娘が布を織っている最中に、居眠りしたようだね。母親が入って来て、「布織りしながら、仕事をしながらも居眠りするのか。」と、背中をパーンと叩いて叱ったわけ。「どうしよう、私のたった一人のイーキー(兄さん)を海に投げ出してまった。」と、言った。兄は唐旅に出ていたので、「兄さんの乗った船が転覆してしまったんだよ。」「なんという縁起でもない言い方をして。」と親が叱ったから、「夢の中で、私が口でくわえていたのに、起こされたときに放してしまったじゃないの。」と言った。それからは、娘は、芭蕉糸を紡いだりして、裏座ごもりしていた。布を織っている所は野岳だが、首里から油売りの青年が来た。油売りの青年が、妹に、「きれいな娘さん、油買ってください。」と言ったら、「うちのンミー(姉さん)は私よりきれいだよ。」と妹が言ったから、油売りの青年は、「それなら、私にも見せてください。」「それじゃ、私が家の後ろの池に溺れたふりして、『ンミー、ンミー』と叫ぶと、ンミーは慌てて出て来るはずだから、そのときに隠れて見なさいよ。」と言った。妹が、「ンミー、ンミー。」と叫びながら、池で溺れている真似をしたら、慌てて出てきて助けようとした。そのときに、姉さんは油売りの青年に見られてしまった。あまりの美しさに、青年は、「ハッサミヨー、こんなに美しい女だとは。」と声を出してしまったそうだ。姉さんは、「人間に見られてしまった。」と言って、そのときから自分が紡いだ芭蕉籠の芭蕉糸を髪に挿して、普天満の洞窟に入って行ってしまった。母親が、「我が子よ、我が子よ。」と叫びながら、普天間の洞窟に行ったが、普天間権現の神に、赤ちゃんを抱かせられたようだね。「これがあなたの子供だよ、どうぞ。取り代えたよ。」と言われた。こうして、子供を受け取り裏座に連れて行った。親戚の人を呼び寄せて、「こうこういうわけで子供を連れに行ったら、赤子と取り代えられたよ。こちらに来て見てごらん。」と言い、見たら、宝、黄金になっていた。この黄金は、普天間ナカジョーに崇められている。その人が歩いた所は、木も全部枯れているが、シブ草だけは生えていたようだ。それで、ここ田舎では、シブ草のことを力草と言い、赤ちゃんの命名するときに力草を取ってきて命名するが粘り強いという意味からだよ。
| レコード番号 | 47O420702 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C022 |
| 決定題名 | 普天間権現由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 仲本カマタ |
| 話者名かな | なかもとかまた |
| 生年月日 | 19030525 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 具志川市具志川 |
| 記録日 | 19800504 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川T17 B21 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上467頁 |
| キーワード | 普天間野嵩,娘,布織り,イーキー,唐旅,船,転覆,芭蕉糸,裏座,ンミー,油売り |
| 梗概(こうがい) | 娘が布を織っている最中に、居眠りしたようだね。母親が入って来て、「布織りしながら、仕事をしながらも居眠りするのか。」と、背中をパーンと叩いて叱ったわけ。「どうしよう、私のたった一人のイーキー(兄さん)を海に投げ出してまった。」と、言った。兄は唐旅に出ていたので、「兄さんの乗った船が転覆してしまったんだよ。」「なんという縁起でもない言い方をして。」と親が叱ったから、「夢の中で、私が口でくわえていたのに、起こされたときに放してしまったじゃないの。」と言った。それからは、娘は、芭蕉糸を紡いだりして、裏座ごもりしていた。布を織っている所は野岳だが、首里から油売りの青年が来た。油売りの青年が、妹に、「きれいな娘さん、油買ってください。」と言ったら、「うちのンミー(姉さん)は私よりきれいだよ。」と妹が言ったから、油売りの青年は、「それなら、私にも見せてください。」「それじゃ、私が家の後ろの池に溺れたふりして、『ンミー、ンミー』と叫ぶと、ンミーは慌てて出て来るはずだから、そのときに隠れて見なさいよ。」と言った。妹が、「ンミー、ンミー。」と叫びながら、池で溺れている真似をしたら、慌てて出てきて助けようとした。そのときに、姉さんは油売りの青年に見られてしまった。あまりの美しさに、青年は、「ハッサミヨー、こんなに美しい女だとは。」と声を出してしまったそうだ。姉さんは、「人間に見られてしまった。」と言って、そのときから自分が紡いだ芭蕉籠の芭蕉糸を髪に挿して、普天満の洞窟に入って行ってしまった。母親が、「我が子よ、我が子よ。」と叫びながら、普天間の洞窟に行ったが、普天間権現の神に、赤ちゃんを抱かせられたようだね。「これがあなたの子供だよ、どうぞ。取り代えたよ。」と言われた。こうして、子供を受け取り裏座に連れて行った。親戚の人を呼び寄せて、「こうこういうわけで子供を連れに行ったら、赤子と取り代えられたよ。こちらに来て見てごらん。」と言い、見たら、宝、黄金になっていた。この黄金は、普天間ナカジョーに崇められている。その人が歩いた所は、木も全部枯れているが、シブ草だけは生えていたようだ。それで、ここ田舎では、シブ草のことを力草と言い、赤ちゃんの命名するときに力草を取ってきて命名するが粘り強いという意味からだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 2:42 |
| 物語の時間数 | 2:42 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |