昔ね、お父がおってよ、その妻の女の人は、別にまた男作っていたんでしょ。その旦那が十五夜の月夜にお友達と一緒に並んで並んで歩いたらね、影が一人のはあるんだけれど、その旦那の影がないって。「これは不思議だ。」と思って、お家の隣のお婆ちゃんに聞いたらしい。「こんなこんなで影がないけどね、これはどんなかね。」と聞いたらね、お婆ちゃんが、「自分の一番大事なのを殺して捨てなさい。」と教えたって。旦那がよ、「自分の一番大事なの、お馬。」って言ったらよ、「馬よりもっと大事なのがある。」ってお婆ちゃんがおっしゃったって。「馬より大事なのは自分の妻(とうじ)だ。これを殺して捨てなさい。」ってお婆ちゃんが言うから、お婆ちゃんのいう通りにしようと家に帰ると、妻(とうじ)は、昔の着物入れるのハンベツカイという今の箪笥のような上等の板でちゃんと作った箱を後ろにして、麻の糸を紡いでいたらしい。旦那は妻は大事だから、目をつぶって弓を引いて矢を射ると、矢は妻には当たらないで、後ろのカイ〔長持〕に当たったって。その中に間男を隠してあったらしいから、男に当たって、これから血が出てくるって。それでカイの中を見たら、間男がいたからばれてるさね。その由来で、十五夜には宮良でね、必ずフカンギって言う餅作るさね。餅をこう合わしたら白いでしょ。これをこんなに手で握って茹でて、これにまた昔は食紅はないから、血の代わりに小豆を炊いて汁にして擦り込んで、これを餅のジーというさね。握った餅とこれと合わして餅作るさね。この餅は男のちんちんの睾丸(く が)で、小豆で作ったのは血。こんな意味で十五夜の餅を今でもやるんだよ。
| レコード番号 | 47O340728 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C055 |
| 決定題名 | 首のない影(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 十五夜由来 |
| 話者名 | 嵩田ヒサ子 |
| 話者名かな | たかだひさこ |
| 生年月日 | 19150923 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字宮良 |
| 記録日 | 19980908 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字宮良 T118 A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 民俗 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 石垣島の民話 P51 |
| キーワード | 十五夜,月夜,影,隣のお婆ちゃん,旦那,妻,ハンベツカイ,たんす,麻の糸,弓,血,フカンギ,餅,小豆,ジー,睾丸,くが |
| 梗概(こうがい) | 昔ね、お父がおってよ、その妻の女の人は、別にまた男作っていたんでしょ。その旦那が十五夜の月夜にお友達と一緒に並んで並んで歩いたらね、影が一人のはあるんだけれど、その旦那の影がないって。「これは不思議だ。」と思って、お家の隣のお婆ちゃんに聞いたらしい。「こんなこんなで影がないけどね、これはどんなかね。」と聞いたらね、お婆ちゃんが、「自分の一番大事なのを殺して捨てなさい。」と教えたって。旦那がよ、「自分の一番大事なの、お馬。」って言ったらよ、「馬よりもっと大事なのがある。」ってお婆ちゃんがおっしゃったって。「馬より大事なのは自分の妻(とうじ)だ。これを殺して捨てなさい。」ってお婆ちゃんが言うから、お婆ちゃんのいう通りにしようと家に帰ると、妻(とうじ)は、昔の着物入れるのハンベツカイという今の箪笥のような上等の板でちゃんと作った箱を後ろにして、麻の糸を紡いでいたらしい。旦那は妻は大事だから、目をつぶって弓を引いて矢を射ると、矢は妻には当たらないで、後ろのカイ〔長持〕に当たったって。その中に間男を隠してあったらしいから、男に当たって、これから血が出てくるって。それでカイの中を見たら、間男がいたからばれてるさね。その由来で、十五夜には宮良でね、必ずフカンギって言う餅作るさね。餅をこう合わしたら白いでしょ。これをこんなに手で握って茹でて、これにまた昔は食紅はないから、血の代わりに小豆を炊いて汁にして擦り込んで、これを餅のジーというさね。握った餅とこれと合わして餅作るさね。この餅は男のちんちんの睾丸(く が)で、小豆で作ったのは血。こんな意味で十五夜の餅を今でもやるんだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 12:15 |
| 物語の時間数 | 7:00 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |