昔、百姓が侍の家に千貫の金を借りに来て、財をなして返すと約束したが返すことができなくなる。返済の延期を申し込むと二度までは許されたが三度目に頼みに行ったとき、侍は百姓を殺そうと刀に手をかけた。百姓は「はあ、殿さん、殿さん、うちの言(げん)を聞いて下さい」と言う。侍は、こんな百姓が言うことにもためになる言葉があるかもしれないと思う。百姓は「肝が出たら手を引きなさい。手が出たら肝を納めなさい。」と言った。侍は、これもいつかためになることがあるかも知れんと思い、殺すのを思いとどまった。それから侍は旅に出た。二か月経って家に帰ってくると、妻が男と寝ているようだった。侍は二人を切り殺そうと刀に手をかけた。そのときあの百姓の言葉「肝が出たら手を引きなさい。手が出たら肝を納めなさい。」を思い出し、まずは刀を納めて、確かめてみることにした。する妻と一緒に寝ている男と思われたのは、実は自分の母親で、夫人のいない家は無用心なので侍に扮装して眠っていたのだった。侍は、あの百姓の言葉を聞かなかったら、母も妻も斬ってしまうところだったと思い、後日、百姓が金を持って返しに来たときに、「実はこういうことがあった、お前が言うた言葉は千貫でも買えないから、持って帰りなさい。」と言った。百姓は、「あのとき、私の言うことも聞かれんで刀で斬られたら、うちも死んでしまって今日の命は無い。命があるからお金も作って来られた。あなたの理解もあられて、うちも斬られんでお金も出来たから、どうぞ取って下さい。」と言うて、お互いに譲らなかった。百姓は「これはただのお金ではない。千貫でも人の命には代えられん、だから、このお金は穴掘って立派に祀って、拝む方がいい。」と言って、その金を祀って拝んでおられたという話。
| レコード番号 | 47O340228 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C015 |
| 決定題名 | 話の功徳(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 話千貫の話 |
| 話者名 | 大底米 |
| 話者名かな | おおそこよね |
| 生年月日 | 19041115 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字川平 |
| 記録日 | 19760802 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字川平 T24 A07 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | むかしむかしずうっとむかし |
| 伝承事情 | 父母が教訓を織り交ぜ意識して聞かされた。また自分自身昔話を聞くのが好きで父が他人に話すのをじっと聞いていた。 |
| 文字化資料 | 石垣島の民話 P54 |
| キーワード | 百姓,侍,千貫,妻,母 |
| 梗概(こうがい) | 昔、百姓が侍の家に千貫の金を借りに来て、財をなして返すと約束したが返すことができなくなる。返済の延期を申し込むと二度までは許されたが三度目に頼みに行ったとき、侍は百姓を殺そうと刀に手をかけた。百姓は「はあ、殿さん、殿さん、うちの言(げん)を聞いて下さい」と言う。侍は、こんな百姓が言うことにもためになる言葉があるかもしれないと思う。百姓は「肝が出たら手を引きなさい。手が出たら肝を納めなさい。」と言った。侍は、これもいつかためになることがあるかも知れんと思い、殺すのを思いとどまった。それから侍は旅に出た。二か月経って家に帰ってくると、妻が男と寝ているようだった。侍は二人を切り殺そうと刀に手をかけた。そのときあの百姓の言葉「肝が出たら手を引きなさい。手が出たら肝を納めなさい。」を思い出し、まずは刀を納めて、確かめてみることにした。する妻と一緒に寝ている男と思われたのは、実は自分の母親で、夫人のいない家は無用心なので侍に扮装して眠っていたのだった。侍は、あの百姓の言葉を聞かなかったら、母も妻も斬ってしまうところだったと思い、後日、百姓が金を持って返しに来たときに、「実はこういうことがあった、お前が言うた言葉は千貫でも買えないから、持って帰りなさい。」と言った。百姓は、「あのとき、私の言うことも聞かれんで刀で斬られたら、うちも死んでしまって今日の命は無い。命があるからお金も作って来られた。あなたの理解もあられて、うちも斬られんでお金も出来たから、どうぞ取って下さい。」と言うて、お互いに譲らなかった。百姓は「これはただのお金ではない。千貫でも人の命には代えられん、だから、このお金は穴掘って立派に祀って、拝む方がいい。」と言って、その金を祀って拝んでおられたという話。 |
| 全体の記録時間数 | 9:06 |
| 物語の時間数 | 8:58 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |