沖縄と大島、鹿児島それだけの偉い人たちが集まっての協議があったわけ。この三か所には三国と言ったって。鹿児島での集まりであるわけ。そうして、この協議がすんだあとからね、今のような冗談話へと始まったらしい。そうしたら、鹿児島側が、沖縄と大島に、「あなたたちのところは、何か珍しいことはないか、また、何か、おもしろいものないか。」と問うたからね、沖縄も大島も、「おもしろいことは何もありません。」と言ったので、鹿児島は、「うちのところにはあるよ。」と言った。「何がありますか。」と聞いたから、「回りが一里もある大太鼓があるよ。」と言ったって。周囲が一里もある村の大太鼓があるよと言ったわけさ。そうして、沖縄も大島も珍しいとは思っているが、これはないと考えているわけ。「回りが一里している大太鼓だったら、これを巻く帯もなければならないし、牛の皮もなければならない。」と思っているわけ。それで、これはそうではない、うそをついているとは言えないわけさ、偉い人たちだから。「それはなんとも珍しいものなのでしょうね。」と、聞いているわけ。そうして、沖縄も大島もこれはうそと知っているが、あなたが言うのはうそとは言えないので、「そうなんですか。」と言って、実は沖縄も大島も珍しがってはいない。鹿児島があとからそのように言ってきただけである。それから、大島の人が話を打ち出したわけ。「何も珍しい物はないのですが、ただ一本の唐竹があります。」と言ったって。唐竹というのは、竹の長いもので、太鼓の帯として巻いたりなんかするものだが、「この一本はあります。」と言ったから、「どういう唐竹なのか。」と聞いたから、「この唐竹は、根っこから倒せるものなら、鹿児島まで届きます。」と言ったらしい。大島から鹿児島まで届く唐竹があると言っているが、そんなことないでしょう。そうしたら、みんな、「そうなのか、それは珍しいものだね、鹿児島まで届くくらいの竹があるか。」と言ったわけさ。次に、「沖縄は何もないのか。」と聞かれたので、「沖縄に珍しいものはあんまりないが、ただ一つ珍しいものがあります。」と言ったって、「何か。」と聞いたから、「沖縄にこの牛だけしかいないのですが、この牛を引っぱって行って、波上のバンタ(崖)に立てると、大島まで首をつきだして、大島の竹の葉をひきちぎって食う牛がおります。」と言ったって。「ああ、そうなのか。」と言った。三人ともあなたの話はそうではない、とは言えず、結局、話している材料は三人とも一つになっていたって。だから、偉い人たちというのはそんなもんだと。これは周囲が一里もある太鼓を張る帯も竹も、今は針金があるから、大きな物でもできるが、昔は、帯を巻くというと、かならず竹で巻くので、それを材料に組み入れて話しているわけ。この話をね、最後の方に追加したわけさ。そうして、また、沖縄は何を考えているかと言えば、大島の竹の葉を引きちぎって食うぐらいの牛がいるいえば、一里もある太鼓の皮は張れるでしょう、だから、材料はひとつになっていたって。
| レコード番号 | 47O420913 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C028 |
| 決定題名 | 大きな牛(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 大話 |
| 話者名 | 金城珍明 |
| 話者名かな | きんじょうちんめい |
| 生年月日 | 18990210 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市喜屋武 |
| 記録日 | 19800805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T25 B12 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下683頁 通観716頁 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし200頁 |
| キーワード | 沖縄,大島,鹿児島,大太鼓,唐竹,波の上, |
| 梗概(こうがい) | 沖縄と大島、鹿児島それだけの偉い人たちが集まっての協議があったわけ。この三か所には三国と言ったって。鹿児島での集まりであるわけ。そうして、この協議がすんだあとからね、今のような冗談話へと始まったらしい。そうしたら、鹿児島側が、沖縄と大島に、「あなたたちのところは、何か珍しいことはないか、また、何か、おもしろいものないか。」と問うたからね、沖縄も大島も、「おもしろいことは何もありません。」と言ったので、鹿児島は、「うちのところにはあるよ。」と言った。「何がありますか。」と聞いたから、「回りが一里もある大太鼓があるよ。」と言ったって。周囲が一里もある村の大太鼓があるよと言ったわけさ。そうして、沖縄も大島も珍しいとは思っているが、これはないと考えているわけ。「回りが一里している大太鼓だったら、これを巻く帯もなければならないし、牛の皮もなければならない。」と思っているわけ。それで、これはそうではない、うそをついているとは言えないわけさ、偉い人たちだから。「それはなんとも珍しいものなのでしょうね。」と、聞いているわけ。そうして、沖縄も大島もこれはうそと知っているが、あなたが言うのはうそとは言えないので、「そうなんですか。」と言って、実は沖縄も大島も珍しがってはいない。鹿児島があとからそのように言ってきただけである。それから、大島の人が話を打ち出したわけ。「何も珍しい物はないのですが、ただ一本の唐竹があります。」と言ったって。唐竹というのは、竹の長いもので、太鼓の帯として巻いたりなんかするものだが、「この一本はあります。」と言ったから、「どういう唐竹なのか。」と聞いたから、「この唐竹は、根っこから倒せるものなら、鹿児島まで届きます。」と言ったらしい。大島から鹿児島まで届く唐竹があると言っているが、そんなことないでしょう。そうしたら、みんな、「そうなのか、それは珍しいものだね、鹿児島まで届くくらいの竹があるか。」と言ったわけさ。次に、「沖縄は何もないのか。」と聞かれたので、「沖縄に珍しいものはあんまりないが、ただ一つ珍しいものがあります。」と言ったって、「何か。」と聞いたから、「沖縄にこの牛だけしかいないのですが、この牛を引っぱって行って、波上のバンタ(崖)に立てると、大島まで首をつきだして、大島の竹の葉をひきちぎって食う牛がおります。」と言ったって。「ああ、そうなのか。」と言った。三人ともあなたの話はそうではない、とは言えず、結局、話している材料は三人とも一つになっていたって。だから、偉い人たちというのはそんなもんだと。これは周囲が一里もある太鼓を張る帯も竹も、今は針金があるから、大きな物でもできるが、昔は、帯を巻くというと、かならず竹で巻くので、それを材料に組み入れて話しているわけ。この話をね、最後の方に追加したわけさ。そうして、また、沖縄は何を考えているかと言えば、大島の竹の葉を引きちぎって食うぐらいの牛がいるいえば、一里もある太鼓の皮は張れるでしょう、だから、材料はひとつになっていたって。 |
| 全体の記録時間数 | 4:44 |
| 物語の時間数 | 4:44 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |