物言う牛(方言)

概要

昔、海人(うみんちゅ)が魚捕りに海に行くときに、繋いでいる縄が石にかかって草を食べられないでいる牛がいたから、その海人はかわいそうだと思って、牛を繋いでいる紐を解いて繋ぎ直して助けてやったそうです。そうやって二、三日世話しておったら、その牛が海人(うみんちゅ)に、「私は水が欲しいから、水があるどこどこに連れてって水を飲まして下さい。」とものを言うて頼んだから、この人は連れてって水を飲ましたりやったら、この牛が感激して、「私はどこどこの主の牛だ。飼い主の所に行ってものを言ったと伝えてください。」と言ったそうです。だから、その海人が飼い主の所に行って牛がものを言ったとの伝えたら、その主は、「物を言う牛がおるか。」と言うから、「もし言うたらどうするか。」と言ったら、「牛はあなたにやってよろしい。」と言って飼い主が牛のところに来た。「あなんはこの人にもの言うたか。」と問うても、牛は飼い主には一つもものを言わなかった。だが、その水を飲ましてくれた海人(うみんちゅ)が言うたら、牛は、「この人は草も食べさしてくれ、水も飲ましてくださった。私は毎日感謝している。お礼をしたいんだ。」とすぐ返事したらしい。飼い主は、「牛が物言うから私は恐ろしい。これは厄牛だ。これは私の牛じゃない。あなたが取りなさい。」と言うているから、海人(うみんちゅ)は牛を家に連れてきた。それから、海人(うみんちゅ)その牛を家族のように大事に養って仕事もさしていたら、牛は年寄りになったから、「あんたはこれだけ家の奉公をしてくれた。私は、あなたが死んだら人間と同じように墓を造って大事に葬ってやるよ。」と言うと、牛は、「それでは私は成仏できません。私を殺して、七つのお膳に入れて七軒の家で祀って下さい。それが私の極楽です。」と言うたから、牛を殺して七軒の家に配って、七つのお膳の上に飾って神に祀ったんだ。だから、その時にから、お供えは牛くばんが一番と言うて、今でもお祝いの時に牛くばんが使われておるんです。

再生時間:2:34

民話詳細DATA

レコード番号 47O340008
CD番号 47O34C001
決定題名 物言う牛(方言)
話者がつけた題名
話者名 川田久吉
話者名かな かわだきゅうきち
生年月日 18990922
性別
出身地 沖縄県石垣市字宮良
記録日 19750804
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字宮良 T35 A08
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 日本昔話通観第26巻 P167 
キーワード 牛,七つのお膳,牛くばん
梗概(こうがい) 昔、海人(うみんちゅ)が魚捕りに海に行くときに、繋いでいる縄が石にかかって草を食べられないでいる牛がいたから、その海人はかわいそうだと思って、牛を繋いでいる紐を解いて繋ぎ直して助けてやったそうです。そうやって二、三日世話しておったら、その牛が海人(うみんちゅ)に、「私は水が欲しいから、水があるどこどこに連れてって水を飲まして下さい。」とものを言うて頼んだから、この人は連れてって水を飲ましたりやったら、この牛が感激して、「私はどこどこの主の牛だ。飼い主の所に行ってものを言ったと伝えてください。」と言ったそうです。だから、その海人が飼い主の所に行って牛がものを言ったとの伝えたら、その主は、「物を言う牛がおるか。」と言うから、「もし言うたらどうするか。」と言ったら、「牛はあなたにやってよろしい。」と言って飼い主が牛のところに来た。「あなんはこの人にもの言うたか。」と問うても、牛は飼い主には一つもものを言わなかった。だが、その水を飲ましてくれた海人(うみんちゅ)が言うたら、牛は、「この人は草も食べさしてくれ、水も飲ましてくださった。私は毎日感謝している。お礼をしたいんだ。」とすぐ返事したらしい。飼い主は、「牛が物言うから私は恐ろしい。これは厄牛だ。これは私の牛じゃない。あなたが取りなさい。」と言うているから、海人(うみんちゅ)は牛を家に連れてきた。それから、海人(うみんちゅ)その牛を家族のように大事に養って仕事もさしていたら、牛は年寄りになったから、「あんたはこれだけ家の奉公をしてくれた。私は、あなたが死んだら人間と同じように墓を造って大事に葬ってやるよ。」と言うと、牛は、「それでは私は成仏できません。私を殺して、七つのお膳に入れて七軒の家で祀って下さい。それが私の極楽です。」と言うたから、牛を殺して七軒の家に配って、七つのお膳の上に飾って神に祀ったんだ。だから、その時にから、お供えは牛くばんが一番と言うて、今でもお祝いの時に牛くばんが使われておるんです。
全体の記録時間数 2:54
物語の時間数 2:34
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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