もうあるところに財産はたくさんあるし、お金もあるし、けれども、惜しいことに妻がいない人がいた。
その隣の人がお医者さんで、その人の親のために非常に助けられて、医者の学校出たとのことで、それで恩
返しに、親に返す恩もないから、「それじゃ、自分の娘でもあげましょう。」と言ったから、可哀相だから
、貰ったことは貰ったことが、一夜その妻を抱いたら、その男がもうあんまり妻に惚れて、それからは、そ
の男は、仕事も出来ない。それで、その妻は、「またどうにかして、仕事をさせよう。」と思っておったか
ら、それじゃ、妻のほうが、「そんなにしていると、いつの間にか貧乏になるんですよ。女との仕事は、夜
でも出来るんですよ。」と言ったら、「ああ、そうですよね。」と言って、今度は、畑に行く前になると、
必ず妻をめった打ちにして、泣かして行く。夜に畑から帰ってきたら可愛がる。妻は、「おかしいな。こん
なじゃ、離縁したほうがいいんじゃないか。」と思って、医者の親のほうに相談したら、「この家のおかげ
で、私は医者の学校も卒業したよ。恩はどうしても返すことは出来ないよ。」ということで叱るし、それで
、家に帰って行ったら、二三日経っても、やはり夜は可愛がる。朝起きたら御飯食べて、出で立ち前には、
必ずめった打ちにして泣かせて出て行く。男の方では、妻が可愛いので、人に取られないように、妻が泣い
ているうち、怒っているうちは、人が来ないから取られないだろうとの策だった。女としては、「なぜ昼は
殴るし、夜は愛するかな。」と言って、それ分からない。こんなものはもう家に帰っても、家の親父(おや
じ)なんかは、恩義の為であげたから叱るし、どうにならないから、夫を讒言(ざんげん)でもして、何か
に陥れようと考えていた。そうすると、王様の娘のほうが、喉の病気で医者にかかっても、どうしても取る
ことが出来ないで、とうとう役人が村中を探して、探して歩いた時に、「こうこうの人がこの辺にはいない
か。」と訪ね、その家に行ったところが、女が泣いている。見たら美人。「どんな悔しいことがあるんです
か。」と言ったら、「いや、何にもありませんが。」「この方に良い医者が居りませんか。」でぃ。「いや
、家には優れた医者が居りますよ。」って。そうして、「それじゃどこに居る。」って。「この道をずうっ
と行かれたら、こっちに馬(んま)二頭が居ります。そ、そこには、櫨(はぜ)の木があります。そこに居
る夫、あれが名医ですよ。」って。そう言ったら、役人は、もう二、三人の者だから早速行って、夫に聞い
たところが、「いや、自分は医者でもない。」と言う。また本当に夫は、医者でもないしょ。それがもう、
「いやいや。」と言う。「どうしても来て娘の病気を治してくれ。」と言うので、とうとうしか、仕方なく
役人に連れられて行った。ところが、医者でもないから、その夫がどうしてそれが看病することが出来まし
ょう。その役人の方から、「名医ここに有り、早治療させよ。」との貼り紙である。もう仕方なく帰ること
も出来ない。「それじゃ私は、もう人の居る時は、何は出来ないから、人のいないところなら出来る。女の
病気はどんな病気か。」と聞いたら、「はい、一人娘の喉に、魚の骨を掛からして取れない。」と言うから
、これは、本当の病気ではなくて、あまり甘やかされて養われたら、娘だから、それがフンダイ<甘え>の
ためで、それを取らさん訳である。夫は、「これはやすい。」と考えて、今度もうひっそり籠めて、その部
屋で自分がもう踊りをする。踊りをしてもこれはあかない。今度はまっ裸になって踊りをする。まだ人の裸
というのは見てもみない娘だから、あとは笑って、笑ったら、「よし、これだ。」と言って、まだも踊った
ら、あとはもー、まるべーくるべーとして転がり、転がったのが咳をして、とうとう吐き出したものが、骨
が吐き出された。それで助かった。「お医者さんおいさんやめてください。私の病気もどこにが飛んでいっ
たよ。これだよ、これだよ。」言って、あの骨を取ってみせる。それでもって王様は見て、「こんなに医者
ごとを訪ねても、治しきれないものをこれが治す。もう不思議だ。」と言って、派手にもう布令を出して、
「一時も早く、病気のある人はこっちに来て治すように。」と言うたところが、こっちでも二人で担がれる
来る人もおる。おんぶされて来る人もどっさり来た。仕方なく今帰ると思ったらとこんなことだらが、「ま
たこんな目にあって、もう残念だ。」と言ってよ、恨むのは妻なんだが、妻のはかりごととも、分からんで
