っている最中に、勝連バーマが来て、「これは、私が解決してまいりましょう。」と言って、お年寄りの方々に申し上げたところ、「おまえは、これをどう解決するというのか。」と聞かれたので、「私に考えがありますので、解決してまいります。」と言った。そうして、勝連バーマはティールグヮー(竹製の手籠)に魚を一つ入れて腰に下げ、網を持って出かけて行った。どこに行ったのかというと、城間の草の生えているところで、網を打っていたようだ。実は、坊主大主は城間におられるので、必ず網を打つのをご覧になるはずとの考えからであった。そうこうしているうちに、バーマが野原で網を打っていると、坊主大主が来られて、「どうして、おまえは、海でもないのにここで網を打つか。なにを捕っているのかね。」とたずねられた。バーマは、「私たちの勝連間切は、公事からすぐにも魚をいくら納めなさいというお達しが来ましたので、これは海だけで捕ったのでは足りない。野原でも網を打って魚を捕らないことには、これだけのものを捕って出すことはできませんから。」と答えると、「おまえは何てことを言うのだ。魚は海で捕るものであって、野原で魚が捕れるものか。」と言ったら、「あなた様には分かるはずもありません。魚を野原でも捕らないことには、絶対間に合いません。そうなると私たちの間切は、大変なことになります。」と言うと、「それでは、今までに捕った分だけでいいから。」と言った。実は、勝連バーマは、その方が坊主大主ということは分かっているが、「あなた様は、何者ですか、あなた様がいいとおっしゃっても、これは公事からのお達しですから通るはずがありません。」と言うと、そのときになって、坊主大主は身分を明かして、「坊主大主というのは私なんだよ。」「ああ、さようでございましたか。それでは、御主加那志前であられるのなら、一筆お書きになっていただけませんか、『捕ってあるだけでいい』ということを。」と申し上げると、「それでは、一筆書いてあげよう。」と書いてもらった。そうして、ティールグヮーに魚を一つ入れて、網を担ぎ首里城に登って行った。「勝連からの魚の上納を持って来ました、お受け取りください。」と言ったから、「どこにある、ここまで持って来い。」と言われたので、ティールグヮーから魚を一つを出して、「これは、上納でございます。」と申し上げたところ、「なんだおまえは、たったそれだけの魚、上納は一つではなく何百斤という魚だよ。」と言ったから、「ああもう、海山に行って一生懸命がんばり、山にまで行って捕ってみたのですが、これだけしか捕れませんでした。そうして、坊主大主が、『もう、捕ってあるだけでいいから』とおっしゃられ、書き物も持って来ております。」と言ったので、坊主大主が書き物を渡してあるから、役人も責めることはできない。どうしようもなくて、持って来ただけで済ましたという話。

再生時間:4:29

民話詳細DATA

レコード番号 47O420981
CD番号 47O42C030
決定題名 勝連バーマ 山網打ち(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 翁長維行
話者名かな おながいこう
生年月日 19180411
性別
出身地 具志川市西原
記録日 19800801
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 具志川市T29 A3
元テープ管理者 伝承話資料センター
分類 笑話
発句(ほっく) これから
伝承事情 父親から
文字化資料 具志川市史第3巻下648頁 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし193頁 通観779頁
キーワード 勝連バーマ,公儀,上納,魚,城間,網,勝連間切,坊主御主
梗概(こうがい) 山網打ち‥‥これから勝連バーマの話をやってみようと思っています。時代は、尚・王、俗に坊主大主とおっしゃる国王のころです。勝連バーマといって、たいそう才知な人がいたようです。ちょうどそのとき、勝連間切に対し公事(首里王府)から、「海の物何百斤を、何月何日までに上納しなさい。」という達しが来た。それだけの魚を一度に捕ることはできない。勝連間切の長老たちが集って来られて、「これはどうしたらいいものか。」と言って、話し合っている最中に、勝連バーマが来て、「これは、私が解決してまいりましょう。」と言って、お年寄りの方々に申し上げたところ、「おまえは、これをどう解決するというのか。」と聞かれたので、「私に考えがありますので、解決してまいります。」と言った。そうして、勝連バーマはティールグヮー(竹製の手籠)に魚を一つ入れて腰に下げ、網を持って出かけて行った。どこに行ったのかというと、城間の草の生えているところで、網を打っていたようだ。実は、坊主大主は城間におられるので、必ず網を打つのをご覧になるはずとの考えからであった。そうこうしているうちに、バーマが野原で網を打っていると、坊主大主が来られて、「どうして、おまえは、海でもないのにここで網を打つか。なにを捕っているのかね。」とたずねられた。バーマは、「私たちの勝連間切は、公事からすぐにも魚をいくら納めなさいというお達しが来ましたので、これは海だけで捕ったのでは足りない。野原でも網を打って魚を捕らないことには、これだけのものを捕って出すことはできませんから。」と答えると、「おまえは何てことを言うのだ。魚は海で捕るものであって、野原で魚が捕れるものか。」と言ったら、「あなた様には分かるはずもありません。魚を野原でも捕らないことには、絶対間に合いません。そうなると私たちの間切は、大変なことになります。」と言うと、「それでは、今までに捕った分だけでいいから。」と言った。実は、勝連バーマは、その方が坊主大主ということは分かっているが、「あなた様は、何者ですか、あなた様がいいとおっしゃっても、これは公事からのお達しですから通るはずがありません。」と言うと、そのときになって、坊主大主は身分を明かして、「坊主大主というのは私なんだよ。」「ああ、さようでございましたか。それでは、御主加那志前であられるのなら、一筆お書きになっていただけませんか、『捕ってあるだけでいい』ということを。」と申し上げると、「それでは、一筆書いてあげよう。」と書いてもらった。そうして、ティールグヮーに魚を一つ入れて、網を担ぎ首里城に登って行った。「勝連からの魚の上納を持って来ました、お受け取りください。」と言ったから、「どこにある、ここまで持って来い。」と言われたので、ティールグヮーから魚を一つを出して、「これは、上納でございます。」と申し上げたところ、「なんだおまえは、たったそれだけの魚、上納は一つではなく何百斤という魚だよ。」と言ったから、「ああもう、海山に行って一生懸命がんばり、山にまで行って捕ってみたのですが、これだけしか捕れませんでした。そうして、坊主大主が、『もう、捕ってあるだけでいいから』とおっしゃられ、書き物も持って来ております。」と言ったので、坊主大主が書き物を渡してあるから、役人も責めることはできない。どうしようもなくて、持って来ただけで済ましたという話。
全体の記録時間数 4:29
物語の時間数 4:29
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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