力くらべ(共通語)

概要

鬼仲底ともいう真山戸(マヤモト)という非常に力のある人がおったらしいです。そいで、あの人は川平のためにも大いに尽くしておられます。あれは仲間村時代のことであるらしいですが、そのころの村はずうっと西の方に川平は始まったそうです。仲底真山戸は、「後々はどうせ人間は死ぬんだから。」と思って自分の墓所を場所を探すために行かれたらしいです。そいで、あの後毎日あの場所を探しておられる途中で、何かの寝息が聞こえたんです。「何かなあ。誰がそこに来て寝ているのかねえ。」と思ってそこに行ったら、そこにいたのは人じゃなく、蛇が寝ておったと。「これは不思議だなあ。」と思って、そこを掘ってみたら、そこから立派な湧き水が出たらしいです。「これは立派な水である。」と言って、仲底真山戸が自分で掘った井戸は今でもあるんですよ。その水を出して、部落ために尽くされた。これが一つですね。そいで、仲底真山戸は力もあるし、また頭もあった。昔はこの川平の人は東の桴海や野底と言うところに田んぼに行っていたら、途中鬼が出て来て食料なんかを奪い取って食べたりしておったので、そういう話を真山戸といわれる方は聞いて、「私が行って退治する。」と言って、金棒を持って、三里もある野底まで飯米を担いで行かれると、桴海の東の方の鬼のツメヤーという洞窟(が ま)から鬼が出てきて、「お前のあの持っているものは僕によこせ」と言った。「これは私の食料だからくれない。」と真山戸が言うと、「くれなかったらお前今日にも死なして喰うてやる。」とこう言うた。「僕を喰うなら喰うってみれ。」と言って、鬼をたちまち転がしたらしいんですよ。そうすると鬼は帰って行って仲間の鬼なんかを連れてきて、「今度お前のものを僕にくれなかったら、どうしようと私はお前を喰うてしまうぞ。」と言うたと。「それじゃ、僕と賭をして、私が負けたらあんたらにみんなくれる。」と言うたらしいです。鬼は、「なんでもない。そいじゃやろう。」と言うたら、「そいじゃよろしい。」と言うと、仲底真山戸という人は、鬼屋(うんやー)という石洞窟(いしが ま)の上におったらしいから、そこに金棒を刺してですね、「これを抜きなさい。抜いたらみなにくれる。」と言うから、鬼がみなで抜こうとしているけれども、全然抜けない。それで、「お前らは、こんものさえも取りきれないか。」と言うて、仲底真山戸は片手で引き抜いたらしいです。そして、今度は、またこちらでは真竹(まーだけ)と言っている孟宗竹を持ってきて、その自分の刺した穴に入れてですね、これを曲げて、「そいじゃー、これを曲げてごらん。」と言ったら、鬼は、みな出て曲げようとしたけれど全然曲げきれない。それで、「じゃ、僕が曲げて見せましょう。」と真山戸が捕まえて曲げて、曲げたら、「お前らはこれを撥ねないように押し付けてみろ。」と言うから鬼が掴まると、真山戸が手を放したから鬼達は撥ねられてしまってですね、そこから西の方に飛ばされて行って落ちたときには、骨は骨、肉は肉でみんなばらばらになって落ちた。こちらの方言ではばらばらになるのはスクザンと言うから、その落ちた田んぼの場所はスクザンラヤーというようになったという話があるんです。

再生時間:7:51

民話詳細DATA

レコード番号 47O340099
CD番号 47O34C007
決定題名 力くらべ(共通語)
話者がつけた題名 仲底真山戸の鬼退治
話者名 南風野英三
話者名かな はえのえいぞう
生年月日 18961108
性別
出身地 沖縄県石垣市字川平
記録日 19750810
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字川平 T18 A07
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 笑話、 伝説
発句(ほっく)
伝承事情 伝承系譜は祖父、母より
文字化資料
キーワード 井戸,湧き水,鬼退治,ガマ,竹,スクザンラヤー
梗概(こうがい) 鬼仲底ともいう真山戸(マヤモト)という非常に力のある人がおったらしいです。そいで、あの人は川平のためにも大いに尽くしておられます。あれは仲間村時代のことであるらしいですが、そのころの村はずうっと西の方に川平は始まったそうです。仲底真山戸は、「後々はどうせ人間は死ぬんだから。」と思って自分の墓所を場所を探すために行かれたらしいです。そいで、あの後毎日あの場所を探しておられる途中で、何かの寝息が聞こえたんです。「何かなあ。誰がそこに来て寝ているのかねえ。」と思ってそこに行ったら、そこにいたのは人じゃなく、蛇が寝ておったと。「これは不思議だなあ。」と思って、そこを掘ってみたら、そこから立派な湧き水が出たらしいです。「これは立派な水である。」と言って、仲底真山戸が自分で掘った井戸は今でもあるんですよ。その水を出して、部落ために尽くされた。これが一つですね。そいで、仲底真山戸は力もあるし、また頭もあった。昔はこの川平の人は東の桴海や野底と言うところに田んぼに行っていたら、途中鬼が出て来て食料なんかを奪い取って食べたりしておったので、そういう話を真山戸といわれる方は聞いて、「私が行って退治する。」と言って、金棒を持って、三里もある野底まで飯米を担いで行かれると、桴海の東の方の鬼のツメヤーという洞窟(が ま)から鬼が出てきて、「お前のあの持っているものは僕によこせ」と言った。「これは私の食料だからくれない。」と真山戸が言うと、「くれなかったらお前今日にも死なして喰うてやる。」とこう言うた。「僕を喰うなら喰うってみれ。」と言って、鬼をたちまち転がしたらしいんですよ。そうすると鬼は帰って行って仲間の鬼なんかを連れてきて、「今度お前のものを僕にくれなかったら、どうしようと私はお前を喰うてしまうぞ。」と言うたと。「それじゃ、僕と賭をして、私が負けたらあんたらにみんなくれる。」と言うたらしいです。鬼は、「なんでもない。そいじゃやろう。」と言うたら、「そいじゃよろしい。」と言うと、仲底真山戸という人は、鬼屋(うんやー)という石洞窟(いしが ま)の上におったらしいから、そこに金棒を刺してですね、「これを抜きなさい。抜いたらみなにくれる。」と言うから、鬼がみなで抜こうとしているけれども、全然抜けない。それで、「お前らは、こんものさえも取りきれないか。」と言うて、仲底真山戸は片手で引き抜いたらしいです。そして、今度は、またこちらでは真竹(まーだけ)と言っている孟宗竹を持ってきて、その自分の刺した穴に入れてですね、これを曲げて、「そいじゃー、これを曲げてごらん。」と言ったら、鬼は、みな出て曲げようとしたけれど全然曲げきれない。それで、「じゃ、僕が曲げて見せましょう。」と真山戸が捕まえて曲げて、曲げたら、「お前らはこれを撥ねないように押し付けてみろ。」と言うから鬼が掴まると、真山戸が手を放したから鬼達は撥ねられてしまってですね、そこから西の方に飛ばされて行って落ちたときには、骨は骨、肉は肉でみんなばらばらになって落ちた。こちらの方言ではばらばらになるのはスクザンと言うから、その落ちた田んぼの場所はスクザンラヤーというようになったという話があるんです。
全体の記録時間数 8:19
物語の時間数 7:51
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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