昔、ある村に働き者の男がいた。その男は朝早く仕事に出ると一日中精一杯働いて帰りも夕方遅く帰ってきた。その男が村を出ると村の後ろに大きなアコーの木があった。その男は毎朝、木に、「お早うございます。今日も無事に働かして下さい。」とお祈りをして、仕事をしていた。帰りもその大木に向かって、「ただいま帰りました。」とあいさつをして、帰ったのが毎日の日課だった。その大木には、木の精がいて、その精が、「自分は、人様に見えないつもりでおったけれども、あの人は毎日私にあいさつをする。」とその精がとうとう現われて出まして、働き者の方に、「あんた私を見て、毎日、朝にも帰りにもあいさつするし、とっても働くし感心な方です。お礼にこの蓑をあげます。」と蓑をくれた。その蓑を着けると姿が全然隠れ、人様には見えなくなる蓑だった。それで、その男はその蓑を着けると、あちらこちらの家から馳走やいろんなものをふんだんに盗ったりするようになった。ところがその男の奥さんの方が、「これは一大事だ。こんな悪事を働いていると、あんたは刑務所入りをするんだ。もう大変なことになる。この蓑はもう使わないようにしてくれ。」と頼んだが、その男は面白いもんだから、なかなか捨てようとしないので、ある日、奥さんは主人が働きに出た隙を見まして、その蓑を焼いて捨てた。そしたら帰った主人が怒りまして、「自分の大事な宝をなぜ焼いて捨てたんだ。いったいどこで焼いたのか。」と言うので、奥さんが、「裏庭に焼いて捨てた。」と言うと、男は、その灰をかき集めて、自分の裸の体に塗ると、自分の姿が人様には全然見えないようになったので、また同じようなことをした。ところで、あるお祝いの会場に入ってよそのお客様のご馳走を盗んてたらふく食べようと会場へ行きましたら、お客さんがお茶の残りを庭に投げ捨てたとき、男の肝心な所に当たったから、体は見えなくても肝心な部所だけが現われて出たので、大勢の方がよってたかってそれを見て、「珍しいものだ。これが一人こうして歩くとは、いかにも珍しい。」とみんなが追いかけて来ているうちに、雨が降ってきて、すっかり体のつけた灰が洗い落とされたので、男の正体が現われましたので、「この野郎、きさまが今日までのこういう行動をしておったんだな。」とさんざん叩かれて、ひどい目に会ったというお話です。
| レコード番号 | 47O340042 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C003 |
| 決定題名 | 隠れ蓑(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 東成底光秀 |
| 話者名かな | ひがしなりそこみつひで |
| 生年月日 | 19130127 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字宮良 |
| 記録日 | 19760802 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字宮良 T36 B10 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | えーむかす |
| 伝承事情 | 慶田花宜佐さんという宮良の方から、草取りの合間に。 |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | アコーの木,蓑 |
| 梗概(こうがい) | 昔、ある村に働き者の男がいた。その男は朝早く仕事に出ると一日中精一杯働いて帰りも夕方遅く帰ってきた。その男が村を出ると村の後ろに大きなアコーの木があった。その男は毎朝、木に、「お早うございます。今日も無事に働かして下さい。」とお祈りをして、仕事をしていた。帰りもその大木に向かって、「ただいま帰りました。」とあいさつをして、帰ったのが毎日の日課だった。その大木には、木の精がいて、その精が、「自分は、人様に見えないつもりでおったけれども、あの人は毎日私にあいさつをする。」とその精がとうとう現われて出まして、働き者の方に、「あんた私を見て、毎日、朝にも帰りにもあいさつするし、とっても働くし感心な方です。お礼にこの蓑をあげます。」と蓑をくれた。その蓑を着けると姿が全然隠れ、人様には見えなくなる蓑だった。それで、その男はその蓑を着けると、あちらこちらの家から馳走やいろんなものをふんだんに盗ったりするようになった。ところがその男の奥さんの方が、「これは一大事だ。こんな悪事を働いていると、あんたは刑務所入りをするんだ。もう大変なことになる。この蓑はもう使わないようにしてくれ。」と頼んだが、その男は面白いもんだから、なかなか捨てようとしないので、ある日、奥さんは主人が働きに出た隙を見まして、その蓑を焼いて捨てた。そしたら帰った主人が怒りまして、「自分の大事な宝をなぜ焼いて捨てたんだ。いったいどこで焼いたのか。」と言うので、奥さんが、「裏庭に焼いて捨てた。」と言うと、男は、その灰をかき集めて、自分の裸の体に塗ると、自分の姿が人様には全然見えないようになったので、また同じようなことをした。ところで、あるお祝いの会場に入ってよそのお客様のご馳走を盗んてたらふく食べようと会場へ行きましたら、お客さんがお茶の残りを庭に投げ捨てたとき、男の肝心な所に当たったから、体は見えなくても肝心な部所だけが現われて出たので、大勢の方がよってたかってそれを見て、「珍しいものだ。これが一人こうして歩くとは、いかにも珍しい。」とみんなが追いかけて来ているうちに、雨が降ってきて、すっかり体のつけた灰が洗い落とされたので、男の正体が現われましたので、「この野郎、きさまが今日までのこういう行動をしておったんだな。」とさんざん叩かれて、ひどい目に会ったというお話です。 |
| 全体の記録時間数 | 5:23 |
| 物語の時間数 | 5:10 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |