この富着鍛冶屋(フジチカンジェーク)の家を見れば、風水はよくないけれども、金持だったって。「どうしてね、お前たちは、あまり風水はよくないのに金持ちなのか。」と言うと、ここの主人は、向こうから、自分の雇い人が来るのを見て、逃げてしまったって。それで、「何で、お前は、逃げるのか。」と言ったら、「あれは、うちの使用人だがね、暇をくれと言われ、暇をあげたのに、稲刈りに行って、稲を盗んで来るところなので、私を見たら、もう来なくなるからだよ。」と、言ったって。この主人は、がまんしているわけさ。そうしたら、風水師は、「お前たちの墓の風水を見るまでもない、人間は、自分に風水はある。暇をもらっている使用人が、主人の米を盗んで、刈りて来るのを見逃がすほどだから。」と言った。また、フジチカンジェークの家には芋が、とてもたくさんあったって。だが、飢餓の世で、芋泥棒に全部、ほじくられてしまった。それで、フジチカンジェークの主人は、家に出入りしている者に、「君たちは、今日、芋畑の番をして来なさいよ。」と言われた。でも、その人たちの妻たちが芋を盗んでいたって。「フジチカンジェークの家はまさって、金持ちにして下さい。」と願いながら、芋盗みをしていたって。主人も畑に行って見るのだが、「もう、お前は明日から、芋番するなよ。」と言い、芋番をしながらまた、芋盗人にもなるでしょう。もう何でも泥棒しても見ないふり、何もしない、見ないふりしていた。そうしたら、また、願うのもね、「フジチカンジェークの家は、勝って金持ちにして下さい。」と言ったという。それから、私は、いつもいい話を心がけて、芋泥棒したりするほど、お腹をすかせている人には、食べ物をあげなさい。寒がっている人には着物を着せてあげなさい。そして、人の悪いところは見ないふりしようと思っているよ。
| レコード番号 | 47O420857 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C026 |
| 決定題名 | 冨着の鍛冶屋(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | フジチカンジェーク |
| 話者名 | 川端トミ |
| 話者名かな | かわばたとみ |
| 生年月日 | 19041010 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 具志川市宇堅 |
| 記録日 | 19800801 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T24 A9 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上698頁 |
| キーワード | 冨着,鍛冶屋,飢饉,下男,芋,泥棒,風水師,風水 |
| 梗概(こうがい) | この富着鍛冶屋(フジチカンジェーク)の家を見れば、風水はよくないけれども、金持だったって。「どうしてね、お前たちは、あまり風水はよくないのに金持ちなのか。」と言うと、ここの主人は、向こうから、自分の雇い人が来るのを見て、逃げてしまったって。それで、「何で、お前は、逃げるのか。」と言ったら、「あれは、うちの使用人だがね、暇をくれと言われ、暇をあげたのに、稲刈りに行って、稲を盗んで来るところなので、私を見たら、もう来なくなるからだよ。」と、言ったって。この主人は、がまんしているわけさ。そうしたら、風水師は、「お前たちの墓の風水を見るまでもない、人間は、自分に風水はある。暇をもらっている使用人が、主人の米を盗んで、刈りて来るのを見逃がすほどだから。」と言った。また、フジチカンジェークの家には芋が、とてもたくさんあったって。だが、飢餓の世で、芋泥棒に全部、ほじくられてしまった。それで、フジチカンジェークの主人は、家に出入りしている者に、「君たちは、今日、芋畑の番をして来なさいよ。」と言われた。でも、その人たちの妻たちが芋を盗んでいたって。「フジチカンジェークの家はまさって、金持ちにして下さい。」と願いながら、芋盗みをしていたって。主人も畑に行って見るのだが、「もう、お前は明日から、芋番するなよ。」と言い、芋番をしながらまた、芋盗人にもなるでしょう。もう何でも泥棒しても見ないふり、何もしない、見ないふりしていた。そうしたら、また、願うのもね、「フジチカンジェークの家は、勝って金持ちにして下さい。」と言ったという。それから、私は、いつもいい話を心がけて、芋泥棒したりするほど、お腹をすかせている人には、食べ物をあげなさい。寒がっている人には着物を着せてあげなさい。そして、人の悪いところは見ないふりしようと思っているよ。 |
| 全体の記録時間数 | 1:37 |
| 物語の時間数 | 1:37 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |