フカイの術士(共通語)

概要

30~40年前(戦前、話者が20歳の頃とも言っている)の話。実際に見た。桴海(フカイ)村に中国から来た40代くらいの術士がいた。この人が牧場にたくさんの人を集めて術を披露した。蜜柑の枝を切ってきて地面に挿し、紙に墨で文字を書いて、それを焼き、灰を湯飲みに入れてかき混ぜ、一口ふくんでみかんの枝に吹きかけた。そして呪文をとなえて何か布のようなものを、しばらくしてから覆いを取ってみると蜜柑の木にはまっ白な花が咲いていた。じきに大きな実をつけた。そしてその実を皆に配って食べさせた。その実は翌日まで残っていて、種は灰になったという。またある時、川平の婆さんと姪が仲筋部落に行く途中に術をかけられて動けなくなったという。またこの術士は、次の十五夜の晩に、牛一頭を水瓶の中に入れて見せたり、長い日本刀を手に回転させて風をまきおこしたり、ボラの群が海面でジャンプしたときに術をかけて魚の動きを止めたという。その男の術をみんなが信じているので、桴海の学校の先生が、「あんな物信じて何の役に立つか。」と言うと、術師が、平仮名の「ち」という字を白紙に墨で書いて、「先生、これなんと読みますか」というから、学校の先生は、「ちと読む。」と答えた。術師が、「もう一つは」と言うたら、「ちと読むだけで、もう一つの読みはない」と言うたら、その術師は、「ち」の字が書いてある紙を裏返して、平仮名の「ち」は漢字の九になる。「もう一つの読み方はある。九。これは表から見たらち、裏から見たら九になる。自分の術はこれと同じ。」とう言った。自分の術は表もあれば裏もあるという意味ではないか。

再生時間:6:49

民話詳細DATA

レコード番号 47O340317
CD番号 47O34C022
決定題名 フカイの術士(共通語)
話者がつけた題名
話者名 喜舎場兼次郎
話者名かな きしゃばけんじろう
生年月日 19040113
性別
出身地 沖縄県石垣市字川平
記録日 19960321
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字川平 T59 A04
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説、 世間話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 桴海村,中国,術士,蜜柑,紙,墨,文字,灰,呪文,花,実,婆さん,姪,仲筋部落,十五夜の晩,牛一頭,水瓶,日本刀,風,ボラ,先生
梗概(こうがい) 30~40年前(戦前、話者が20歳の頃とも言っている)の話。実際に見た。桴海(フカイ)村に中国から来た40代くらいの術士がいた。この人が牧場にたくさんの人を集めて術を披露した。蜜柑の枝を切ってきて地面に挿し、紙に墨で文字を書いて、それを焼き、灰を湯飲みに入れてかき混ぜ、一口ふくんでみかんの枝に吹きかけた。そして呪文をとなえて何か布のようなものを、しばらくしてから覆いを取ってみると蜜柑の木にはまっ白な花が咲いていた。じきに大きな実をつけた。そしてその実を皆に配って食べさせた。その実は翌日まで残っていて、種は灰になったという。またある時、川平の婆さんと姪が仲筋部落に行く途中に術をかけられて動けなくなったという。またこの術士は、次の十五夜の晩に、牛一頭を水瓶の中に入れて見せたり、長い日本刀を手に回転させて風をまきおこしたり、ボラの群が海面でジャンプしたときに術をかけて魚の動きを止めたという。その男の術をみんなが信じているので、桴海の学校の先生が、「あんな物信じて何の役に立つか。」と言うと、術師が、平仮名の「ち」という字を白紙に墨で書いて、「先生、これなんと読みますか」というから、学校の先生は、「ちと読む。」と答えた。術師が、「もう一つは」と言うたら、「ちと読むだけで、もう一つの読みはない」と言うたら、その術師は、「ち」の字が書いてある紙を裏返して、平仮名の「ち」は漢字の九になる。「もう一つの読み方はある。九。これは表から見たらち、裏から見たら九になる。自分の術はこれと同じ。」とう言った。自分の術は表もあれば裏もあるという意味ではないか。
全体の記録時間数 12:11
物語の時間数 6:49
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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