渡嘉敷ペーク(共通語)

概要

昔、首里に渡嘉敷ペーチンという人がいて、頭がよく、王府の近くに住んでいた。村中の評判だった
ので殿様が供の者に連れてこさせようとした。それで渡嘉敷ペークは、何日か後、殿様のところへ行った。
渡嘉敷ペークは、頭が良かったというより欲張りであった。普通殿様の所へ行く時はきれいな着物を着てい
くものだが、ペークは、シミのついたふとんに穴をあけて、首を突っ込んで、ひきずって首里城まで行った
、しかし、侍がこれでは失礼になるということで通そうとしないで争っていた。そこへ殿様が来て、それで
もいいから通しなさいといって通した。殿様は、「ペークよ、普通だったらよそ行きの着物くらいあるだろ
うに、そんな身なりで来るのは変じゃないか。」といってたしなめた。するとペークは、ここへ来る途中き
たないどぶに落ちてしまった。きたない着物では失礼になると思ったが、その他には着るものがないので、
一枚しかない布団に穴をあけて着て来ましたといった。殿様は見かねて、供の者にいいつけて一番きれいな
着物を与えた。それからは、二、三日おきにペークは首里城に呼ばれるようになった。そして今度は碁の相
手をすることになった。ペークは一般の侍といっても身分に相当のひらきがあるので、一回碁を打つと後ろ
にさがって待機するといった格好でやっていた。しかし碁というのはそんなに離れてやるものではないので
、殿様はこれではおもしろくないから近くによって打つようにしなさいということになった。しかし、また
一回碁を打ってはひれ伏すというふうにするので、それではおもしろくないということになって、対等に話
をしようということになり、普通の友達同志のように話をした。そこで、ペークが少しも遠慮がないものだ
から供の者が怒るのであるが、殿様から許されているので、友達のような付き合いをしていたのである。そ
のように何度も殿様に呼ばれていたりしていたが、今度は殿様が、今日は米を一俵あげようという。蔵番が
米を一俵出してペークが帰る時にあげた。すると普通だったらかついでいきそうなものであるが、ペークは
馬を連れて来て鞍の片方に米を乗せた。片方には荷物がないものだから鞍がずれて腹のところに落ちてくる
。それをくりかえすので、側で見ていた殿様が、ペークの知恵には負けたからもう一俵あげなさいといい、
とうとう一俵あげたものが二俵になったという。また、ある時に王妃が、ペークに殿様の話し相手をしてい
るから、帰りにみそを持って行きなさいと、みそをつつんであげた。しかし男が台所の品を持っていくとい
うのは体面が悪いので、そのまま持っていけない。どうしたらいいだろうと考えた。王様はやりこめようと
思ってみそをあげたのであるが、ペークは王様が一番大切にしている花木を一枝つきさして持って帰った。
すると、それは誰が見ても花鉢の花木をもらって来たように見える。そのようにして、殿様とペークは、い
つも知恵比べをしていたが、いつもぺークに負けていた。ペークはその知恵を認められて、あっちこっちの
要職についた。

再生時間:7:23

民話詳細DATA

レコード番号 47O420980
CD番号 47O42C030
決定題名 渡嘉敷ペーク(共通語)
話者がつけた題名
話者名 伊良波朝正
話者名かな いらはちょうせい
生年月日 19231215
性別
出身地 東村有銘
記録日 19800801
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 具志川市T29 A2
元テープ管理者 伝承話資料センター
分類 笑話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし187頁 通観693頁
キーワード 首里,渡嘉敷ペーチン,殿様,布団の着物,碁,米俵,馬,鞍,花木,味噌
梗概(こうがい) 昔、首里に渡嘉敷ペーチンという人がいて、頭がよく、王府の近くに住んでいた。村中の評判だった ので殿様が供の者に連れてこさせようとした。それで渡嘉敷ペークは、何日か後、殿様のところへ行った。 渡嘉敷ペークは、頭が良かったというより欲張りであった。普通殿様の所へ行く時はきれいな着物を着てい くものだが、ペークは、シミのついたふとんに穴をあけて、首を突っ込んで、ひきずって首里城まで行った 、しかし、侍がこれでは失礼になるということで通そうとしないで争っていた。そこへ殿様が来て、それで もいいから通しなさいといって通した。殿様は、「ペークよ、普通だったらよそ行きの着物くらいあるだろ うに、そんな身なりで来るのは変じゃないか。」といってたしなめた。するとペークは、ここへ来る途中き たないどぶに落ちてしまった。きたない着物では失礼になると思ったが、その他には着るものがないので、 一枚しかない布団に穴をあけて着て来ましたといった。殿様は見かねて、供の者にいいつけて一番きれいな 着物を与えた。それからは、二、三日おきにペークは首里城に呼ばれるようになった。そして今度は碁の相 手をすることになった。ペークは一般の侍といっても身分に相当のひらきがあるので、一回碁を打つと後ろ にさがって待機するといった格好でやっていた。しかし碁というのはそんなに離れてやるものではないので 、殿様はこれではおもしろくないから近くによって打つようにしなさいということになった。しかし、また 一回碁を打ってはひれ伏すというふうにするので、それではおもしろくないということになって、対等に話 をしようということになり、普通の友達同志のように話をした。そこで、ペークが少しも遠慮がないものだ から供の者が怒るのであるが、殿様から許されているので、友達のような付き合いをしていたのである。そ のように何度も殿様に呼ばれていたりしていたが、今度は殿様が、今日は米を一俵あげようという。蔵番が 米を一俵出してペークが帰る時にあげた。すると普通だったらかついでいきそうなものであるが、ペークは 馬を連れて来て鞍の片方に米を乗せた。片方には荷物がないものだから鞍がずれて腹のところに落ちてくる 。それをくりかえすので、側で見ていた殿様が、ペークの知恵には負けたからもう一俵あげなさいといい、 とうとう一俵あげたものが二俵になったという。また、ある時に王妃が、ペークに殿様の話し相手をしてい るから、帰りにみそを持って行きなさいと、みそをつつんであげた。しかし男が台所の品を持っていくとい うのは体面が悪いので、そのまま持っていけない。どうしたらいいだろうと考えた。王様はやりこめようと 思ってみそをあげたのであるが、ペークは王様が一番大切にしている花木を一枝つきさして持って帰った。 すると、それは誰が見ても花鉢の花木をもらって来たように見える。そのようにして、殿様とペークは、い つも知恵比べをしていたが、いつもぺークに負けていた。ペークはその知恵を認められて、あっちこっちの 要職についた。
全体の記録時間数 7:23
物語の時間数 7:23
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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