しょ。そうだからもう、仕方なく泣く泣く、「こうなったんだから。」と言って、「よしっ。それじゃ。」
とみんな押し込めて、「私の薬は、一番身体の弱い者の生き肝を取って、これでこんにゃくを作ってこれが
あげるんだか、一人は犠牲になって下さい。」と言ったから、みんなもうこんなにもうじゅるじゅると回る
。そしたから、「あんたが一番顔色が悪いんですから、まあ、きみ犠牲になったらどうですか。」と言った
ら、殺された大変でしょう。だから、その人はあわてて、「もう私は治った。」と言って、そしたら、もう
今担いで、妻におんぶせられた者が歩いて行く。こっちでは、役人が、「こんな人も治してくれ。」と言っ
て、こっちに出てくると、またもう一人にも、「次は君が今顔色が悪いそうだから、君が犠牲になったらど
うですか。」と言うて。そうしたら、その病人は、「いやいや、私もう治ったんですよ。」ってまた出てく
。とうとうみんな、「殺されるよりは、病気にかかっていても我慢していた方がいい。」と、入るときは歩
かれない人も、こっちから歩かれないのも歩いて出て行ったから、王様は、それを見て、「もう君はもう本
当に偉い。名医だ。何が欲しい。」と言ったら、「私は、いや早く家に帰りたい。」「何で。お金も何にも
くれ、くれないでもいいですか。」「いや。家では、一人が妻だけが留守番してるから、あれだけ見してく
れたら何も褒美も貰わない。」と言ったら、王様は、銭を沢山くれたから、それからもうその銭で暮らせる
ようになって、日夜、畑にも行かないし、その若妻をいじめたりしないで、ずっうと抱き詰めておったとい
う話。
| レコード番号 | 47O150064 |
|---|---|
| CD番号 | 47O15C004 |
| 決定題名 | 花婿のにわか医者(共通語) |
| 話者がつけた題名 | にわか医者(嫁の知恵) |
| 話者名 | 前津治平 |
| 話者名かな | まえつじへい |
| 生年月日 | 19040609 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市大浜 |
| 記録日 | 19750803 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市大浜T08B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P80 日本昔話通観第28巻P684 |
| キーワード | 医者,嫁の知恵 |
| 梗概(こうがい) | もうあるところに財産はたくさんあるし、お金もあるし、けれども、惜しいことに妻がいない人がいた。 その隣の人がお医者さんで、その人の親のために非常に助けられて、医者の学校出たとのことで、それで恩 返しに、親に返す恩もないから、「それじゃ、自分の娘でもあげましょう。」と言ったから、可哀相だから 、貰ったことは貰ったことが、一夜その妻を抱いたら、その男がもうあんまり妻に惚れて、それからは、そ の男は、仕事も出来ない。それで、その妻は、「またどうにかして、仕事をさせよう。」と思っておったか ら、それじゃ、妻のほうが、「そんなにしていると、いつの間にか貧乏になるんですよ。女との仕事は、夜 でも出来るんですよ。」と言ったら、「ああ、そうですよね。」と言って、今度は、畑に行く前になると、 必ず妻をめった打ちにして、泣かして行く。夜に畑から帰ってきたら可愛がる。妻は、「おかしいな。こん なじゃ、離縁したほうがいいんじゃないか。」と思って、医者の親のほうに相談したら、「この家のおかげ で、私は医者の学校も卒業したよ。恩はどうしても返すことは出来ないよ。」ということで叱るし、それで 、家に帰って行ったら、二三日経っても、やはり夜は可愛がる。朝起きたら御飯食べて、出で立ち前には、 必ずめった打ちにして泣かせて出て行く。男の方では、妻が可愛いので、人に取られないように、妻が泣い ているうち、怒っているうちは、人が来ないから取られないだろうとの策だった。女としては、「なぜ昼は 殴るし、夜は愛するかな。」と言って、それ分からない。こんなものはもう家に帰っても、家の親父(おや じ)なんかは、恩義の為であげたから叱るし、どうにならないから、夫を讒言(ざんげん)でもして、何か に陥れようと考えていた。そうすると、王様の娘のほうが、喉の病気で医者にかかっても、どうしても取る ことが出来ないで、とうとう役人が村中を探して、探して歩いた時に、「こうこうの人がこの辺にはいない か。」と訪ね、その家に行ったところが、女が泣いている。見たら美人。「どんな悔しいことがあるんです か。」と言ったら、「いや、何にもありませんが。」「この方に良い医者が居りませんか。」でぃ。「いや 、家には優れた医者が居りますよ。」って。そうして、「それじゃどこに居る。」って。「この道をずうっ と行かれたら、こっちに馬(んま)二頭が居ります。そ、そこには、櫨(はぜ)の木があります。そこに居 る夫、あれが名医ですよ。」って。そう言ったら、役人は、もう二、三人の者だから早速行って、夫に聞い たところが、「いや、自分は医者でもない。」と言う。また本当に夫は、医者でもないしょ。それがもう、 「いやいや。」と言う。「どうしても来て娘の病気を治してくれ。」と言うので、とうとうしか、仕方なく 役人に連れられて行った。ところが、医者でもないから、その夫がどうしてそれが看病することが出来まし ょう。その役人の方から、「名医ここに有り、早治療させよ。」との貼り紙である。もう仕方なく帰ること も出来ない。「それじゃ私は、もう人の居る時は、何は出来ないから、人のいないところなら出来る。女の 病気はどんな病気か。」と聞いたら、「はい、一人娘の喉に、魚の骨を掛からして取れない。」と言うから 、これは、本当の病気ではなくて、あまり甘やかされて養われたら、娘だから、それがフンダイ<甘え>の ためで、それを取らさん訳である。夫は、「これはやすい。」と考えて、今度もうひっそり籠めて、その部 屋で自分がもう踊りをする。踊りをしてもこれはあかない。今度はまっ裸になって踊りをする。まだ人の裸 というのは見てもみない娘だから、あとは笑って、笑ったら、「よし、これだ。」と言って、まだも踊った ら、あとはもー、まるべーくるべーとして転がり、転がったのが咳をして、とうとう吐き出したものが、骨 が吐き出された。それで助かった。「お医者さんおいさんやめてください。私の病気もどこにが飛んでいっ たよ。これだよ、これだよ。」言って、あの骨を取ってみせる。それでもって王様は見て、「こんなに医者 ごとを訪ねても、治しきれないものをこれが治す。もう不思議だ。」と言って、派手にもう布令を出して、 「一時も早く、病気のある人はこっちに来て治すように。」と言うたところが、こっちでも二人で担がれる 来る人もおる。おんぶされて来る人もどっさり来た。仕方なく今帰ると思ったらとこんなことだらが、「ま たこんな目にあって、もう残念だ。」と言ってよ、恨むのは妻なんだが、妻のはかりごととも、分からんで しょ。そうだからもう、仕方なく泣く泣く、「こうなったんだから。」と言って、「よしっ。それじゃ。」 とみんな押し込めて、「私の薬は、一番身体の弱い者の生き肝を取って、これでこんにゃくを作ってこれが あげるんだか、一人は犠牲になって下さい。」と言ったから、みんなもうこんなにもうじゅるじゅると回る 。そしたから、「あんたが一番顔色が悪いんですから、まあ、きみ犠牲になったらどうですか。」と言った ら、殺された大変でしょう。だから、その人はあわてて、「もう私は治った。」と言って、そしたら、もう 今担いで、妻におんぶせられた者が歩いて行く。こっちでは、役人が、「こんな人も治してくれ。」と言っ て、こっちに出てくると、またもう一人にも、「次は君が今顔色が悪いそうだから、君が犠牲になったらど うですか。」と言うて。そうしたら、その病人は、「いやいや、私もう治ったんですよ。」ってまた出てく 。とうとうみんな、「殺されるよりは、病気にかかっていても我慢していた方がいい。」と、入るときは歩 かれない人も、こっちから歩かれないのも歩いて出て行ったから、王様は、それを見て、「もう君はもう本 当に偉い。名医だ。何が欲しい。」と言ったら、「私は、いや早く家に帰りたい。」「何で。お金も何にも くれ、くれないでもいいですか。」「いや。家では、一人が妻だけが留守番してるから、あれだけ見してく れたら何も褒美も貰わない。」と言ったら、王様は、銭を沢山くれたから、それからもうその銭で暮らせる ようになって、日夜、畑にも行かないし、その若妻をいじめたりしないで、ずっうと抱き詰めておったとい う話。 |
| 全体の記録時間数 | 7:01 |
| 物語の時間数 | 6:39 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |