後生や雨垂れの下(方言)

ぐしょうやあまだいのしちゃ

概要

 あるところに仲のいい夫婦がいた。あるとき、夫が用事に出た帰り、急に大雨が降った。急いで川を渡ったが大水が出て、川上からいろんな生き物が流されてきた。夫は「助けなくては」と、蚊、蛙、鳥と、何から何まで流れてくる生き物をみんな陸に上げて助けた。しばらくして、妻が病気のために亡なった。夫も妻のことを思い、四十九日目に亡くなった。夫はエンマ王の所に行って、「私の妻が四十九日前にここに来ているはずだが、会わせてくれませんか」というと、「よし、おまえは生きている時にいい事をしているから、会わせてもいいが、誰がおまえの妻か分かるか。分かるんだったら会わせてやろう」といった。見ると、みんな同じ着物着て立っていた。すると、耳の側で「小瓶、小瓶」という声が聞こえた。夫が「あの小瓶を持っている者です」というと、当たっていた。教えてくれたのはいつか助けた蚊だった。次にエンマ王は「あの竹山の竹は何本あるか?」といった。夫が困っていると、今度は蚊と鳥と蛙が来て竹を数えて「千本、千本」といった。夫はエンマ王に、「千本あります」というと、「当たっている。おまえの妻に会わせよう」といった。そして二人に、「また元のように生き返りたいか」と聞いた。二人が「生き返りたい」というと、「次の問題が解けたらな」といって、「朝は四つ足、昼間は二つの足、晩は三つの足で歩くものは何だ」といった。二人が問題を解けないでがっかりしていると、また、蚊と鳥と蛙が来て、「それは人間だ」といった。そして夫が「それは人間です」といったので、「よし、当たっている。それでは元の家に返してやろう。二人を飛ばすから絶対の目を開けず、手も離してはいけない。足が地面に着いたと思ったら目を開けなさい」といって、エンマ王は二人を飛ばした。二人が目を閉じ、手を握りしめていると、やがて足が地面に着いたように思えた。二人は「着いたようだが、どうだ」と確かめ合って目を開けると、そこは自分たちの家の軒下だった。

再生時間:7:53

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民話詳細DATA

レコード番号 川恒0071
CD番号
決定題名 後生や雨垂れの下(方言)
話者がつけた題名 蚊の援助(方言)
話者名 山本 川恒
話者名かな やまもと せんこう
生年月日 1909.10.15
性別
出身地 宇茂佐
記録日 1981.09.11
記録者の所属組織
元テープ番号 川恒05B03
元テープ管理者
分類
発句(ほっく)
伝承事情 母方の祖父
文字化資料 『山本川恒 翁 昔ばなし トーカチ記念』 『屋部の民話』
キーワード 夫婦,大雨,川,蚊,生き物,妻,病気,四十九日,閻魔,着物,耳,小瓶,竹,千本,鳥,蛙,
梗概(こうがい)  あるところに仲のいい夫婦がいた。あるとき、夫が用事に出た帰り、急に大雨が降った。急いで川を渡ったが大水が出て、川上からいろんな生き物が流されてきた。夫は「助けなくては」と、蚊、蛙、鳥と、何から何まで流れてくる生き物をみんな陸に上げて助けた。しばらくして、妻が病気のために亡なった。夫も妻のことを思い、四十九日目に亡くなった。夫はエンマ王の所に行って、「私の妻が四十九日前にここに来ているはずだが、会わせてくれませんか」というと、「よし、おまえは生きている時にいい事をしているから、会わせてもいいが、誰がおまえの妻か分かるか。分かるんだったら会わせてやろう」といった。見ると、みんな同じ着物着て立っていた。すると、耳の側で「小瓶、小瓶」という声が聞こえた。夫が「あの小瓶を持っている者です」というと、当たっていた。教えてくれたのはいつか助けた蚊だった。次にエンマ王は「あの竹山の竹は何本あるか?」といった。夫が困っていると、今度は蚊と鳥と蛙が来て竹を数えて「千本、千本」といった。夫はエンマ王に、「千本あります」というと、「当たっている。おまえの妻に会わせよう」といった。そして二人に、「また元のように生き返りたいか」と聞いた。二人が「生き返りたい」というと、「次の問題が解けたらな」といって、「朝は四つ足、昼間は二つの足、晩は三つの足で歩くものは何だ」といった。二人が問題を解けないでがっかりしていると、また、蚊と鳥と蛙が来て、「それは人間だ」といった。そして夫が「それは人間です」といったので、「よし、当たっている。それでは元の家に返してやろう。二人を飛ばすから絶対の目を開けず、手も離してはいけない。足が地面に着いたと思ったら目を開けなさい」といって、エンマ王は二人を飛ばした。二人が目を閉じ、手を握りしめていると、やがて足が地面に着いたように思えた。二人は「着いたようだが、どうだ」と確かめ合って目を開けると、そこは自分たちの家の軒下だった。
全体の記録時間数 8:14
物語の時間数 7:53
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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