この島の川平に子だくさんの方がいた。その子供達は大変優れた人物で、何名か役人になった。母親が目の無い人だったので、役人になった息子達は、「自分達は士分の身分になったのに、その自分達の母親が目のない人では恥ずかしい。」と、大潮の時に母親を海に誘い、「潮干狩りをして私達が帰ってくる迄ここでおって下さい。」と言った。母親を息子達が迎えに来るのを待っていたがいつまでたっても来なかった。だんだん潮が満ちて来て、母親は息子達の企みに気がついた。とても悲しんで、一心に神様にお祈りしていると、どこからともなく、鱶(ふか)が来て、母親の股ぐらに入り、海岸まで乗せて来た。無事に浜にたどり着くと、村人がやって来て母親から事情を聞いた。海を見るとその大きな鱶が海に見えていた。「ああ、このサバ(鱶 フカのこと)が御伴して来たのか。これはただの鱶ではない。神様の使いだ。」と言って拝むと、鱶はそこをぐるぐる回って去った。現在そこには拝み所がある。その母親は息子の親不孝を毎日悲しんでいた。その息子達が川平湾から沖縄へ旅立つとき、「こんな無慈悲な息子達が役人では、村の将来も危ない。許しておけない。」と、船がどこを通っているか、一々娘に報告させた。「今平久保半島を回っている。」と聞くと、娘に「屋根のイルクォーツ(屋根のからみ綱をとめる杭)を全部抜いて海に流しなさい。」と言って流させた。するとにわかに天は荒れ模様となって強い風が吹き、船は転覆したのでその船に乗った息子達は海の藻屑となった。これは実話。
| レコード番号 | 47O340278 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C019 |
| 決定題名 | 親不孝兄弟(共通語) |
| 話者がつけた題名 | フカの肉を食べない門中の話 |
| 話者名 | 岸本重一 |
| 話者名かな | きしもとしげかず |
| 生年月日 | 19221208 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字川平 |
| 記録日 | 19950912 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字川平 T56 A06 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 八重山諸島民話集 P78 石垣島の民話 P89 |
| キーワード | 母,目が不自由,フカの援助,親不孝,息子,娘,荒れた海 |
| 梗概(こうがい) | この島の川平に子だくさんの方がいた。その子供達は大変優れた人物で、何名か役人になった。母親が目の無い人だったので、役人になった息子達は、「自分達は士分の身分になったのに、その自分達の母親が目のない人では恥ずかしい。」と、大潮の時に母親を海に誘い、「潮干狩りをして私達が帰ってくる迄ここでおって下さい。」と言った。母親を息子達が迎えに来るのを待っていたがいつまでたっても来なかった。だんだん潮が満ちて来て、母親は息子達の企みに気がついた。とても悲しんで、一心に神様にお祈りしていると、どこからともなく、鱶(ふか)が来て、母親の股ぐらに入り、海岸まで乗せて来た。無事に浜にたどり着くと、村人がやって来て母親から事情を聞いた。海を見るとその大きな鱶が海に見えていた。「ああ、このサバ(鱶 フカのこと)が御伴して来たのか。これはただの鱶ではない。神様の使いだ。」と言って拝むと、鱶はそこをぐるぐる回って去った。現在そこには拝み所がある。その母親は息子の親不孝を毎日悲しんでいた。その息子達が川平湾から沖縄へ旅立つとき、「こんな無慈悲な息子達が役人では、村の将来も危ない。許しておけない。」と、船がどこを通っているか、一々娘に報告させた。「今平久保半島を回っている。」と聞くと、娘に「屋根のイルクォーツ(屋根のからみ綱をとめる杭)を全部抜いて海に流しなさい。」と言って流させた。するとにわかに天は荒れ模様となって強い風が吹き、船は転覆したのでその船に乗った息子達は海の藻屑となった。これは実話。 |
| 全体の記録時間数 | 8:35 |
| 物語の時間数 | 8:20 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |