ある裁判官が、沖縄勤めをすることになったが、沖縄では裁判から何もかも、全部しなければならなかったって。裁判官は唐の人で、何でも正してあげる人だったって。それで、沖縄の人で、毎日、マーアンダ(菜種油)を家々に売り歩いているのがいたって。そうしたら、ほんのわずかの油、元金の分しか持ち歩いていないのに、町で油を売っているときに、けつまずいたのか、石仏に当たって油甕を叩き割ってしまった。これは、もとを正せば自分が悪いのだが、この油を担いで売り歩いている人は石仏が悪いとしているわけ。そうして、これを裁判に出したらしい。裁判官が、「どうしたのかね。」とたずねたから、「石仏が、私の油甕を叩き割ってしまったんですよ。」と言った。「そうか、どこの石仏だったか。」「どこそこの石仏が叩き割ってあります。これを裁判にかけて下さい。」と訴えたって。そうしたら、「ならば、裁判にかけてあげよう。」と。そうして、裁判官はみんなに、「いついつに、油売りと石仏の裁判をするので、みな一厘ずつ持って見に来るように。」と言って、入場料は一厘としているわけ。もう知恵を巡らしたわけ。そうしたら、石仏と人間との裁判はどのようにするのかと、みんなは我先にと広場へ走って行ったらしい。裁判はどうするかと思ったら、入場料は、全部一厘ずつ裁判官が取り集めて、「では、始めるとしようか。」と言った。みんなは何をするのだろと考えていたらしい。すると、裁判官は大きな黒綱を持って来てあったらしく、石仏をひきずり出して、みんなの座の中に座らせて、それから綱で石仏をぐるぐる巻きにして、あたかも人にものを言うように言ったわけ。「おまえは、ほんのわずかな元金しか持ってない油売りにさからったね。どうして、人様の油甕を叩き割ったのか。今からこんなことをしたら、決して許さんぞ。」と、棒でひきまわしながら石仏に言い聞かせ、裁判はそれだけですました。みんなから入場料を取っているので、裁判官がそのお金で油売りの元金を作ってあげたって。
| レコード番号 | 47O420916 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C028 |
| 決定題名 | 唐人裁判 油売りと石仏(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 金城珍明 |
| 話者名かな | きんじょうちんめい |
| 生年月日 | 18990210 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市喜屋武 |
| 記録日 | 19800805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T26 A3 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下669頁 |
| キーワード | 唐人,裁判官,油売り,石仏,油壺,一厘,入場券, |
| 梗概(こうがい) | ある裁判官が、沖縄勤めをすることになったが、沖縄では裁判から何もかも、全部しなければならなかったって。裁判官は唐の人で、何でも正してあげる人だったって。それで、沖縄の人で、毎日、マーアンダ(菜種油)を家々に売り歩いているのがいたって。そうしたら、ほんのわずかの油、元金の分しか持ち歩いていないのに、町で油を売っているときに、けつまずいたのか、石仏に当たって油甕を叩き割ってしまった。これは、もとを正せば自分が悪いのだが、この油を担いで売り歩いている人は石仏が悪いとしているわけ。そうして、これを裁判に出したらしい。裁判官が、「どうしたのかね。」とたずねたから、「石仏が、私の油甕を叩き割ってしまったんですよ。」と言った。「そうか、どこの石仏だったか。」「どこそこの石仏が叩き割ってあります。これを裁判にかけて下さい。」と訴えたって。そうしたら、「ならば、裁判にかけてあげよう。」と。そうして、裁判官はみんなに、「いついつに、油売りと石仏の裁判をするので、みな一厘ずつ持って見に来るように。」と言って、入場料は一厘としているわけ。もう知恵を巡らしたわけ。そうしたら、石仏と人間との裁判はどのようにするのかと、みんなは我先にと広場へ走って行ったらしい。裁判はどうするかと思ったら、入場料は、全部一厘ずつ裁判官が取り集めて、「では、始めるとしようか。」と言った。みんなは何をするのだろと考えていたらしい。すると、裁判官は大きな黒綱を持って来てあったらしく、石仏をひきずり出して、みんなの座の中に座らせて、それから綱で石仏をぐるぐる巻きにして、あたかも人にものを言うように言ったわけ。「おまえは、ほんのわずかな元金しか持ってない油売りにさからったね。どうして、人様の油甕を叩き割ったのか。今からこんなことをしたら、決して許さんぞ。」と、棒でひきまわしながら石仏に言い聞かせ、裁判はそれだけですました。みんなから入場料を取っているので、裁判官がそのお金で油売りの元金を作ってあげたって。 |
| 全体の記録時間数 | 3:58 |
| 物語の時間数 | 3:58 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |