ええと、名護親方の昔話をしてみましょう。名護親方の若いころの話であるが、学問をしてしらっしゃる人たち、親方の方々が選ばれて、試験を受けに唐の国へいらっしゃった。そのときの唐での話らしいが、授業中に学校の外から、「雷を買って下さい。」と歩く人がいた。これも試験なんだよ。だが、そこにいる学生たちには、試験だということが分からなかった。商売人のように、「雷を買って下さい。」と歩いていた。すると、具志頭親方や別の親方たちは、「はあ、雷というのは見たことがない。買おう。」と言って、表に出た。だが、名護親方は、出なかった。なぜかというと、「雷というのは、見ることも手に取ることもできない。」と言って、出なかったそうだね。そうして、雷売りが行ってしまった後、今度は、「虎を買って下さい。」と言って歩く人がいた。人を喰うので、箱に入れて、「虎を買って下さい。」と持ち歩いている人がいた。すると、残りの学生たちは内にいたというが、名護親方は表に出た。虎というのは、実際にいるので、買おうと思って出て見ると、虎は人を喰うので箱に入れられ飼われていた。名護親方が見ると、おとなしくしていた。おとなしいので、手をのばして、撫でると、箱にひれ伏して静かにしていた。しばらくして、虎を出して乗ってみると、動かなくなっていた。この虎のことも、試験の点数の一つであった。試験官は唐の人であったが、それも点数にはいったわけ。また、次に、字による学問の試験があった。月の字は、わざと歪めて書き、世という字は、とても長い棒線を引き下を曲げて、黒板に書いであった。ただ、この二文字だけ。この二文字は、誰でも読めるが、皆その意味は分らなかった。その答えを皆は、当てることができなかった。だが、名護親方が、「月は歪んで、世は長い。」といって読んだ。月という字は歪めて書いて、世という字は棒線を長く書いてあった。唐の先生が、「それで、意味はどういう意味か。」と聞くと、 「月は、歪んだり真っ直ぐになったり、日々、変わっていく。だが、世の中はなくなることはない。いつまでも続くので世が長いのは、当たり前のことです。」と。そうして名護親方は試験に合格した。そのときから、名護親方は、聖人と言われるようになった。聖人というのは、神の名である。親方の身分から聖人の位に、神の位まで上った。名護親方という人は、そういうことから、名護聖人とも言われた。
| レコード番号 | 47O420910 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C028 |
| 決定題名 | 名護親方と具志頭親方(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 名護親方 雷買い |
| 話者名 | 金城珍明 |
| 話者名かな | きんじょうちんめい |
| 生年月日 | 18990210 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市喜屋武 |
| 記録日 | 19800805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T25 B9 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上648頁 |
| キーワード | 名護親方,試験,雷買い,具志頭親方,虎こーり,月,聖人 |
| 梗概(こうがい) | ええと、名護親方の昔話をしてみましょう。名護親方の若いころの話であるが、学問をしてしらっしゃる人たち、親方の方々が選ばれて、試験を受けに唐の国へいらっしゃった。そのときの唐での話らしいが、授業中に学校の外から、「雷を買って下さい。」と歩く人がいた。これも試験なんだよ。だが、そこにいる学生たちには、試験だということが分からなかった。商売人のように、「雷を買って下さい。」と歩いていた。すると、具志頭親方や別の親方たちは、「はあ、雷というのは見たことがない。買おう。」と言って、表に出た。だが、名護親方は、出なかった。なぜかというと、「雷というのは、見ることも手に取ることもできない。」と言って、出なかったそうだね。そうして、雷売りが行ってしまった後、今度は、「虎を買って下さい。」と言って歩く人がいた。人を喰うので、箱に入れて、「虎を買って下さい。」と持ち歩いている人がいた。すると、残りの学生たちは内にいたというが、名護親方は表に出た。虎というのは、実際にいるので、買おうと思って出て見ると、虎は人を喰うので箱に入れられ飼われていた。名護親方が見ると、おとなしくしていた。おとなしいので、手をのばして、撫でると、箱にひれ伏して静かにしていた。しばらくして、虎を出して乗ってみると、動かなくなっていた。この虎のことも、試験の点数の一つであった。試験官は唐の人であったが、それも点数にはいったわけ。また、次に、字による学問の試験があった。月の字は、わざと歪めて書き、世という字は、とても長い棒線を引き下を曲げて、黒板に書いであった。ただ、この二文字だけ。この二文字は、誰でも読めるが、皆その意味は分らなかった。その答えを皆は、当てることができなかった。だが、名護親方が、「月は歪んで、世は長い。」といって読んだ。月という字は歪めて書いて、世という字は棒線を長く書いてあった。唐の先生が、「それで、意味はどういう意味か。」と聞くと、 「月は、歪んだり真っ直ぐになったり、日々、変わっていく。だが、世の中はなくなることはない。いつまでも続くので世が長いのは、当たり前のことです。」と。そうして名護親方は試験に合格した。そのときから、名護親方は、聖人と言われるようになった。聖人というのは、神の名である。親方の身分から聖人の位に、神の位まで上った。名護親方という人は、そういうことから、名護聖人とも言われた。 |
| 全体の記録時間数 | 4:16 |
| 物語の時間数 | 4:16 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |